国際情勢

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

航空自衛隊出身の軍事ジャーナリストが内外の軍事情勢を多角的に分析する。メルマ!ガ オブ ザイヤー2011受賞

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軍事ジャーナル【3月23日号】危機は去れり!

2017/03/23

 昨日、北朝鮮が弾道弾1発を東部から発射したが、直後に爆発した。米国防総省の分析によれば米国に届く大陸間弾道弾(ICBM)ではなく、それよりは射程の短い弾道弾とのことである。
 この場合、発射が失敗だったことよりも、発射したのがICBMでなかったことの方が重要な意味を持つ。何しろ北朝鮮は年初から「ICBMを撃つ」と繰り返し言い、また諸状況から見てICBMを保有しているのは確実なのである。
 にもかかわらず、昨日撃ったのはICBMでなかった。何故か?理由は二通り考えられよう。一つは「今後、撃つであろうICBMの前宣伝だ」とする見方。今一つは「これでICBMの発射を断念した」とする見方である。

 前宣伝説が一般的だが、この説には明確な障碍がある。現在、日米韓のミサイル防衛体制は極めて強固になっており、まして米韓合同軍事演習の最中である。ICBMは飛距離が長いだけ飛行時間も長く、捕捉・迎撃されやすい。
 この状況で北朝鮮がたとえ実験にせよ、米国周辺に向けてICBMを発射すれば、迎撃される公算は極めて高く、もし迎撃されれば、北朝鮮が漸く手にした虎の子のICBMが全くの役立たずである事が一夜にして証明されてしまう。
 金正恩のぬか喜びの写真が世界中に喧伝されれば独裁体制にとっては致命傷になりかねまい。だとすれば「ICBM断念」説がむしろ説得力を持つ訳である。つまり今回の発射には米国に暗に「ICBMの発射をしない」と示す狙いがあったのではないか。

 それが北朝鮮の求める米朝会談への糸口になる事は言うまでもない。北朝鮮はかねてから米国との直接交渉を模索していたが、ここに来て早急に実現したいと考えても不思議はない。
 最大の理由は、中国の裏切りである。中国は米国の弾道弾迎撃システムTHAADの韓国配備に頑強に反対しているが、配備は既に始まっており4月には完了する。米国のティラーソン国務長官は18日に北京で楊国務委員と4月の習近平主席の訪米について会談しているから、事実上THAAD配備を容認していることになる。
 4月末とされる韓国大統領選でTHAAD反対の大統領が選ばれたとしても、一旦配備されたTHAADを撤去するのは極めて困難であろう。また親北派の大統領が選ばれたとしても、中国が北朝鮮による韓国併合を許すかと言えば、答えは明確にノーだ。
 既に北朝鮮の核弾道弾の射程に北京が入っている中国が、北朝鮮に韓国の技術と経済をプレゼントするほど、気前がいい筈がない。要するに昨今の米中は北朝鮮封じ込めの方向に動き出している。これを打破するためには北朝鮮は米国との直接交渉を実現するしかないであろう。

 2020年の東京オリンピックに台湾は「チャイニーズ・タイペイ」と言う名前でしか出場できない。まことに不条理な話で、これを「台湾」で出場できるようにしようという台湾正名推進協議会の設立大会が明日、18時から星陵会館で開かれる。筆者も登壇する。是非ご賛同を!
http://taiwan2020tokyo.org/2017/03/20/995/

 田母神俊雄の公職選挙法違反容疑の裁判は3月10日に結審した。判決は5月22日。
https://www.youtube.com/watch?v=HuVZ_ZsvDXI&t=26s


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  • 名無しさん2017/03/27

    台湾正名推進協議会、ご苦労様でした。