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最終発行日:
2013-11-03
発行部数:
28
総発行部数:
823
創刊日:
2011-06-19
発行周期:
毎月2回発行
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森の講座2の続編です。

発行日: 11/03

森林の講座 (2)-2 森林について
-----------------------------------------------------------------
 (2)樹種間の競争
------------------------------------------------ 
  
カテゴリー    

[1] 植物の競争
[2] 陽光条件
[3] 森林群落の動態(遷移)
[4]  密度効果(樹木の競り合い)
【参考1】 武蔵野の雑木林
【参考2】コナラ・クヌギの雑木林の生態系の特徴 

------------------------------------------------ 

 (2)樹種間の競争

[1] 植物の競争 【重要】    

 
 植物は互いに以下に述べるような環境要因(立地条件)を求めて競争してい 
ます。
       ・土壌条件
       ・水分条件
       ・温度条件
       ・陽光条件
 
  ある種が他の種との競争を通じて、その生態系のその場所に適応していくと
き、その場所をニッチ(生態的地位)(*1)といいます。

(*1)野田、日高、丸山「新しい生物学」から
  アフリカのタンガニ−カ湖とマラウィ湖には、口の尖った種とか、背
 びれの長い種とか、共通の特徴のある魚がすんでいるが、分子進化学的
 には、それぞれの湖で独立に進化が進行したことがわかった。

  これは、生物の形やすみ方など、いわゆるニッチ(生態的地位)は限
 られた種類しかなく、どこで進化が進行してもそれを満たすような方向
 に進化が進むことを示すように思われる。

   (それぞれの湖で独立に進化が進行したことを示す図 略)
  ◎ 図をご覧になりたい方は、pdf版をご覧ください!    

[2] 陽光条件

        

 
  どのような立地諸条件のところでも、植物は他の植物との間で「陽光条件」 
を求めて競争します。
       ・横に枝葉を展開して、有利に光を得る。
       ・他の固体を被圧する。
           被圧された陽性の樹種は枯れてしまう。
       ・耐陰性の違いにより、生き残る確率が変わってくる。

  それぞれの種の競争力は、温度、水分、養分、光など環境条件に対する生態
的特性とその場所の現実の環境条件との関係によって決まります。

      

[3] 森林群落の動態(遷移) 【重要】

        

 
 森林群落の動態、すなわち「遷移」は、立地条件に応じた、それぞれの種の 
生態的特性に応じた種間競争の結果起こるといわれています。この「遷移」と
群落構造の変化がさらに新たな環境条件を形成することになります。

  群落構造の変化が生み出した、新たな環境条件をめぐって、新たな種間競争
が始まり、また新たな環境条件が作り出されていきます。

      

[4] 密度効果(樹木の競り合い) 【重要】

        

 
 樹木が成長し、森林内が込み合ってくると、森林を構成している樹種間で、 
光、水分、養分、空間をめぐる競争が激しくなってきます。この高密度の森林
環境における競争の結果、混交林では遷移が進行し、陽生樹種から陰性樹種へ
と森林の構成樹種の変化が進み、やがて極相に達することになります。

 単一樹種の森林、すなわち「単純林」では、密度(本数/haで表す)が高くな
る(*1)と肥大成長(直径方向の太り)が抑えられ、平均固体量が小さくなり
ます。つまり、丈は伸びるが太くならないことになります。

 枯死する樹木の出るような閉鎖状態(最多密度)になれば、森林現存量は一
定になります。このような森林環境では、樹高の成長に従い、自然間引き(枯
死)による樹木の本数を減らしながら森林現存量が増加していきます。

 (*1)「密度(本数/haで表す)が高くなる」とは、一定の面積に存在する
   樹木の本数が増えることです。言いかえれば、森が込み合ってくる、と
   いうことです。

      

        

 
【参考1】 武蔵野の雑木林
  私たちの周囲に見られる武蔵野及び関東各地のコナラ・クヌギを主力樹種と
する雑木林はその管理(*2)を放棄してから、すでに30年以上になるところが
ほとんどです。

  こういうところでは、森林内へ足を踏み入れることによって、樹木の枯損状
況や林床植生の衰退の状況が一目で分かります。その状況は差し込む光線の具
合でかなりの差異がありますが、崩壊状態のところもかなり多いようです。

