[ささやかに ひそやかに 第0008葉]

2009/02/16

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目次+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-・+-

1.『いちご大福れもん味』(小説)

2.雑談

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1.『いちご大福れもん味』(小説)
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二月十一日 水曜日



もうすぐ、夜が明ける。心配で眠れない。
このノートに向かっているとなんだか気がまぎれるので、こうしている。
手がかじかんで、もうペンを持っている感覚があまりない。

あきさんは、どこに居るんだろう。
本当に無事で居るのか、心配。
何かあったら、パパから電話があるだろうから、それを待っている。




……本当はパパから電話なんて、あるわけないのは分かっている。
もし事故に遭ったら
県外に住んでる親戚なんて、そうそう割り出せるわけないだろうし。

ここの電話が鳴るはずだ。
どうか、どうか鳴りませんように……。



二月十二日 木曜日



あきさんなんか、もうだいっきらいだーっ。

あんなに
あんなに、あんなに心配したのに

有給とって遊びに行ってただけだなんて……もう、もうさーやはあき
さんのことなんて、ミジンコの大きさも心配なんかしてあげない!
さーやは、おこった。
本当に怒った。

なんで私を連れてってくれないんだろっ。

っていうか、連絡くらい欲しいよ。……ひどいよ。


でも、お土産のご当地ポッキーは、しっかりもらっちゃったもん。
食べ物でつろうとするなんて……。とか思いながらも、お土産がもらえて
うれしかったりする。ゲンキンだな、さーやは(汗)
あした奈美ちゃんに1個あげよう。

でもでも、あきさんを許したわけじゃないからね!




二月十三日 金曜日

自分の馬鹿さ加減に、つくづく嫌気がさす。



あきさんが傷心旅行(で合ってる?ほんとに?)に
出かけるような人じゃないってこと
気づかなかったから。

いやそうじゃないな。察せなかったってほうが、
正しいかも。

夕べは旅行が楽しかったからテンションが高かったわけじゃなかったんだ
ろうな。……強がってみせてたのかもしれない。
それを分かろうともしないで、勝手におこってた自分が情けない。
もう、こんなじゃ、あきさんのそばにいる資格ないよ。

ただのお荷物じゃ、さーやはいやだ。

せっかくあきさんと一緒に暮らせるのに、何かの助け
にもならないどころか(そんなたいそうなモノにはなれないだろうけど)
気をつかわせるだけだなんて。

さやは恥ずかしい。

あんなにツラそうなあきさんに、気を使わせていたのかと思うと……。

自分の部屋で泣いてるあきさんを見るまで、気づかなかったなんて。

今週のはじめなんかよりも、もっと辛そうだよ。
話しかけられないよ。

さーやに気をつかってるのか、リビングやキッチンでは、今日だって昨日
だっていつものあきさんなんだもん。
そっちの方がとっても辛いよ

見てるほうは。


どうしてこんな子なんだろう。
もっと、人のことを気遣える人間になりたい。




二月十四日 土曜日



昼間は風が強くてすっごくイヤだった。

せっかくあきさんと映画に行ってきたのに、車から降りたとたん。風でセッ
トがぐちゃぐちゃに乱れちゃったんだもん。
へこんでたら、あはははーって頓狂な声がするから振り返ると、あきさん
笑いすぎてドアの鍵穴にキーが入れられないくらい震えてるの。すっごく
恥ずかしかった。
だってそれほど変な髪形になっちゃったってことだもんね。
へこむよ。

あーあ。

そうそう、今日がバレンタインだってさっき気がついたよ〜。もうやんなっ
ちゃう。
いろいろあったもん、仕方ないよね、今回は……。って、自分をなぐさめ
ることにしました。心に余裕があったら、きっとあきさんにチョコレート
を渡せていたはずなのに、ざんねん!




