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[67] 手続きのミルフィーユ

2012/04/17

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      アクアタック研究室  mail magazine - 67  2012/4/17
             
              【 手続きのミルフィーユ 】

                  社会  ◇ レポート
               
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うろ覚えですが、昔、こんな落語がありました。

ひとりの男が屋台の蕎麦屋へやってきます。
「蕎麦1杯おくれ」

そこで屋台のオヤジ。
「じゃあ、食べてもいいかどうか、
  医者の診断書を取ってきてくれませんかね」

驚きながらも客が診断書を持ってくると、
「今度は、
  まずくても文句いわないっていう契約書にサインして、
  実印を押してくださいな」

実印を押すと、
「あと、印鑑証明書と住民票をお願いします」

こんな手続きが延々と繰り返されて、なかなか蕎麦が食べられない、
という話。


                           ☆    ☆    ☆


これ、笑い話ではなくて、結構現実です。

とにかく、父の死に次いで母の入院。
片づけても片づけても、手続きが際限なく湧いてきます。
まるでゾンビ!

まず、葬儀からして要領を得ないところへ、
役所、病院、銀行、保険、電話、カード会社、等々の手続き。
しかも、
父の証明書を取ろうとすると、母の委任状が求められ、
母は寝たきりで委任状にサインできないと言うと、
さらに別の手続きを求められ …

こんなことばかりの3ヶ月でした。
私夫婦と弟夫婦で手分けし、銀行や税理士さんにもお願いしているのに、
仕事時間の半分を割(さ)かれる始末。

そんな騒動のひとコマです。


■ 謎のダイイング・メッセージ

父は病院に運ばれて4日目に息を引き取ったのですが、
その間、弱い息に乗せて、私たちにメッセージを伝えました。

    同級生のあいつに連絡してくれ。
    確定申告の残りをやっておいてくれ。

          ・・・・・・・

なかには、こんなのもありました。

    冷蔵庫にお取り寄せのキムチと干物があるから、
    みんなで分けるように。

人生の幕閉じに言うセリフでしょうか?

                〜〜〜〜〜

こうしたメッセージのひとつに、父の口座の暗証番号がありました。

―― これが騒動の発端!

父が亡くなると葬儀費用が生じますし、入院費用の支払いもあります。
準備のいい父でしたから、それを考えたのでしょう。

とはいえ、その病室にはほかの患者さんもいますから、
まともに暗証番号を言うわけにいきません。
そこで父は、暗号化して諺(ことわざ)のような一節を口にします。

    「○○に△△」

それが、金庫に入っている通帳の暗証番号だというのです。

といわれても …

    ?????

どうすれば、これを4桁の数字に置き換えられる?
全員の知恵を結集するも、糸口さえつかめません。

    円周率の一部だろうか?
    親戚の電話番号だろうか?
    「○○に△△」 は何年か前に聞いた覚えがあるけど …


しかも、事は急を要します。
死亡届を出せば口座は閉鎖されますから、
その前に、当面の現金を引出しておかなければなりません。

仕方がないので、通帳とカードだけでも出しておこうと、
金庫から始めることにしました。
こちらは大丈夫です。
小さな金庫ですし、番号もわかってますから。

ところが …


■ 海上自衛隊出動

いざ開けようとすると、びくともしません。
誰がやってもダメ。企業人間の弟も歯が立たない。
といって、ダイヤルを回す回数や番号は間違いありません。
回し方が悪いのでしょうか。

その時、海上自衛隊に勤める甥(おい)が来ていました。

    自衛隊なら、
    基地に潜入して機密文書を持ち出す訓練くらいしているかも♪

期待したのですが、こちらもアウト。

絶望していると、
さすがですね。甥は、金庫の会社に電話して、回し方を探り出しました。
「開いた!」 の声。

しかし、
通帳とカードは手にしたものの、暗証番号はわからないまま …


■ 天啓により暗証番号判明

どう考えてもわからないので、暗証番号はあきらめました。
銀行の面倒な手続きを踏んで下ろすしかない。

そうして、弟の車で帰ることになり、全員乗って走り始めました。

その時です。

    わかった!

私の脳裏を暗証番号が直撃しました。
それは、かつて父から聞いた記憶とも一致します。

まるでアクション&サスペンス映画ですね。
時限爆弾が爆発する寸前に解除コードを思い出す、
なんて、よくあります。


なぜ突然解けたのか、それはいまだに不明です。
ただ、ひとつだけ思い当たります。
車内のテレビでバラエティー番組をやっていたのですが、
そこに出ていたタレントの名前が、
暗証番号の読み方と重なっていたのです。
たとえば、花子 → 875 という具合に。
きっと、それがヒントになったのでしょうね。


■ 現金引出し作戦

こうして、現金まであと一歩に漕(こ)ぎ着けることができました。

とはいえ、最近の銀行のルールでは、
まとまったお金を一度に引出すことはできません。
限度額内で何回かに分けて出すことになります。

そうなると、怪しまれないかどうかが気になります。
もちろん、悪いことをしているわけではないのですが、
自分の口座ではないだけに、聞かれるとややこしい。

そこで、あれこれと手を考えます。

    ・ ATMで引き出す時に地域を変える。
    ・ ふたりで行き、ひとりが警備員と話している間にもうひとりが引出す。
    ・ 壁伝いに動けば、防犯カメラに写りにくいのでは?

あるいは、

    「毎回別の人間が引出すようにしては?」
    「いや、それでは、組織的な犯行と見なされて大ごとになる」


そんなわけでちょっとしたビビリはありましたが、
必要なお金はなんとか揃(そろ)い、ひとまず一段落しました。


        *  *  *  *  *


ひとりが亡くなっただけでも、えらいことですね。
資産家でもないのにこうです。
資産家だったら、どれほど大変でしょうか。
現に、
息子が会社をやめて資産管理に専念する、という話を聞きますが、
ありえます。

私たちは、
いったいどれだけの手続きを身に纏(まと)って生活しているのでしょうか?
十二単(ひとえ)どころではありません。ミルフィーユ。

人間て、変な生き物です。


… そんなことを考えていると、まだ “まつわる話” がありそうです。
吉田類さんではありませんが、
このあと2件くらい行ってみようと思います。  では。


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  • aquatack2012/04/22

    HMさま



    残された者が大変だとは聞いてましたが、よ〜くわかりました。

    これまでも周囲を整理するよう心掛けてはいたものの、まだ甘かったですね。

    もっとシンプルにしなければ、と実感いたしました。

  • HM2012/04/21

    おかえりなさい。 文章からでも大変だったことが伝わってきます。

    >    ・ ふたりで行き、ひとりが警備員と話している間にもうひとりが引出す。

    >    ・ 壁伝いに動けば、防犯カメラに写りにくいのでは?

    まるで犯罪者みたいですね(笑)。

    しかし、葬式・法事や手続き等の煩雑、大変さは何とかならないものかと思います。