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[36] 飽きた頃に売れる

2010/09/15

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      アクアタック研究室  mail magazine - 36  2010/9/15
             
              【 飽きた頃に売れる 】

                  経営 ◇ エッセイ
               
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≪飽きた頃に売れる≫

テレビを見ていたら、
あるお笑い芸人さんがこんなことを言っていました。
「売れない、売れない … のまま、
  あるギャグをさんざんやって飽き飽きした頃、
  それがブームになった」

「そいういうものかなぁ〜」 と思いましたが、
そういえば、
大学で教えている知人(数学者)も、似たようなことを言っていました。
「自分が学生に教えてお金になっているのは、
  自分の中ではすでに過去になった部分。
  いま取り組んでいる研究ではない」

確かにそうですね。
これからその道に入ろうとしている学生さんたちが学びたがっていることは、
先生にしてみれば、
何十年も前にさんざんやってマスターしたこと、済んだことでしょうから。

これは、企業の製品開発でも同じだと思います。
企業では、10〜20年先のために製品開発をしています。
いいかえれば、
いま店頭に並んでいる製品、
つまりお客さんがいまターゲットにしている製品は、
10年も20年も前に研究されていたもの、
ということになります。

となると、
情熱を傾けて開発した製品が世に出る頃には、
開発者たちの関心は次の10年、20年に移っているはずです。

その意味で、
企業や開発者にとっても、
お金になっている部分、というのは、
やはり、“さんざん取り組んで過去になった部分” だといえます。


これは、
逆に、買う側として考えてみると、よくわかりますね。

たとえば、
タクシーの運転手さんが運転そのものにハマっているとしたら、
それには乗りたくないでしょ。

「いま、運転するのが面白くてたまらないんっすよ〜。
  発進の仕方、カーブの曲がり方、色々試すのが楽しくって …。
  で、お客さん、どちらまで?」
「あ、忘れ物をしちゃった! ごめんなさい、キャンセル」

運転の様々をやり尽くし、
お客さんが安心して乗っていられるようになった時、
はじめて、「運ぶ」 という “商品” が成り立つわけです。


すべてとはいいませんが、
人がお金を払うのは、多くの場合、こういった “過去の部分” に対してである、
というのは、事実ではないでしょうか。



≪面白がっているうちは “開発中”≫

要するに、
本人が面白がっているうちは、
それは、“開発中の品” つまり “未完成品” でしかないのです。
“未完成品” にお金を払う客はいません。

飽きるくらい取り組んではじめて “商品” は完成するし、
“商品” が完成してはじめてお金はやってくる、
そういうことなのだと思います。


と聞くと、こんな疑問が湧くかもしれません。

「喜々として歌いながらも稼いでいる歌手がいますけど …」

もちろんいます。
それに、演技でそう見せているのは別としても、
歌っていることに心底喜びを感じている歌手の方は多いでしょう。

ただ、そういった歌手であっても、
お客さんがお金を払っているのは、
馴染みの歌をその歌手が歌っている、という部分に対してではないでしょうか。

歌手自身は、
次のステップとしてその歌をより深めることやレパートリーを広げることに
生き甲斐を感じているに違いありません。
しかし、ほとんどのファンは、
そこには気づいていないでしょうし、
気づいていたとしても、それにお金を払う気はないでしょう。
なぜなら、
その部分は、まだ試行錯誤の段階であって、
支払うに値する完成品=商品になっていないからです。

やはり、本人が面白がったり熱中したりしているうちは、
商品として売りに出せないのです。

ですから、
もし、みなさんのなかに、
「熱心に取り組んでいるのにお金にならない」 という方がおられましたら、
飽きるまでなさったかどうか、自問してみてください。
そして、“商品” になるまで(飽きるまで)なさってみてください。

その “商品” というのは、米粒ほどの小さなものであっても構いません。
コピー取りしか頼まれない新入社員でも、
見やすいコピー、綴(と)じやすいコピーなどを工夫すれば、
それが自分の “商品” になります。



≪開発中とは別のやり甲斐(がい)が≫

では、‘飽きた頃に売れる’ のなら、
やり甲斐とお金は両立しないのでしょうか?
お金を受け取る頃には、仕事の喜びはないのでしょうか?

そうではありません。
今度は、
“商品” を通して人や世間の役に立つ、というやり甲斐に変わります。
つまり、
個人的な面白さ(やり甲斐)から人に奉仕する面白さに移行するわけです。


ただ、念のために申し添えますと、
その際、あとひとつだけ作業があります。

飽きるまでやって “商品” ができたといっても、
正確に言えば、‘世間に出す一歩手前’ の状態です。
それを世間に通用する形に整える、という、いわば整形作業が必要なのです。
仕上げですね。

たとえば、
作家が作品を書き上げたとしても、そこで終わりではありません。
家族や編集者の目を借りて、
分かりづらい箇所を書き直したり、くどい表現を削ったりします。
このようにして、世間の人が受け取れる形に整える必要があります。

といって、これは、
妥協する、ということではありませんし、
流行に甘んじる、ということでもありません。
あくまでも、個人レベルを超えた ‘客観性’ を持たせる、ということです。


こうして、私たち個人のなかにあった “面白いもの” が、
一人歩きできる “商品” として世の中に出て行くことになります。


     * * * * *


目の前のことを個人的に面白がっているうちは、
それに関する限り、きっと、まだシロウトなのです。
シロウトには、誰もお金を払いません。

ぜひ、
ご自分のなかでモゾモゾ動いているものと飽きるまで格闘して “商品” の形にし、
それを以って人々のお役に立っていただきたいと思います。
(その頃には、次の “商品” に取り組んでいることになります)

咲かぬなら
    咲くまで待とう
        銭の花


以上、自戒を込めて (・_・;) 。
… 実はこのメルマガも、まだ自分で面白がっている段階です。
なが〜〜い目で見守ってやってください。


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