芸術

MUGA 芸術から科学まで「無我」表現による革命を

 MUGA表現研究会とは、エゴイズムに基づいた価値観、表現が蔓延している現代世界において、「私」ではなく「世界=無我」という単位からの表現を志す会です。
 文化的価値の転換、革命を目指し、その雛形として無料月刊メルマガ「MUGA」を配信(毎月15日)します。


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MUGA第42号

2015/01/15

MUGA 第42号
「私」ではなく「世界=無我」からの表現を発信する

無我表現研究会発行 月刊メルマガ

◆目次

◇アート

 小説・奇妙な風景画 4

復活      那智タケシ

 童話 【子犬の笑顔】 

        結城えりな(占い師・アーティスト)

◇評論

ダンテス・ダイジ試論 その1

高橋ヒロヤス

◇座談会

●無我表現研究会編集会議  2014 12/21四谷の某事務所にて

精神病・芸術・社会・心身脱落についての雑談

◇エッセイ

養子縁組家庭に、無我的子育てをみる

土橋数子

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◇アート

 小説・奇妙な風景画 4

                         那智タケシ
    復活

 世間の喧騒から忘れ去られた霊安室で、一人の男が眠っていた。凍りつき、無機物と化したデスマスクは、現実と冥界を遮断する最後の防御壁のようであった。

 仮面の裏には、言語にすることのできない神秘の空間が拡がっていた。男は、その神秘の中に、自分というものを溶解させるプロセスを辿っていた。

 赤色、青色、白い色、緑色、紫色・・・様々な色が乱反射して、彼の全身を駆け巡っていた。

 さらにその底には、闇の深淵が横たわっているのが見えた。

 それは一切を藻屑とする、虚無の海であった。

 光と闇の圧力に負けて、彼は自らが消え去ろうとしていることを知った。

 しかし彼は、光の中に自らを同化させることも、虚無の闇の中に消え去ることも望んでいなかった。

 まばゆい神秘を置き去りにして、暗黒の宇宙にたった独りであることを確認した瞬間、彼は、目を見開いた。
 
 彼が最初に見たのは、天井のアラビア模様であった。その草葉を象徴した流線型の模様は、悲しげな人間の顔のようにも見えた。

 彼らもまた、単なる模様であることを望まず、一つの顔になったのだった。

 一つの顔になって、彼に話しかけてきたのである。

 君はまた、戻ってきたんだね? ぼくらの悲しみの世界へ。

 そこは、ひどく陰気な、灰色の小さな部屋であった。彼は、自分はまだ棺桶の中にいるのだと錯覚した。あるいは、巨大なピラミッドのような、王家の墓の中にいるのだと。死人でありながら、たまたま目を覚ましてしまったのだと。

 瞬間、彼は、自らの身体に温かみが電流のように通り抜けるのを感じた。それは、間違いなく天からの恩寵であった。

 彼は、ゆっくりと身を起こした。そして、ベッドの端に腰掛け、うつむいたまま、しばらくじっとしていた。

 彼は、自分の身に何が起きたのかを自覚していた。

 完全に自覚していた。

 このような人間はかつていなかったし、これからもいないだろう。

 二千年前の、あの人を除いては。

 こうして、彼の面にようやく表情が生まれた。

 それは意外にも、どこか不遜な、傲慢ともいえる微笑であった。

 自分の身に生じた奇跡の自覚が、彼に傲慢さをもたらしたのであった。

 しかし、それはすぐに悲しげな諦念のそれとなった。

 今となっては、生も死も同じであるように思えたからである。

 ただ大いなる意識だけが、彼の身体を動かしているのであった。

  彼はもうかつての彼ではなかった。

 個人的な存在は、もうどこにもいなかった。

 彼はただ、与えられた命を動かす機械であった。

 何かの使命を与えられているようにも感じたが、まだ、それを思い出すことはできなかった。

 霊安室にはもう一つのベッドがあり、顔を白布で覆われた死者が横たわっていた。

 瞬間、彼は眉をひそめた。

 ゆっくりと立ち上がり、遺体の側に無表情で立った。そして、顔の覆いをそっとのけた。

 そこには、彼の見知った女の顔があった。

 それは、彼の愛した顔であり、今はもう呼吸をしない、物質であった。

 彼は、震える手で女の額に触れた。そして、自らを救世主であるかのように感じ、奇跡を祈った。

 しかし、女はいくら祈っても、物質のままだった。

 自分は、救世主ではなかったのだ。

 彼は、額から鼻筋へ、唇から顎へと、右手の平で死体の顔をなでた。

 そして慈しむように微笑んで、女の長い髪に触れた。

 その髪は、わずかに濡れていた。

 彼は、この女との偉大な、かけがえのない遠い日々を思い、微笑んだ。

 瞬間、霊安室の扉が開き、一人の若い男が入って来ようとした。

 その看護士は、うつむいたまま部屋に入って来たので、そこにある異変に気づかなかった。

 看護士は、奇妙な気配を感じたらしく、眼差しを上げた。そして、目の前に立ちつくす男の姿を見て、目を大きくし、表情をこわばらせて、一歩退いた。

 蘇った男は、その様子をどこかおかしげに見つめていたが、興味をなくしたように目を反らし、再び、女の顔を凝視した。

「何人(なんぴと)たりとも……」と彼はつぶやいた。

 看護士が悲鳴を上げて逃げ去り、一人、残されると、彼は自らが横たわっていたベッドに腰掛けた。そして頬杖を突き、蒼白い女の顔を見つめながら、いつまでもそうしていることを望んだ。 

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◇アート

 童話 【子犬の笑顔】 

        結城えりな(占い師・アーティスト)

