経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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No。116北東アジアに『真の戦後体制』は生まれるか?

2018/07/13

       (2018.07.13.)  
 No.116    北東アジアに『真の戦後体制』は生まれるか?  
       **"同床異夢"が直面する米・中対立への序曲**

 期待と疑念を織り交ぜてスタートした米・朝首脳会談の結果が、早くも
破綻の兆しを見せ始めた。6月29日 米 NBCテレビは政府情報機関筋の見解
として、「北朝鮮が未公表の複数の核関連施設でここ数か月、核兵器用の
濃縮ウランを増産中」と報じた。これを口火に、7月に入り主要紙やメデ
ィアから相次いで衛星探査で得た「北朝鮮核施設での合意に反する動き」
の数々が報じられ、韓国国防部からもさらに詳細な情報(違反行為の地名
と内容も指摘)が追い打ち中だ。
 米国情報機関が発信元のこの種の情報は、過去、米軍の本格的作戦行動
開始の契機となった「偽情報」提供の"前科"があるだけに俄かに信じ難い。
ベトナム戦争の発端になったトンキン湾の米艦船への攻撃、イラク戦争で
のミサイル・大量殺戮兵器保有情報など、いずれも後日完全なデッチあげ
情報だったことが判明している。二度あることは「三度目」もあろう?
 三代目の体制下だけでも過去3度に及ぶ北朝鮮の誓約違反の『実績』も
一因だが、今回は両国の首脳会談での合意後僅か二旬足らずで、この種の
情報が米国政府内部から漏れること自体が、少くとも相手方への抜き難い
「不信感」と、合意実現への強い「懸念」を立証している。

    1.「非核化サボタージュ」情報の信憑性と背景

 率直な処、衛星情報による推論以外に、独裁政権下でかような極秘の裏
付け情報を入手しうる可能性は乏しい。また「理屈の上では首脳会談の際
にも既に知り得ていた筈のかかる情報」を承知で、なお且つ首脳間の合意
の成立が一体ありうるものか?さらに現在、対中関係の正常化と緊密化に
腐心中の金正恩氏が、目下、中国がロシアと共に「朝鮮半島の非核化」を
支持する現実を軽視し、中国にも頬冠りで、文字通り?背信行為”となる
リスクを敢えて犯すだろうか?など、疑問は山積する。
 6/28 、中・露は共同で国連安保理のメンバー国に対し、朝鮮半島の情勢
変化を理由に対北朝鮮・経済制裁の緩和を提案し、米国の反対で見送りと
なる動きがあった。既に中国は、単独で国境取引での制裁を一部緩和して
いる模様だが、兎も角国連ベースの制裁は継続中で、「北」は解除を切望
している筈だ。この点でも、「北」自らの誓約違反で制裁解除が先送りと
なるリスクは冒し難いと見られる。
 Mr. 金が真に首脳会談に期待したものが、単に目前の軍事攻撃の回避と
核武装完成(特に長距離ミサイルなど)までの時間稼ぎであったなら格別、
非核化のための工程表作成やその後の具体化プロセスの「遅滞なき実施」
が常識的に不可避である以上、「時間稼ぎ」論は甚だ説得性に乏しい。
 むしろ説得力があるのは、米政権内部、殊に大統領と伝統的な政府内の
軍・産複合勢力の対立の表面化説だろう。確かに国防長官はトランプ氏の
腹心的人物だが、CIAを含めた「主戦論」の幕僚や共和党内の政治家は
今回の首脳会談の合意ーとりわけ尚早の感がある米韓合同訓練の見送りで
?風圧” が強まる「在韓米軍の撤退」や 「THAAD の撤去」ーを、歓迎は
していまい。首脳会談による「拙速すぎる情勢正常化への動き」を早目に
潰すには、今が絶妙のタイミングだ。
 一方、米国の覇権防衛・国力回復のためには「America  First」主義を
徹底し国際的孤立も辞さぬー海外派兵コストの負担均等化を狙うートラン
プ政権はこの種の情報が″虚偽”でも逆に北朝鮮に対し『非核化プロセス』
の促進を迫るテコに利用するだろう。
 メディアや共和党内部にも高まる『非核化条件の詰め』の甘さへの批判
に応えてか、政権は急遽7/5−7にポンぺオ国務長官を平壌に送り、「北」
に核配備の現況説明を促す手を打った。「北」の反応如何で、この件に関
する今後の展開が、おおよそ予測可能となる筈だった。

    2. 『非核化』の中身:「廃止」と「中止」のすり替えか?

