芸術

MUGA 芸術から科学まで「無我」表現による革命を

 MUGA表現研究会とは、エゴイズムに基づいた価値観、表現が蔓延している現代世界において、「私」ではなく「世界=無我」という単位からの表現を志す会です。
 文化的価値の転換、革命を目指し、その雛形として無料月刊メルマガ「MUGA」を配信(毎月15日)します。


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MUGA第10号

2012/05/15

MUGA 第10号
「私」ではなく「世界=無我」からの表現を発信する

無我表現研究会発行 月刊メルマガ

◆目次

◇アート

・詩
『例外者たちの詩』  那智タケシ

『季節の詩』     rita

◇インタビュー

「土も人間も健康にする内城菌の力」 
瀧 芳人(ヤマイチシステムプロデュース代表)

◇評論

・評論
AKB48仲谷明香『非選抜アイドル』にみる無我表現
       高橋ヒロヤス

◇エッセイ

アラスカ便り―北の果てに暮らす日々― 
「『父』との思い出」  長岡マチカ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


◇アート
★詩

例外者たちの詩     那智タケシ

 
緑の翼


五月の昼下がり

民家の側を歩いていると

緑の葉が落ちてきた

今、目の前で

若々しく、粘っこい

厚みのある大きな葉が

自然の摂理に逆らうようにポトリと落ちてきた

それは手に触れえぬものからの合図

偶然に見せかけた必然の着地点

世界は、意味に満ち満ちていて

目に見えぬものたちは微笑みかけ

ささやきかけ

悪戯に精を出していた

音楽は鳴り響き

風の精たちは

もぞもぞと堪え切れぬようにダンスを舞い

空気とぶつかり合い

恥ずかしそうに

押し合いへし合い

笑いながら前に進んできて

上っ滑りなくらいに調子に乗って

何かの拍子で

ぽとりと葉を落としたのだ

緑色の葉

緑色の翼

ぼくらはここにいるよ、という過剰な徴(しるし)

★詩
季節の詩     rita 

【・菫・】 

菫よ
わたしたち人間と
太陽のもとに呼吸をしている 同胞よ

山に憩い 野に遊び
身近な日常にも姿を見せる 青い妖精よ

広がる景色はコミュ二ティのように生き生きとし
消えゆく姿は文明の凋落に似て 

やりきれぬ思いを抱かせる 小さき人よ 


【・木蓮・】 

季節はぼくの街にも廻ってきて
紫の扉をノックするよ

あくびをして
背伸びをして
目を覚ます木蓮は

ティーカップの巨大な容貌

絶え間ない往来のさざめきが渦をまく
目の回りそうな21世紀に

街かどでお茶をすすめるよ

木蓮が生まれた頃の
太古の昔では
恐竜たちのたくさん集まる
カッフェになっていたのかな

太陽の日差しをいっぱい注いで
一服ふるまっていたんだよ

アスファルトに眺める
僕の血の中を
疾走していく太い尻尾や
足跡や振動が
1億年を引き寄せる

脈絡が今を躍動
生命が過去と共鳴

せっかちな現代を
いらいらしてる僕を
紫のプリミティヴな花は呼び止める

現在も過去も
太陽の速度は変わらないみたい
繁栄も絶滅も
地球の公転には影響しないみたい

ゆるりとしてね 


【・桜・】 

満開の桜
弾力のある肉厚な房に
花びら一枚一枚の
なんと頼もしく
生きることの使命感に溢れているかな

桜の心が腕を広げ
人々を抱擁する

躰を捻く苦悩の果てに
今年も咲かせる
あらゆるものへの愛情を
太陽の旋律の上に謳歌して

ぼくは永遠の
防弾チョッキを身に付けたみたい

どんな強い言葉にも
どんな早い時代にも
撃たれることがあろうとも
倒れることはないと思うよ
確かな自分になれたよう

これからずっと
今日の満開の桜が
ぼくの胸を体を
守ってくれることを信じているの 


【・蜂と桜・】 

蜂がぶんぶん集まって
大変繁盛しているあの店は何ですか

最近、開いた桜の木です

蜂にとっては 営みの全てがここに揃う
命が弾む デパートでも申しましょうか
花の散るまで徹夜をしても
遊びきれぬ リゾートとも申しましょうか

さあ我の帰りを待ちわびている家族のところへ
甘い密に未来を届けよう
どんどん大きくなっていく子どもたちへ 

甘い密に夢は膨らもう

さて、ここのお代はいかがしましょうか

すでに相殺なさってますよ
こちらにお越し下さるだけで
弊社との取引はおおかた成立です 

あなたがちょいと隣の店に立ち寄れば
流通のお仕事しています 

  
【・タンポポ・】 

夜明け前の暗い空のような土の上に 
春の認証のスタンプが押された 
タンポポの黄色のなんとうれしいこと 

今は青々とした草を海原のように 
いく艘もの舟の大小浮かんでいる 
タンポポが高く低く楽しく遊んでいること 

風に撫でられ気持ちよく 
伸びる伸びる首すじの 
そのてっぺんに身ごもりて 
風来坊のそやつに託してしまった 
生まれたての子のなんと軽きこと 
  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


◆インタビュー 

土も人間も健康にする内城菌の力         5/5 静岡県駿東群にて

       瀧 芳人氏(株式会社ヤマイチシステムプロデュース代表)
       聞き手 那智タケシ(フリーライター・無我研代表)

