国際情勢

台湾は日本の生命線!

中国の軍拡目標はアジア太平洋での覇権確立。そしてその第一段階が台湾併呑。もし我が「不沈空母・台湾」が「中国の空母」と化せば日本は・・・。政府・媒体が敢て語らぬ生命線防衛の重要性を訴える。


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【メルマガ台湾は日本の生命線!】台湾総統選―産経社説はこれでいいのか/日台新時代を迎えメディアの台湾報道に関心を

2016/01/18

台湾総統選―産経社説はこれでいいのか/日台新時代を迎えメディアの台湾報道に関心を

ブログ「台湾は日本の生命線」より。ブログでは関連写真も↓
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2738.html

2016/01/17/Sun

■日本の台湾報道と「一つの中国」宣伝

台湾の総統選挙が一月十六日に投開票され、野党・民進党の蔡英文主席が与党・国民党の朱立倫主席などを大差で破って当選。五月に政権が交代する。

日本でも全国紙が翌十七日の朝刊で、それぞれ一面でこれを報じている。たとえば次のような見出しでだ。

「台湾総統に蔡英文氏/民進党 8年ぶり政権交代/対中傾斜路線から距離」(朝日)

「台湾8年ぶり政権交代/総統に民進・蔡氏 女性初/対中傾斜 歯止め」(産経)

「台湾総統に民進党・蔡氏/8年ぶり政権交代・『中台関係、現状を維持』」(日経)

このように各紙とも焦点を台湾の対中関係に置いているのがわかる。

それは当然だろう。なぜなら中国が警戒する民進党が勝利したのだから。それによって今後、あの国が東亜地域の緊張を高め、日本の安全保障にも大きな影響を及ぼす恐れは十分にある。

それでは日本及び日本国民は今後、どのような台湾や台中関係の在り方を求めて行くべきなのか。それを考える上で参考になるのが各紙の十七日の社説だ。それぞれが見解を示しているので参考になろう。

ただ注意を要するのは、各紙の台湾報道にはこれまで、しばしば中国のプロパガンダが反映されてきたことだ。

たとえば中国が台湾併呑を正当化するために掲げる「一つの中国」(台湾は中国領土)なる虚構宣伝に従ったり、あるいはそうした虚構を敢えて否定しなかったり、といった具合にだ。

もちろんこうした不自然な行為は、台湾問題を「核心的利益」(断じて譲歩できない国家の存亡に関わる利益)と断じる中国の強硬姿勢への配慮によるのだろう。

では、そのような不自然な社説が今回見られたかだが、たとえば産経新聞のそれはどうだろう。

■中国牽制で「日本右翼媒体」の面目躍如だが

産経といえば他紙に比べて中国に迎合しないとの定評があり、中国メディアからもしばしば「日本右翼媒体」と名指し批判されるほどだが、今回はいかなる主張を展開したのか。

まずは「直接投票制が導入されて20年となる総統選が、民主的手続きにより行われたことを歓迎したい」とした上で、次のように中国を牽制している。

―――台湾を中国の一地方と見なし、武力統一も辞さない原則を崩さない中国共産党は、今も軍事力で台湾を威嚇している。それは、東シナ海や南シナ海において、力ずくで現状変更を図ろうとする姿勢と共通するものだ。

―――台湾の民意も踏まえ、国際社会は引き続き中国への監視を続けなければならない。

―――国際ルールを無視し、海洋覇権を追求する中国に対し、自由の海や法の支配を守る立場から、地域の民主主義国が台湾との連携を強めていくことも促したい。

保守派、親台派に多い産経ファンをして「さすがだ」と言わしめるほどの、歯に衣着せぬ中国覇権主義批判だ。「日本右翼媒体」の面目躍如たるものがある。

だが、読者のほとんどは見逃しそうだが、実はこうした中国牽制と同時に、しっかりと台湾の牽制をも行っているのである。要するに中国に譲歩せよと。

■中国の虚構宣伝の受け入れを求める産経

加害者(中国)に対する牽制は必要だが、被害者をも牽制しては、それだけ加害者への加担となるわけだが、それでいいのか。下のくだりを注意深く読んでみよう。

―――焦点となるのは「一つの中国」の原則を中台双方が確認し、その解釈はそれぞれに委ねるという「92年コンセンサス」の扱いである。民進党はその存在を認めていない。ただ、蔡氏は選挙期間中、「選択肢の一つだが唯一ではない」と曖昧さもみせていた。

