ジャーナリズム

ゲンさんの新聞業界裏話

新聞拡張員ゲンさんが、悪質な勧誘員から身を守る方法、営業理念や人生勉強に役立つ情報、新聞業界の裏話などを語りかけます。全編関西弁で語られているゲンさんの軽妙で面白く、含蓄の深い世界をお楽しみください。


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第481回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞業界の造語、および業界用語について

2017/08/25

■新聞業界の造語、および業界用語について


ある読者から、『「実配」の正しい読み方を教えてください』という短い質問
メールが寄せられた。

これに対してハカセは、

……………………………………………………………………………………………

サイト管理者の白塚博士(ハカセ)です。

>「実配」の正しい読み方を
>教えてください

とのことですが、「実配」という正式な熟語は存在しませんので、正しい読み
方というのもありません。

「実配」という熟語は新聞業界で通用している「造語」です。

敢えて言えば「じつはい」が、最も正しい読み方と言えるかも知れません。PC
でも「じつ」と「はい」以外では「実配」とは変換されませんので。

ただ、造語というのは、その業界、あるいは特定のコミュニティのみで通用す
る言葉で、個人や地域、グループにより、それぞれ異なる読み方、呼び方があ
るものです。

一般的には「じつはい」、「じつばい」、じっぱい」ということになろうかと
思います。

そのいずれが正しくて、間違いということではありません。そもそも造語とは、
その業界で作り出されたものですから、比較的自由に読まれ、呼び習わされて
いるものですので。

時が経ち、それが一般に広く使われ、認知されるようになると、正規の熟語と
いうことになり、そこで初めて「正しい読み方」が生まれるのだと思います。

新聞業界には、これに類似した「造語」が数多く存在しますので、次回、8月
24日発行予定の当メルマガ「第481回 ゲンさんの新聞業界裏話」の中で
言及したいと思います。

……………………………………………………………………………………………

と返信した。

それもあり、今回のテーマを『新聞業界の造語、業界用語について』とさせて
貰うたわけや。

それにしても、『「実配」の正しい読み方を教えてください』と問われると、
一瞬「ん?」となる人も多いのやないかな。

「実配」という言葉は国語辞典などの辞書には載っていない。そのため、どう
読むのが正しいのかが分からず質問されて来られたのやろうと思う。

多くの人が誤解されているようやが、国語辞典に載っているからといって「正
しい言葉」とは限らないということがある。なぜなら、国語辞典は正しい言葉
を載せるための書物ではないからや。

国語辞典は「現在の、日本国内で多用され、相手に自分の意思が伝わり、世間
に定着している言葉を、元来日本語であるか外国語が起源であるかは無視し、
その言葉の本国である外国での文字・読み・用法・用例・意味も無視し、編集
者の語感によって文字・読み・意味を決め、元来の正誤に関係なく載せる書物
である」と定義されている。

つまり、国語辞典における「正誤」とは「実用的か否か」で判断しているだけ
で、正しいか、間違っているかの判定は度外視しているということや。

とはいえ、普通、国語辞典には「正しい言葉が載っている」と誰でも考え、そ
う認知されているがな。

どんな業界にも業界用語と呼ばれるものが存在する。その大半は、それぞれの
業界が独自に作り出した「造語」や。

ちなみに、「実配」と混同して使う言葉に「実売」というのがある。意味合い
や発音は殆ど同じで説明するのは難しいが、実際に配達する場合を「実配」、
本当の売り上げを「実売」と使い分けるのが妥当やないかと思う。

当然かも知れんが、造語や業界用語は、その業界のみで通用する言葉で、一般
にはあまり知られていない、認知されていないケースが多い。

今回は、そんな新聞業界の造語に特化した業界用語の類を紹介しようと思う。

……………………………………………………………………………………………

新聞業界の造語、あれこれ


【新聞】  シンブン

新聞とは、中国唐時代の随筆『南楚新聞』で初めて使われた言葉とされている
が、それが語源とは言えない。というか、そんなことを知っている人は殆どい
ないものと思われる。