 だが3 回目のポンペオ長官を迎えた平壌の反応は、冷淡に近かった。前 
2 回と異なりMr. 金との対面も実現せず、長官の離鮮後、国営の朝鮮中央
通信は即刻双方の交渉姿勢のギャップを指摘。曰く「わが方の提案―米・
朝間の交流拡大や朝鮮戦争の終結宣言に関する問題などの並行審議―に対
し、米国側が完全で検証可能且つ不可逆的な非核化や、核施設の申告・検
証に言及」し、「一方的で強盗のような非核化要求だけを持ち出した」と
尋常ならざる非難を浴びせ、さらに「信頼強化どころか、確固不動だった
我々の非核化意思が揺らぎかねぬほど、危険な局面に直面」などと警告す
る有様だ。おまけに「非核化実現への捷径は新しい方法で、段階的、同時
履行の原則で解決可能な問題から個別に処理してゆくべき」と、議事進行
方法論まで主張する始末である( 7/8付日経・朝日朝刊)。
 一方、帰路立寄った東京での日・韓外相との三者協議で、ポンぺオ長官
は、非核化の工程表問題を含め「極めて生産的。多くの進展あり」と報告。
非核化実現に向けた計画立案、政策履行、検証のための『核心的事項』を
扱う複数の作業部会設置で合意済(*)の由(註:「北」はこの作業部会
の機能と設置については沈黙中)。
 現時点で双方の認識ギャップに加え、スタンスがこれ程異なる状況では、
米・朝会談は未だまさしく『藪の中』。少くとも「呉越同舟」ではない。
 どうやら「北」は、予め中国の了解を得ていたペースで事が運ばぬ気配
にご不満らしい。他人(中国)の褌で相撲を取るに似た、自らの交渉上の
ポジションの「一人前とは言い難い」脆弱さが十分お判りでないようだ。
 さらなる問題は、ポンぺオ氏が今回改めて日・韓双方に不変を強調した
「非核化完了まで経済制裁の継続」だ。多分「北」はこれに耐えられまい。
結局、中・露両国が非難も覚悟で部分緩和に踏み切り、兎も角「北」のお
手上げ(=自暴自棄状態化)だけは防ぐだろう。関係国も苦労する。
 
 だが初の実質的交渉が始まった冒頭とは言え、一方が首脳交渉の合意が
信じ難い程の「罵言を発する」状況では、今後も紛糾が避けられまい。
かような事態に陥った原因は、明らかに首脳会談でトランプ氏が犯した過
ちにある。「朝鮮半島の非核化」の意味を、米国側は当然「全ての核兵器
と関連する設備・技術要員一切の不存在」と了解する一方、「北」は多分
意図的に「核兵器の研究と生産・実験の停止」と看做して「核原料の保有
や生産は(平和利用を目的にする場合もあり?)対象外」程度の理解で、
双方共にすり合わせと確認を当面意図的に回避し、会談成功と発表した訳
である。
 世評的な成果を焦ったトランプ氏だが、中身と期限の曖昧な取り決めが
無意味なことを理解出来ぬ筈はなかろう。要は会談の決裂を惧れたのだ。
 結果的に米国側は外交交渉、つまり国家と国家との取決めの手順を軽視
し過ぎた首脳会談で高価な代償ー国際的声望低下と交渉能力への不信感ー
を支払う破目に陥ったようだ。
 無論交渉が長引けば、北朝鮮も国際的信用を完全に失うが、違約と欺瞞
の中毒が慢性化した彼らはその意味が理解出来まい。事実上使えぬ「核」
の保有を誇っても、南との経済格差解消に手間どれば、住民の大量逃亡が
待ち構え、国家の存続を揺さぶる筈。強制阻止は人道問題化が必至。人口
 2,500万の小国にとり「南北の共存」は「茨の道」だ。早晩、吸収合併を
辿る宿命なら、東独の前例によると、軍と官僚が合理化の犠牲になる。
 朝鮮半島の非核化は、どの途「丸ごと戴き」となる中国が、大乗的見地
から自国の利益を「二の次」に、北朝鮮を「説得」という名の「屈服」で
従わせる他、平和裡の円満解決が出来ぬ雲行きだ。
 当然ながら並行して進捗中の米・中間の貿易紛争の影響をも蒙りそうで、
浅慮だった大統領の「尻拭い」は、米国にとり相当高くつくだろう。泰西
の名言「カイザーのものはカイザーへ!」(マタイ伝)の極東版は、どう
やら「中国のものは中国へ!」になりそうだ。朝鮮問題の処理は、覇権を
競う米・中関係の将来を占う『序曲』のスタートなのだろう。