―――民進党の決議文(綱領)には「台湾は主権独立国家である」とあり、これを突き詰めればコンセンサスは受け入れられまい。

ここに書かれている通り、民進党は、「九二年コンセンサス」(台中による「一つの中国」の承認)の存在を認めず、また「一つの中国」原則自体を受け入れず、台湾が中国とは異なる主権国家であるとの事実を訴え続けているために、中国から見れば台湾併呑の障害以外の何物でもないわけだが、社説はさらにこう続けるのだ。

―――蔡氏には、台湾海峡の平和と安定を崩すことなく、行きすぎた対中接近の修正を図る賢明な「現状維持」の実現が求められよう。

ちなみにここで言う「行きすぎた対中接近」とは、国民党の馬英九政権期間中に「経済関係の強化を軸に中国への傾斜を急速に強めてきた」ことを指す。

また同じく「現状維持」とは、「『中台統一』でも『独立』でもない『現状維持』」のことなのだが、では何を以って「賢明な『現状維持』」というのか。

要するに社説は、今後発足する蔡英文政権に対し、「一つの中国」原則を否定するのを止め、国民党政権と同様にそれを認めるべきだと訴えているのである。

■読売の社説を読めば実際の状況がわかる

ここで、読売新聞の十七日の社説にも目を向けてみよう。下のようにある。

―――蔡氏の不安要素は、中台双方が「一つの中国」の原則を認めたとされる「1992年合意」を受け入れていないことだ。

―――将来的な「統一」を狙う習近平政権は間接的な表現ながら、92年合意を認めなければ、「現状維持」はできないと警告している。

これを見ればわかるだろう。蔡英文政権が産経に言われたとおりに今日の「台湾海峡の平和と安定」を崩すことなく「現状維持を実現」するには、つまり中国にそのようにさせるには、九二年コンセンサス(「一つの中国」原則)を受け入れる以外にないというのが実際の状況なのである。

産経社説の執筆者も、そのことを知らないはずがない。もしその人が台湾や中国の問題の素人でなければ。

そしてこうした読売の指摘が正しいことは、中国の主張を検証しても一目瞭然だ。以下に今回の蔡英文主席の当選を受け、中共中央台湾事務弁公室及び国務院台湾事務弁公室が直ちに発表した声明を見よう。

「我々の対台政策方針は一貫し明確であり、台湾地区の選挙結果のために変更することはない。我得あれは引き続き九二年コンセンサスを堅持し、いかなる台湾独立の分裂活動にも断固反対し、国家の主権と領土の完全性を守るという重大原則問題の上における我々の意志は盤石であり、態度は終始一貫している」

「我々は、両岸がともに一つの中国に帰属することを認めるすべての政党、団体との接触交流を強化し、両岸関係の平和的発展と台湾海峡の平和と安定を維持し、共に中華民族の偉大なる復興という光明の未来を作り出したいと願っている」