知られているのは、英語の「ニュース・ペーパー」の和訳からのもので、当時、
「新聞」と訳されていたため、そのまま使われるようになったと言われている。

ただ、英語の「ニュース」には、「新しく一般にはまだ知られていない出来事
や情報」という意味しかなく、「ニュース・ペーパー」を「新聞」としたのは、
やはり、造語、業界用語の類と言えるのやないかということで、ここに掲載し
た。

もっとも、一般の認知度の高さから言えば最早、造語、業界用語とは言えんの
かも知れんがな。


【全国紙】 ゼンコクシ

読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞・産経新聞の5紙のこと。

全国に販売店を有し、販売・配達している新聞という条件がある。但し、日本
経済新聞だけは専属販売店が他の全国紙に比べて極端に少ないため、他の全国
紙、ブロック紙、地方紙に販売・配達を委託しているケースが多い。


【ブロック紙】

北海道新聞、中日新聞、西日本新聞の3紙のこと。中日新聞系列の東京新聞を
含めて4紙とするケースもある。

複数の都道府県に跨って営業エリアを持つ。但し、北海道新聞のみは北海道限
定やが、その販売地域の広さと部数の多さで、地方紙・県紙の扱いではなくブ
ロック紙とされている。


【地方紙】 チホウシ

県紙、地域紙、ローカル紙とも呼ばれ、都道府県に必ず1紙以上は存在してい
る新聞のこと。全国に179社存在すると言われている。

戦前からの新聞統制による、1県1紙制の導入が現在も維持されているが、県
により「第二県紙」と呼ばれる新聞社が存在する地域もある。また、県内でも
一部だけに発行している地域新聞も地方紙の部類に属するとされている。

一般的に全国紙よりは部数も規模も小さいが、関東・関西以外の地方紙は、ほ
ぼ独占的なシェアを誇っているケースが多い。


【タブロイド紙】

日本では夕刊専門紙を指すことが多い。タブロイドとは、紙のサイズでタブロ
イド版と呼ばれる597ミリ× 375ミリの用紙のことをいう。

ちなみに、一般紙と呼ばれる新聞はブランケット版と言い、こちらは810ミ
リ×540ミリのサイズで、タブロイド版よりもかなり大きい。

もともと、タブロイドという言葉には「凝縮された」という意味があり、タブ
ロイド紙というのは、読んですぐに分かるように簡略化して書かれた報道記事
主体の新聞という意味合いがあった。

ただ、現在では、「タブロイド紙」と称されるものには、センセーショナルに
誇張された芸能専門紙という側面の強い新聞という意味が含まれるとされてい
る。


【専門紙】 センモンシ

「業界紙」とも言う。特定の産業や業界の記事を中心に掲載する新聞のこと。


【機関紙】 キカンシ

政党や宗教、各種団体などの組織が、定期的に発行している新聞のこと。販売
店への委託配達、個別郵送などで配布している。また、組織によれば自前の販
売店もある。

ちなみに、この機関紙には、「特定商取引に関する法律」などの訪問販売に関
する法律が適用されないことが多い。そのため勧誘されてもクーリング・オフ
ができないというケースもある。


【協力紙】 キョウリョクシ

特定の新聞社と持ちつ持たれつの関係にある新聞のこと。スポーツ紙、業界紙
などに多い。


【紙】 カミ

新聞業界で「新聞紙」、あるいは「新聞」そのものを指す言い方。


【赤紙】 アカガミ

新店舗の開店時に2日〜数日間程度、顧客サービスの一環として新聞社主導で
行われるサービスの場合に使われている言い方。

無料サービスの新聞である「無代紙」や「試読紙」を指す場合もある。これは、
新聞社にとって、タダで顧客に与えるため、「赤字になる新聞」という意味が
込められているものと考えられる。


