国際情勢

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

航空自衛隊出身の軍事ジャーナリストが内外の軍事情勢を多角的に分析する。メルマ!ガ オブ ザイヤー2011受賞

全て表示する >

軍事ジャーナル【8月10日号】北朝鮮、広島を威嚇

2017/08/10

 トランプが北朝鮮に「炎と怒り」を込めて警告し、北朝鮮がそれに反発した声明を出す。こうして口でやり合っている間は、戦争にならないから誠に平和な光景だと言う見方も出来ない訳ではない
 だが7月5日号で指摘した通り「世界大戦」は既に始まっている。現代の戦争は情報戦争が中心になっており、情報戦争は別名「見えない戦争」と呼ばれる。つまり米朝のこのやり取りも世界大戦の一コマなのである。

 今日の北朝鮮の声明では、広島県等の上空を通過しグアム島近くに着弾させる作戦計画を検討中だという。北朝鮮の弾道弾には中国のGPSが組み込まれているから、この軌道は中国の承認を得ていることになる。
 もっと言えば他ならぬ中国がこの作戦計画の概要の発表を北朝鮮に命じたのであろう。なぜ命じたかと言えば、上旬にフィリピンの首都マニラで開かれたアセアン地域フォーラムで中国の目論見が外れたからだ。
 この会合では、中国は北朝鮮問題だけを議題にし、中国の海洋進出問題を隠蔽する狙いがあった。もともと中国は米国に北朝鮮問題で影響力を行使する見返りに、中国の海洋進出を大目に見るように働きかけていた。
 それでいて北朝鮮を蔭では支援したのは、北朝鮮問題が大きくなればなるほど、米国は中国に頼らざるを得なくなり、最終的には中国の海洋進出を黙認せざるを得なくなるという読みからである。

 ところが、河野外相は外交デビューにもかかわらず、この問題を公然と持ち出し、世界中に問題の所在を明確にアピールした。これでは夜中にコソ泥に入ったところを撮影されて公表された泥棒の様なもので、「あなたには失望した」との王毅外相の言葉は、勲章と言っていい。
 赤っ恥を掻かされた中国の返礼が、まさに今回の北朝鮮の声明である。被爆地である広島の上空を通過し、米軍の南太平洋最大の拠点グアム島を狙う弾道は、核兵器禁止条約を日本が批准すれば、世界中から核兵器がなくなると思い込んでいる日本のお花畑に除草剤を撒いて見せた。
 
 前号で指摘した通り、中東のISの首都ラッカが陥落しない限り、米国は朝鮮半島に空母3隻を展開できない。2隻でも攻撃可能だが、湾岸戦争の様な完全試合を望むのであれば空母3隻は欠かせない。
 見えない戦争(情報戦争)はやがて、見える戦争(正規戦)に転化する。その時期は早くて年末、遅くとも来年前半であろう。

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2011-06-24  
最終発行日:  
発行周期:不定期(原則:週1回)  
Score!: 96 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2017/08/10

    指摘のように何れ戦争になるのは間違いないと思いますね。そうなったときに日本に何が出来るかを検討して貰いたいですね。