    3. 画期的変貌を遂げる米・外交政策の真の狙い
                                
 今回の首脳会談そのもの(非承認国が相手では前例が無い)とその結果
(合意履行の期限不明)自体が、通常の外交交渉の慣例や常識を無視する
異例の沙汰ではある。とりわけ双方の首脳の合意に先立つべき外交当局に
よる合意条件の?詰め”が完全に欠落する点ートップ同士の合意の中身が
?実質的” には空文同然ーで、「手順が逆」なのが問題を生む原因だ。
 今や理念派の大統領の時代が懐かしい。比較的狭い産業分野の経験で錯
綜する国際問題を捌くなら、「離陸前に着地点を確認」できる嗜み程度は
持ち合わせるべきだろう。朝令暮改や?墜落場所不明”が度重なると世界
中が迷惑する。自由大国なるが故に直面する、覇権とポピュリズムの相剋
なのか?
 多分朝鮮問題以上の波紋が予想される「貿易戦争」の始まりは、さらに
深刻な問題だ。米州主要国(加・墨) ・EU・中国さらに日本に対する米国
の、赤字対策のための一方的関税引き上げ宣言だが、世界不況への導火線
となる懸念がある。対朝鮮同様の手捌きで、突如問答無用に近い宣戦布告
に直面する各国は、わが国ー目下情勢を展望中で最低限の反論に終始ーを
除き、既に英国も含めた「目には目を!」の徹底抗戦で対抗する共同戦線
を展開中だ。とりわけ帰趨如何で肝腎の「一帯一路」戦略まで停滞を余儀
なくされる中国が、一歩も引かぬ抗戦姿勢を貫き、戦火は拡大気配である。

  だが朝鮮問題解決の目途も不確実の現時点で、政府内部の陣容も未整備
の状況下、何故トランプ政権はかくも同時多発的で明らかに「手に余る」
外交戦略を展開するのだろう? 率直に言えば「狂気の沙汰」で、「良識
に従う」理性を欠けば、いずれも成功は覚束ない筈だ。
 最近トランプ政権には、さらに彼個人にとって鬼門の筈の対ロシア交渉
を強化する動きがみられる。尤も此処まで急速に手を広げる中で、唯一、
異質と見られる対象がある。「イスラエルの絡む中東問題」で事後の交渉
による修正が至難と見られる性格上、武力行使による強行突破が必要だ。
 北朝鮮と異なり、イランと結ばれた『非核化』協定はIAEA(国際原
子力機関)がその順守振りに折紙を付け、EUも「非難の余地なし」と評
価するが、米国のみがトランプ政権発足後、協定中の条件不備を主張して
協定から脱退を宣言、イランへの不当視される批判を俄かに強めている。
 最近のエルサレムへの米大使館の移転問題もあり、これらの平地に波瀾
を敢えて起こす政策に対し、関係各国は一斉に、激しい批判を加えている。
 今回の対ロシアの動きも、最近中東での存在感を高め、イランと緊密な
ロシアに対し、中東政策の修正を迫る狙いだろう。
 将に八方破れのスタンスだが、『非核化』の北朝鮮や『貿易』の対中国
は、いずれも妥協の余地が十分だが、イスラエルが絡む中東問題だけは、
宗教も絡んで妥協の実現が絶望的だ。「焦り」の色の濃すぎる感のある諸
懸案の同時提起の背景は、存外自己の再選は困難と睨んだ上での「イスラ
エルの保全体制」の実現完遂が彼の出自(独系ユダヤ人)に由来する真の
標的なのかも? シオニズムとは無縁の筆者の錯覚ならいいのだが・・・
    
      排気ガス対策の逡巡を尻目に荒れ狂う自然の猛威に呆れつつ
     人狂い  天地(あめつち)も狂う  新世紀     汨羅
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