●内城菌を与えると、糞の匂いがまったくしなくなる

 那 瀧さんは内城菌という菌を使って有機農業をされているそうですね。内城菌との出会いから教えていただけますか?
 瀧 産業廃棄物の会社を経営する中で、生ゴミの理想的なリサイクルというところから入ったんです。
 那 ゴミというのは現代社会だと必然的に出てくるし、どう処理するかは大きな問題ですよね。
 瀧 内城菌は非常に優秀な菌で、分解能力が高いだけではなく、畑に入れてからの働きがすばらしい。内城菌を発見した先代の内城本美さんは、その働きをよく理解していました。
 那 内城本美さんという方はどんな人だったんですか?
 瀧 先代がいないので本を読んだりするしかないんだけど、かなり農業を研究した方で、同じ作物を同じ県内で作っても、良い畑とそうでない畑がある。これを徹底的に統計を取ったりしながら独自に研究して内城菌を発見したそうです。
 那 内城菌の具体的な働きについて教えていただけますか?
 瀧 元菌の複合菌をA菌と言います。これを生ゴミ、食料残渣を8時間で分解して加工したものをB菌と言います。B菌は非常に優れた肥料になります。このB菌を使って家畜の糞尿の処理をして加工したものをC菌と言います。極端に短い時間で糞尿を分解してしまい、匂いもまったくしなくなります。
 那 内城菌の元菌があれば、畑の肥料にもなるし、家畜やペットを飼うのにもよいということですね。よく生ゴミを分解してしまう土のようなものがテレビの通販なんかでやっていたんですが、あれに近いんですかね?
 瀧 そうですね。ただB菌は無機質ではなく、しっかりと養分として分解されている必要があります。これは内城菌ならできるのです。完熟の一歩手前の肥料になる。これを畑に撒くと水分を得ることで増殖が始まる。すると土の中の不要なものを食べて増殖していくので、良い土に変わっていくのです。
 農家の方にお願いしているのは、ものを作る前に一回撒いてください、と。野菜の場合は周期が速い。キャベツなんかは年に三回取れるわけですから、作ごとに入れてくださいと。
 那 元菌は少なくても土の中で増えるから、いろいろな人が使えるわけですね。
 瀧 内城菌が優秀なのは、肥料にもなるし、飼料にもなるということです。私どもは鶏をやっているのですが、飼料の中に混ぜたりしています。どうなるかというと、糞の匂いがまったくしなくなる。お腹の中で分解してしまうので、糞は肥料として外に出てくるんです。だから町の中で養鶏をやろうとかね、そういう人は向いている。豚なんかは撒いといてやると自分で勝手に食べます。養豚をやっている方がなぜ撒いているかというと消臭なんです。ところが豚でも牛でも勝手に食べる。ものすごく健康になるし、肥料も作ってくれる。極端な話、ビルの屋上に鶏を放して飼うこともできる。匂いがまったくしませんから。
 那 今日は菊地クミユキさんの紹介で来たんですが、彼は鳩レースが趣味で、鳩に与えている。すると糞はさらさらで土になってしまうし、匂いもしないし、鳩は健康だし、万能だと。
 瀧 菊地さんは勘が良い人だから、これはいいね、と。鳩を始めた時にすぐに餌でくれた。とにかく鳩が元気で成績もすごい。
 那 ぼくも鳩小屋は見させてもらったんですが、衛生面でも良いらしいですね。掃除しなくても土がサラサラになる。それに匂い消しにもなるというと、農業だけではなく、今は住宅事情で室内犬なんかを飼っている人も多いので、使い勝手がある感じがしますね。
 瀧 実際、ペットで犬や猫を飼っている方も使っています。餌に5%くらい混ぜてみて、と。すごい、匂いがしなくなったとみんな言います。犬なんかは毛並みがものすごくよくなる。

●理解してくれる方だけに広まればいい

 那 内城菌は今、どういう人が使っているんですか?
 瀧 二代目が後を継いだんですが、内城菌があまりに優秀なので、金儲けをしようとした人がたくさんいたんですよ。やり方はそっちのけでね、とにかく売って広めて金儲けをしようとした。すると正しく使われないので「全然だめじゃないか」という評判も出てしまった。あくまで使い方を正しく理解した人を増やしていかないといけないと思います。
 那 正しくない使い方とは例えばどんなことですか?
 瀧 例えば生ゴミを加工することで良い肥料になるよと言って、これはすごいよと言われて元の菌を買っても、生ゴミを集める能力がなくては使えない。元菌さえあれば何でもできるよ、という勧め方をする人が多かったので、誤解もあった。
 那 モノがよくてもレクチャーが必要。
 瀧 そういうことです。ある程度自分が持っている環境を取り込んだ中で計画しないと、まったく無駄になってしまうこともあるわけです。
 那 商品として売るだけではなくて、内城菌の正しい使い方、情報を素直に受け入れて実践してくれる人じゃないと、広めても意味がないと。
 瀧 そういうことですね。逆に言うとだめになっちゃう。うちには産業廃棄物で生ゴミを扱っている業者との取引が二社あります。東京と小田原です。二、三年かけて勉強していただいて、それでうちの機械を買って、今、加工をやっている。ただ加工についても、自分の所で作ったからといってそう簡単に売れるもんじゃないよ、と最初から言っているんです。売れるようになるまではうちがお手伝いしますから、と。
 うちは一般の農家の方々に個々に説明に行っています。直接、使い方の指導からすべてやっているので末端のお客様の数がたくさんいるんです。そういう意味では、販売のお手伝いができるんで。 
 リサイクルというのはどこかに詰まるところがあると回らなくなるんです。どこがだめかをきちっと理解した中で、アドバイスしたり手伝ったりする。そういう条件だとなかなか誰でも良いというわけにはいかないんですよ。
 那 でも、良さを理解してくれる人も増えているんじゃないですか?
 瀧 足は遅いですけれども、徐々に増えています。キャベツだけで年商二十億円くらいの株式会社をやっている大手の社員さんは、反あたりの収穫量で給料をもらっている。するとうちの肥料をものすごく使いたがるわけです。