あるところに、子犬が捨てられていました。 


ちっちゃな段ボールの中、子犬はいっぱい泣きました。 

いっぱいいっぱい泣きました。 


でも、子犬は信じていました。 
いつかお母さんが迎えにきてくれることを。 


一晩たちました。 


子犬は泣き疲れて寝てしまいました。スヤスヤと…閉じた瞳にはうっすらと涙がのこっていました。 


朝がやってきました。 


子犬が目を覚ますと、目の前には、にんげんの小さな子供が座っていました。 


じっとこっちを見て微笑んでいます。 
子犬はその子供の笑顔がなんとなく好きになりました。 


しばらくして、その子供のお母さんがやってきました。 


「あら、かわいそうに。ワンちゃん、捨てられちゃったの…?」 


子犬は首を縦に振りました。 
子供とお母さんには、なんとなくそれが分かりました。 


「じゃあうちにきなさい。お腹空いてるでしょ?たくさんご飯食べましょうね」 


子犬は生まれて初めて、飛びっきりの笑顔を作りました。 
子供とお母さんには、なんとなくそれが分かりました。 


ヒョイとお母さんに抱きかかえられた子犬はまた眠ってしまいました。 
笑顔のままで眠ってしまいました。 


「おかあさん、おかあさん」 


子犬は寝言でつぶやきました。 

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◇評論

ダンテス・ダイジ試論 その1

高橋ヒロヤス

まえがき
 前々回の「MUGA」の拙稿(「科学はどこまで行くのかを巡る雑感」)の中で、ダンテス・ダイジの講話を少し引用したところ、割と反響があった。中には、ダイジのことを知らず、外国人だと思っていたという人もいた。そこで、まだわが国でもほとんど知られていないといってもよいこの日本人について、人物紹介がてら少し書いてみようという気になった。
 私がダンテス・ダイジの名前を初めて知ったのは、学生時代、いわゆる「精神世界」の領域にハマり、さまざまな書物を読み漁っている頃だった。1990年代の後半、本屋で『ニルヴァーナのプロセスとテクニック』という、見るからに怪しげなタイトルの本を見かけた。その本は、中身を見る前から、異彩を放っていた。
 時にオウム真理教事件が世間を騒然とさせていた頃でもあり、クンダリニー・ヨガの行法を図解入りで解説する内容には怪しさしか感じなかったが、冒頭にクリシュナムルティへの言及があったことが引っ掛かった。私は、精神世界の分野のさまざまな本を調べた挙句、そのほとんどは妄想の類でありガラクタにすぎないと結論付けていたが、クリシュナムルティの本は例外としていたからである。
 しかし、「ニルヴァーナ」に至るテクニックを解説した同書の内容には興味を持てず、その時点では、ダンテス・ダイジなる名前を、何やら得体の知れない存在としてのみ記憶にとどめていた。
 その後、インターネット上でダンテス・ダイジの講話を録音したテープ音源があることを知り、興味本位で入手して、聞いてみた。聞き始めた途端、何かドラッグでも服用したかのような一種のトリップ感覚に襲われた(ちなみに私はドラックを使用したことはない)。彼の声の第一印象は異様だった。語られている内容自体よりもその雰囲気が、自分がこれまでに知っている何物とも異質だった。得体の知れない魅力の虜になり、数か月間テープ音源を日常生活の合間に聞き続けた。
 それまで手が出なかった彼の著作、『ニルヴァーナのプロセスとテクニック』(略して『ニルプロ』)、『アメジスト・タブレット・プロローグ』、『絶対無の戯れ』を購入し、彼の弟子だった渡辺郁夫氏が編集した、4巻の講話録も読んだ。その内容を知れば知るほど、奥深さに圧倒された。テープ音源の野太い声から伝わる彼の人間的な温かみと迫力と包容力、講話を文字に起こして読み返した時に伝わる彼の知的明晰さに感銘を受けた。 
 私は生前のダイジと面識はないし、直接ダイジを知る人たちの話を聞いたこともない。インターネット上に残っている関係者の証言や、現存するmixiのコミュニティにダイジの教えを受けた人々が書き込む内容から、彼の人となりを断片的に知っているに過ぎない。その意味で、私の書くものはダンテス・ダイジの遺した本と彼の印象についての単なる一個人の感想文である。ダンテス・ダイジという人物については、今後その影響力が広がるとともに客観的な評価が定まってくるだろうし、そのためにも可能なうちに生前の彼を知る関係者たちの証言を集めた正確な評伝が記されてしかるべきと思われるが、現時点でそれをするのは自分の役目ではないと感じている。
〜〜〜
ダンテス・ダイジとは誰だったのか
その生涯の概観
 ダンテス・ダイジという人物についての紹介文として、現時点で最も適切なものは、インターネット上に掲載されている、弟子の渡辺郁夫氏による文章だろう。
 http://www5a.biglobe.ne.jp/~scl/medi.htm#ダンテス・ダイジについて
 以下に述べることも、この内容と重複する部分が多い。
1950年2月12日東京生まれ。ダンテス・ダイジというのは、法名のようなもので、俗名は雨宮第二という。雨宮第慈、如意第慈とも名乗った。二十代半ばまでは旧姓の大塩第二の名だった。
少年時代から、誰に教わるでもなく、瞑想が好きな子供だったらしい。母親が瞑想中のダイジを見かけ、「気持ち悪い子だねぇ、お兄ちゃんと一緒に外で遊びなさい」というとダイジは、「はーい」と居なくなったと思うと、隣の部屋で又瞑想をはじめたという。
17歳で神に目覚めたといわれる。ある講話で、これは6月26日のことだと答えている。
「ダイジ、最初の悟りを開いたのはいつ?」
「十七歳六月二十六日」
(『雨宮第慈講和録4 素直になる』SCL刊より) 
この時のことは、自著『ニルヴァーナのプロセスとテクニック』に克明に描写されている。
学生ダイジは、学校生活に全く適応できず、自殺未遂事件を何度か起こすほどの問題児だった(その一方で、生徒会長をしていたという話もある)。今でいう引きこもりのような生活を送っていたある日のこと。
(引用はじめ)
「その日も、私は全くの闇の中にいたように思う。すべての出口はふさがれてしまっているように思えた。私はごろっと横になって、見るともなくテレビを見ていた。テレビ番組は、どれもこれも面白くなかった。しかし、他にやりたいことも、できることも何もない。
 私は、何気なくチャンネルを回した。つまらない洋画だった。それは、ローマ時代のキリスト者の殉教をテーマにしたもののようだった。この番組は、既に大半が終わっていたが、その映画の内容は浅薄そのものという印象を与えた。やがて、場面は或るキリスト者の殉教のところへ来た。そのキリスト者は殉教される直前にこう言う。
『それでも、私は神を愛する』と。
その映画もその演技もその筋書きも、何もかも見えすいていて、つまらないものだった。しかし、その場面で語られた。「愛」という言葉が、異様な程、私の中に響いてきたのだ。その『愛』という言葉が、私の心に入って来ると同時に、
『人間は絶対的に救われない、人間のみではない、一切万物は絶対的に救われないのだ』という想念が、私の中に浮かびがあってきた。
 それは、胸がつき破れるような悲しみだった。
 それは、そのテレビ映画の内容とは全然関係のない悲しみであり、しかもその悲しみは、何もかも一切万物に関する悲しみというようなものだった。
私の中に閉じ込められていたすべての思いが爆発した。
こんな悲しみは、私のそれまでの人生で初めてのことだった。私は気が狂ったように泣いた。涙は後から後から、止めどもなく溢れ出してきた。
その絶対的と言っていい苦痛と悲しみの中に、それは開けたのだ。
それは、突然開けた。
私と世界を含む万物万象を包む愛が開かれた。
それは、信じられぬ愛であり歓喜だった。私は目の前のテーブルの悲しみも、庭にある石ころの悲しみも、世界中に生きているあらゆる人々、あらゆる生物達の悲しみも感知することができた。そして、その絶対的悲しみの極限は、愛そのものなのだ。愛は人間の中の一つの感情などではない。愛は、この宇宙そのものの根源なのだ。
私は、歓びと有難さの中に、自ずから姿勢が正されて静座していた。
悲しみの涙は、そのまま歓びと感謝の涙に変った。私の身心の重苦しさは、もうどこにもなかった。私は大気そのものになったかのように、さわやかに静坐合掌していた。私と私の妄想していた世界は消え去った。私の絶望は、私と世界全体を洗い流した。愛が開かれ、開かれた愛が唯一絶対の存在として、ここにあり、その愛があらゆるものとなって表現されているのがこの世界なのだ。
どの位の時間、私はその至福の中に静坐していたか不明であるが、静坐を終えて立ち上がり、あたりを見渡すと、何もかもが愛の中に輝いて見えた。この愛の感動は、その後一ヶ月位続いていた。その感動のある間、私の身心は軽やかで、自由そのものだった。
やがて、その感動は徐々に薄れていたっが、その時の根本自覚は決して消えることはない。只管打坐が正に自らなる只管打坐そのものになったのは、この経験があってからであった。私は、私の欲望としての存在に嫌というほど痛めつけられ、その絶望の闇の中に死んだと言ってよい。この仮象であり無常の世界は、私の観念の中にある妄想であり、その妄想の中に、あらゆる争いや醜悪なるもの、地獄が見えるのである。しかし、自己意識は、その絶望の極点で自滅する。私が自滅することは、世界全体が自滅することであり、それは言語を絶する不可思議な悲しみであった。
私は大慈悲が何であるかを知った。大悲は、人間の中にある或る感情などではない。
愛の歓喜が人間の情動ではなどではないのと同じように、大悲は、すべてのものの根源なのだ。私は、無限の悲しみと無限の歓びを同時に知った。それは、開かれた愛そのものであり、私もまた、一切万物と同じように愛の中に顕われた愛の一表現なのだ。」
(『ニルヴァーナのプロセスとテクニック』より)
禅の見性やクンダリニーの覚醒よりも先に、「神の絶対愛(大慈悲)」に目覚めると言う体験をしたことは、ダイジのその後の人生にとって決定的な意味を持つ出来事だった。
高校時代には、老子研究の大家で、人生道場無為修道会という精神修養団体を主宰していた伊福部隆彦に師事している。伊福部隆彦は、詩人で文芸評論家であり、『老子眼蔵』他の老子関係の著作を多く残した。道元禅についても極めており、ダイジに大きな影響を与えた。その影響下に、18歳で只管打座により大悟徹底。この時のことは、『ニルヴァーナのプロセスとテクニック』に伊福部先生の詩を読んでいたときのこととして書かれている。
(引用はじめ)
「もう私は、絶対に救われないということは自明になっていた。もう救われないということと闘う気もなくなっていた。
突然、それは起こった。本当の自然な意味で、それは起こった。本当の自然な意味で、それは起こった。
私の体も、私の意識も、それ以外のいっさいもやさしく消え去った。私は、すべてのすべてである私自身であったのだ。宇宙との合一だとか、神秘体験だとか、霊的体験だとか、そんなマンガチックなものでは全然なかった。
結局只管打坐とは、何もかもがいいということさえ言う必要がない。
何もかもがいいということさえも・・・・・・。」
(引用おわり)
曹洞宗の大学である駒沢大学の仏教学部に進み、中退。大学時代に講義を受けた先生の中に、横井覚道という禅師がおり、ダイジは彼を高く評価していた。
10代から20代にかけての修行期には、各地の禅寺を遍歴し、臨済禅で沖縄首里の万松院の木村虎山から印可を受けたり、また大本教と生長の家でも修行し、古神道の大要を体得したり、道教と、それと関係の深い太極拳も修得したりと、多種多様な修行体系を経験している。
さらに、インドに渡り、インドでは偶然出会った導師から直接にクンダリニー・ヨーガの奥義を授けられたという。このようにダイジは20代までに冥想の武者修行のような形で、仏教、老子道、道教、神道、ヨーガと、東洋の主要宗教とその冥想行を修めている。
その後1977年に東京に帰り、彼のもとに集まってきた少数の若者たちに冥想の個人指導を行うという生活が始まった。そのときの講話テープが現存している。また21世紀になって、当時の弟子渡辺郁夫氏が、これらの講話の一部をまとめて4巻の講話録を出版している。(http://www5a.biglobe.ne.jp/~scl/book.htm
東京では、最初は両親のいた三鷹に住み、再びインドに渡り、インドから帰ってからは青梅、さらに福生と移った。福生にいた1986年に『ニルヴァーナのプロセスとテクニック』という本を出し、この本にはダイジの住所と電話番号が書いてあったため、それで連絡を取ったという人もいる。
このようにして個人的な冥想指導を10年間続けた後、1987年12月11日に亡くなる。彼の死を巡っては諸説あるが、彼の生涯の意義とも絡めて最後に私見を述べたい。
〜〜〜
著作について

