経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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漂流開始の国際社会***高まる世界不況への鼓動***

2019/03/15

 
 通例年初には新年度の問題の展望を試みた本ブログだが、目下立ち往生
中だ。今年は65年間未解決のままの朝鮮半島問題の処理に加え、激化の
一途の米・中間の貿易・知的財産権抗争、さらに英国のEU脱退という三
大懸案を巡る協議がいずれも1−3月に集中。その帰趨の確認無くしては
今後の予測も狂う懸念が高まる?国際情勢の異例の転期”に直面している。
 夫々の問題処理が戦後築かれた体制や現状の大幅な改変を齎すが、一方
対処する諸国の政治力や洞察力が著しく弱体化。事態を一層深刻にさせた。
 好例が世界の動向をリードしてきた米・英両国の影響力の「終焉」現象
だ。両国ともに、グローバル化する世界が生んだ貧富格差拡大を反映する
難民問題と、基幹産業−特に四輪などの製造業−での技術革新のテンポに
立ち遅れた。この両国が現在対決中の問題の処理を誤れば、「世界恐慌を
招く惧れ」も十分である。
     1.   露見し始めた米政権の問題処理能力
 
 嫌な予感は早くも的中した。2月末のハノイでの第2回米朝首脳会談は
期待を完全に裏切り、前夜の和平ムードから一転、冒頭゛非核化の定義 ” 
を巡る両者の認識というより「思惑」の食い違いが判明。開始後2時間で
たちまち『物別れ』に!
 呆れた失態の主因は、双方共トップ個人が自ら主導する協議スタイルで
重要案件に不可欠な専門スタッフによる問題点の「事前の詰め」が不十分
だった事実にあろうが、如何にも唐突だ。背後で韓国政府が、功を急いで
積極的に動き過ぎ、両当事国を誤った楽観ムードへ誘導したのも一因か?
  トランプ大統領は最終的に『経済制裁の効果』を過信、北側の「早期完
全降伏」も可能と踏んだのか?或いは直前代表団に加わった大統領補佐官
ボルトン氏が周知の対北朝鮮強硬論者で、議会内の空気に配慮して「完全
非核化」に固執し、段階的妥協も腹案の筈だったろう大統領を諌めて押し
切った可能性もある。『北』にとっては、この協議開催までの米側の姿勢
−核装備と経済制裁の「相互に漸減案にも理解」−から「双方一括全廃」
への「突如乗り換えて固執」は、多分全く想定外だった筈だ。
 だが破綻へムードが急変した真因は、現地時間の前夜の深更に米下院の
公聴会で行われていた、大統領の股肱の臣だった元弁護士の証言−2年前
の大統領選挙当時の゛違法行為 ”を明確に告白−の結果 下院で訴追され
る公算が飛躍的に高まった事実では? 政権崩壊の危機を改めて認識した
トランプ氏は、恐らく『動顚』しただろう。さらに若年時の『兵役回避』
疑惑(ヴェトナム戦争当時お抱え医師作成の゛仮病証明 ”を使用)もメデ
ィアで喧伝され始め、政権を巡る雲行きが俄かに怪しくなったのだ。
 トランプ氏は帰国後「対朝協議の継続」を声明し、現時点で北朝鮮が核
やミサイルに関する動きを停止中の事実を「成果」に数えた(Mar.2.)が、
破談の釈明の強弁に過ぎまい。゛ヴェトナム ”は米国にとり鬼門らしい。 
 さらに協議破綻後に判明した直近の「北」の核やミサイル施設での動き
も不信を募らせる。『北朝鮮』処理は「北」が容易に「降伏」せず、今後
の双方の駆け引きが中・露も巻き込み、従来の予想を越え難航する気配だ。