●過疎化した町が蘇る

 那 内城菌を使っている方は、静岡とかこの一帯が多いんですか?
 瀧 そうですね。やっぱり説明しなくてはなりませんから。それから山梨、長野でも使われています。最近の例では、長野県の阿南町というところがあるんですが、町長さんが農家が高齢化してしまって活気がないと。一軒あたりの収入を増やそうと。農業しかないので農業をしっかりやろうということで、町単位でうちの肥料を買ってくれるんです。その町は予算を組んで肥料を買って、公社を通じて農家に売るんです。補助金が出るのでうちから買った半額くらいで農家に行く。取れたものを当初は、全部うちで買ってくれと。そんなに意味があることをやるんならもっと本格的にやりましょうと。こちらの地域で43店舗ぐらいあるスーパーがあるんですが、そこに直接卸しましょうということになった。町長さんを紹介してあげて、調印式もして、全部買いますよ、と。阿南町で取れたものはすべて買い取る。そして毎年、必ず一店舗で阿南町を対象にしたお祭りをやっているんです。
 那 阿南町の人は大喜びですね。
 瀧 自分が作った野菜がお金になったということですごく喜んでくれて、やる気が出てきて、今、3年目ですけれど、全然本気度が違ってきた。最初はお祭りをやると言っても乗用車2、3台で来ていたのが今はバスですから。
 那 ある意味、一つの町を救った。
 瀧 そうですね。町長がスローガンとして挙げた年間50万円の現金収入を上げようという目標が着々と達成されてきて、非常に喜ばれているんです。
 那 遠隔地域同士の交流にもなっているわけですね。
 瀧 その通りです。

●農薬もほとんどいらない

 那 内城菌は天候の変化にも強いというのはあるんですか?
 瀧 ありますね。例えばキャベツをやっている時に、夏、日差しが強くて雨が少ないと、外葉という外側の葉っぱがものすごく大きく育つんです。日差しがあるとぺたっと地面について水の蒸発を防ぐ。雨が降ると葉っぱが上がる。
 那 自分を守る。
 瀧 そう、野菜も植物と一緒で自衛本能をちゃんと持っている。内城菌を使っている沼津のトマト農家があるんですが、そこのトマトはブランドで私どもも買えなくなっちゃったんだけど、トマトは自衛能力があると。毛がすごい。その先端に健康なトマトは糖分を出す。蟻が来ても実まで行かずにそこで帰る。
 那 蜜を吸うんですね。厳しい土地でトマトを育てると甘くなると言いますが。
 瀧 原理的には似たところがあると思いますよ。静岡はワサビなんかも有名なんですが、ワサビの苗は最初、畑で育てるんです。畑で育てるのは苗は難しくて、7割から8割の発芽率。それがB菌を撒くほぼ100%発芽します。これで収入が全然違ってくるんです。
 那 農薬との絡みはどうなんですか?
 瀧 どうしても農薬を使っている農家が多いのでまったくゼロというわけにはいかないですね。私どもがやっているのは、種を撒いて芽がでますね。そして双葉になる。その双葉になった時に虫に食われないように薄い消毒をかけてやる。それが成長してくると根がしっかりしてくるので、今言ったように自衛能力が出てくる。そうなってからはもう消毒は一切しない。
 那 極力、無農薬に近い形で育てることが可能だと。
 瀧 可能ですね。
 那 いろんな意味でエコなのが内城菌なんですね。
 瀧 エコになりますね。
 那 そんなに手間隙もかからない感じですか? 有機農業というと手間隙がたいへんなイメージがありますが。
 瀧 むしろ内城菌を使うと手間隙がかからなくなります。トータルな経費は安くなる。土が勝手によくなって、野菜が勝手に自衛本能を発揮して美味しくなるんですから。
 那 内城菌を扱うにあたって法律的なことはどうなんですか? 
 瀧 私どもはB菌に関して肥料の生産許可も販売許可ももらっているんですね。飼料の許可も取っています。ペットの飼料の関係の許可も取っています。
 那 生ゴミが元だと言っても大丈夫ということですね。
 瀧 大丈夫です。農業試験場で説明するのに8ヶ月かかりましたけどね。そんなことは絶対にないと言うんだから(笑)生ゴミが8時間で分解して肥料になるなんてないでしょ、と。見に来てくれと言っても来ないんだから。魚の町なんでマグロのおかしらなんかもあるんですが、だいたい2時間くらいで形がなくなりますね。