『超宗派的瞑想』(副題「自己解放の手引き」、1976年発行)
ダイジの最初期の著書であり、パンフレット状の薄い冊子(B5版17ページ)である。冥想の意義を述べたうえで、各種の行法を簡潔に解説している。
 文章はその後の著作に比べればかなり客観的・解説的だが、その内容は、後の著作の萌芽を含んでいる。

『メディテーション・トラベル・ガイド』(1978年発行)
『原典救世主入門』とその他のアフォリズムから成るA5版の冊子。
後に出版された『十三番目の冥想』という講話録は、『原典救世主入門』の解説にあたる。『超宗派的瞑想』に比べると、文体の客観性が薄まり、特に『無の巻 ソーマ・トラベル』の章は、いわゆる「ダンテス・ダイジ」らしい「ぶっ飛んだ」内容である。

『ニルヴァーナのプロセスとテクニック』(森北出版、1986年発行)
彼の代表的著作。マントラ禅、丹田禅、クンダリニー・ヨガ、只管打座の4種類の行法を簡潔に解説したもの。特にクンダリニー・ヨガについての解説は詳細にわたり、後のオウム真理教がネタ本にしたと主張する人もいる。

『アメジスト・タブレット・プロローグ』(森北出版、1989年発行)
彼の死後に弟子が編集・出版したものであり、内容的には『救世主入門』と『ニルプロ』を敷衍したものになっている。アフォリズム形式で書かれている。