【参考2】  雑木林の現状と放置時点の林相(りんそう:林の姿)
┌────────────┬─────────────────────┐
│ 放置された時点の姿  │ 今の姿                                  │
├────────────┼─────────────────────┤
│ コナラ・クヌギの成林 │ 高木はコナラ・クヌギ                    │
│            │ 中間にエゴノキ・リョウブ・シデ類・ヤマ  │
│            │ サクラ、それを追いかけるようにカシを初  │
│            │ めとする常緑広葉樹                      │
│            │ 林床の草木はほとんどない。              │
├────────────┼─────────────────────┤
│ コナラ・クヌギを伐採 │ 高木はコナラ・クヌギ・シデ類・アオハダ・│
│ し、利用したまま   │ イイギリ・エゴノキ・ネムノキ・ヤマウル  │
│            │ シ、ヤマザクラなど。中間にはカシ類を初  │
│            │ めとする常緑広葉樹。林床は暗く、常緑の  │
│            │ 幼木以外には草木はない。                │
├────────────┼─────────────────────┤
│ コナラ・クヌギ・アカ │ 高木はコナラ・クヌギ、アカマツはマツノ  │
│ マツの混交林     │ ザイセンチュウのためほとんど枯損し、中  │
│            │ 間には、シデ類、リョウブ、エゴノキ、ア  │
│            │ オハダ、ヤマザクラ、それらと競う様に、  │
│            │ カシ類を初めとする常緑広葉樹。林床には  │
│            │ ほとんど草木はない。                    │
├────────────┼─────────────────────┤
│ アカマツ林      │ アカマツはマツノザイセンチュウのために  │
│            │ 枯存し、高木はほとんどない。中間には、  │
│            │ 各種の陽樹の木々が茂り、それを追うよう  │
│            │ に常緑広葉樹が茂っている。林床には、草  │
│            │ は少ないが、低木は比較的多い。         │
└────────────┴─────────────────────┘
 (注1)マツノザイセンチュウの害
    アカマツ林として今直保全手入れされている所もあるが、マツノザ  
    イセンチュウの被害がひどくなっている。毎年木の葉を掃くために  
    林床だけを刈り払っている林もあるが、持ち主の農家がコナラ林の  
    手入れの仕方を受け継いでいないため、崩壊が進んでいる。     
    崩壊した林をもとの林に戻すためには20年の歳月と年々の手入れ
    が必要になる。 
                           
 (注2)崩壊のパタ−ンについて
   ・森林を放置したり、先祖の行ってきた管理と異なることをするのは、
    生態系の破壊となります。  
   ・現状のまま推移すれば、生物多様性の劣化は急速にすすみ、次の世
    代では私たち以上にわずかな生物しか見ることが出来なくなります。
   ・森林の形態は先祖から受け継いだ「文化」です。それを継承し、次世
    代へ伝えることは私たちに課せられた義務といってよいでしょう。 

  (注3)マツノザイセンチュウと松枯れのサイクル
  
    6〜7月             7〜8月   2〜4月(翌年)
     |   ┌──────┐     |      |
     ↓   |蒸散停止  |     ↓      ↓
   ┌─────┼──────┼───────────────────
松  │食害・伝播│樹脂分泌停止│枯死                 
    ├─────┼──────┴────┬──────────────
マ │     │           |産卵、ふ化、越冬      
    ├─────┼───────────┼───────┬──────
セ │     │伝播         |増殖     |蛹虫に集中 
  └─────┴───────────┴───────┴──────

   4〜5月  5〜6月 
        ↓     ↓
    ┬───────────┐ 
枯れ松│枯死木        |
      ┼────┬──────┼───────────┐
マ  |蛹化  |羽化    | 脱出 他の健全な松へ| →
   ┼────┴──────┼───────────┘
セ  |脱皮   虫体へ移動 | 新たな伝播開始
   ┴───────────┘

(凡例  松:健全な松;マ:マツノマダラカミキリ;セ:マツノザイセンチュ
 ウ)

      

        

 
  森林について、実務に手を染めたこともなく、物を言っている学者たち、あ 
るいは自然保護論者や環境論者の中には、森林を横から見てあれこれ言ってい
る方がたくさんおります。

  例えば、スギやヒノキ人工林をさして「針葉樹林は環境に悪い」などといっ
ているのをよく耳にします。理由としては、針葉樹林は
  [1]保水性が悪い。
   [2]針葉樹は花粉症を引き起こす。
   [3]自然ではない。
などをあげておりますが本当にそうでしょうか。森林インストラクタ−やそれ
を目指す方々はこういう教条的な意見に毒されてはいけません。自分の目で確
認作業をすべきでしょう。

  また、このような例もあります。「ふるさとの森はふるさとの樹で!」とい
うのです。ここでいわれている、「ふるさとの樹」とは、2000年以上前(縄文
時代)の人間が手を入れる前の森林の樹木のことで、武蔵野であれば、常緑広
葉樹(照葉樹:カシ、シイ、ツバキ、クス、タブノキなど)のことです。この
考えは、すでに成立している森林生態系を根底から否定し破壊しようとするも
ので、今日の森林や森林経営を否定するものです。これは明かな「環境破壊」
であり、場合によっては地球環境問題(生物多様性の減少)を引き起こしかね
ません。

  このような例もあります。コナラ・クヌギの雑木林を放置して「原始の森」
(関東であれば常緑広葉樹林)に返す、という考えです。私たちの先祖が自分
たちの生活に都合のよいように森林を改変してできた、これらの雑木林を放置
して遷移にまかせようというのです。先祖たちの森林破壊(筆者はこれを「第
1次環境破壊」と呼んでいる)の上に成立した、人間の管理を組み込んで成立
した森林生態系を再び破壊(同様に筆者は「第2次環境破壊」と呼んでいる)
しようとしているのです。