●菅原文太さんも愛用する内城菌

 瀧 オペラ歌手で加藤信行さんという有名な方がいらっしゃるんですが、この方が年に2、3回、野菜食べたくなったといって来ますね。野菜が好きで、いろんな野菜を食べるんですが、うちの畑の野菜が一番上手いと言ってくれます。バイク王とか、お菓子のオレオとかテレビコマーシャルでも歌っている方ですね。
 那 俳優の菅原文太さんも内城菌を使っているとか?
 瀧 使ってます。今年も70トン使ってくれました。トラックで十回くらい行きました。
 那 そんなでっかい農場があるんですか?
 瀧 山梨県の高根ですけどね、長野県との境の辺りなんですが、若い方が十人くらいいるんですよ。農家としては大手ですよ(笑)
 那 完全に内城菌で農業をやっている。
 瀧 そうですね。
 那 最近は反原発の立場から発言なさっていますね。
 瀧 大阪の橋本さんの応援演説にも行ったりしていますね。エコロジーの立場から発言していらっしゃいます。内城菌の良さをすぐにわかっていただきました。菅原さんが仙台の阿闍梨さん(塩沼亮潤氏・大峯千日回峰行の1300年で2人目の達成者)のご紹介だったんですが。
 那 阿闍梨さんは菊地さんともつながっていますよね。みんな、つながっているんですね。
 瀧 阿闍梨さんはぼくと知り合って、4、5年ですが、その年から内城菌を使っていますね。
 那 畑を持っているんですね。
 瀧 仙台の慈眼寺の周りにある大きい畑で大根なんかをやってらっしゃる。昨年、近所の農家の方の大根が病気でやられちゃったのですが、阿闍梨さんの所だけ大根が健康だった。仏さんというのは大根も助けるのかと大笑いしました、という手紙をいただきましたけどね。
 那 いろんな人がこの菌を通してつながっていて、面白いですね。

●アトピー性皮膚炎が治る

(養鶏場に移動。担当の上松=上さんに案内される)

 上 この鶏は、静岡県の地鶏でブラックワンという種です。白鶏と違って、原種に近いトリはアトピー性皮膚炎とかアレルギーの人が食べても大丈夫。プラスして内城菌を食べさせているので、糞も1日、2日で分解して砂になってしまうし匂いもしません。健康なんです。8年飼っていますが、糞が増えないんですよ。
 (糞はさらさらで一切匂いがしない)
 那 内城菌はどういう風に与えているんですか?
 上 餌に混ぜて与えています。
 那 すごいなつっこい鶏ですね(人についてくる)。
 上 ストレスがないですからね。人なつっこい。ぼくの場合は一日朝一回しか餌を与えないのですが、ずっと食べさせていると鶏が寝る時間もなくなりますからね。夜間も電気はつけない。そうすると五年くらいは卵を産みます。
(鶏小屋に入る)
 上 砂地で遊びながら、自分のお腹の掃除を他のトリの羽毛を食べてするんです。だからほとんど羽虫もわきません。
 那 巣箱が少ないですね。
 上 一羽の雄に30羽くらいの雌がいて、入れ替わり立ち代り好きな巣箱に卵を産むんです。2日に1個くらいしか産みませんが、その分、濃縮された卵になります。
 元々これを始めたのが、うちの娘がアトピーでして、夏なんかガーゼでたいへんだった。この卵を与えていたら治ってしまった。友達の子どもも治りました。親もファーストフード世代ですから、子どもたちがアトピーになる。
 那 この卵に内城菌で作った野菜なんかも一緒に食べているんですか?
 上 もちろんです。不思議なことに、治ります。医学的に説明はつかないのですが、アトピー性皮膚炎で悩んでいる方には是非試して欲しいですね。
那 そうしたアレルギーや慢性病に悩んでいる人は今、とても多いですし、もっと知って欲しいですね。
 上 最初は黄身だけ食べてもらえばいい。餌は良いものしか使っていませんから。
 那 直送もしてるんですか?
 上 してますよ。
 那 美味しいだけではない。
 上 栄養価が高いし、大学に成分調査を頼むとDHAの含有量が普通の卵の倍あったりします。
 那 変なものが入っていない。薬とかどうしてるんですか?
 上 薬は、一番最初の120日とか150日くらいのひな鳥でオイルワクチンとか全部与えた状態でここに入れて、そこから一ヶ月くらい内城菌を与えて代謝を全部変えてからでないと卵を産ませない。それからでないと味が揃わない。
 那 そこからは定期的な投薬はしない?
 上 一切薬は与えません。
 那 内城菌の餌を与えているだけで健康になる?
 上 そうですね。たんぱく質はオカラを与えたり、内城菌のB菌を与えたり。匂いないでしょ?
 那 全然しません、これ、全部糞ですか?
 上 ええ、10センチくらい全部鶏糞です。
 那 軽い感じですね。さらさらしてる。
 上 隣のハウスは鶏糞だけでニンジンを作ったりしています。
 那 これ自体が肥料になる。
 上 なります。B菌を食べて鶏や豚が輩出糞はC菌といって、菌態の一部という認識で扱っていますので、これを撒くだけで肥料になります。
 那 卵ご飯とか美味しそうですね。
 上 ぜひ食べてください。
(卵を取ってきて、カップに入れて食べさてもらう。何の味付けもしてないが、濃厚な甘い味がする)
 上 内城菌は、鶏も争って食べます。体に良いものがわかるんですね。うちの猫なんかも体調が悪い時は、内城菌を与えてできた卵や牛乳を飲ませるとすぐに治ってしまうんですよ。