 米・朝問題で目下スポット・ライトが当たる核・ミサイル処理は「氷山
の一角」だ。世界の分裂国家(同一民族)は、南・北ヴェトナムや筆者も
体験した東・西ドイツのように早晩統一されよう。だがそれ迄の相当期間
「被併合」側は前例同様に厳しい運命を辿る筈だ。しかも朝鮮半島の場合
さらに特殊要因・統一後の米軍撤収を含む『極東全域の地政学』が絡む。
 当事者の南・北や米国、地続きで国境を接する中・露両国が、如何なる
構想の下に動いているのか現時点では一切不明。未だ「目的地なき航海」
の最中で、この問題解決の「容易ならざる将来」を暗示する。とても欧州
(東西ドイツ統一)のように?実力”(人口・経済力・政治的存在感などの格
差)から「当然の成り行き」と、"スムーズ”に片付ける訳には参るまい。
 基本的な問題点は、2008年にスタートした「北朝鮮の非核化」に関する 
 6カ国協議のメンバーのうち、米・中・露・日 4 カ国が明確に「朝鮮半島
の非核化」を支持する事実である。「北」の核は?妙な野望 ”を抱く韓国
政府以外、いずれの国にも「厄介物」なのだ。
 非核化後の「牙を失った世襲制」独裁・社会主義国には、政治・経済の
両面で次第に外からの揺さ振りが強まり不安定化、国外からの投資や援助
継続の期待可能性は疑問の上、南北間の経済水準・自由度のギャップが続
けば、不満が「暴発の引き金」化する。「平和共存」は相当な無理筋だ。
 尤も三代で築いた金一族のカリスマは、「北」では宗教に近い趣きがあ
る。韓国で軍部が起こした二度のクーデターは、格別参考にはなるまい。

 現実に非核化は金正恩一族には死活問題の筈だ。欧州の実例から推測す
れば、列国による「北」の体制保障などは無意味で、多分数年で内部から
崩壊する。一族の亡命先?祖父の抗日戦で縁の深い沿海州くらいしかある
まいが、ロシアは現実派。味が劣化した「火中の栗」* など、拾うまい。
(*註:英・仏から対独戦を要請されたスターリンの反応 1941.June)
 一方、韓国の将来を担う保守勢力の復位と中国の出方が、問題解決の鍵
を握る筈。わが国にとっても対岸の火事ではない。馬鹿げた局部療法にも
似た「改造空母」構想の前に、世界が反対出来ぬ半島と日本での「極東の
スイス地帯構築−永久中立共同宣言」くらいの発想は湧かぬものか?
    