『絶対無の戯れ』(森北出版、1990年発行)
彼が生前書き溜めていた詩を集めた詩集。遺稿集でもある。
独特の実存的詩情が全編にわたり濃密に流れている。

その他
 その他、彼のもう一つの遺稿として、『老子狂言』という詩集があり、ネット上で手書き原稿のPDFが公開されている。現代文明への警鐘としてオルガスムスによる自我消滅を説く『至福ハンドブック=死とSex』というパンフレット的な文章も残されている。

 ダイジの著書は、一種不気味ともいえる実存的深みから書かれた文章の連なりであり、いわゆるスピリチュアル本とは異質な重みがある。これらの本に手を出す読者は、すでに精神世界の魑魅魍魎の遍歴を経ていて、成熟しきったエゴのドン詰まりまで来た人に限られるだろう。だから、ダイジの読者は決して多くはなかった。自費出版レベルの部数で足りた。
 しかし、今後数年間のうちに、ダイジ言う所の「現代西洋商工業都市文明」が崩壊と破滅への道を加速度的な速さで辿っていくにつれ、ダイジの著書に込められたメッセージを渇望する人々の数は加速度的に増えていくような気がしている。
 もっとも、ダンテス・ダイジを新たなグルとして崇め奉るのもまた間違っている。彼の謎めいた死はそのことを示すものと考えるが、その点は後述する。
〜〜〜
ダンテス・ダイジの思想(世界観・人間観)

 ダイジの著作では、人間の構造として、肉体、エーテル体、アストラル体、メンタル体、コーザル体という区分を用いており、これは現代神智学の体系から借用してきた概念である。また、彼が説明に用いた人体の七つのチャクラという分類は、ヨーガの体系では普遍的に用いられているものである。
 人類の文明の時代区分として、レムリア文明、アトランティス文明という呼称を用いているのも神智学と共通しており、ダイジはしばしばアトランティス時代の自身の過去生について言及している。『メディテーション・トラベル・ガイド』に収録されている「救世主入門」という詩は、もともとアトランティス時代に神官をしていたダイジ(ダンティス)が書いたものを、現代の作家リチャード・バックがインスピレーションを受けて『イリュージョン』という小説の中に挿入した作品であるという。
 もっとも、ダイジにとって、オカルト知識やその他の霊的理論は、自らの教えの説明の便宜上用いたにすぎなかった。それらはすべて説明のための「方便」であり、オカルトや霊的知識なるものは、純粋冥想による自己解放を前にしては「ままごと」にすぎないとはっきり断言している。
 彼にとって重要なのは、緻密な理論や修行体系を提供することではなく、常に「君がどうかい?」ということであった。
 たとえば、ある訪問者が、自分が体験した霊的経験について説明を求めたとき、ダイジはこう答えている。
「…それは霊の力だっていうこともできるし、潜在意識の働きだっていうこともできるし、自律神経の働きだっていうこともできるし、それから、何でもいいや、チャクラの働きだっていうこともできる。説明の仕方は自由なんだ。ただ大切なことはね、君がそれを説明されたときにね、その説明によって君がよりよく生きられるか生きられないか、ただそれだけ。君がその説明を聞いてね、不気味に思うようだったりね、それを聞いただけで、ああそんなものかと思うだけで、君の実際の人生がさ、全然素敵にならないんだったらさ、それはまったく意味がない。」
(講話テープ「みんな神だった」より)
 さらに、輪廻転生の仕組みについて理論的な説明を求める弟子に対しては、次のように答えている。
「ただね、君がそういう問題を持ち出すときにね、君の中でそういうのを実証的に体験したいと思ってるわけだけど、ところが一番肝心なところはね、科学的なことなら、当たり前な気持ちでこうやってても起こるわけだよ。たとえばこれとこれを混ぜれば水ができるとかさ、やることできるわけでしょ、誰でも。ところが転生なんていうのはさ、思い出なんていうのはさ、情動体験なんだ、早い話が。情感なんだよ。たとえばね、人が昔の時代を思い出すのはさ、忘れてた記憶をいきなり思い出すときっていうのはさ、非常に懐かしいっていうか、独特な気持ちが起こるものなのさ。逆に言うと、そのときの思い出を思い出すためにはね、自分の方から懐かしいっていう気持ちを先に起こさないとならないわけ。それが必要なの。それと切り離しては思い出っていうのは起こらない。だから、ただ研究する対象としてやったんでは、永久に接近できないよ。」
(講話テープ「転生」より)
また、社会変革や政治的な運動にも関心がなかった。彼の教えは、ダンティスの系統にあり、文明や政治や組織とは無縁な、純粋に個人を解放するためのものであった。
「十三番目の超人ダンティスには、文明的概念は本質的にどうでもいいことであって、彼はあくまでも、人間の存在意義というものを神の愛と自由の実存的具現とにおいていた。すなわち、ダンティスの内的流れは人間の内面的個人的解放を何よりも第一義とするものであって、司政的文明的視点は、その個人の個性に付随した時にのみあるにすぎなかったのである。」
(『メディテーション・トラベル・ガイド』より)
 もっとも、多くの人々に救いの道を提供するという意味で、組織宗教の役割も評価していた。大本教や生長の家にいたことは前述のとおりだし、当時五井昌久氏が主宰していた「白光」についても肯定的に語っている。創価学会の池田大作については、「組織家として偉大」と言及した発言もある。
以下、次号につづく

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●無我表現研究会編集会議  2014 12/21四谷の某事務所にて

精神病・芸術・社会・心身脱落についての雑談

那=那智タケシ(ライター・無我研代表)
高=高橋ヒロヤス(弁護士・翻訳家)
土=土橋数子(ライター)
エ=エリナ(占い師・アーティスト)
加=加藤女史(会社員)
ハ=ハニー(会社員)