【無代紙】 ムダイシ

公正取引委員会などの行政が好んで使う言い方で、無料サービスの一環として
配られる新聞のこと。例えば、1年契約で3ヶ月分の新聞代を無料にするとい
った具合や。

但し、公には禁止されている行為で、景品表示法にも抵触する可能性があると
考えられている。ちなみに、業界では「S(サービスの頭文字)」と言うのが
一般的や。


【試読紙】 シドクシ

最長、一週間を限度として、一般家庭や企業などに宅配される無料新聞のこと。
これについては公式に認められている。


【ブン屋】

新聞記者のこと。新聞の「聞」、あるいは書く「文」からブン屋と言われたと
されている。どちらかというと、新聞記者を卑下した言い方になる。


【御用】ゴヨウ 

企業メッセージを伝える記事のこと。「御用記事」とも言う。あるいは「記事
体広告」と言われることもある。

一般に新聞や雑誌などにおいて通常の記事とよく似た体裁で載せられる広告の
ことを指す。記事の対象となる相手、企業が広告料などを負担し、企業、広告
代理店側の情報をもとに執筆掲載される。


【一面】 イチメン

新聞の表紙面のこと。トップ面とも言う。主に政治や経済、センセーショナル
な記事が掲載されている。ちなみに、その裏面の二面には、その補足記事が掲
載されているケースが多い。


【三面】 サンメン 

犯罪などの一般雑事件の報道記事のこと。三面記事とも言い、この呼び方の方
が一般には知られている。

昔の新聞は四面しかなく、一面が政治、経済、二面がその補足、三面に犯罪な
どの一般雑事件の報道記事が多かったので、そう言われている。

イメージ的に内容の落ちるものが掲載されていると考えられがちやが、必ずし
もそうやない。

その昔は、一面、四面などの外側に重要な記事を掲載すると、新聞配達中に雨
で濡れて読めなくなってしまうおそれがあったため、内側の二面、三面に重要
な出来事や補足記事を書くケースが多かった。


【提灯】 チョウチン 

その対象企業や商品を持ち上げること。そのような記事を「提灯記事」と言う。

「御用記事」、「記事体広告」と混同されるが、これは特に広告費を貰って掲
載しているわけではなく、執筆する記者の主観や思い入れで書かれている。

ただ、この言い方はその記事の内容や書き手を半ば揶揄(やゆ)して、バカに
した表現として使われることがある。「あの記者は提灯記事しか書けん」とい
う具合に。


【ベタ】 

紙面の最下位にケイ線で仕切られた記事のこと。ベタ記事とも言う。下段広告
の上あたりにある小さな記事のことを指す。

ベタというのは、ありきたりという意味の隠語で、特殊性やスクープ性が少な
いということを意味している。


【ノド】

新聞の見開き中央にある余白部分のこと。印刷用語の造語から、そう呼ばれて
いる。


【特ダネ】 

スクープ記事とも言う。他紙を出し抜く記事のこと。多くの新聞記者が目指し
ているもの。また、その記事を書けば業界での評価も高まるとされている。


【中入れ】 ナカイレ

新聞社から販売店などに届けられる新聞梱包と一緒に当該新聞本紙以外のもの
を入れて発送すること。またはその中身のこと。


【丸梱】 マルコン

丸梱包とも言う。新聞が販売店などに届けられる際、1束のページ数の合計が
2400ページ程度になるように新聞を梱包すること。あるいはそのように梱
包された新聞の束のことを言う。


【冠差し】 カンザシ

新聞紙面上部にある、「題号」をはじめ、「発行日付」「面数」「号数」「第
三種郵便物認可」などが印刷されている部分のこと。


【ヤレ】

印刷工程で出る商品としての新聞にならない無駄紙のこと。「損紙」とも言う。


【回読】 カイドク 

ある特定の新聞1部を何人の人が読んでいるかを表す指標のこと。購読世帯内
の回読人数、事業所内での回読人数などがある。


【面取り】 メントリ

事件や事故で亡くなられた被害者の顔写真を入手すること。


【雑観】 ザッカン

「記者の目」、「現場雑観」とも言う。事故や災害などの報道を記者の見た目、
主観で記事にすること。


【赤ペン】アカぺン

記事の手直し、編集をすること。「手を入れる」とも言う。


【揚げる】 アゲル

契約が成立したときに使う言い方。

文法的には、契約は「上げる」ものであって、「揚げる」という言い方は天ぷ
らなどの料理の揚げ物に対してのみ使うとされているから間違いということに
なるが、業界特有の造語としてなら構わないと思う。