    2.  米国の政策混迷で加速する『忍び寄る世界不況

 トランプ氏の問題を惹起する才覚は、既に十二分に拝見したが、再選迄
の二年で問われる「播いた種を刈る」能力については、北朝鮮や中東問題
で露呈した「経験不足に起因する読みとツメの甘さ」からも容易に『予測
可能』だ。これまでに決定した諸政策も、内外両面で軌道修正を含む朝令
暮改が、異例に多い。目下の処、部下の反乱一つで自らが頓死しかねない
ロシア疑惑絡みの逆境脱出に大童だが、発足後2年余の間に、豊かな知識
と経験に富む故に"気骨”もあった練達の士を切り、"佞臣で固める”よう
な政権では、問題処理機能は更に後退必至だ。「北」問題が好例である。
 戦後世界を久しく支配してきた米国の『覇権』にも、この政権によって
漸く「寿命と言うべき転期」が訪れたようだ。その主因は、戦後の世界が
多くの混乱と犠牲の結果築きあげた国際協調の「足跡」を安易に軽視し、
問題解決に先ず相手方の譲歩を要求して強引に「力による対決」を好む姿
勢が招いた当然の帰結:『国際的孤立』である。
 確かに戦後の世界で米国が担ってきた負荷と貢献度、存在感は巨大だが
近年、主要諸国とりわけ中国の急速な台頭と政策遂行力で「力のバランス」
の現状維持が困難となって来た。この情勢の変化で米国特有の "焦り”が
生む圧力姿勢が強まり、トランプ政権の登場で不当なほど顕著になった。
 今後、足下を見て中国はもとより、ロシア( INF条約−ミサイルを含む
中距離核戦力の全廃−交渉)に加え、イランなど諸外国の突き上げも一層
激化する。おまけにイスラエル問題での協力を依頼中のサウジの驕児まで
が、政敵暗殺の黒幕事件での米国の人権批判に不満で、直近では中国への
巨額の半導体プロジェクト投資や原油価格問題で、公然と米国に背を向け
始めている始末だ。
 国内でも『没政策』ぶりへの警告にも思える大洪水・山林火災に加え、
銃器濫用の人災が頻発。さらに選挙公約で人気獲得を狙い「難民流入阻止」
を図った、メキシコ国境での「現代版・万里の長城」建設強行策が、今や
完全に裏目となり、予算に反対する民主党を脅かす手段の筈の公共サービ
ス停止措置が長期化。給与不払いで公務員も反発が強まる自縄自縛に陥り、
与党内からも批判が強い。「壁設置」の選挙公約に拘わるあまり、最後に
は予算確保のために連邦議会に真っ向から喧嘩を売る大統領権限の「国家
非常事態宣言」で強行突破を図った(Feb.14) 。 最近発表された予算教書
(Mar.11)でも壁予算の増額に固執を続け、文字通りの?狂態” に近い。
 この状況では対外問題の早期解決が頼みの綱の筈だが、自ら播いた種で
足下を見られては望み薄。とりわけ「北朝鮮」相手の計画挫折は手痛く、
内憂に外患が重なり「四面楚歌」の風情だ。
 破れかぶれで中東(対イラン)辺りで局地的な戦力行使に踏み切る懸念
もゼロでない気配だ。現に意表を衝いた感もある先般のIS勢力掃討完了
を理由とするシリア派遣米軍の「撤兵決定」( Dec.19)は、欧州や現地の
諸国から「中東の力のバランスを崩す」と不評だったが、その後のイスラ
エル空軍によるシリア地区でのイラン軍への数百回に及ぶ空爆((Jan.25.
2019 )は、米国の了解なしにはありえぬ筈で、米・イ両国のイラン叩きの
ための『共同作戦』の疑いが濃厚だ。
 米・欧間の調停役だった頼みの盟友・英国もメイ首相がEU脱出で目下
立ち往中で、第二次大戦終結時には夢想だにしなかった米・英両雄の斜陽
現象を前に、国際社会は改めて「対応策の模索」を迫られる状況となって
きた。
  経済面でも 2008年9月のリーマン・ショック後、既に10年。米銀大手の
乱脈経営 (サブ・プライムローンの転売)で騙され、長期の赤字に苦しむ
ドイツ銀・スイス・クレジット銀など欧州の主要銀行が漸く立ち直りの兆
しを見せ始めたが、この事件の救済策が生んだ過剰流動性の後始末に今後
の景気動向への懸念が微妙に絡み、米国連銀自体が未だに悩んでいる有様
だ。昨今のジグザグ的金融政策が、何よりの証拠である。
 この時期に再び" 問題児的政権 "を登場させた米国社会の責任は、決し
て小さくはなかろう。嘗て中曽根大勲位が漏らして波紋を呼んだ「米国民
は?民度”が低い」とのコメントは、どうやら「言、肯綮に中る」だった。

    2.    米国の政策混迷で加速する?忍び寄る世界不況”
 
 この分ではトランプ氏の早期降板に始まる米国政界の安定化と対外政策
の国際協調路線への復帰を急がぬ限り、困惑する世界は不透明情勢の長期
化を惧れ、二年(政権の交代・昨年1月のダヴォス会議でJ・ソロス氏が
゛再選無し”を予言したのは流石) を待たず、交易中心に基幹通貨のドル
離れに傾き、ユーロや中国・元へのシフトが漸次顕在化する筈だ。
そのピッチが様々なドル建ビジネス市場( 外債、原油・天然ガス、金属、
食糧・農産物など) の縮小ー景気後退の初兆ーと共に、英ポンドの先例と
同様、通貨下落を通じた回復不能の『国家の凋落』を示す先駆指標となる。
 とりわけ最近中国の外貨準備(金・米国国債など約3兆ドル)の急減傾向
と、既に保有するドル建債券から金へ振り替え中の動きが明らかとなった。
中国が既にドル相場を揺さぶり米国経済の急所を握る有力な手段を保有す
る点は要注意だ。だがこの辺の諸事情は、国内重点の業界育ちの「アメリ
カ第一主義」者には?感度不全”  の領域に属する問題だろう。
 年末時点での米国経済は、GDPの順調な伸びと失業率の低下などから
暫く好調持続との見方が強かったが、既に株式市場は急速に変貌し、弱気
含みの乱高下を繰り返している。さらに国際収支も自ら播いた対中強硬策
が裏目に出て急速に悪化中。政策の柱の『減税』も一因で宿痾の?双子の
赤字”現象 (貿易収支と財政)が再び台頭、定着気配をみせている。
 
