国際情勢

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

航空自衛隊出身の軍事ジャーナリストが内外の軍事情勢を多角的に分析する。メルマ!ガ オブ ザイヤー2011受賞

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軍事ジャーナル【6月25日号】北朝鮮はレジャーランドに。

2018/06/25

 12日のトランプと金正恩の会談の成果については、米国が北朝鮮に翻弄されたとの論調が横行しているが、左翼プロパガンダに惑わされているとしか言いようのない浅はかな分析だ。現実は北朝鮮の解体が決定されたのである。
 共同声明の最も重要な点は、ポンペオが名指しされている部分である。そこには「後継交渉はポンペオ米国務長官と北朝鮮の対応する高官の主導」と明記されており、北朝鮮側の高官名がない。
 つまりどうしてもポンペオが主導してくれなければならない事情が金正恩にはあるのだ。ポンペオは2度にわたり訪朝して金正恩と会談している。従って金正恩とポンペオの間には個人的な密約が存在するとしか考えられない。

 ポンペオは3月までCIA長官だった。前号で米情報機関が金正恩の個人資産の秘密口座を凍結した可能性に言及したが、CIAが一説には4兆円とも囁かれる金正恩の個人口座を凍結したとしたら、ポンペオは当然そのキーを握っている事になる。
 その上での密約とは、北朝鮮の完全非核化が実現した後、個人口座の凍結を解除するという内容だろう。そうでなければわざわざ共同声明でポンペオを指名する訳はない。ポンペオでなければ、この密約は履行できないのだ。
 ちなみにポンペオの後継としてCIA長官になったのはジーナ・ハスペルである。CIA初の女性長官として話題になったが、CIAに永年勤務した叩き上げであり政治家ではない。ポンペオはCIAを影響下に置いて、秘密口座のキーを握って放さないのであろう。

 金正恩の認識としては、いくら核兵器を開発しても米軍の斬首作戦を防げない以上、もはや核兵器にしがみつくのはかえって危険だと言う事だろう。核兵器などくれてやるから安全を保障して個人資産を返してくれと言うのが偽らざる心境ではないか。
 実の所、金正恩はトランプに北朝鮮にカジノを開設する様、提案したという。ホテル経営者だったトランプが喜んだだろうことは想像に難くない。そこで世界一のレジャーランドを金正恩に見学させようとシンガポールが首脳会談の場に選ばれたとも言われる。
北朝鮮はどうにか核兵器だけは開発したものの、その他の軍事力は時代遅れの整備不良、軍事演習を挙行しても半分もまともに動かないというポンコツ揃いだ。実際、米軍機をレーダーで捕捉すらできないのだから、斬首作戦を阻止できる訳はない。

 米軍の侵攻を阻止できないというなら、そんな軍隊は不要だろう。米国に安全を保障させて軍縮して陰惨な軍事独裁国家をレジャーランドに作り替える。少年時代に日本のディズニーランドで遊び、高校時代にスイスに留学した経験を持つ金正恩ならそう考えて当然だろう。
 だがレジャーランドとして成功するためには、どうしても解決しなければならない問題がある。拉致問題だ。レジャーランドに拉致は不要だし、拉致のイメージが払拭されないレジャーランドが成功する訳もない。

 最近、北朝鮮メデイアは頻りに「拉致問題は解決済みであり、日本は過去の清算として謝罪と賠償をせよ」と声高に叫んでいる。一見取り付く島もないように見えるが、実はこれは北朝鮮政治用語であって日本語に翻訳すれば「拉致を解決したければ金を出せ」となる。
 つまり拉致問題を高く売り付けようという意図が明白であり、同時にそれは北朝鮮自身も拉致を解決しなければならない問題として認識している事を示している。日朝首脳会談も遠からず開催されるだろう。

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創刊日:2011-06-24  
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  • 名無しさん2018/06/26

    半分は納得。ただ、シナの関り具合に言及がない。シージンピンが拱手傍観するはずもなく、全く楽観できない。