ここでは文法上の表記を重視し、「契約を上げる」としているため、時折、一
部の業界の方からサイトやメルマガを見て、ワシらのことを素人と勘違いする
人もおられるようや。

ただ、最近では、「あげる」とひらがな表記にしているがな。これなら違和感
を感じる業界の人もおられないやろうということで。

ごく一部の地域では「挙げる」という言い方もあると聞く。これも、業界内で
ある言い方やから、業界用語、造語の範疇としては是とする。


【カード】

契約書のこと。単に契約を意味する場合にもそう言う場合がある。

通常、新聞の購読契約書というのはハガキ大くらいのものが最も多く、一般的
な他の契約書と比較すると小さい。そのため「カード」と呼ばれている。


【本】 ホン

契約の数。数え方の単位。「今月は、カードを50本あげた」などと使う。単
に「枚(まい)」と言う場合もある。


【新勧】 シンカン

新規に勧誘した契約のこと。主に拡張員に義務づけられとるのがこれや。新聞
販売店の従業員にも新勧のノルマはあるが、拡張員と比べると極端に少ない。


【即入】 ソクニュウ

契約直後からの購読、もしくは翌月1日からの契約のこと。一般的に、この即
入契約に対して通常の拡張料とは別に報奨金が出るケースが多い。


【先付け】 サキヅケ

数ヶ月後〜数年後の日付での契約のこと。法律的には何年先までの契約しかで
きないという規定はないから、双方が合意すれば、それが契約として生きる。

しかし、あまり先が長いとトラブルになりやすいため、たいていの販売店では、
拡張員の契約に対しては1年〜3年以内の期限を決めている場合が多い。


【爆】バク

本来、販売店として認められない不良契約のことで、「爆弾カード」、「爆カ
ード」とも言われている。主に関東方面で使われている言い方。

極端なものになると、新聞代に相当する現金や金券などを渡し、サービス品ま
で付けるケースもあるという。


【後爆】アトバク

約束が守られない契約のこと。特に「こちらで販売店に毎月新聞代を払うてお
く」、「約束のサービス品は後で持ってくる」と言うケースにこういうのが多
いと聞く。


【手裏剣】シュリケン

現金でカードを買う行為。特拡などでノルマの達成が難しい場合、現金を置い
てくるように指導したのが、その始まりやと言われている。九州の一部で流行
っていたという。

あるリーダーが銀行のキャッシュカードから、それ用の現金を引き出し、配下
の拡張員にその現金を配る仕草が、手裏剣を投げているのに似ているというこ
とで名付けられたと言われている。


【てんぷら】

架空契約のこと。「てんぷらカード」とも言う。


【置き勧】 オキカン

販売店の規定以上のサービスや品物を契約者に渡して契約を取ること。あるい
は、断られているのにも関わらずワザと多くの金券や品物を置いたまま帰る行
為を指す。


【喝勧】 カツカン

喝上げ勧誘の略。文字どおり脅して契約を取ること。ケースによれば、刑法第
222条の脅迫罪が成立することもある。

さらに、新聞販売店は景品表示法に問われ、新聞社は新聞特殊指定違反になり
再販制度の崩壊につながると考えるから、現在、業界を挙げてその撲滅にやっ
きになっている。


【引っ掛け】  ヒッカケ

客を騙す、あるいは錯誤させ契約を取ること。身分や正体を偽って勧誘するこ
とが多い。

他紙の拡張員を名乗る、宅配便、古紙回収業者、近所の人間を騙るというもの
が多い。中には、町内会長と偽ったケースもある。

これは、普通に「新聞屋です」と言うたんではなかなか玄関口にすら出て来な
いということで編み出された苦肉の策や。

これは、特定商取引法の改正法、第3条ノ2第1項、「勧誘の意志の確認」に
規定されている違法行為。


【拡張】 カクチョウ

新聞営業のこと。拡販とも言う。新聞営業専門の新聞拡張団で営業する者を
「拡張員」、「セールス」と呼ぶ。多くはその日、入店する新聞販売店の営業
範囲内でしか営業することができない。