●セラピーとスピリチュアル的幸福感の問題点

 土 セラピーというのは本当に苦しんでいる人が心理療法を受けるのは貢献度の高いことだけれども、なんでセラピーを受けなくてはならない人が増えるか、その社会構造自体に目を向けて、そういう人を出さないための、会社のルールに縛ってたりとか、そういう中でのルールで全人格を縛り付けている。
 ハ 社会の仕組み自体を見直した方がいいんじゃないか、という人がSNSでもけっこういます。
 高 セラピーというのは結局、根本問題に目を向けることのある意味妨げになるところもある。その場でちょっと鬱になった人を回復させて、根本的なところはそのまま維持していく。長い目で見れば有害かもしれない。
 那 クリシュナムルティなんかはセラピーに否定的でしたね。
 高 彼にはそういう役割があった。ただ対処療法というのは必要なんですよね。
 那 それをやらないと明日死んじゃう人にとっては、薬なり、セラピーなりは必要なんだよね。まぁ、その先がないというのが問題だけど。
 高 いつかは根本問題に直面しなくてはいけないんだけど、それを先延ばしにしてしまう。本当に必要な人にだけやればいいことを、必要ない人にやっているケースもある。結局、今のシステムを温存していくという構造になっている。
 土 鬱の薬とかもそうですよね。
 ハ 薬を売った方が国が儲かるシステムがあるみたいで……
 那 カウンセリングをしても医者は儲からないシステムですからね。点数にならない。安くやっている医者では無理なんですってね。保険適応外で個人でやっている人はできるけれど、医者も厳しいんだよね。アメリカなら精神分析医がいて、金持ちの顧客がいるというのがあるけれど。
 エ アメリカは国民保険が利かないんですよね? お金持ちしか医療にかかれない。
 土 どういうシステムがいいかという時に、あっちのシステムだ、こっちのシステムだと。
 高 それがまたイデオロギーになってしまう。
 土 だから那智さんの言葉を借りれば、一人ひとりが断片であることを自覚した時に、本当にどういうシステムがいいかという新しいアイデアが、そういう粒ぞろいになった時でないと出ないというか。
 高 非常に遠回りに見えるかもしれないけれど、その道が最短じゃないかな、と。こういうシステムがいいんだと提示して、それで国家を作ったとしても共産主義のようにそれは上手くいかなかったりする。
 那 システムというのは固定化できなくて、常に変化、更新し続けなくてはいけないと思うんだけど、最大多数の幸福のためではないけどね? 全体の中で一番いい形というのは時代、時代においてあるはずで、それに合わせて変化していく社会ができたら最高だけどね? その流動的なシステムを作るためには本当の天才がいなくてはならないと思うし、その天才というのは大衆の意志の結晶でなくてはならない。そのためには大衆が変わらなくてはならない。そうなるとスピリチュアル的に一人ひとりが、という風になっちゃうんです。
 土 うん(笑)
 那 だからそれを閉鎖的なセミナーで啓蒙するとかそういうのじゃなくて、象徴的な作品とかね、具体的表現とかね、こういうものがいいんじゃないかって。我々がやっているのはそういうことで、地道に意識を変える道しかないのかなって。
 土 そうか、スピリチュアルも一人ひとりの意識が変わって、地球が変わるとか。
 那 今、流行っているスピリチュアルは自分の心が変われば世界は勝手に変わるから、何もする必要がない。つまり、ボランティアもする必要がない。心が世界を生み出しているのだから、自分がハッピーになればあなたもハッピーですね、と。
 高 心が変わったらハッピーにならないんだよ。まず悲惨さとか悲しみが自覚されるはずなのに。
 那 もしも本当に自分が世界になったらね。
 エ 出る杭は打たれる。
 土 そこが出発点になるはずなのに、そうなっていないというか。
 ハ 私が一番違和感を感じたのは、戦争とかで死んでたり、身近だと幼児虐待とかある。スピリチュアルな人たちはそれを全部ないことにしている気がする。は?と思って。そこがまず引っかかって。泣いている人たちを無視するのが本当に愛なのかというのがすごい疑問で。昔なんですけど、「間違っているんじゃないか」って言ったら、「それはおまえが間違っているんだ」と。
 高 「それはまだ君の心が十分に変わってないからだ」と。
 ハ そうなんですよ、未熟だからだと言われた。「あなたが未熟だから」と。それはちょっと?
 エ 私の周りのすごいと思う人はみんな無名です。世の中に知られていないけれど、人を助けて回っている。有名になりたいと思う時点で、どこかに何かがあるんじゃないか、と。やっている人はやっているし、動いている。
 ハ 自分の利益のためでなくても助けている。そんな大きなことではなくても、隣の人を助ける優しさがない時点でスピリチュアルとか愛とか言われても、全然わけがわからない。見当違いだなって。
 エ 仏陀は悟りを開いて、今の人間に何か説いても理解されないだろうと諦めた。
 ハ そしたら梵天様が頼んで。
 エ 説いてください。でも億劫だった。言ってもどうせ理解されないし、叩かれるだろう、と。
 ハ 結局、いいことを残しだけど、変な風に解釈されてしまうことにもなった。わかっている人もいるのだろうけれど。頭だけで考えて言う人の言葉はなんかどうも引っかかるけれど、身体でわかって表現している芸術家とかの人の言葉はすっと入ってくるというか、この人の言葉は嘘がないというか。そういうことを感じていくしかないというか。
 エ 私の周りにいる人で人を助けている人はお金回りがよくて、人を助けるための資金を神様からもらっている感じ。施設を作ったりして、そこに病気の人を寝せたりとか。
 土 身元が定かでない人を連れてきたりとか?
 エ はい。盛岡でやっています。
 ハ エリナさんの友達みたいに、人を助けようという純粋な気持ちの人には運がやってくるじゃないけど、それ相応のものが来る気がして。
 エ 私の場合はその人に迷惑をかけまくったんですけど。高校時代家出して、不良になって悪いことしていたら捜索してくれて。あっ回ってた!
 那 大丈夫、使わないから。
 ハ そういう人が無名で、売名行為の人が売れちゃうというのが悲しい。
 土 数千円で何か得たいんでしょうね? これで一個何か解決、みたいな。本を買う場合は私もそういうのはありますけどね。
 高 近道を求めたい。
 ハ 友人が新興宗教の勧誘をしてきて、あまりにしつこかったので、これは一回、逃げてちゃだめだと思って対応したんですけど、言っていることがかみ合わないというか。出発地点が違うので、ここまでかみ合わないものなんだな、と。
 高 向こうは自分の世界に引き込もうとしているだけなので、無理なんですよ。
 エ あれは自分が幸せになるためにやっている。自分の利益というか功徳のため。新興宗教の人から電話の勧誘があってあまりにうるさいからちょっと口論になったんですけど、「うるさいなばかやろー、こっちは戦っているんだ」って。
 土 こっちは戦っているの?(笑)
 エ 「こっちは戦っているんだから、協力してもいいでしょ? あなたの宿命も変わるのよ」って。そういうこと言われて、がちゃって切られた。
 ハ 何言っているのだろう?
 エ だから、功徳があるからやっているみたいね。自分の宿命を変えれるから。
 ハ 一人を入れることによって?
 エ 戦うことによって。
(笑)
 那 何か一見、格好いいよね。

