国際情勢

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

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軍事ジャーナル【12月24日号】ロシアは領土を手放すか?

2014/12/24

 本日発売の週刊現代の特集「2015年を読み切る」の予測3「ロシア崩壊、「ならず者」プーチンが北方領土を手放す」に小生のコメントが掲載されている。この記事を要約すると、原油安と経済制裁に耐えられなくなったロシアが日本の支援を得るために北方領土を日本に返還するかもしれない、という趣旨である。
 勿論、今までも幾度も北方領土をちらつかせては日本の支援を掠め取ってきたロシアであるから、今回も「やらずぶったくり」に終わる公算が大だが、ともかくもロシアがそれぐらい追い詰められているのは間違いない。

 この状況をロシアの「やらずぶったくり」に終わらせないで北方領土返還を実現するためには、「ロシアの危機は日本のチャンスだ」という冷徹な認識が必要だ。「人様の不幸に付け入るような真似はすべきではない」などという道徳は国内では尊重されるべきルールだが、国際社会のパワーゲームにはそんなルールは存在しない。
 そもそも北方領土がロシアに占領されるに至ったのも、日本がロシア(ソ連)の危機に当たって日ソ中立条約を律儀に守ったのに対して、ロシアは日本の危機に際して条約を守らなかったために生じた訳だ。人様の不幸に付け入るような真似を先にしたのはロシアであって、してみれば今度は、日本がロシアの危機に付け入るような真似をしたところで何の咎があろうか。
 これまではロシアが北方領土返還に前向きな姿勢を示すだけで、日本は経済支援をしてきた。領土返還に完全に合意するまでビタ一文払わないという姿勢は交渉のイロハであって、これも堅持できない様ならそもそも領土交渉をする資格はない。
 
 小生の主張するパワーゲームとはこれよりもはるかに積極的な戦略だ。合意するまで経済支援をしないどころか、合意するまで経済制裁を次々に科していくべきなのだ。現にウクライナ問題で欧米は経済制裁を強化しているのであって、日本も同列に並んで経済制裁を強化することは国際社会において何ら非難されるべきものではない。
 日本の保守系の論壇の一部にロシアに対する同情論があるようだ。だがロシア革命直後にも、独ソ戦開始の直後にもロシアへの同情論があり、しかもその結果つねに煮え湯を飲まされてきた歴史を忘れてはならない。

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創刊日:2011-06-24  
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  • 名無しさん2014/12/28

    鍛治さんの書かれたとうり、ロシヤには一歩も引かず、返還されるまでじっと我慢すべきと思います。

  • 名無しさん2014/12/24

    「日ソ中立条約」一方的に破棄し、やりたい放題の屈辱(強制連行と餓死等を含め)を、我が先人に対し行った「恨み」に対し、今こそ、今を生きる日本国民が、(いろいろな意味を含め)毅然たる態度を示すべきである。

  • 名無しさん2014/12/24

    全くその通り!

  • 名無しさん2014/12/24

    「ロシアの危機は日本のチャンスだ」という冷徹な認識が必要だ。←素晴らしいですね。鍛冶先生の分析に諸手をあげて賛成です。

  • 名無しさん2014/12/24

    ロシアに対してこの様なことが出来るかな?日本はお人好し決まるを守る国。国際社会の外交には不向きな民族です。現に与党の中でも親ロ派が存在し経済制裁に対しての抵抗をしているのです。

  • 名無しさん2014/12/24

     不法占拠されている我が国の領土は北方4島に限らないのではないですか。