●人間が飲むと、体臭がなくなる

 那 内城菌は水田にも使えるんですか?
 瀧 田んぼにB菌を撒いて使っている農家もあるんですが、昔の田んぼの匂いがする、と。
 那 水田なんかでは昔はドジョウやカエルなんかもよくいたんですが、今は農薬の影響でほとんど見られなくなっているそうですね。
 瀧 全然いないですよ。ぼくらが子どもの時によくタニシを田んぼで採っていましたが、今はまったくいないですね。
 那 こういう菌を上手く水田でも使えば戻ってくるかもしれないですね。
 瀧 ええ、土壌がよくなって、稲も自衛本能がつきますから、農薬はほとんどいらなくなると思います。
 那 今からでも可能ということですよね。切り替えれば。
 瀧 可能ですね。
 那 土が蘇る。
 瀧 土が悪いから農薬を撒く。さらに地力がなくなる。悪循環なんです。これを断ち切らないといけない。
 那 内城菌ならそれができる。
 瀧 土が復活しますからね。土が良くなるとすべてが良くなるんですよ。今度、子どもたちに裸足で歩いてもらって、野菜を収穫するようなイベントも考えています。そういう畑をやろうと。
 内城菌は魚の養殖にも使えます。海の中の魚の生簀が普通は餌を与えていると汚泥になって溜まってしまう。ところが内城菌を餌に混ぜるとそれがないと言うんです。
 那 海でも使えるのはすごいですね。ペットにも使えるし、まだまだ使い道がいくらでもありそうですよね。
 瀧 私が内城菌を評価しているのは使い方が楽で、結果は誰でも同じものが得られることです。人間のサプリとしても商品化しています。私も飲んでいるんですが、便秘も下痢もなくなるし、体臭も、便の匂いもなくなります。食後にスプーン一杯程度です。いろんな薬をいっぱい飲んでいる女性の方がいますが、そういうのはやめてこれだけにしてみな、とよく言うんだけど。
 面白い話、ぼくがトイレに入った後、孫は平気で入る。でも、他の人が入った後は匂いが嫌だと入らない。ぼくは67歳になるんだけれど、うちの事務所の女の子が「社長、全然体臭がないですね」といいます。要するに加齢臭がしない。
 那 ダウンエイジング(若返り)の商品が流行っていますが、これはヒットするでしょう ね。
 瀧 ただ、あまり大々的にやると、内城菌を使ってビジネスのことばかり考える人が来てしまうかもしれない。やっぱり信頼できる人から人へ、少しずつでも着実に広まればいいな、と思っているんです。
 那 内城菌を使ってみたいという方はどこに連絡すればいいんですか? ネットを見るといろいろ扱っている業者もあるようですが。
 瀧 内城菌の元菌を総販売代理店としてうちがやっているんです。二代目の内城さんと話し合う中で、正しい使い方をしてくれる人たちの仲間を増やそうと。基本的には口コミでやっているんですが、私の所に連絡していただければ、内城菌の使い方を説明して差し上げます。
 那 このメルマガのコンセプトは「無我」なんですが、内城菌は地に足がついていて、ある意味、とても無我的な存在だなと思いました。人間中心主義ではないというか。自然の理に即している。
 瀧 なるほど、そうかもしれませんね。ぜひ6月になって野菜の収穫期になったら、みなさんで食べに来てくださいよ。
 那 希望者を集ってみます(笑) 本日はありがとうございました。

※内城菌に興味がある方は以下にご連絡くださいということでした。瀧氏がご説明してくださるそうです。


・株式会社ヤマイチシステムプロデュース 代表 瀧 芳人
 TEL055-972-9800 FAX055-972-9801


 また6月に静岡(新富士駅になります)で「内城菌でできた野菜を食べに来てください」と誘われましたので、興味がある方は私の方までご連絡ください。現地では内城菌についての説明も聞けると思います。
 もし参加をご希望する方がいらっしゃれば、具体的日時が決定しだいお伝えします(内輪で2、3名の参加者は確定しています)。おそらく、現地合流、現地解散という形になります。多少、お話会的なことも考えています。よろしくお願いします。

那智宛メールフォーム↓
http://form1.fc2.com/form/?id=686131


●取材時のこぼれ話

 瀧 2年くらい前でしょうか。ぼくと阿闍梨さんと菊地さんともう一人で十日ばかりカナダを旅したんです。菊地さんにナビしてもらってね。
 那 菊地さんって珍しいタイプの人ですよね。面白いなって(笑)
 瀧 30年以上前でしょ、カナダに行ったの。向こうでいきなりカズノコの輸出で成功した。
 那 治療する能力もある。リンパマッサージを独自に改良したものだそうですが、それだけじゃないエネルギーがあるのは感じますよね。
 瀧 不思議な話だけど、ぼくが体調悪くなると菊地さんから電話かかってくるんですよ。「ちょっと体調おかしくない?」って言って。「なんでわかる?」と驚く。そんな感じです。
 那 地球の裏側にいる人間にも影響を与えることができる、みたいなことを聞きました(笑)この人ならあながち、と思いますよね。
 瀧 カナダのインディアンのシャーマンみたいな人と会話ができますから。
 那 通じ合える。
 瀧 最初に一緒に行った時に、有名なインディアンの祈祷師のサムさんの所に行こうと車で向かったんです。国道から曲がって、ここに入っていくともうちょっとだよ、というところで菊地さんが「あれ?」って言って車を止めるんです。「サムの家に救急車が止まっているよ」と。「ああ、そう、どこ?」でも、まだ遠くだし何も見えない。「何を言ってるの?」と。「でも、止まってるんだよね」と。それなら行ってみよう、と。しばらくして到着すると本当に救急車が止まっている。そしたらサムの奥さんが出てきて「今日、あなたたちが来るのはわかっていたから食事の支度をしてあるけれど、弟が急病で倒れちゃったもので。でも、病院に連れて行って入院させれば命に別状はないから、大丈夫だから待っててくれ」と。この人も祈祷師なんだけど、ぼくらが行くということを言ってもないのに、全部わかって待っていた。
 那 どっちもお互いのことがわかっていた。
 瀧 あれには驚きましたね。
 那 そういう人、いるんですね。
 瀧 それは説明がつかないと言うんですよ。
 那 何となくわかってしまう。
 瀧 菊地さんは気持ちが純粋じゃないですか、ああいう人でないとそういうことは感じないのかもしれませんね。
 那 余分なものを浄化してしまっている。
 瀧 そうですね。
 那 わがままに生きているからいいんだって言ってましたけどね。良い意味で子どもの心を持っている。一見、迫力があるけれど変な威圧感もないし、話しやすいですね。
 瀧 優しいでしょ?
 那 おれは良い奴しか治したくない、と言った時にこの人は信用できるなと思ったんですよ。変に聖人ぶらないというか。人間味がある。
 瀧 触って、こいつ悪い奴だなと思ったらやらないですから(笑)「あなた、やってもだめ」と。やってくれと言ってもやらない。
 那 信じないから治らない? 受け入れないというか。
 瀧 相手が構えればそういうのもあるかもしれないけれど、自分が触って悪い奴だと思ったら何が何でもやらない(笑)
 那 せっかくそういうすごい技術を持っているんだから、誰かに伝えればどうですか、と聞いたんですよ。そうしたらその気はあるんだけど、なかなか難しい、と。
 瀧 受ける方も難しいんじゃないでしょうかね。
 那 センスと、強い心身が求められる。なかなかいないのはわかります。でも、これも縁なのでちょっとお付き合いしてもらおうかと(笑)