●アウトサイダーアートの可能性

 那 加藤さんとは1年ぶりだけど、こういう話とは全然無縁の生活を送っていたのかな?
 加 いや、ちょっとセラピーの話出てたんで、実は今年、友達が統合失調症になっちゃって。
 那 急になったの?
 加 たぶん、そうです。中学時代からの友達で、ずっと一緒にいたんですけど、統合失調症って自我が固まって強くなっちゃうみたいな感じで。
 エ 一緒に住んでいたんですか?
 加 一緒には住んでないです。
(笑)
 加 やっぱり他人を敵対視してしまったりとか、不安で人を追われるみたいな感じ……
 那 典型的なあれだね?
 加 はい。そういうのを見ていると、自我っていうか、自分を守らなくてはいけないというそういう気持ちに囚われている彼女を見ていると、ちょっと、うーん、何ていうのか、セラピーという感じでもないんですよね?
 エ 薬はちゃんと飲んでるの?
 加 薬はちゃんと飲んでいます。薬をまず飲まないと……
 那 前兆みたいなのはあったの?
 加 長屋みたいな、テラスハウスに住んでいて、隣人の人と騒音で何か……
 那 ストレスをくらってたんだ? 
 土 それがきっかけでなるんですね?
 加 そこから何かおかしいなっていう風になっちゃんたんですけど。
 エ 元からなりやすい人がそういうきっかけでなるという……
 加 私もいろいろ本を読んで、二十代くらいでなる人が多いらしいんですけど、四十代でなっちゃったんで。
 土 ご家族はいるんですか?
 加 旦那さんがいるんですけど、何て言っていいのか? 
 那 どうしていいかわからない?
 エ ひっかかりすぎてもこっちが参っちゃう。
 那 まさに断片が調和されていない。昔は分裂病と言ったけど、他者が信用できない。自分とは同じ断片とは見えない。不幸になりすぎることによって、圧力によって崩れてしまう。細胞膜というかさ、細胞と細胞をつなぐエーテルというか、自我の周りの膜がなくなっちゃったり、はがれちゃったりして。
 加 そういうのは何か、セラピーで何とかなるものなのだろうか?という気がしてる。
 那 何ともならないと思う。もちろんセラピストも人間だから超人的な人もいれば、勉強してきたけど定型のことしか言えない人もいる。出会いだからね?
 エ 世の中にその、ちゃんとしたというか、卓越した精神科医が少ないというのもありますよね。すぐに鬱病と判断して薬出したり。
 那 薬というのは、比ゆ的な例だけど、さっき言った細胞膜の部分を作りだしてくれたりする。最近はすごくいい薬も出ている。昔よりも一見、すぐよくなる。明らかに狂っているという人、街歩いていてもいないでしょ? みんな薬飲んで、抑えている。鬱病の人はセロトニンとか補充してくれるわけだよね? でも根本は変わっていない。薬がなかったら戻ってしまう。だから脳のあり方というか、脳細胞の構造を自分で劇的に変えてしまうことぐらいのことが必要なんだけど。
 加 脳から、伝達ミスとかあるのかな、とか思います。きれいごとになっちゃうんだけど、例えば草間彌生とか、統合失調症でも優れた芸術を作っている方もいらっしゃいますし、例えば、絵とか見ると、いろんな本を見るとすごい色彩が豊かできれいなんですよ。彼女もそういう芸術的センスを持っている人なんですけど、そういう、私から見てもすばらしいと思う技術を持ちつつ、本人自身が苦しんでいるというか。
 那 距離感がわからない分、逆に生々しく事物が見えちゃったりするわけだよね。我々がペン立てだと思っているものが、アメーバみたいな、宇宙から来たんじゃないかっていう生物っぽく見えたり。そういう風なリアリティ、独特なあれがあるよね? こないだね、仕事で松本市に行ったら、松本出身でしょ?草間彌生。彼女、小っちゃい頃からおかしな子だったんだって。有名だった。花屋の種の問屋さんの子で、誰からも相手にされなかったと。変な絵描いたり、変なこと言ったりして。海外で成功して、みんなびっくりしたって言うけど、筋金入りらしいのね、あの人は。彼女にしか見えない光景がある。日本では認められなかったけれど、海外で認められた。
 エ 霊能者とか、宗教の教祖にも多いみたいですね?
 高 まぁ、芸術家とか宗教者というのは……
 土 アウトサイダーアートと言って、絵を理論的に学んでいないけれども、統合失調症をはじめとする精神的な病気がありながら描いている人の活動というのを一つの芸術として捉える、美大に行ったわけではないけれども、すごい絵とかもあって、そういうことでわからないけど、少しでもその人が何らかのね、苦しい症状みたいなことの……
 加 そうですね。でも、やっぱり普通の仕事は難しいと言われちゃってるみたいで。
 エ 幻覚とか幻聴は現れているんですか?
 加 今は、声は聞こえているんですけど、自分が言っている声で、人が言っている声ではないとわかっているような。薬も飲んでいるので。
 土 旦那さんってどういう人ですか?
 加 旦那さんも体調を崩していて……
 土 私の友達も産後鬱が昂じて、精神病院の地下の牢屋ところで、ご飯をこうやって出されてた。飛び降りるという時に、最後、旦那さんが決死の表現をしたことで、今は漢方レベルでよくなっていて。あと、今は『人間合格』という統合失調症の漫画家さんの漫画が出ていて。
 エ 見たことあります。
 土 そういうの参考になるかわからないんですけど、近くにいる人がなんともできない時に、隣にいる人のすごいがんばりがあって治ったという話は聞きます。
 加 家族とか周りの人の……