拡張という言葉には、「範囲や勢力、規模などを広げて大きくすること」とい
う意味がある。つまり、その縄張りを拡げるということやな。新聞営業の象徴
として最も適した言い方ということで使われ始めた。


【勧誘】 カンユウ

訪問営業全般で使われる言い方。「拡張」とほぼ同義語。業界内での使用頻度
は地域や業種、個人によって異なる。一般的に「拡張」という言い方は業界関
係者に多く、一般の人は「勧誘」と言う場合が多い傾向にある。


【バンク】

新聞販売店、およびその営業エリアのこと。主に拡張員が使うケースが多い。


【現読】 ゲンドク

現在、新聞販売店が配達している新聞購読者のこと。


【過去読】 カコドク

過去、その販売店と契約していたことのある客のこと。一般的に、再勧誘の上
位対象者として考えられている場合が多い。


【叩く】 タタク

訪問営業すること。昔、まだ各家庭にドアホンなど取り付けられていない頃の
飛び込み営業はノックが主体やった。

そのドアをノックする、つまり「叩く」ことで訪問を知らせていたため、そう
呼ばれ始めた言い方。現在、その名残りを「造語」として業界で使われている。


【鉄砲】 テッポウ

無差別に片っ端から訪問営業すること。「ヘタな鉄砲、数撃ちゃ当たる」と言
われていることから、そう呼ばれ始めたとされている。

または、撃ってみなければ当たるかどうか分からないという意味も含まれてい
る。夕方以降、暗くなってから勧誘するケースが多いところから「闇夜の鉄砲」
という言い方もある。


【白叩き】 シロタタキ、またはシラタタキ

新聞販売店の多くは住宅地図をコピーしたものに、現読、契約済み、過去読者
などの家々にそれと分かる目印として色鉛筆やマーカーなどで色分けをしてい
る。

白い部分は、それ以外の家ということになり、そう呼ぶ。多くは新規客狙いと
いう意味が含まれている。


【連勧】 レンカン

車などの移動手段により同一グループで、同じ情報、データをもとに営業する
こと。入店先販売店から提供される過去読者情報で勧誘するというのが多い。

すべての拡張団で採用されとるやり方やないが、古くから存在する営業方法の
一つ。


【学勧】 ガクカン

大学生専門にかける勧誘営業のこと。「学生入居キャンペーン」と呼ばれ、毎
年、春先の2月から4月頃にかけて、その地域に大学を有している販売店など
は、新入生の新入居を狙い、アパート、マンションなどを重点的に勧誘するケ
ースが多い。


【特拡】 トッカク

特別拡張の略。これには幾つかのパターンがあり、主に応援拡張、集中拡張な
どに大別される。総体的に大人数でする場合が多い。

応援拡張というのは、新聞社や他の団からの要請で、定められた地場エリア外
の地域に拡張に行くことを言う。殆どが単発やが定期的にする場合もある。

集中拡張というのは、他紙拡張団との対抗、もしくは販売店の新規開店などに
合わせて期間限定で拡張することを言う。


【内覧】 ナイラン 

これは、新築のマンション物件の入居者に対して行われる勧誘のことで、別名、
張り付け拡張とも言う。

内覧とは、その新築のマンション物件の入居説明として不動産管理会社、物件
所有会社などが入居者を集め行う行事のこと。

その新規入居者の多くは引っ越し客ということで成約率が高いため、新聞販売
店では、それに合わせて勧誘するのが、ほぼ慣習化され、力を入れているケー
スが多い。


【電勧】 デンカン

電話勧誘のこと。テレカンとも言う。専門の営業会社もある。一般の拡張員、
勧誘員は、あまりしない。


【無読】ムドク

新聞を購読していない人。無読者とも言う。以前購読したが止めた、あるいは
最初から購読したことがない人など、いろいろいる。

インターネットの普及に伴い若い世代で急激に増え、現在、それが中高年にま
で拡がっている。

新聞業界の悩みのタネでもある。新聞を購読してないということで、勧誘対象
者としては一見おいしそうな客に思えるかも知れんが、実際は勧誘員にとって
最も営業困難な相手と言える。