二月十五日 日曜日



リビングが冷えるので、毛布にくるまってビデオを観ていました。
腰のあたりがもぞもぞするから、見てみるとあきさんの頭が。
かなりびっくりした。

入るんならひとこと言ってからにしてくださいっ。

もうほんとに心臓に悪いよ。
それに毛布は一人用です。無茶しないでください。
でも、ぴったりくっついてテレビ観るのって、なんだかいい感じ。心がほわ
ほわした。

とか、ですます調で書いてみた
書いてみても、あきさんは、これもう読まないんだよぉ
へこむよ。。。

それにしても、昨日と比べるとかなり寒いなぁ。お父さんが熊本に持っていっ
た、コタツが恋しいな。



二月十六日 月曜日

登校するなりめぐに捕まっちゃった。

「一昨日のあの人、だれ。彼氏?」だって。

いきなり言われたから、何のことか分からなくて動きが止まっちゃったよ。

どうやら映画館で、私とあきさんを見かけたらしい。
彼氏じゃなくて、叔母さんだよって言ったんだけど。
どうも信じてくれなかったっぽい。

週の頭からテンションの高い彼女に、ちょっとぐったりだ。ごめんね、めぐ
たん。

めぐには、あきさんが男に見えるのかと、それにびっくり。
そのことをあきさんに話したら笑ってた。はにかんでたっていう方が近いか
な。
そんなこと言われてうれしいだなんて、さーやには理解できません。
どうせなら、かわいいって言われたいよね。

でも、めぐがあきさんをそう見間違えるのも、もしかしたら仕方ないことな
のかな。
あきさんったら、その前日にベリーショートにしたばっかだもんね。しかも
あの日は時間がなくて、ノーメイクだったし。もともとあきさんは細い上に骨
太だし(これ言ったら叩かれそう)。

遠くから見たら、華奢な男の人って感じなのかも。
今度、離れて見てみよう。

そだ。奈美ちゃんのオススメ本、メモっとこ。
「キノの旅」「こころ」「なんて素敵にジャパネスク」
奈美ちゃんはいっぱい本読んでるんだなー。全部知らない小説だもん。
がんばって読むぞー。



二月十七日 火曜日

あきさんのお部屋をこっそりのぞいてみたら、今日も泣いてた。

もう、たまんないよ。

声、かけた方がいいのかな。
知らない顔してた方がいいのかな。

どっちにしたらいいんだろう。
さーやはまだ子供だから、おともだちと離ればなれになっちゃったあきさ
んに、なんて言葉をかけたらいいのか、わかんないよ。




二月十八日 水曜日

学年末考査まであと少し。


だんだん周りが勉強モードになってきちゃった。けれど、さーやはそれどこ
ろじゃないかんじです。
あきさんのことで頭がいっぱいで、どうしようもないよ。
うーん。

でも、勉強もしなきゃね。
留年だけはしたくないもん。



二月二十日 金曜日



今日は、奈美ちゃんと帰りがけに本屋によった。

ファストフードとかだったら、早坂さんたちと行ったこともあるけど、本屋っ
ていうのは初めて。

それに、試験前なのに本を買うのも初めてだ。
いまは、以前よりずーーーっと暇な時間が増えちゃった。
なんだか別世界だな。
二学期の中間考査のときは、早坂さんたちと一緒だったのに。

それは置いといて、奈美ちゃんに前、紹介してもらってたものを購入。

いつもならかわいい表紙の本を選ぶさーやなのだけど、きょうはちがう。

「キノの旅」っていうのにしてみた。

お店の棚の前に表紙を上にしてシリーズで、かさねて置かれていた。
人気があるのかな。
このくらい、というか、こんなさびしげな感じの表紙を選んじゃうなんて。

不思議。

気持ちが落ち込むと、読みたいものまで変わっちゃうのかな。
あきさん、早く元気にならないかな。
ムリかな。

……さびしいよ。



今度買うもの「こころ」……?
↑図書館でかりたほうがイイ?