●人間の脳は圧力に耐えられない

 ハ すごい現実的なんですけど、運動するとかどうですか? 筋力をつけるだけで違うと聞きますし。
 加 午前中、身体が動かないと言うんですよ。
 ハ スポーツ選手に鬱病の人はいないと聞きますし、歩ける時に、旦那さんと一緒に散歩をするとか。
 加 気力がね……
 那 鬱と統合失調は違うから。
 ハ 歩くのもしんどくなっちゃうのかな? 
 土 統合失調症の方の体験をするというのをやった時に、寝込んだんですよね。具合悪くなっちゃって。取材で一回やっただけで。幻聴みたいのを聞かされて、ほんとにすごいですよね。
 加 自我が強くなって、強くなって、逆に自分を責めている感じが、かわいそう……
 那 統合失調症の体験者の手記とかを読むと、愛の不在が原因だと。結局、愛が足らないから自分は病気になっちゃったんだと。一番必要なのは異性からの愛が足りなかったと。母親の愛ではなくて、愛されたいし愛したいんだ、と。だからどんどんおかしくなっていったと。結局、他者との信頼感とか交流がなくなっていくと、自我がむき出しになって距離感がわからなくなるとか、愛の問題なのかなと思う。旦那さんが病んでいるとまたきついかもしれないけど。
 エ 体感しないとわからないこともありますよね。身近にいたりとか。いくらでもこうすればいいんじゃないか、とか言えるけど、身近にいるとどうしようもない。
 加 見える世界が違っている。
 那 でも、そういう人って、すごい純粋に見えるときない?
 加 そうです。
 那 友達でもなった人がいるんだけれども、山の上の隔離病棟に見舞いに行った時に、すごい純粋な人たちしかいない空間だと思ったわけ。俺は変な話だけど、俗な世界にいるよりこっちの方が居心地いいし、ずっといたいとさえ思った。変な人が話しかけてきてくれたり、お菓子くれたり、耳にハイビスカスを差したおばあちゃんが手をつないで病院案内してくれたりした。その入院した女友達がね、「私はあのおばあちゃんとは目と目で会話をしているから言葉はいらない」と言うのね。目を見れば何を言っているかわかる。何か独特の観念が落ちた、剥き出しの関係。ニュータイプの空間みたいな。穢れがないというのは確かなんだけど、それが俗世にいるとものすごい観念に攻撃されちゃったり。
 エ 自分だけがならないというわけではないですよね。ここにいる方もいつかなっちゃったり。1から10までレベルがありますから。ぱっと見は普通でも。
 那 鬱なんか誰でもなりかねないからね。ちょっとした不幸が、肉親がなくなったり、借金したり、二つ三つ重なったら、人間の脳ってそうそう耐えられるものじゃないから。だから、ぼくはその友達の女の子が、パニック障害って仮につけられたんだけど、その人がどういう状態にあったかというと、まず仕事が上手くいっていなくて辞めたいと、それで彼氏と住んでいたんだけど、相手が出て行ってしまって高い家賃がある。吉祥寺か何かに住んでいたんだけど払えない。親からは勘当されていて頼れない。すべてが八方ふさがりでどうしていいかわからないと言っていた。少しして遊びに言ったら、「何とかだべ?」とか方言で話すようになっていた。冗談かと思ってしばらくほうっておいたんだけど、一日中「何とかだべな?」とか言っている。「あれ、君って東北出身だっけ?」と聞くと「違う」と言う。「みんなね、商店街とかで方言でしゃべると優しくしてくれるから方言で話してるの」と言った時に、この人やばくなってると思ったのね。それから少しして家で叫びだして強制入院になっちゃったらしいんだけど。脳ってその圧力に耐えられなくて、自分で守るためかわからないけど、あっさり狂っちゃう。それで山の上に行ったら、三十キロくらいでがりがりになっていて、何を言っているかわからない。電話が来た時もロボットみたいな抑揚のない声で「わ・た・く・し・は・今・何々病院に・います。お・み・ま・い・に・き・て・く・だ・さ・い。甘いもの・買ってきてください」とか言うわけ。でも、今、普通になってるよね? 普通にアパレルの店長とかして。
 ハ えーっ? 良かった。
 那 薬飲んだりカウンセリング受けたり、いい人と結婚もしてね。でも、人間の脳ってこんなに簡単に変わっちゃうんだと思った。病院で会った時に、ああ、廃人になっちゃった、この人は一生ここから出てこれないと思ったけど、ちゃんと復活するんだよね? 
 加 何か、ありがとうございました。
 土 古代って統合失調症と現代で呼ばれる人たちが、神様の言葉を伝えてくれる人だとかね、居場所があったというの? 古代の社会の中で。今はもうお勤めもできないみたいになっちゃうと居場所が。セラピー受けて、ちょっとよくなったら実社会に出る。実社会という言葉そのものがお金を稼いでない人は社会にいてはいけないのかというか。
 高 無理やり適合させようとするところにまた無理が生まれるんだよね。
 エ とある大きな新興宗教に入っている人で精神病の人がいたんですけど、そこではこのマントラを唱えれば治ると言われてずっと病院に行かないで唱えていたんですよね。そしたら悪化したんです。
 加 何回か、頼れるものなら宗教に入りたいと言っていました。私は新興宗教とか変な風に入ったら怖かったんで、私は勧めないよって答えていたんですけど、本人的には何かにすがりたいというのがある。
 ハ わかる気がする。
 エ 頼られそうな感じですね?
 加 私自身も鬱病になってしまっていたんで。言動がおかしいと、友達も一人いなくなって、電話がかからなくなったり。

●心身脱落の基本的原理は味わうこと

 ハ ちょっと聞いてみたかったんですけど、那智さんの心身脱落と脳の変容は関係あるんですか?
 那 関係あると思うよ。脳自体が変わる。あと、苦痛に対する受け止め方が変わると脳の構造も変わる。身体の感覚が変わるというか。あの、抜けてるのがわかるんですよ。その時に、抜けたなって言うのがわかる。その感覚、抜けた感覚というのは一回きりじゃなくて、底が抜けたから、多少詰まってもいつでも抜けれるなっていうのがある。だから肉体的な痛みでも、鬱的な、精神的なものでも、この方法であれば抜けれるなっていう構造ができてるってことですよね。基本は味わう、徹底的に、余すことなく全部味わっちゃうと落ちる。内臓でもさ、消化するためにはいろんな栄養素を吸収して、味わって、汚い話、うんちにして落としちゃうわけでしょ? 感情も同じで全部味わうと、留まらずに落ちていくというか、そういう受容する感覚が、構造ができたということですかね?
 エ 体が?
 那 観念的なものじゃないということです。瞬間、瞬間、それは病気でも、痛みでも、精神的な葛藤でも、落ちる方法を知っているというか、実戦で使えるということですね。俗な話だと、麻雀をやっていても、嫌なことがあっても、失敗して葛藤が生まれても、人より早く落とせる。だから、場がよく見える分勝てる。濁ると見えないから。即座に浄化してしまう。その場ですぐ使えなくては嘘だと思うんだけど、瞬間的なものです。もう少し、生きた実生活の中で実際に使える原理なり方法論なりがクローズアップされてもいいと思うんだけど……。