【ガサ】

低所得者への蔑称で、安アパートや賃貸マンション、公団などを指して言うケ
ースが多い。または、単に古い建物が立ち並ぶ住宅地域一帯を指して言う場合
もある。


【マッチ箱】 マッチバコ

一軒家で平屋の賃貸物件のこと。単に「箱」とも言う。これも蔑称として使わ
れている。


【坊主】 ボウズ

契約ゼロのこと。パンクとも言う。


【専売店】 センバイテン

専属販売店の略。一番多い新聞販売店の形態。特定の新聞社とのみ販売、配達
の契約(業務委託契約)を交わしている新聞販売店のこと。「アンカー」など
と言われることもある。


【合配店】 ゴウハイテン、またはゴウバイテン

その地域で発行される、ほぼすべての新聞を扱っている新聞販売店。通常、そ
の営業範囲内には専属販売店は存在せず、独占的に新聞の販売と配達をしてい
る。

専属販売店と比べると新聞社に対しては強気の所が多い。新聞社の方も「売っ
てください、配達してください」という姿勢で腰の低い対応になりがちや。

この販売店のある地域では勧誘についてのトラブルは起きにくいが、サービス
面では専属販売店に比べるとかなり落ちるか、殆どないため不満に思う人も多
く、その苦情がサイトに寄せられることも珍しくない。


【複合店】 フクゴウテン

2紙以上の新聞を扱っている新聞販売店のこと。

こちらは、合配店とは違い、営業エリア内に競合する他紙の販売店があるため、
勧誘面での競争もあり、サービスもある所が多い。

そのためか、この複合店に関しては特にサイトへの不満や相談は今のところな
い。


【返上】 ヘンジョウ

委託業務を返上すること。合配店、複合店などに業務委託していた新聞社が専
属販売店を出店する際に、その返上依頼をするケースに使われる。新聞社では
これを、「販売権の返上依頼」と言う。


【専業】 センギョウ

新聞販売店の正従業員のこと。通常、配達、勧誘、集金の三業務を行う。長時
間労働、収入面、危険などの理由により離職率の多い業種の一つとされている。


【新聞奨学生】 シンブン ショウガクセイ

新聞各社による奨学金制度利用して、大学や専門学校、もしくは予備校などに
通いながら、主に新聞の配達業務を行う学生のこと。

過酷な労働環境にある場合も珍しくなく、そのため、新聞奨学生の中には、販
売店に勤めることを入所、辞めることを出所と言って揶揄(やゆ)することも
あるという。檻のない監獄という意味で。


【専拡】 センカク

専属拡張員の略。新聞販売店が独自に雇う専属の営業員と、拡張団から派遣さ
れる拡張員の2種類がある。基本的に勧誘営業以外の業務はしない。


【代配】 ダイハイ

休み、もしくは急遽休んだ配達員に代わってその配達の代わりをすること。通
常は、店長、主任クラスが行うことが多いようやが、販売店によれば専門業者
の代配人を雇うことがある。


【臨配】 リンパイ

臨時配達員の略。代配とすることはほぼ同じやが、こちらはその専門職種とし
て業界内では、ほぼ確立されている。

通常、その専門会社に臨配登録というのをして、そこから各販売店に派遣され
るケースが多い。今風に言えば、派遣社員ということになる。


【不配】 フハイ

新聞を配り忘れること。不着、欠配とも言う。配達人のミスによる場合が多い。
希に「抜き取り」と言うて、他紙販売店関係者や散歩中の人間が新聞を抜き去
るケースもある。


【未着】 ミチャク

これは、不配とは違い、顧客の指定時間までに新聞を届けられない場合にこう
呼ぶ。


【遅配】 チハイ

何らかの事情により販売店の配達開始時間に遅れて印刷工場から配送されるこ
と。配達中のトラブルなどで、個人宅への配達が遅れる場合もそう呼ぶ。通常、
午前6時30分以降の配達は遅配扱いにされることが多い。


