国際情勢

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

航空自衛隊出身の軍事ジャーナリストが内外の軍事情勢を多角的に分析する。メルマ!ガ オブ ザイヤー2011受賞

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軍事ジャーナル【6月29日号】北朝鮮の仕業

2017/06/29

 ビットコインで金銭を要求するサイバーテロがまたも世界を席巻した。前回は5月中旬のことで、北朝鮮の関与が指摘された。今回の攻撃は前回よりも高度化しているとの事だが、高度化は前回の技術を前提に行われる訳だから、今回の攻撃もやはり北朝鮮の仕業であろう。
 
 さてトランプ大統領は4月6日の米中首脳会談のさなかにシリアの空軍基地にトマホーク59発を撃ち込んで、習近平の度肝を抜いたのは記憶に新しいが、そのトランプが再びシリア攻撃の構えを見せた。
 26日に、ホワイトハウスは「シリアが再び化学兵器を使おうとしている」として、シリアに、もし使えば再攻撃する旨を警告した。27日にはトランプはフランスのマクロン大統領と電話で会談し、「もしシリアが化学兵器を使用した場合、米仏は共同でシリアを空爆する」旨で合意した。

 4月6日の攻撃も、4月4日にシリア軍が化学兵器を使用したかどで行われた訳で、今回はさきに警告を発してシリアを抑止する狙いであろう。しかし問題は「シリアはどこから、化学兵器を調達しているのか?」である。
 シリアは2013年10月に化学兵器の国際査察を受け入れ、2016年1月には化学兵器の廃棄が完了しているのである。これについては本メルマガ4月9日号「シリア化学兵器は北朝鮮製」で触れた通り、北朝鮮が調達しているのである。
http://melma.com/backnumber_190875_6512306/

 もともとシリアに化学兵器を調達していたのは北朝鮮であったが、米露の圧力によりシリアは化学兵器の廃棄を余儀なくされた。だが敵対するISが化学兵器を使用するため、対抗上どうしても化学兵器が必要となった。
 そこで、北朝鮮が今年の初めに調達を再開したが、それまで供給していたサリンに加えてあらたにVXの売り込みも図った。VXは空爆などでの使用には向かないが、暗殺などのスパイ戦で威力を発揮する。
 その威力を実証宣伝するために北朝鮮は、2月13日にマレーシアの空港で金正男を暗殺した訳だ。シリアがVXを含む化学兵器を高額で北朝鮮から購入したことは間違いなく、高額で購入したからには、使用しないでいれば宝の持ち腐れとなるだけであるから、使用を検討せざるを得ない訳である。
 
 つまり今週起きた事件はいずれも北朝鮮が関与している。果たして世界はいつまで北朝鮮にやりたい放題を許すのであろうか?

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創刊日:2011-06-24  
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  • 鍛冶2017/07/01

    ISの化学兵器は単純な塩素ガスですから、専門の化学施設を必要としません。自前で作れます。

  • 名無しさん2017/06/29

    サイバーテロにシリアへの化学兵器供与!もう、北朝鮮やり放題ですね!一つ質問です!ISILに化学兵器を供給しているのも北朝鮮なんでしょうか??