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[28] 不協和音に罪はない

2010/05/15

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            アクアタック研究室  mail magazine - 28  2010/5/15
             
                                 【不協和音に罪はない】

                                    音楽 ◇ エッセイ風
               
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このたび、新たに1名の方が、当メルマガの読者登録をしてくださいました。
ありがとうございます。
好き勝手に書いておりますが、よろしくお付き合いください。


                               ☆    ☆    ☆


特に精神世界系でしょうか、時折、こんな言葉を見聞きします。
「協和音の音楽を聴きましょう。不協和音の音楽はダメです」
多くの方が 「その通りだ!」 と思っておられるでしょうね。
ところが …


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まずはひとつの和音から
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はじめに、ひとつの和音をご紹介します。
といっても、
このメルマガでは楽譜など図形の類(たぐい)は描けないので、 
文字と記号だけで書きますが、こんな和音です。
低い音から順に、

ソ♯   ラ   シ   ド   レ   ファ♯

この6つの音からなる和音です。
ピアノなど鍵盤楽器(キーボード)をお持ちの方は弾いてみてください。

とんでもない不協和音ですね。
音を出せなかった方でも、
文字と記号から少しは想像できたのではないでしょうか。


さあ、なんの和音か、分かりましたか?

子供のいたずら?
戦後の前衛音楽?

ピアノではちょっとイメージがつかみにくいかもしれませんが、
リードオルガンやオーボエの音色なら、ひょっとして分かるかも …

実はこれ、日本古来の音楽、雅楽なのです。
雅楽で “笙(しょう)” という楽器が奏(かな)でる和音のひとつです。
(雅楽では、“和音” と呼ばずに “合竹” と呼ぶようですが)
松平頼則/著 『新訂 近代和声学』 (音楽之友社) から
引用させていただきました。

では、 「不協和音の音楽はダメ」 と言うのは、
「雅楽なんか聴くな」 ということなのでしょうか。

まさか、そんなことはありませんよね。


雅楽にかぎりません。
そもそも、民俗音楽では、“不協和音” がいたるところに出てきます。
世界の音楽の大半は “不協和音” で成り立っている、
といってもいいくらいです。

さらにいえば、音楽だけではありません。
私たちが心地好いと思っている自然界の音もそうです。
小川のせせらぎ、木々のざわめき、虫の音(ね)、鳥の歌 …
これらもすべて “不協和音” です。
ドミソ〜 で合唱している鳥なんて、いないでしょ。

ですが、こういった音楽や音を聴かないとしたら、
とても寂しい世界になってしまいます。


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不協和音のない音楽はありえない
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一方、クラシックなどの西洋音楽だけを見ても、
不協和音のない音楽なんて、まずありえません。
あるとしたら、メロディー1本だけの音楽か、
ド・ミ・ソ だけでできている開会式のファンファーレくらいです。

たとえば、モーツァルトの楽譜すべてをしらみつぶしに調べたとしましょう。
それでも、
不協和音を使っていないページは、1ページも見つからないと思います。

そんなバカな …

分かりやすい例でご説明しましょうね。
(メンドクサイ方はすっ飛ばしてください)

みなさんよくご存知のチューリップの歌。
咲いた〜、咲いた〜♪ のチューリップです。

この歌の始まり 「咲いた〜」 の部分は、音としては ドレミ〜♪ です。
そして、このメロディーに対して、普通は ドミソ の和音がつきます。

すると、メロディーの ド と ミ はいいのですが、
レ の音が鳴ったとき、
一瞬、ドミソ の和音との間に不協和音(不協和音程)が生じます。

こんな場面が、どの音楽にも数え切れないほどあります。

では、不協和な部分をなくしたら … ?

確かに、“きれいな音楽” にはなるでしょう。
しかし、恐ろしいくらい空(うつ)ろになって、
“美しい音楽” はすっかり姿を消してしまいます。


不協和音のない音楽なんてありえない、
という意味がお分かりいただけたでしょうか?


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ドミソ も昔は不協和音
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話のついでにもうひとつ。
ドミソ の和音も、昔は不協和音だったのです。

… なんて言われても信じられないでしょうが、
中世の西洋では、ドミソ の和音は、ほぼ不協和音扱いだったのです。
ド と ソ だけならいいのですが、
ミ の音が入ると、
当時の耳にはきれいな和音に聞こえなかった、というわけです。
この頃、ドミソ の和音をたくさん使う作曲家は、
「危険な作曲家」 として煙たがられていたのかもしれませんね (・_-;)

一方、いまは、
ドミソ より複雑な和音でも、あたりまえに使っています。

このように、協和/不協和の基準は、時代によっても異なります。

ですから、
「協和音ならマル、不協和音ならバツ」 などというのは、
随分乱暴な区別なのです。


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あまりに安易な色分け
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このように書いてくると、揚(あ)げ足取りに思われるかもしれません。
「音楽家じゃないんだから、
音楽用語の使い方が少しくらい間違ってたっていいのに」

確かにそうです。
「不協和音はダメ」 の 「不協和音」 も、
「永田町では不協和音が …」 という意味で使っておられるのでしょう。

ただ、あまりにも安易な色分けが横行しているのではないでしょうか。
それが、「不協和音はダメ」 に象徴されているように思うのです。

たとえば、
「不協和音はダメ」 とおっしゃる方々は、こんな言い方もなさいます。
「クラシックを聴きましょう。ロックやジャズはダメです」


このようなモノの見方、浅薄(せんぱく)ではないでしょうか。
私は、そんな気がしてなりません。

みなさんは、どう思われますか?


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