 頼みの綱は好調だった国内だが、問題は対中国貿易規制だ。既に決定済
のやや乱暴な規制の反射効果で、先ず自動車産業と農産品輸出関連の業界
が打撃を蒙った。前者では破綻後再建途上にあるGMの先行きが懸念され
るが、フォードも国内で数千人単位の雇用圧縮を発表し(Jan.10)、北京の
工場でも 2千人解雇予定だ。新鋭勢力のテスラも同調の気配で、この業界
を端緒に程なく消費を含む景況全般への拡大が必至の雲行きだ。
 被害は米国のみに留まらず輸出不振はカナダ・メキシコの四輪関連業界
を巻き込み、文字通り"北米発”の世界経済不況化への「 引き金」となり
始めている。新予算教書で確認された巨額の財政赤字(1兆ドル) の定着も
ドル安を通じて消費低迷を呼び、景気圧迫要因となりそうだ。
 対中国交易交渉も、先ず政策の逆効果に音を上げ始めた自国の産業界か
らの非難に窮した米国政府が、米・中協議で宣言した中国製品への関税の
追加引き上げ措置(1月より実施予定だった)を事実上撤回、歯切れが悪
い90日の「先送り」措置を公表、さらに2月末再延長を余儀なくされた。
 中国側の即座のシッペ返しで、トランプ政権の票田に火が付き頓挫した
次第。今や自らの政策のネガティヴ効果も事前に読めぬ「政権の弱体ぶり」
を露呈した恰好だ。

 さらに政策選別力の無能ぶりは地球温暖化対策のパリ合意 (COP24) から
の脱退でも明らかだ。皮肉なことに脱退宣言後1年も経たぬ間に、死者 70
余に及ぶカリフォルニア州の未曾有の山火事(Nov.) やイリノイ州での空前
の規模の竜巻に見舞われた (Dec.)。その後も南部フロリダ・テキサスから
東海岸全域で風水害が繰り返す異常事態が続いている。
  さなきだに先進国vs.途上国の紛糾が予想されていた欧洲での COP24協定
内容見直しの国際協議(12月) の場で、本来米国は、不明を愧じる復帰懇願
声明を出すべきところ、議長国(ポーランド)苦心の配慮の「玉虫色合意成立優
先」策発動で面子を保ったものの、存在感はゼロだった。
 このようにトランプ政権の表看板の「米国第一主義」は、既に「現代社会
の本質」となっている『国際協調の重要性への認識不足』と、過去屡々彼の
出自(ユダヤ系) の民族的特性と指摘されてきた『 強すぎる選民意識:独善性
指向』が相俟ち、今や米国の国威失墜を招く最大の原因となっている。
  当面、米・中両国間の実利とメンツを賭けた虚々実々の駆け引きが続く。