※5/19に東京で菊地氏の講座を開きます(今回は定員一杯です。講座の模様は次号に掲載予定です)


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◇評論 

★評論

AKB48仲谷明香『非選抜アイドル』にみる無我表現

            高橋ヒロヤス(弁護士・翻訳家)

「で、絶対の自由というのは、絶対の不自由。例えばね、絶対の自由というのはさ、チューリップはチューリップとして咲くこと。ひまわりは、ひまわりとして咲くこと。桜が桜として咲くこと。だから、それは絶対の束縛でしょ。自分の与えられた流れは桜かもしれないし、それとも雑草かもしれない。でもそれを咲くことだ。だからそれは、絶対の自由であり、同時に絶対の不自由。
 ところが、頭で理解した自由というのは、そうじゃない。桜のくせにチューリップになりたがったり、なれると信じ込んじゃう。でもそうじゃない。
 一番自分にふさわしい流れというのは、既にあるんだ。その流れに自分たちが一致したとき、そして一致させるためには、素直になることだ。一致したとき、ほんとにその人は安らぎを得る。」 ――ダンテス・ダイジ

つい最近出版されたばかりの、AKB48の第3期生メンバー(2007年入団)仲谷明香(なかや・さやか、通称なかやん)が書いた『非選抜アイドル』(小学館101新書)という本が面白い。本のタイトル通り、彼女はまだ総選挙で「選抜」されたことがない。それは、過去3回行われた「AKB総選挙」で、一度も40位以内に入ったことがないことを意味する。つまり彼女はAKBに加入して以来、常にランク外で、順位がつくところまで行かなかったわけだ。

この本は、「非選抜メンバー」としての彼女が、非選抜組であることのやりがいや面白さを伝えるために書いたものだという。なかやん自身は、この本を書いた動機について、こんな風に述べている。

「どこの世界にも、人々から選ばれる『選抜組』と、選にもれてしまった『非選抜組』とがいるのではないだろうか。この本は、失礼ながらそんな『非選抜組』の方々のうち、もしまだそこにやりがいやおもしろさを見出せていない方がいたとするなら、その方々に向けて書いたものである。
そうした方々に、私の『非選抜アイドルとしての生き方』をお伝えすることで、そこにやりがいやおもしろさを見つけ出すことの少しでも参考にしてもらえたらと思った。またこの本が、そうした方々に勇気や励ましを与えられるようであれば、最高に嬉しいと思う。」

ここには、AKBという熾烈な競争を強いられる場所で、いわば「負け組」の役割を担っているメンバーから見た本音が綴られている。しかし浅ましい世間が期待するような暴露本のような趣はまったくない。「ですます調」ではなく、アイドルらしからぬ、時にぎこちない論文調の文体が、こつこつと本人の手で書かれたとものいう印象を与える。

彼女の生い立ち、声優を目指した動機、家庭の事情による挫折、中学の同級生だったあっちゃん(前田敦子)にインスパイアされて応募したAKBのオーディション、思いがけない合格、入団後に待っていた過酷な試練と現実、といったものが淡々としかし感動的に綴られていて、これを読めば誰もが「なかやん」に対して好感を持ってしまうだろう。さらには、AKB48に興味のある人のみならず、どんな人たちが読んでも、現代に生きる一人の若者のリアルなストーリーとして感銘を受ける内容だと思う

普通に読んでも感動的な本だし、そういう感想を上手に表現する人は外にもたくさんいると思うので、ここでは敢えて「無我的視点」からの感想を述べようと思う。

AKB48のメンバーには、ファンの手によって一人ひとりに順位がつけられ、テレビや雑誌などメディアに露出できる「選抜組」と、もっぱら秋葉原の劇場公演だけが仕事の「非選抜組」に峻別されるという冷酷な現実がある。この両者の間には有形無形の確執が存在していると考えるのが普通だろう。しかし「なかやん」によれば、「これは嘘でも何でもなく、AKB48のメンバー同士は驚くほど仲が良い。誰かと誰かが喧嘩したというのはもちろん、いがみ合っているとか相性が悪いという話さえ、ほとんど聞いたことがないし、私自身も全くない」という。

なやかん自身は、その理由を、「そもそもAKB48のメンバーには、初めから激しい競争が義務づけられているので、もうそれ以上競い合う必要がない」、「仕事をしていれば自然と勝負するような格好になるので、それを離れてまで勝負するような気力は、誰にも残されていない」からと分析している。この分析にはなるほどと思うし、異論を挟むつもりはない。

