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先端技術に投資しよう

新しい技術や産業が未来を創る。ところが日本は、新しいことへの障壁が多い。歴史に学び、リスクを取って新しい産業を育てる。それらが普及するための課題を示す。

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創刊日:2009-08-29  
最終発行日:2019-05-12  
発行周期:隔週刊  
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208号 CRISPR/Cas9

2019/05/12

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■  先端技術に投資しよう

■  208号 CRISPR/Cas9

───────────────────────────2019/05/12───

CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)がゲノム編集に革新を起こしている。

細菌のCRISPRは、侵入したウィルスのDNAの断片を自身のゲノムに取り込んで
ウィルス特有のDNA塩基配列を記憶する。同じウィルスが再度侵入すると、侵入
ウィルスのDNAで見つけ出して、酵素のCasタンパク質がウィルスのDNAを切断
する。九州大学の石野教授が発見した。

このシステムを利用してゲノム編集技術CRISPR/Cas9システムが開発された。ガイド
RNAがターゲットのゲノムDNA上の塩基配列を見つけだして、酵素のCas9がその
DNAを切断する。

遺伝子組み換え技術で、農薬に強い大豆や害虫がつきにくいトウモロコシなどが作られ
てきた。しかし、遺伝子の中の特定の場所に別の遺伝子を入れることが困難だった。
何千回、何万回試して初めて入れることができる。そのゲノム編集に革命が起きた。

遺伝子のミオスタチンは筋肉の成長を抑える。ミオスタチンが働かないと、筋肉が成長
を続けて大きく育つ。マダイの受精卵で、ミオスタチンを切るゲノム編集を行った。
1年余りで、身の量が1.5倍のマダイとなった。食品としての安全性が確認できれば、
市場に出る。偶然を待っていれば、数百年かかる品種改良が、ゲノム編集だと数年で
できる。

角のない乳牛の研究も行われている。乳牛から細胞を取り出し、「角を作る」遺伝子に
切り込みをいれ、「角を作らない」肉牛の遺伝子を入れて受精卵に戻すと角のない乳牛が
生まれる。角がないと、酪農家が安全に作業できる。アメリカでは、実用化の段階に
入っている。

腐りにくいトマト、養殖しやすいおとなしいマグロ、伝染病に強いブタなどの研究も
行われている。

ゲノム編集で新たなエネルギー源を生み出す研究も進められている。藻は、油や
デンプンを蓄えている。「ゲノム編集」でデンプンを作る遺伝子を壊すと、油の量が
1.5倍に増える。

全身の筋肉が徐々に衰えてしまう筋ジストロフィ−や、エイズウイルスの治療法の開発
がゲノム編集で進められている。体の遺伝子の異常を修復して、また体に戻す。『遺伝子
治療』だ。

成功率が20%になればiPS細胞を十分な数に培養できる。mRNAを入れると成功率は
10%だった。次にハサミの役をするタンパク質を直接入れてみた。タンパク質を直接
入れるのはより難しい。成功率は18%で、目標には届かなかった。

ゲノム編集のルール作りが進んでいない。親が赤ちゃんに対して、望む姿で生まれて
くるように遺伝子を操作することもいずれは可能になる。中国では、サルのゲノム編集
が行われた。『どこまでやっていいのか』というルールについての幅広い議論が求められ
ている。

最新のコメント

  • 名無しさん2011-10-16 17:35:41

    大変科学的でよい。

  • 名無しさん2010-11-21 23:48:32

    始めて知る話だっただけにとても興味深く楽しかった。

  • 名無しさん2010-09-26 20:48:01

    凄い人だと感じた。このような人が日本にも大勢いるのに海外に出てしまうのはもったいなく感じる。

    大変面白い記事でした!

  • 名無しさん2010-08-30 09:46:54

    知らなかった。文章が分かりやすかった。

    面白かった。

  • 名無しさん2010-08-01 23:44:48

    分かりやすくとても面白かった!