国際情勢

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

航空自衛隊出身の軍事ジャーナリストが内外の軍事情勢を多角的に分析する。メルマ!ガ オブ ザイヤー2011受賞

全て表示する >

軍事ジャーナル【2月10日号】北朝鮮の東風5号

2017/02/10

 1月1日に北朝鮮の金正恩が「ICBM試射の最終段階」と述べ、同月8日には、北朝鮮外交部がICBMは「最高首脳部が決心する任意の時刻に任意の場所から発射されるだろう」と声明を出した。
 米大陸に到達する大陸間弾道弾(ICBM)が北朝鮮から発射されるのは、時間の問題と思われた。だが1週間たった1月中旬になっても発射されず、トランプ大統領の就任式に合わせて発射するのでは、との憶測も出たが、結局いまだに発射されていない。

 ところが2月2日に米国のニュースサイトに「中国が1月上旬にICBM東風5号C型を試射した」と出た。中国が北朝鮮に代わってICBMを試射していたのである。というのも、東風5号は旧式のミサイルで中国国内では新式の東風31号に置き換わっている。
 いわばスクラップ同然であり、今更発射実験をしなければならない代物ではない。そのスクラップを北朝鮮に供与し、発射演習を中国国内で行った訳である。日本が米国製のパトリオットミサイルを米国の演習場で発射演習しているのと同様であろう。
 C型とあるのは改良型の意味で、複数弾頭を搭載していた。複数弾頭は最新の技術であり、中国が北朝鮮に最新の技術を供与する訳はない。弾頭部分については、最新型東風41号の開発実験を中国が行ったのだろう。

 しかしスクラップ同然とはいえ、実射可能なICBMを中国が北朝鮮に供与すれば、米国の怒りを招くことは目に見えている。なぜ、そんな事を中国は敢えてしたのか?その言い訳とも言える文書を中国は先月末に意図的にリークしている。
 戦時演習ガイドラインという中国人民解放軍の内部文書だが、それには、「中国にとって1番の脅威は米国、2番目は北朝鮮」とある。「米国が脅威」は分かるとしても何故、2番目が北朝鮮なのかといえば、北朝鮮の核施設が中国国境近くにあり、北朝鮮は核で中国を人質化しているという。
 実は米国はかねがね、「尖閣問題で日本は米軍を人質化している」として、日本の尖閣で米国が中国との戦争に巻き込まれる事への懸念を表明してきた。その「人質化」という言葉を逆手に取って、「米国が日本に武器を供与するなら中国も北朝鮮に武器を供与するぞ」という意志表示である。

 3日には「北朝鮮の国家保衛相の金元弘が解任された」との情報が流れた。金元弘は中朝の調整役だった張成沢を処刑した人物とされる。金正恩は中朝関係の刺を抜いた訳で、東風5号供与の返礼であろう。

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2011-06-24  
最終発行日:  
発行周期:不定期(原則:週1回)  
Score!: 96 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2017/02/11

    いいね!

  • 名無しさん2017/02/10

    「中国が1月上旬にICBM東風5号C型を試射した」と出た。中国が北朝鮮に代わってICBMを試射していたのである←納得できました。情報ありがとうございます。