しかし僕がこの本を読んで感じたのは、AKB48がこの時代に生まれた必然、あるいは個々のメンバーのもつ運命のようなものだ。
メンバーの中には、選抜に入れないという現実を前にして挫折感を覚え、辞めていく人たちもいる。その一方で、なかやんのように「非選抜」という現実をポジティブに捉えて頑張っているメンバーもいる。その違いはどこから出てくるかというと、本質的にはAKB48というものに対してエゴを超えたつながりを持っているかどうかにあるような気がする。誤解しないでほしいのだが、僕はここで辞めていくメンバーがエゴイストだからよくない、辞めないで頑張っているメンバーが偉いという単純な価値判断をしているわけではない。

なかやんの場合は、幼いころに両親が離婚して家族がばらばらになり、転校して孤独の中でテレビアニメの声優に憧れ、自分の意思で声優学校に通い始めるも家庭の事情で断念。中学で不登校気味の生活を送っているとき、同級生のあっちゃんがアイドルになったというのを聞いて、AKBに入れば声優への夢が叶うかもしれないし、レッスン料がタダにもなるという魅力からオーディションを受けるという、AKBに至るドラマが背後にある。彼女がAKBにつながったことにはある種の必然性を感じる。

AKB48に加入してからのなかやんの軌跡は、「あるがまま」のものをあるがままに受け入れることの繰り返しだった、といえるかもしれない。もちろんそれは無努力を意味しない。「人気取りのできない自分」、「アイドルにはむいていない自分」をありのままに認め、目の前にある公演に全力を尽くす。それだけでなく、他のメンバーの歌やダンスまで覚え、やがて他のメンバーが欠席するときの代替要員として認められるようになる。本人曰く「便利屋」ではあるが、便利屋としての自分をありのままに受入れ、公演では全力を尽くす。「非選抜」としての自分をありのままに認め、選抜組を輝かせるための「敗者の責任」を果たすために頑張る。

そんな中で、声優志望のなかやんに、オーディオブックの朗読をやってみないか、という仕事の話が舞い込む。初めての「外のお仕事」の体験について語った後、なかやんは自分の転機となったこの出来事がもたらした心境について次のように述べている。

「この本で述べているような、非選抜メンバーとしての自分を冷静に見つめられるようになったのも、実はこの頃だった。それまでは、自分が非選抜メンバーであることは重々承知していたのだが、それでいながら一方では、どこかでそれを認められない気持ちもあって、自分の中で必ずしも完全に割り切れていたわけではなかった。

しかし、一旦外の仕事を経験したことによって、自分自身の目標が何であったのかを再確認することができ、それによって、非選抜メンバーとしての自分というものを、以前よりすっきりと受け入れられるようになったのである。そうして、たとえ人気がなくても、AKB48そのもののレベルアップに貢献できるよう、非選抜メンバーとしての責任を果たそうと、気持ちを切り替えることができたのだった。

それは不思議な気持ちだった。諦めた時のすっきりした気持ちにも似ていたし、一方で、覚悟を決めた時の『やってやるぞ』という気持ちにも近かった。

いずれにしろ、自分の中で立場と気持ちとの折り合いがぴったりとつき、とてもすっきりしたのだった。そのため、中の仕事―つまりAKB48でのお仕事も、以前よりも気持ちよく、そして以前よりも積極的に、やりがいを持って取り組めるようになったのだった。」

僕はこの文章を読んで、ひどく感銘を受けた。20歳そこそこの女の子が、ここまで自分の置かれた状況、ひいては自分の人生をありのままに受け止め、達観できるというのは驚きである。ここにはテレビや雑誌や新聞でどんな偉そうなゴタクを並べる文化人など彼女の「足の塵を払うにも値しない」ほど途方もない洞察が書かれていると思う。

なかやんはここで、「絶対の自由」について語っている。それが何を意味するかは、冒頭に引用したダンテス・ダイジという人の言葉を参照してほしい。

これ以降のなかやんのAKBでの活動こそが、「無我表現」だ。どんな分野であれ、現代日本において、ここまでの高みに達している表現者は少ないだろう。

そして、なかやんがこの境地に達したその直後に、彼女にアニメ声優(正確にはオーディションへの参加)と言う念願の仕事がもたらされることになる。しかしなかやんはこの仕事がコネによるものだと思われることで作品に傷をつけるのではないかと真剣に悩む。このあたりの葛藤も実に誠実に描かれている。

そして、見事オーディションを通過し、アニメ声優としてデビュー。

なかやんがAKB48に入った後、彼女の舞台を頑なに見ることを拒んできた母親が、彼女が声優として出演するアニメを初めて一緒に見たときのエピソードは涙なしでは読めない。

秋元康は、この本を読んで「彼女の才能に今さらながら驚いた」と本の帯にコメントを寄せているが、この言葉はまったくお世辞ではない。これは、過去に出版されたタレント本の中でも最良の部類に属するばかりでなく、一人の人間の成長物語として非常に優れている。しかもこの物語は現在進行形で続いているのだ。まったくとんでもない本だと思う。いや、やはりAKB48はとんでもないグループだと言うべきか。


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◇エッセイ
アラスカ便り―北の果てに暮らす日々―

「『父』との思い出」

 長岡マチカ(文化人類学を学び、現在、アラスカ在住)

 四月に入ってからの大雪。春の日差しにところどころ地肌が見始めていた風景も、一夜にして真っ白に戻る。木々の枝や庭先の花壇に出始めていた緑の芽も、こんもりとした雪に覆われている。翌日からは再び春の陽気。雪解け水の流れが道の端々に光っている。雪雲の立ち込める銀色の昨日が、まるで幻だったかのよう。こうしてアラスカは今年、春に踏み入れつつあった歩みを一瞬止める形で、記録史上最大の積雪量をマークした。