■産経社説は新華社の論説に似ているか

以上の通り。恐ろしい話だ。

つまり「台湾海峡の平和と安定」を交換条件に、民進党に「一つの中国」を認めさせ、そして台湾併呑への道筋を付けようというのが中国の「終始一貫した」策略であるわけだ。

「中華民族の偉大なる復興」をアピールしているが、そもそもそれは、戦略的要衝たる台湾を奪取して初めて達成されるものなのである。

そしてこの中国の策略に呼応するかのように産経社説は民進党に対し、「台湾海峡の平和と安定」の維持、つまり「一つの中国意」原則の容認を求めてしまったのである。

なお、以下は選挙結果が出た直後に中国の国営新華社が発表した論評の一説だ。

「民進党には両岸関係の平和鉄器発展の現状を維持する責任を負っている。なおも頑固に台湾独立の分裂を目指す立場を堅持するなら、両岸関係の上で挑発を行い、地域の安定に対するトラブルメーカーになるなら、台湾の安定と発展は幻となり、次の選挙では有権者に引き摺り下ろされることになる」

産経社説は、これとほぼ同じことを書いているように思えないか。

■産経と対照的な朝日社説の中国批判

産経社説と対照的なのが前掲の読売社説だ。こちらは、

―――蔡氏が92年合意を拒否し続けるのなら、経済交流に圧力をかけ、新政権を揺さぶるつもりではないか。台湾を訪れる中国人観光客や旅客機の直行便の制限などもカードの一つだろう。

―――台湾海峡の行方は、東アジアの安定に関わる。中国に求められるのは、責任ある対応である。

このように読売は、民進党に「一つの中国」の受け入れなどを求めていない。

朝日新聞の十七日の社説も同様で、「一つの中国」原則を押し付ける中国に批判的だ。

―――複雑な現状を考えれば、「一つの中国」の原則を振り回すよりも、共存共栄を図ることこそが賢明であり、周辺国にとっても好ましい。

―――00〜08年の民進党政権が台湾独立の志向を強めると民意に拒まれた。今回はその逆で、民意が均衡を回復させる重りとなった。一昨年の学生運動の流れをくむ新政党も現れた。台湾政治は進化を続けている。中国の習近平政権は、この民主政治の現実と向き合わなくてはならない。国民党は中台交流で成果を残したが、国民党だけを台湾であるかのように扱うのは誤りである。

■朝日と毎日は台湾の民意を重視した

毎日新聞の同日の社説も、同じく次のように、台湾の側に立って中国に訴える。

―――問題は中国の出方だ。中国は「一つの中国」を前提に交流を進めるという「92年コンセンサス」の受け入れを迫っているが、無理強いするのでは台湾の反発を招くだけだ。

産経とは逆に中国ベッタリの印象が強い朝日、毎日だが、やはり書き手によって内容が逆転することもあるのだろうか。今回、朝日と毎日は、中国と対立する台湾の民意を重視した。

確かに産経の「一つの中国」受け入れの訴えは、それとなく書かれているため、多くの読者は気付かず、実害も少ないかも知れないが、しかしそのような、それとなく行う宣伝こそ、大衆を油断させ、惑わすという有害さもあるのである。

また今回、大衆はそれに気付かずとも、中国は必ずチェックしている。

「日本右翼媒体」の内部で「一つの中国」支持を表明したとなれば、執筆者は中国に褒められるかも知れないが、まさかそれを狙い、中国に見せるために書いたわけではあるまい。

だが中国にどんなに喜ばれても、産経全体にとっては決して名誉なことではないはず。また産経の報道を深く信頼する保守派の熱烈なファンの多さを見よ。今後も中国寄りの台湾報道を続けるなら、それら読者に与える損害も計り知れないものがある。

民進党政権が間もなく発足し、中国の脅威を抑止するに足る新たな日台関係の構築が求められる中、日本国内で大きな影響力を持つメディアの台湾報道の姿勢に対し、中国は大きな関心を寄せているが、我々国民もしっかりとそれを監視しなければならない。

【過去の関連記事】

産経が台湾に言うべきことか/統一地方選挙での民進党勝利に関し 14/12/03/
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  • 名無しさん2016/01/19

    「選択肢の一つだが唯一ではない」



    いくつか考えられる「みち」のひとつ。

    絶対ではない。



    いい言葉です。決して(どこかの国の首相のように)逃げないで、現実を見極めている。