二月二十一日 土曜日

昨日買った小説をリビングで読むとはなしに、読んでいたら、暇そうにご
ろごろしてたあきさんに取り上げられちゃった。
「勉強しなさい」だって。
そんなお父さんみたいなこと、言われたくないよう。
それに、今までは試験直前でもこのぐらいの時期だったら、そんなこと絶対
に言わなかったのに。
なんだか、口やかましいオバサンみたい。
あきさんは、とっても美人さんなのに、これじゃ台無しだよ。
そのことをうっかり口に出しちゃって、叩かれちゃった。
軽く、本の背で、こつんとされただけなんだけど、あきさんの機嫌を損ね
ちゃったのがショックで、少し涙ぐんでしまった。
せっかく、あきさんが作り笑いも、妙な高いテンションもみせないで、リ
ラックスしてくれ始めてたのに……。
どうして、さーやはこんななんだろう。
もうくやしいよ。

口は災いのもと、ってこのことなんだろうな……。
まだショック。

本は返してもらえなかった。
ひどい。……でも勉強しないさーやが悪い、のかな。
あきさんが、いじわるしてるだけなのかな。



……いま気づいたけど、二日つづけておわりに、「かなかな」書いてる。
ちょっとだけ、おかしかった。




二月二十ニ日 日曜日



今日はちゃんと、自分の部屋で勉強した。
といっても、ほんのわずかなんだけど。

それでも、言われる前にやったのがよかったのか、あきさんが本を返して
くれた。

そのとき「……ごめんね」ってあきさんが言った。

なぜそんなことを言われたのか、そのときは理解できなかったけど、今は
なんとなくだけど分かる、ような気がする。

それから、あきさん、勉強してるわたしの後ろで、ベッドに腰かけて、日
なたぼっこをしてた。
それがとても、寂しかった。
いつもなら、「あったかいよ、おいで」って言って、抱きしめてくれるの
に。

「このアパートの部屋で、日なたぼっこができるのはさーやの部屋だけな
んだよ」って寒くなってからは、よくそうしていたのに。



あの女の人がいなくなってから。


会社を休んでまで、あの女の人の帰っていった街にいってから。
あきさんは、
さーやに少し気を使うようになっちゃった。
なんだか、さーやに触ったりくっついたりするのにも、えいって、力を入
れてるみたい。
それに今日、はっきり気づいた。

あきさんが、どんどん知らない人になっていくみたいで、すごく、泣きたい。
これが、切ないっていう気持ちなんだろうか……。




二月二十三日 月曜日



徹夜明けです。今、窓の外でことりが鳴き始めました。
ああ、ことりって字が思い出せない。徹夜は書けるのに……。

あのあと、夜中からまた勉強した。はかどり過ぎて、朝になっちゃった。
なんでそんな時間に目が覚めたのかといえば、来客があったからだ。
結構、年が上な感じの声がドアの外でしたので、驚いた。あきさんのおと
もだちなのかな?って不審に思って耳をそばだてていたら、玄関先で少し
話しただけで帰っていった。
しばらくすると、あきさんの車が駐車場から出て行くのが分かった。
あきさんの車なら、音だけでわかる。

あわてて、あきさんに、車はどこに行ったのか聞くと、その人に貸したそ
うだ。
「10日は返さなくていいよ」ってことにしたらしい。
車の貸し借りなんて、初めて。大人はそんな高いものでも、貸せるんだな
あ。
あきさんはその間、電車で通勤するそうだ。
不便じゃないのかな。
それに筑電はJRよりもひどい揺れ方をするのに。わたしだったら、きっ
と休日以外、車なんて貸さないと思う。

でも、あきさんは電車通勤を無性にしたくなることが多いんだって。
そういえば、一緒に暮らすようになってからも、何度も電車を使ってた。
だったら、自動車は何のために買っているのだろう。
電車で通勤すればいいのにね。
ふしぎ。

その後、あきさんは、すぐ自分のお部屋へ帰っちゃった。
もっと、いろいろお話したかったのだけど、どうにも……。
その会社の人と話すときは、ほんとうにふつうの感じだった。

じゃ、なんで、さーやと居るときだけ、あんななんだろう。
徹夜のほんとの理由は、これかも。
ノート広げてても、このことが頭の中をぐるぐる回ってる。

ああ、ほんとに朝になった。
外が明るい。


もう、眠れないね。



(つづく)




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2.雑談
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さて、お料理週間もなんとかのりこえ
通常営業に入っております

今回から発行元が変わりました

新規一転
完結まで
がんばっていきます

お付き合いいただければ、幸いッス

    Nitta Junko

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創刊日:2008-12-24  
最終発行日:  
発行周期:6、16、26  
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