【止め洩れ】 トメモレ

契約切れや顧客からの休止依頼を受けていると知ってながら、常の慣れで、う
っかり忘れて、当該の家に新聞を配達してしまうこと。


【再入れ】 サイイレ

顧客からの休止依頼の期間が終わった際、再度配達を開始すること。これを忘
れる、あるいは間違えると「再洩れ」ということになる。


【証券】 ショウケン

二枚綴りになっていて一枚が店に提出する控え、もう一枚が客に渡す領収証の
こと。


【切り取り】 キリトリ

当月分の新聞講読料の集金は期日が決まっていて、それまでに回収出来なかっ
た分を集金人が給料で一時立て替え払いをするシステムのこと。

給料精算の時に店側の控えを切り放し、客への証券(領収証)を貰うために
「切り取り」と言う。これは販売店の違法行為になる。


【拡材】 カクザイ

契約時のサービス品のこと。その種類は地域や販売店、個人の勧誘員により雑
多にある。


【B券】 ビーケン

景品サービスで客に渡すビール券のこと。全国的に洗剤と並んで最も多い拡材
とされているもの。


【捨て材】 ステザイ

契約時とは関係なく渡すサービス品のこと。集金時に渡すケースが多い。新聞
社の社名入りゴミ袋、映画、遊園地の割引券など。


【テキ】 

順路帳とも言う。特殊な記号により配達順路が記載されているもの。通常、細
長い板紙状になっていて紐で結ばれている。

新聞販売店の従業員、配達員にとって覚えるのは必修とされている。起点とな
る最初の家が分かれば、配達員なら誰でもこれを見て配達することができるよ
うになっている。


【置き紙】 オキガミ

「中継」、「転送」とも言う。何らかの理由で、その地域の配達を依頼してい
る配達員が、販売店まで来られないために、販売店の人間が指定の場所まで運
ぶ新聞のこと。

徒歩でその地域一帯を配達する配達員のために、こういう方法が採られるケー
スが多い。

大規模集合住宅の団地やマンション群などでは、ありがちなことで、そこの住
人に配達員となってもらい、その配達を任せるために新聞を置いておくケース
がある。

また、毎年元日の朝刊の配達は、異常に折り込みチラシの量が多く、一度に配
達できないため、その配達員の配達コースに数十部ずつ新聞を包んで置くこと
もそう呼ばれている。


【早紙】 ハヤガミ

早入れとも言う。朝の早い時間の配達を希望する顧客へ配る新聞のこと。


【平場】 ヒラバ

一戸建ての多い住宅街などを指す言葉。


【改廃】 カイハイ

専属販売店が新聞社から業務委託契約の打ち切りを通告されること。新聞を仕
入れることができんから、実質的な廃業を意味する。これがあるために、新聞
社の力が強く、専属販売店は弱い立場に立たされている。


