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先端技術に投資しよう

新しい技術や産業が未来を創る。ところが日本は、新しいことへの障壁が多い。歴史に学び、リスクを取って新しい産業を育てる。それらが普及するための課題を示す。

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創刊日:2009-08-29  
最終発行日:2017-11-19  
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195号 ブロックチェーン

2017/11/19

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■  先端技術に投資しよう

■  195号 ブロックチェーン

───────────────────────────2017/11/19───

現金取引以外での支払いなどの取引(トランザクション)はVISAや銀行などの第三者
機関を通して行われている。しかし、ブロックチェーンを使えば第三者機関を通さずに
取引ができる。データの改ざんを困難にした分散型の記録管理技術によるもので、仮想
通貨「ビットコイン」などの基盤になっている。

ブロックチェーンは「P2Pネットワーク」や「コンセンサスアルゴリズム」「スマート
コントラクト」「偽造防止・暗号化技術」といった複数の技術の組み合わせで実現されて
いる。P2Pネットワークは、端末同士でデータを送受信する技術。

システムは、特定のプロトコル(ビットコインならBitcoin Protocol)と複数のコン
ピュータ(ノード)、ノード同士を接続するネットワークから成る。データを集中管理
せずに全てのノードが同一のデータを保有する。このため分散型元帳と呼ばれている。

コインの取引情報などのデータを書き込む場合は、全てのノードにデータを転送(ブロ
ードキャスト)する。参加者は、このデータの署名や整合性を検証し、これらの取引
データを100〜1,000個単位の「ブロック」にまとめる。

コンセンサスアルゴリズムは、台帳情報をネットワーク上の全員で共有するために全体
の合意形成を行う。ビットコイン等に用いられるProof of Work(PoW)など複数の
方法がある。

まず、最も早く演算を解き終わった参加者がそのブロックをシステムに投げ入れる。
つまり高性能コンピュータ使用して電気代を最も多く消費してシステムに貢献した者の
仕事が選ばれる。このルールを「Proof of Work(PoWプルーフオブワーク)」と言う。

作成されたブロックをほかの参加者が「不正が無いかどうか」を検証する。検証がされ
てOKならばそのブロックが認められる。「PoW」が悪意のあるノードをふるい落とす。

もし悪意のある者がブロック作成すると、不正なブロックが投げ込まれる。次のブロッ
ク作成権限を「PoW」によって得た参加者は不正なブロックに繋ぐか、またはその一つ
前のブロックにつなぐのかを選択する。もし最新のブロックが不正だと思うとそのブロ
ックを無視して一つ前のブロックに繋ぐ。ブロックチェーンは分岐する。

次のブロック作成権限を持った参加者も「不正なブロックを無視して、正しいと思われ
るブロック」に次のブロックを繋ぐ。システムは「最も長いブロックチェーンを正しい
ブロックとする」というルールがある。ほかの参加者二人により正しい判断されたブロ
ックが「正しいブロックチェーン」になる。そのため合意形成に10分以上の時間を
要する。

ノードは、ブロックの改ざんを防ぐために、ブロック全体のデータを代表するハッシュ
値、所定の演算処理で求められるそのデータに対応する値、を計算して次のブロックに
組み込む。

こうして、前のブロックの要約情報がハッシュ値として次のブロックへ組み込まれ、
さらにその情報が次のブロックへと組み込まれていく。このブロックの連なりが「ブロ
ックチェーン」だ。

ハッシュ値は、ブロックを守っている暗号で、主にSHA-256とRIPEMDが採用され
ている。通常の暗号化技術は、元の言葉が割り出されないようハッシュを利用するが、
ブロックチェーンは元の単語を割り出すため用いられる。ブロックごとにハッシュが
仕込まれ、全取引履歴のデータが世界中に散らばって、皆で監視しあっている。

個人の匿名性は確保されているが、その個人の残高はブロックチェーン上で公開されて
いる。自分の持っている以上の仮想通貨を使おうとしても、残高より多いことが直ちに
判明するので、その取引は拒否される。

個々のノードが独自に取引を処理しつつ、全体としてデータを統合できている。一部の
コンピュータが停止してもデータは消えずに処理を継続できる。

ブロックチェーンはそれ自体のプロトコルや、データに埋め込んだスクリプトを通じて、
特定のルールを全参加者に自動的に遵守させる。社会のルールは、人間が決めるので、
ときに守らない人間も出てくる。しかし、ブロックチェーンは一度ルールを決めれば、
物理法則のように自動的にルールが実行される。従わなければ参加できない。

ブロックチェーンはガバナンスが難しい。例えば、ソフトをバージョンアップすると、
旧バージョンを利用するノードと、新バージョンを利用するノードで、二つのブロック
チェーンが生成、つまりブロックチェーンの「分岐」が起こる。

「停止しない(ゼロダウンタイム)」「改ざんが困難」「低コスト」などの利点があるので、
世界中の銀行などの金融機関や政府機関がこれを勘定系システムや送金、証券取引、
不動産の登記・閲覧、契約管理などに応用する研究が行われている。やがて現金がなく
なり、金融政策による経済のコントロールができない世界となっていくかもしれない。

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