国際情勢

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

航空自衛隊出身の軍事ジャーナリストが内外の軍事情勢を多角的に分析する。メルマ!ガ オブ ザイヤー2011受賞

全て表示する >

軍事ジャーナル【1月11日号】空母とサイバー部隊

2018/01/11

 年末から年始にかけて、日本の防衛にとって重大ニュースが二つあった。一つは護衛艦いずもの空母化であり、もう一つはサイバー部隊の創設だ。これらは防衛力強化に他ならないから吉報と言うべきだが、実は単純には喜べない裏事情がある。
 空母化などというと、米国の正規空母を思い浮かべるかも知れないが、戦闘機10機搭載と言うから、米軍レベルで言うと空母ではなく、強襲揚陸艦であろう。つまり尖閣が中国に軍事占領された場合、これを奪還するために護衛艦を強襲揚陸艦に改修する訳だ。

 このため、垂直離着機F35Bの米国からの購入も検討されている。ここで思い浮かぶのが昨年11月のトランプ訪日だ。トランプ大統領は「日本は米国から多くの兵器を購入するだろう」と言い、日本の一部世論には米国の武器ビジネスを批判する向きもあった。
 だが、米国が日本の護衛艦を強襲揚陸艦に改修するよう求めているとすれば、武器ビジネスなどという批判が如何に見当違いか分かろうというものである。というのも米国はかねてから「尖閣は日米安保の発動対象」と明言していたからだ。
 日本側はこれを「中国軍が尖閣を占領したら、米国が強襲揚陸艦を派遣して奪還してくれる」と解釈してきた。だがトランプは「日本は強襲揚陸艦を持って、尖閣を自分の手で奪還しろ」と安倍総理に言ったことになる。

 つまり米国が日本の米国依存の防衛体制に対して自主的な防衛努力を求めている訳だ。これはサイバー部隊の創設にも当てはまる。サイバーセキュリティの中核は米国を始め諸外国では、国防省のサイバー軍である。
 ところが日本にはサイバー軍が存在しないため、政府、自治体、民間企業が米国のサイバーセキュリティ基準を参考にして各個に努力しているだけなのである。つまり、これまた有事には米国のサイバー軍に守って貰う事を前提にして日本のサイバーセキュリティは成立しているのである。

 昨年、退役海軍大将で元国家情報長官のデニス・ブレアが来日し、この現状に強い警告を発して、漸くサイバー部隊の創設が政府内で検討されるに至ったのである。だが、後発でサイバー部隊を創設しても、サイバーセキュリティの中核的役割を担うには数十年かかるだろう。
 要するに米国に「もはや日本を米軍の力だけでは守れないから、日本も自主的な防衛努力をせよ」と促され、漸く動き出したのが、この二つなのである。勿論これは吉報に違いない。だが、それは自主防衛体制を実現できればの話であって、実現できないとなれば凶報となろう。

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2011-06-24  
最終発行日:  
発行周期:不定期(原則:週1回)  
Score!: 96 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2018/01/11

    自主防衛これは世界3位の経済力を持つ日本は当たり前の話だと思いますが・・どっこいそう思わない国民や政治家が多いので実現不可能。又実現しようとすると日本に住んでいる外国人や帰化人(一部国の)が日本過激派とタッグを組み妨害するだろう。

  • 名無しさん2018/01/11

    トランプは「日本は強襲揚陸艦を持って、尖閣を自分の手で奪還しろ」と安倍総理に言ったことになる。←なるほど!よくわかりました。