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◇エッセイ

  養子縁組家庭に、無我的子育てをみる


土橋数子

年の初めくらい、厳かに鎮かなるときを過ごしたいものだ。しかしながら、パリではテロ事件が多発し、日本人同士でも「おめでとう」という挨拶をしていいのやらどうやら、ザワザワとしたものが心を支配している。現政権は、集団的自衛権とかいって、国民をどのような世界に連れて行こうとしているのか。
子育て手当や介護報酬は減り、GDPは下がり(上がるだけがいいとは思わないけど)、現政権のほころびもあからさまに見えてくる中、現政権の首相夫婦が、「教育勅語をそらんじる幼稚園児の姿に涙した」というニュースを目にして、ため息が出た。いや、教育勅語もいいことを言っているかもしれないけど、立ち戻るところが違うだろうと。ではどこまで戻るのか。ここは一気に、フランス革命、そして産業革命以前から問い直しが必要だと個人的には思う。
正月番組では無我的芸人タモリ様が「現在の資本主義が立ち行かなくなったと認めて、新しい価値観を作らなくては」的な発言をしていた。「今でしょ!」の林先生の番組では、かの無我的数学者である岡潔先生の紹介もあったらしいではないか。岡潔の「私は春の野に咲くスミレはただスミレらしく咲いているだけでいいと思っている。咲くことがどんなによいことであろうとなかろうと、それはスミレのあずかり知らないことだ。」もいいけれど、「自然科学はよくない。アインシュタインの発見から30年も経たずに原爆を落とす人類はバカだ」的な発言の方が好きだな…。
いずれにせよ、戦後70年の節目でもある2015年は、人類大反省会を催さなくてはならいのかもしれない。私もここで壮大な文明批判が頭をもたげつつあるが、そんな大それた原稿を書けるわけもなく……、とりとめのない年頭所感はここまでにして、今の自分が書けることを書こう。(今月もギリギリ入稿…)

 戦後日本の経済成長を尻目に置き去りにされてきた問題の一つに、「親のいない子どもの養育をどうするか」ということがある。昨年一年間をかけて、この解決を目指す方々の仕事に関わってきたので、無我表現とどこまでの関連性があるかわからないが、情報を共有させていただければと思う。

日本では、こうした社会的養護下にある子どもの約9割が、乳児院や児童養護施設の中で「施設養育」がなされている。
一方、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどでは、7割〜9割が、里親や養子縁組などの「家庭養育」がなされており、施設養育は、最後の選択肢と位置づけられている。日本と家族に関しての文化が近いお隣の韓国でも、養子縁組に力を入れている。
「養子縁組」と聞いて、みなさんはどんなイメージをするだろうか。家系をつなぐための養子縁組、婿養子など思い浮かべる方が多いかもしれない。こうした普通の養子縁組は、ほとんどが大人側の理由や都合で行われている。
一方、「特別養子縁組」は、「子の権利・福祉を守る」ための制度である。生後〜6歳未満の親が育てられない子が、育ての親の戸籍上で「実子」となり、そこで新しい家族が作られて、子どもへの「パーマネンシー(恒久的)・ケア」を可能にする。
このパーマネンシー・ケアの視点が、これまでの児童福祉に欠けていたのでは、ということで「すべての子どもに温かい家庭を」というスローガンで、活動している方々が増えてきているというわけだ。
もちろん、施設の職員の方々の大半は、懸命な養育、職務を越えた愛情を注いでおられる。傍観者である私にはとてもできない仕事をなさっている。数年前、タイガーマスクを名乗る人物が児童養護施設にランドセルを寄付したということが話題になったが、それはそれでいいことであり、傍観者は「いい話やね」と思うか、中には寄付や支援に目を向けた人もいるかもしれない。
しかし、児童養護施設に物資を与えても解決しない根深い問題があるのだ。
それは、施設養育の中ではどうしても生じてしまう「愛着障害」の問題である。
生まれた赤ちゃんは、一定の保護者になつき、一定の月齢に達すると、「人見知り」という発達段階を踏む。これは、赤ちゃんが一定の保護者との「愛着の絆」を築き始めた証である。この愛着形成が、その後の人格形成に大きな影響を与えるということが、漠然とはわかっていたが、近年の研究でかなり明らかになってきているということなのだ。
施設養育では、同じ人が継続的にケアをすることは難しい。18歳を過ぎると、親という後ろ盾もなく独立しなくてはならない。こうした養育は、「パーマネンシー・ケア」とは言えないのだ。子どもにとって大切なのは、やはり恒久的な家庭で育つことであり、それがすべての子どもの権利ということだ。

現在、日本には3万人から4万人の親が育てられない子どもがいる。乳児院には、毎年3000人ほどの赤ちゃんが送り込まれる。みんな、自分だけの親を求めているのに。

一方で、10組に1組のご夫婦が不妊に悩んでいるという現状もある。「なにがなんでも血のつながりのある子を」と願う方もいれば、「血のつながりにこだわらず、子育てがしたい。できれば赤ちゃんから育てたい」と望む方々もいる。その中には、「性別も問わない、病気や障がいの可能性があってもかまわない」と、親になる覚悟をなさっている方々がいる。
こうしたご夫婦のところに、縁組を取り持つ方の手によって、こうのとりから運ばれるように、赤ちゃんがやってくる。ご夫婦はその赤ちゃんを胸に抱いた瞬間、「やっと会えた。」と、うれし涙を流す……。

この実践者の話を聞いたり、討論会などに通って、感じたことがある。
施設養育や里親養育(一定の期間だけ家庭的な環境で育つこと。家庭養育ではあるが、恒久的なケアと言える場合とそうでない場合がある)は、立派な社会的養護であり、社会貢献だとみなされる。親のいない子どものための、利他的行為である。実際、宗教団体の方々の支援で維持できている側面もあると聞く。
一方、養子縁組をする「養親」は、一見すると、「我が子が欲しい」自我的な動機に思えるかもしれない。しかしながら、複雑な事情を抱えて生まれてきたはずの赤ちゃんを全面的に受け入れ、その後の何の金銭的支援もなく(施設養護や里親養育は、国からの支援がある)、我が子として責任を持って育てる方々である。どちらが無我かという問題でもないのだが、養親さんたちの発言や行為に対して、自我にとらわれていない方々特有の鷹揚さを感じたのである。

いずれにしろ、親としての覚悟や向き合い方など、養子縁組家庭の親御さんたちから学ぶべきことは多い。ともすれば、血縁というものにあぐらをかいてしまいがちな、私をはじめとするすべての親の目を覚まさせてくれるのだ。


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◎編集後記
 昨日(14日)はゲスト2人を交えた編集会議を開きました。新しい情報に触れ、大いに刺激になりました。その模様は次号に掲載する予定ですが、今後も座談会、対談等を計画しています。真剣な方、真摯な方との新しい出会いを求めています。(那智)

★無料法律相談は、MUGA副編集長・高橋弘泰弁護士事務所へ
http://www.th-law.net/contact/mail.html
「MUGAの案内を見た」旨お伝えいただければ迅速に対応いたします。


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  • JeffreyJag2017/04/14

    http://sk-restricted.xf.cz/profile.php?lookup=39349

  • JeffreyJag2017/03/27

    Привет всем!

    Нашел клевый ресурс http://xhbbs.njit.edu.cn/bbs/home.php?mod=space&uid=196694

     с фильмами!

    Смотрите - не пожалеете что зашли...

  • mmariksyuw2017/02/17

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