国際情勢

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

航空自衛隊出身の軍事ジャーナリストが内外の軍事情勢を多角的に分析する。メルマ!ガ オブ ザイヤー2011受賞

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軍事ジャーナル【7月5日号】世界大戦が始まった。

2017/07/05

 昨日、北朝鮮がICBMの発射実験に成功した。ICBMとは言わずと知れた大陸間弾道ミサイルであり、北朝鮮は米国に届くミサイルの技術を保持した訳だ。2月から12発ものミサイルを発射してきたから、「またか」と辟易する向きもあろう。
 しかし今回の発射の意味は、そんな軽く済ませられるものでは、あり得ない。はっきり言って、これは世界大戦の始まりなのだ。20世紀に、第1次、第2次の二つの世界大戦が起きたが、それに続く米ソ冷戦を第3次と数えるなら、これは第4次世界大戦になる。

 本誌で繰り返し指摘してきたが、北朝鮮のミサイルは現在全て中国製である。従って中国製の安全装置が組み込まれており、中国から暗証番号を知らされなければ発射できない。従って昨日の発射も中国に許可されたものである。
 ちなみに、北朝鮮によるサイバー攻撃が頻発しているが、これも中国の許可のもとに行われている。北朝鮮の通信回線は全て中国を経由しているから、中国はいつでも北朝鮮のサイバー攻撃を遮断できる立場にある。最近は北朝鮮のサイバー部隊を中国内に駐屯させているから、もはや中国サイバー軍の別動隊である。
 米国はもちろん、この事態を客観的に認識しており、「中国の北朝鮮への影響力」と表現してきた。つまり、中国がその影響力を行使すれば、北朝鮮の核ミサイル開発もサイバー攻撃も止められる筈だというのが、米国の主張だった。

 4月上旬の米中首脳会談で、トランプ大統領は習近平主席に北朝鮮を抑止しなければ対中姿勢を根本的に見直すと警告した。対して習近平は100日間の猶予を願い出て、トランプがこれを了承した。
 ところが北朝鮮はミサイル実験を繰り返し、サイバー攻撃は激化し、中朝貿易量は増加している。要するに習近平の100日間の猶予とは、北朝鮮を対米脅威として完成させるための時間稼ぎに他ならなかった。
 トランプは当初100日間すなわち7月中旬までは事態の推移を見守る姿勢だったが、中国のあまりに露骨な背信ぶりに呆れて、5月下旬には南シナ海での「航行の自由」作戦を再開させ、早くも対中姿勢を変化させ始めた。
 
 北朝鮮がICBMを発射した昨日7月4日は米国の独立記念日に当たり、米国への挑戦的な姿勢が明白だが、問題はその時、習近平はどこにいたかである。彼はモスクワに居てロシアのプーチンと会談していたのである。
 つまり、この日に北朝鮮にICBMを撃たせる事をプーチンに知らせた上で、来るべき米中対立においてロシアに、中国側に立つよう要請したのは火を見るよりも明らかだ。中朝露対日米欧となれば、これは紛れもなく世界大戦だ。習近平は世界大戦を意識して行動しているのである。
 この新世界大戦がどのような形態の戦争になるかは分からない。第1次世界大戦は塹壕の戦いだった。第2次世界大戦は核兵器で終わりを告げた。米ソ冷戦は経済戦争だった。
 新世界大戦は情報戦争が中心となるであろうが、だからといって民衆への被害がゼロだ
などとはゆめゆめ思い召さるな。

 チャンネル桜の討論番組「トランプ外交と世界秩序の行方Part2」に出演した。6月29日収録だから北朝鮮ICBM発射前だが、こうした状況を織り込んだ奥深い討論となっている。視聴されたい。
https://www.youtube.com/watch?v=bmvRu2Si3Do&t=145s

 元空幕長の田母神俊雄をいまだに国士扱いする向きがあるようだが、とんでもない誤解である。彼は北朝鮮が中距離弾道弾スカッドERを日本海に撃ち込んだ4月5日、ツイッターにこう書いている。
「北朝鮮がミサイルを発射したとかでマスコミや日本政府は大騒ぎです。北の脅威を煽ることは日米中それぞれ狙いがあってやっていることです。しかし北が日本やアメリカに向けてミサイルを撃つことは向こう20年ぐらいはないでしょう。放っておいても全く大丈夫です。中国の脅威の方が真の脅威です。」
 また4月29日には
「北朝鮮がミサイルを今朝5時半ごろ発射したことで東京の地下鉄など電車が一部止まったそうだ。騒ぎ過ぎである。北朝鮮が日本に向けて突然ミサイルを撃つことはないし、アメリカが北に対する先制攻撃をすることもない。3カ月もすれば私の言っていることが正しいことが証明される。」
 とても国防の司にいたとは思われないような発言を繰り返している。そればかりか公職選挙法違反で有罪判決が下されているにもかかわらず、反省どころか当時、選対本部長を務めた水島総氏に責任を転嫁するが如き妄動は許しがたい。詳しくは下記番組を。
https://www.youtube.com/watch?v=BqnOUKB-UCQ&t=468s

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  • 鍛冶2017/07/08

    昨年から北朝鮮のミサイルは中国製である旨を書いています。

  • 名無しさん2017/07/07

    今年に入ってからの鍛冶氏の主張はおかしいですね。

    「北朝鮮のミサイルは現在全て中国製である。従って中国製の安全装置が組み込まれており、中国から暗証番号を知らされなければ発射できない。従って昨日の発射も中国に許可されたものである。」

    これは中国ではなく、ロシアではないのですか。本文における中国とロシア、習近平とプーチン全てを入れ替えると極めてすっきりと納得できます。北朝鮮の支配者はロシアです。アメリカのトランプ大統領もうすうす気随ています。北朝鮮の占領統治はロシアを主に、米国と中国が食い込む形になるでしょう。

    それとも「北朝鮮のミサイルは現在全て中国製である」という証拠を示していただけるのでしょうか?

  • 名無しさん2017/07/06

    解かりやすいお話でした

  • 名無しさん2017/07/05

    4月上旬の米中首脳会談で、トランプ大統領は習近平主席に北朝鮮を抑止しなければ対中姿勢を根本的に見直すと警告した。対して習近平は100日間の猶予を願い出て、トランプがこれを了承した。

     ところが北朝鮮はミサイル実験を繰り返し、サイバー攻撃は激化し、中朝貿易量は増加している。要するに習近平の100日間の猶予とは、北朝鮮を対米脅威として完成させるための時間稼ぎに他ならなかった。←トランプ大統領閣下も、シナ(中国)の正体、韓国という国の正体について、学習がすすんだこととおもいます。どういう結果になりますか?