【増紙】 ゾウシ

部数を増やすこと。勧誘や申し込みにより増えた部数から契約切れにより減っ
た部数を差し引いた残りが増紙になる。


【減紙】 ゲンシ

増紙の反対で部数が減ること。業界では、あり得ない、あってはならない言葉
ということになっている。特に新聞社がこの言葉を嫌う。


【手板】 テイタ

配達部数管理表のこと。毎日の配達部数の変動を記入しているもの。


【押し紙】 オシガミ

新聞社が新聞販売店に強制的に買い取らせる新聞のこと。新聞社と新聞販売店
の関係次第でその程度が違う。

「押し紙」の負担に耐えかねて廃業を余儀なくされた販売店が、新聞社を相手
取って裁判、もしくは準備中というケースも多い。

これには、新聞社が部数の水増しをすることで、新聞紙面の広告費を稼ぐため
との見方がある。

但し、新聞社はその事実を一切認めていない。また、その押しつける際にも、
その証拠となる書類はなく、そのすべてが口頭で伝えられているという。


【積み紙】 ツミガミ

これは「押し紙」とは逆に、販売店自ら積極的に部数をごまかすために虚偽の
客を仕立て余分に新聞を買うこと。

新聞販売店は扱う部数の多さで評価されることが多く、新聞社から認められた
いということでそうする。また、成績不良による改廃逃れのためにするケース
もある。


【万紙】マンガミ

1万部以上の部数のこと。それを扱う販売店を「万紙店」という。

業界では、その部数が大型店と認知されるラインということになり、新聞社か
らの特典も多く、また大事にされ、販売店自身のステータスにもなる。

そのため、それに届きそうな販売店は無理して部数を伸ばそうとする。それが
大量の積み紙につながるケースが多い。


【背負い紙】 ショイガミ

新聞販売店から、そこの従業員が自主的、強制的に新聞を買い取らされること。

勧誘のノルマを逃れるために従業員自らがする場合もあれば、ペナルティ目的
で販売店からそうするよう押しつけられることもある。

新聞社と専属販売店との間にある、押し紙、積み紙の関係が、販売店とその従
業員との間にもあるということや。もっとも、「背負い紙」に関しては近年、
激減していると言うが、皆無になったわけではない。


【PS団】 ピーエスダン

新聞社の資本が入った子会社的な拡張団のこと。比較的大組織が多い。ここの
従業員のことを、プロモーション・スタッフ(PS)と言う。メイトと呼ぶ所
もある。


【団則】 ダンソク

各拡張団の決まり事のこと。拡張団の法律で、拡張員は実際の法律より、こち
らの方を重視する傾向にある。


【御法度】 ゴハット

各拡張団が掲げる禁止行為のこと。一般的に不正と言われる行為と拡張団に損
害を与える行為がそう呼ばれる。たいていは朝礼時に唱和する団則に、それが
記載されている。


【拡禁】 カッキン

拡張禁止の略。通常、販売店がその拡禁リストというのを作成して入店した拡
張員に配布する。原則、「拡禁」に記された客からのカードは無効とされる。


【地場】 ジバ

地場エリアとも言う。そこで活動する拡張団を地場団と言う。拡張団の営業活
動が許された範囲のこと。

その地域の新聞社の事情やその拡張団の規模や実力によって地場の範囲が違う。
通常、その地域の都市部を一部。その周辺地域を二部。さらにその外郭を三部
としている新聞社が多い。

……………………………………………………………………………………………

以上や。

今回は、あくまでも新聞業界の造語に特化した業界用語の類ということで紹介
しただけで、ここに掲載したものが新聞業界用語のすべてやないと言うとく。

新聞業界用語のすべてを知りたい方は、『第21回 ゲンさんの新聞業界裏話
■新聞業界用語 その1 契約関連編』、『第23回 ゲンさんの新聞業界裏
話 ■新聞業界用語 その2 新聞営業関連編』、

『第24回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞業界用語 その3 新聞社関連
編』、『第26回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞業界用語 その4 新聞販
売関連編』(注1.巻末参考ページ参照)を見て頂けたらと思う。

ここには、新聞業界用語の詳しい説明と事例の引用先などを明確にしているさ
かい資料的価値も、そこそこあるはずやしな。

今回に関しては、一般の方には面白く見て貰えたかも知れんが、業界関係者の
方々にとっては、当たり前のことばかりで、つまらんと感じられた方がおられ
たのやないかな。

まあ、業界の造語や専門用語というのは、その業界人にとっては、そんなもん
やけどな。



参考ページ

注1.第21回 ゲンさんの新聞業界裏話■新聞業界用語 その1 契約関連

http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-21.html

第23回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞業界用語 その2 新聞営業関連

http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-23.html

第24回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞業界用語 その3 新聞社関連編
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-24.html

第26回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞業界用語 その4 新聞販売関連
編』
http://siratuka.sakura.ne.jp/newpage19-26.html


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『第3話 大津坂本人情街道秘話』完結

『第4話 狙われた男たち』完結

『第5話 新聞大逆転の法則』完結

『第6話 黎明期の新聞拡張物語 神武梅乃の伝説』完結

『第7作 新聞業界暗黒物語 悪い奴ら』完結

『第8作 黎明期の新聞拡張物語 受け継がれる伝説』完結

『第9作 カポネによろしく』2017. 4.15 配信開始


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