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[124] ミドリムシのおにいさんたち

2014/12/01

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            アクアタック研究室 - 片岡 章
            mail magazine - 124  2014/12/1

            【 ミドリムシのおにいさんたち 】

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東京駅すぐ近くのビル、
日本郵便(株)が運営する 「KITTE(キッテ)」。

そのなかのミュージアム 「インターメディアテク」 に
「東京大学総合研究博物館」 というのがあって、
海洋生物、宇宙もの、建築文化財等々、
商品化されたものも含め、
東京大学の様々な研究成果が展示されています。

昨年でしたか、そこへ行ってみたのです。
すると、
“ミドリムシのクッキー” なるものがありました。


                       ☆    ☆    ☆


「ミドリムシ」 という名前は、
この少し前から耳にしていたような気がします。
最近注目されていますから、
みなさんも名前くらいはご存知でしょうね。

ミドリムシ/学名ユーグレナ ――
虫ではありません。
光合成をするので植物みたいだけど、
自分で動き回るので動物でもあるみたいな …
そんな微生物です。


■ 株式会社ユーグレナ

文字通り 「ユーグレナ」 という、ミドリムシの会社があります。
栄養豊富なミドリムシを使った食品・化粧品にはじまり、
抽出した油を車や飛行機の燃料にするところまで目指しているのですが、
2005年の設立にして、今年の年間売上高が30億円。

そんな話を聞くと、頭のなかでは、

    生き馬の目を抜く!
    虎視眈々!
    売上倍増!
    勝ち組!

などなど、
お馴染みの勇ましい慣用句が飛び交いそうです。

    経営しているのは、
    睨(にら)みの利(き)いたエネルギッシュな人物にちがいない

そんな想像をする人も多いでしょう。

ところが …

そう思って社長さんを見ると、
きっと拍子抜けしてしまいます。


■ 緑のネクタイ・垂れ目

創業者は、東大で出会ったふたり。
現在30代半ばの、出雲充さん(社長)と鈴木健吾さん(研究者)です。

社長の出雲さんは、
ミドリムシが可愛くて仕方なく、ネクタイも必ず緑色。
モニターに映った顕微鏡画像を指さしながら、

    「ほらほら、この子、かわいいでしょ♪
      この子はちょっと疲れてるかな〜
      もう〜、まるで娘なんですよぉ〜」

人懐(なつ)こい垂れ目がうるうるし、ラブラブモードです。

それから、こんなことも。

    「ミドリムシを研究する人には、絶対、悪い人はいません」
    「ある晩、ミドリムシになった夢を見たんですよ。
      ミドリムシの自分にライトが当たって …」

一方、研究者の鈴木さんも、
いつもニコニコ、人の好(よ)さそうな感じ。
壇蜜さんが 〈日本一きれいな隣のおねえさん〉 なら、
鈴木さんは 〈日本一やさしい隣のおにいさん〉 です。

このふたり、一体どこまでオメデタイんだろ?  会社大丈夫かな?
そんな心配も過(よぎ)りそうです。

しかしながら、この人たち、
結構な修羅場をくぐり抜けているのです。


■ 量産の壁・ライブドア事件 …

そもそも、会社を起(た)ち上げた時点で、
ミドリムシを量産する技術はどこにもなく、
20年研究した人でさえスズメの涙くらいしか取れないほどの難題でした。
そこを、苦心の末に乗り越え、量産に成功しました。

すると今度は、
支援してくれていた堀江さんのライブドアに例の事件が発生します。
信用失墜、そして倒産寸前。

出雲社長は500社の企業に話を持ちかけますが、
ミドリ‘ムシ’ というイメージの壁もあって、
どこも受け入れてくれません。

そんな絶望的状況の果て、ようやく伊藤忠商事に認められ、
そこから動き出したそうです。


■ にこやかな表情の秘密

これほど過酷な経緯をたどっています。
決して甘ちゃんなんかではなく、
むしろ、かなりの強者(つわもの)です。

なのに、
おふたりの表情には、
険(けわ)しいところが微塵(みじん)もありません。
なぜでしょう?

その秘密は、たぶん、創業以来の 《動機》 にあります。

出雲さんは、在学中にバングラデシュを訪れ、
食料(栄養)問題の深刻さを目(ま)の当たりにしました。

そこからユーグレナ社は始まります。
そして、
これからの食料・燃料・環境を視野に入れた活動を展開します。

この動機が、あの表情の向こうにあるのではないでしょうか。
ユーグレナ社を動かしているのは、きっとこのエンジンなのです。
バングラデシュを見て
「ビジネスチャンス!」 とばかりに飛びつくのとは正反対ですね。


    *  *  *  *  *


時代がそうなってきたのでしょうか。
最近では、ユーグレナ社以外にも同様の変化を感じます。
まるで、
20世紀にかけられていたモノ志向、成長率志向の魔法が
解けはじめているかのようです。

来年からは、経済的にも環境的にも厳しくなるといわれています。
そんな時代、ぶれずに生き残っていけるのは、
規模の大小を問わず、こういった企業ではないでしょうか。
おなじ “強い” でも、
鋼(はがね)の硬さではなく、柳のしなやかさです。
こういう企業が増えてほしいと思います。

といっても、
「生き残るためにそうしよ!」 っていうのでは、
本末転倒、相変わらずの20世紀型ですけど。 


    -----


ミドリムシのおにいさんたちに会いたい方は、こちらへ↓

    株式会社ユーグレナ
    http://www.euglena.jp/


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