    3. 大風呂敷策の "弥縫”(ビボウ) と国内調整に悩む中国

 一方、中国では既に実行中だった公営企業の体質改善を図る与信削減と、
地価騰貴の抑制を狙った民間セクターでの不動産与信の急激な引き締めで
一気に株式市場の低迷化が定着し始めた。さらに米・中貿易規制で先行き
不透明感が強まり、消費性向の低下と生産調整の動きが顕著で政府は早速
「新車購入への補助」などの対策を本格化させ始めている。
 かように二大国間の政治面からの過大演出の応酬が、景気後退の基調と
なり、経済規模が大きいため容易に『歯止め』−微調整ーが利かない。
 その上タイミング悪く欧洲主要国の政情不安が既に全欧の景況不振の因
となっており、加えて中国経済の不調が、対中輸出に依存する豪州やアジ
ア全域での景気後退へと増幅中で、「世界的リセッション」の定着化へ拍
車をかけ始めている。わが国でも対中依存度の高い部門中心に、昨秋以降
急激な業容後退が顕著で、『爆買い』や消費財の輸出も、中国側の規制に
よる縮小傾向が定着し始めた。
 最近、習近平政権の動きに俄かに"弱気”―妥協含みの気配― が認めら
れ始めたようだ。直接の動機は、既に国内の経済学者から指摘されていた
 2017 年後半ごろからの経済成長の鈍化−発表された経済統計への異論−
の現実化だろう。
 多分国内で急激に展開してきた「汚職撲滅」運動への反発の動きもあろ
う。社会主義国家の支配階級は、『特権』と完全に無縁でない筈。党内の
綱紀粛正も徹底には限界があり、とりわけ経済的停滞は不満の吐け口とな
り、権威への批判に連なる惧れがある。
 さらにやや焦り過ぎた対外戦略「一帯一路」政策が、最近相手国側の警
戒心を誘発し、展開のテンポが鈍化し始めた事実がある。一方、成約しな
がら棚上げ状態のプロジェクトも目立つ。ニカラグァでの第2パナマ運河、
インドネシア・ジャワ島での高速鉄道など、F/S (事前の収益性調査)や
地元住民対策がラフに過ぎたようだ。 
「一帯一路」も、本来の狙いは中国の抱える宿痾・14億の国民を安全に養
うための食糧・エネルギー源を、旧ソ連から独立したカスピ海東岸地帯の
諸国中心に確保する点にある筈だ。注目される欧洲への物流機能では、輸
送コスト比較で陸上輸送が海運に太刀打ちできぬのは周知の事実だが、中
国はプロジェクトの経済性以上に戦略的な側面(経済援助・同一経済勢力
圏形成など)を強調するあまり、警戒され裏目が出ている感じがある。
 適例はスリランカ・コロンボ港湾施設の丸抱え整備に伴う99年間租借権
の獲得だ。これでは香港の租借で英国が発揮したあくどい手口の現代版?
「殷鑑遠カラズ」の中国流逆用だ。彼我共に歴史に学ぶ姿勢には未だ少な
からず問題がある。
 先験に基づく老婆心から言えば、相手方には資金不足先が圧倒的に多い
ので「技術供与を含めた先方のニ―ズへの配慮」を徹底した方が効果的だ。
 何れにせよ中国経済の調整過程は対米緊張化を契機に始まったばかりで
一切の諸矛盾の解決は今後の課題だ。通常の国家の景気対策と異なり14億
人を抱える経済規模に加え、生産年齢人口の明らかな後退定着化、進捗が
成長ノルマ絡みで停滞する公営企業の体質改善など、経済体質面の構造問
題の是正に手間取る間に、再び対外問題も絡む不況対策に直面する事態と
なりそうだ。対米交渉面からの政治的影響もあり、難局脱出は相当に長期
化しよう。
    4.  往生際の悪すぎる「旧・大英帝国」の縮小均衡策
  
 それにしても、英国のEU離脱を巡る混乱には呆れる。EUの強すぎる
イニシアティヴへの感情的反発の余り、政界は往年の帝国の片鱗も感じさ
せぬ無意味な「議論の空転」を繰り返し、有力製造業の相次ぐ脱出決定を
誘発中だ。今後の溢れる失業者群と景況悪化、最大の資産のシティの国際
金融界での存在感低落に、一体どう対応する所存なのだろう? EU側も
苦労する。
 元々Brexit問題の発端は、移民労働者の流入とドイツに次ぐEU予算の
分担額である。前者はEU域内の移動の自由原則の維持が、英国の場合は
旧植民地からの労働力流入という歴史的特殊事情も重なって負担が過大と
なる事情があった。この窮境打開のため、サッチャー首相時代のEU加盟
時の交渉例(1973) に倣ったEUに負担させる策(例外的な移民規制の容
認)が奏功せず、「EUのコントロールに不満」を表向きの理由に、国民
投票で離脱を決めた。「罰金支払義務」の存在は伏せられたままだった。
その後、元来反離脱だったメイ女史の政権就任を狙った些か「節操に欠け
る」離脱派への鞍替えがあった。悲喜劇「経済は政治の侍女」の開幕だ。
 英国の貿易依存度は10%台で比較的低いが、輸出入は夫々50%強をEU
が占める。常識的には再度の国民投票でEU復帰を図るべきだろうが、誇
り高いジョンブル意識が妨げるのか「紳士は喰わねど高楊枝」らしい。
 (時事俳句)
        名著『三国志・呉越同舟篇』を藉りて探る米・英両大国の前途
               面子賭け 分け入る途の 闇の奥    汨羅
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