  この例などもよく耳にする意見でしょう。ブナは保水性がよいから、ブナを
植えよう、というのです。ブナは冷温帯の植物なので、関東では標高1000m以
上の山地でないと生育が難しく、その上成長が著しく遅いので、持続的な森林
経営には不向きな樹木です。もっともナラ類、クヌギ、カシ類などもブナ科で
はあるのですが、ここでは白神山地などで見られるブナを指していっているの
です。
               
 (*2)コナラ・クヌギの雑木林の管理
 ・1年に1回下刈りをする。
 ・1年に1回木の葉(落ち葉)をさらう。(熊手を使って)
 ・10年ごとに伐採する。
 ・伐採後3年放置する。
 ・切り株から出た萌芽を整理する。
   門柱(クヌギ)を目的とするときには1本残す。
   農用林にするときは威勢よくのびた芽を3ないし5本残す。

      

        

 
【参考3】コナラ・クヌギの雑木林の生態系の特徴 
  コナラ・クヌギが主力樹種の雑木林(以下雑木林と記述)は人工林の一種で
すから、人間の管理がなくては現状を維持することは困難です。「人間の管理
の結果出来上がった」ものが、この雑木林の生態系なのですから、管理を怠れ
ば、この生態系は劣化し破壊されてしまうのです。

  上に述べたように、人間が10年ごとに高木であるコナラやクヌギを皆伐する
ことによって、林床の多様な植物は活性を取り戻し、次の皆伐までの10年を生
き延びることができるのです。

  同時に、雑木林自体も手入れされ、伐採されることにより、活性を維持する
ことが可能になります。しかも、人間が高木化させたくない林床にある樹木と
の競争(*3)にもかかわりなく成長を遂げることができるのです。

  この雑木林の管理において、最も重要なことは、上記の周期で伐採をするこ
と、年に1回「下刈り」を行うこと、年に1回木の葉(落ち葉)を掃くことで
す。雑木林の草本や木本の成長には、人間が掃き残したものが腐蝕して分解し、
土に混合するだけの有機物で十分なのです。

  高木のコナラやクヌギの10年周期での伐採は、その切り株から活性のある萌
芽をもたらし、それを利用して順調な「萌芽更新」を行うことができることに
なります。

 伐採時期が遅れて20年を過ぎると根径を菌類に犯され易くなり、更新の可能
性が低くなります。伐採のサイクルが10年周期になったのかということです。
その理由には、使用する道具類の制約が大きいことを上げることができます。

 鋸や鉈による手作業では、20年も育った固いコナラやクヌギ相手の作業は困
難を極めるのです。

  もう一つ重要な理由があります。それは、これらのコナラやクヌギは木炭の
原材料ですから、木炭価格の制約が大きいことです。木炭は材を丸のまま焼い
た製品の方が材を割って焼いたものより高価でした。この丸炭をできるだけ多
く生産するには、樹齢が10〜15年ものの材料が妥当するものだったのです。実
際には、木炭の産地では、ほとんどの地域で、10年ごとに伐採して利用してい
ました。

 薪は、4つ割にした製品が高い価格で取引されました。4つわりの薪を生産
するには、材(主にコナラ)を15年育てることが必要でした。炭窯を打つ土
に恵まれなかった地域では、次善の策で薪の生産をしていました。     

 (*3)植物の競争 【重要】
 植物の行う競争には以下のようなものがあります。
 ・光を求める競争
 ・枝を張る空間を求める競争
 ・根から水分をとる競争
 ・根から養分をとる競争

----------------------------------------------------------------------
○ 編集後記に代えて  2013/10/30
----------------------------------------------------------------------
 勘のよい古くからの読者や森林インストラクタ−養成講座に参加されたこと
のある方は、読んだことのある内容だなと気が付かれたことでしょう。この講
座は、奥多摩都民の森、埼玉県民の森、朝日カルチャ−センタ−千葉、読売・
日本テレビ文化センタ−(千住、横浜、川口、川越)などで開講していました。

 また、森作り集団「里ネット」では、所沢で毎月講義をしてきました。同時
に通信講座ももうけていました。

 その講義録を一本化して、内容を強化したものがこのニュ−スに載っている、
「森の講座」です。森林、林業、熱帯林、北方林、林政、地球環境問題などを
テ−マにしていく予定です。

 以前の講座のテキストをさらに改良した内容になっています。そして、これ
が筆者の最後の改訂版です。その内容については、読めば分かるようにしてあ
るので、質問は、極力ご遠慮ください。多分、個別には、お答えできないかと
思います。

 筆者も来年は「傘寿」を迎えます。人生に余裕がなくなってきたので、この
講座の完成に力を尽くしたいと思っています。事情をご理解ください。


 できれば、次の年から、このニュ−スも「北越雪譜」の訳と「森の講座」を
分けて発行したいと思います。とりあえず、双方のニュ−スを送りますが、要
らない方を削除してください。     


○ 本号のご感想やアドバイスあるいはご意見をお寄せください。
----------------------------------------------------------------------
その際、タイトルには「グリーンシャワー」関連とお書き添えください。
宛先:このニュースの発信元アドレスか、下記のアドレスへお送りください。
oku_hitachi○yahoo.co.jp
○を@に置きかえてください。

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