「今冬の雪はとにもかくにもすごかったね」
 雪についてすっかり過去形で話されるようになった五月の初め、ダウンタウンへ出かけた。あれほど高く積まれた雪山が、一体どこへ消えてしまったのだろうと首を傾げるほど乾いたコンクリートを、眩しい日差しが照らしている。ビルの間には水平線が光っている。まだ解け切らない浮き氷にでこぼことなぞられたその線に、ふと懐かしい顔が重なる。
 ちょうど十二年前のこんな乾いた日差しの中で、この道の先から、ネイティブ・アラスカンの男性がこちらに向かって歩いて来たのだった。引き締まった身体に短く切り込んだ白髪、目は少し上方を見据え、一歩一歩大地との繋がりを確かめているかのようにゆっくりとした足取り。
「あっ、『お父さん』!」
 思わず駆け寄った。三年ぶりの再会だった。目の前に佇む「娘」に、「父」は別段驚くといった様子もなく、昨日別れたばかりのような調子で「ああ」とだけ小さく声を発し、穏やかに微笑んだ。「父」というのは、私が村々を旅していたときお世話になった家の父で、私はその家で彼らの亡くなった親族の名前をもらい、彼らの「娘」として迎え入れられたのだった。その飛行機に乗って一時間ほどのところにある村にいるはずの「父」が、突然目の前に立っていた。アンカレッジで行われる「ネイティブ・アラスカン会議」に、村を代表して参加しているのだと言う。
 当時妊娠七ヶ月でアラスカに一人渡り、小さなワンベッドルームに夫と二人、ほとんど家具も無くフライパン一つで何もかも調理するといった、まるでままごとのような暮らしだった。アパートの窓から見えるチュガッチ山脈が、もうすぐ生まれる新しい命を暖かく見守ってくれているように頼もしく見えたものだった。妊娠したことをその偶然の再会で初めて告げた「親不孝な娘」を、「父」はその大きな手で抱きしめてくれた。そして、私の下腹部を指し示し、私の目をまっすぐ見つめながらこう言った。
「This person needs you, you need this person.
This person needs this world, this world needs this person.
That is reason why this life is here.
この人にはあなたが必要 あなたにはこの人が必要
この人にはこの世界が必要 この世界はこの人を必要としている
だからこうして命が宿ったんだよ」
 この「父」の言葉が、その後の私の子育て生活でどれほど支えになってきたか分からない。五人の子供を追い掛け回し一日を終えぐったり疲れてしまっても、ふとこの言葉を思い出す度にまた明日から頑張ろうと思えたものだった。毎日二十四時間ノンストップで続く子育て、時には投げ出したくなることもある。それでもこの言葉がいつも戻るべき原点を照らしてくれる。地球上に何十億といる人々、ほとんどが一生会うということもない。その中でこうして縁あり親子という関係で共にいる。親と子互いに必要だったからこそこうして生まれて来るのだと「父」 は言う。そしてこの子が今のこの世界に生まれることが必要だったように、この世界もこの子の存在を必要としている。どんな子もこの世に必要とされるからこそ生まれて来るのであり、この世界に必要とされない命など一つもない。「父」のメッセージが私の奥の深いところで強く響き続けている。

 隣には、もうすぐ私の背を追い越すだろう十二歳の息子が歩いている。ジャケットを脱ぎ片手にぶら下げ、道に沿って続くガラス張りのショーウインドウをきょろきょろと覗き込みながら。ゆがんだ襟元を直してやる。ふと前方に目をやると、道の先に、「父」の後姿が見えたような気がした。

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★編集後記
 椅子を買いました。基本、自分は座りっぱなしの仕事をしているのですが、木製の硬い木の椅子しかないのです。木の椅子だとどうしても2、3時間座っていると腰が痛くなる。今朝、ぼんやりした頭で何となくアマゾンで椅子を見ていたら、よさげなものがあったので衝動買いしてしまいました。1万円以上するものを通販で買ってしまったのですが、こういうものは座り心地を確かめるべきだったかな、とか。いや、雑言です。
 「静岡で美味しい野菜を食べる会」は地域的なこともあるし、人が集まるか微妙なのですが、最近は地に足がついた方々と縁ができてきた気がします。MUGAは、ずいぶんと「健全?」な方向に行っている気がしますが、あまり深く考えていません。いきなりラディカルになるかもしれませんしね。出会いを大切に、流れの赴くままに変化していきたいと思います。 (那智)



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創刊日:2011-08-08  
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  • ハニー2012/08/02

    AKBも現代を象徴していて楽しいのですが、是非今度は沢尻エリカをお願いします。彼女にはとても惹かれます。荒唐無稽のようで実はかなり繊細だと思うんです。不器用そうだし。

  • 名無しさん2012/06/03

    いつも楽しみにしてます。高橋ヒロヤスさまにリクエストを・・。綾瀬はるかさんもかなり無我表現な方だと思います。ぜひ、分析をお願いしたいです。AKB48については前田さん、大島さん、高橋さんしか認識できず着いていけなくなってしまいました。テレビを持っていないので疎いのです。ごめんなさいね。綾瀬さんの映像をたまたま見たときに、おおっ、この我の無さはすごいなと思ってしまいました。無我ってそういうことですよね、違うかな・・。ではでは! yoko

  • 名無しさん2012/05/15

    無料とは思えないクオリティです

    すごい

    プライスレス