経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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No.114 米・朝首脳会談 の“お流れ”はありうるか?***断 魔の北朝鮮 vs.中国の存在感*****

2018/05/21

 
 第二次大戦終結後すでに73年、不運な内戦の結果『冷戦の遺物』扱い
が定着していた南・北朝鮮問題に、漸く遅すぎた春が訪れる気配だ。だが
直近まで呆れるほど急ピッチで進行中だった『雪解け現象』が、米・韓の
定例空軍合同演習の開始(5/14)を契機に俄かに視界不良となり、「北」 側
から演習への批判と停止要求に加え、予定していた南北閣僚レベル協議の
中止を発表。さらに米・朝首脳会談の見送り可能性を匂わす発言まで出始
めた。この問題―朝鮮半島の和平実現ーは根が深く、楽観は禁物だ。

      1.  『脱核』路線への転換の背景と中国

 平昌五輪直後から始まった南・北首脳協議の狙いは、利害が共通する目
前の危機ー米国の「実力行使」による「動乱」の再発ーの阻止が第一義で、
『核の完全放棄』を掲げて中国を巻き込み、一挙に米・朝首脳会談の実現
合意にまで漕ぎ着けた。先ずは「北]の念願だった対米直接交渉と、中国の
参画で国際的な和平ムードの醸成に成功した結果、事実上米国の武力封じ
への第一歩を踏み出した訳である。
 だが父子二代にわたる「北」の核への執着は簡単には消えまい。父子相伝
の二枚舌と二枚腰も健在だ。当面は「半島の核抜き」を出来るだけ高く売
り込み、兎も角「現体制の維持保証」と「経済援助の獲得」実現で我慢し、
すでにノウ・ハウを保有する「核」については、時節の再来を待つ腹だろう。
 最近の情報では、「北」の核放棄の動きは既に1月に始まっていたようだ。
多分、昨年10月の国連安保理の対「北」経済制裁決議への中・露の同調で、
比較的短期で『経済破綻』に直面必至の緊急事態を認識したのだろう。
 早い話、直近の北朝鮮国営放送 (5/6)の俄かに変調を来した激烈な対米
・対日批判?半島安定化の動きに逆行する主張に固執する勢力”呼ばわり
は、どうやら南・北朝鮮政権の進める 「対北経済制裁の緩和・撤廃」案へ
の米国の予想外の強硬姿勢に、思惑が外れて業を煮やし、米国に同調する
日本にも矛先を向けた ” 焦り” の色が滲むようだ。
 つまり「北」の脱核戦略への転換の"真”の動機は 制裁の長期化が原因と
なる「経済的破綻」と「民意の不安定化」への懸念だろう。だが既に中国
にも「核抜き」をコミット済であり、会談中止の後遺症を予想すれば今更
「北」に首脳会談回避の選択肢はあり得ぬ筈だ。冷静さを失えば、会談でも
成果は得られまい。Mr. 金が自滅に陥らぬことを祈りたい。
 もう一点、米側の姿勢が完全非核化に加え『大量破壊兵器( 化学・生物
系兵器・中長距離ミサイル) の撤去』まで含める気配に、南北会談で想定
していた「段階的交渉」でジックリ個別条件を刺し違える余地が無く、一挙
に「丸裸化」が要求される不安への?苛立ち”の表明だ。恐らく仲介役の韓
国側の説明と、米国の発言の内容ギャップに気付いてのクレームだろう。
 
  米国ではリビア方式(核完全放棄実現後トップのカダフィ氏謀殺)の主張
も一時は流れる始末だ。5/8 突如大連で再度中・朝トップ会談が行われた
のは、事態の展開を憂慮した金正恩氏が「矢張り中国抜きでは対処不能」
と認識、恥を忍んで中国に「対米交渉の前提条件への介入」助力を哀訴し
た可能性が大だ。習氏が即応した対トランプ電話(体制の維持と段階的な
交渉への配慮要請)の意図は微妙だが、米・鮮双方に改めて存在感を示し
得た中国側に損はない反面、この条件を米側が呑めば、中国にも片棒を担
いだ義務が生じ、今後6カ国協議の主宰者役で演じたサボタージュは出来
なくなる。しかしクールに見れば、中国無くして今回の米・朝首脳会談も
成果は期し難いと言うのが現実だ。朝鮮問題の解決を通じ退潮一方の米国
に比べ、中国の「アジアでの覇権確立」が趨勢として一層鮮明になろう。
 最近の対日接近姿勢の積極化も、既に今後のアジアの姿と対米対決の公
算を念頭に、長期戦略上日本の協力が不可欠と認識し、「パートナー」と
して再評価する動きだろう。共通する対米貿易問題や、海洋・防衛政策の
ほか、「一帯一路」での役割も絡むのだろう。

     2. 核戦略転換問題の処理に悩む北朝鮮
 
 念のため、南北分裂後の歴史をふり返ろう。一時は「朝鮮動乱」と呼ばれ
たこの内戦は、半島が日本の敗戦 (1945/8月)により植民地から脱し直前
のヤルタ協定 (同1月)に従って暫定的に北緯38度線の南部と北部を占領
した米・ソの信託統治下で夫々独立を果した( 1948/8・9月 )後、突然、
境界線を突破して南下した「北朝鮮軍の侵略」に始まる(1950/6月)。 
 当時歴史的に長期にわたり朝鮮を実質支配してきた中国は、国・共間の
争いが終わり、中華人民共和国として発足(1949/10月)した直後だった。
  その後内戦に介入して本格的な『戦争』の主役となった米・中両国間の
鞘当ては、極度にエスカレート。中国流の数を頼む 「人海戦術」攻勢に手
を焼いた国連派遣軍 (米・英・豪・加など参加)の司令官が主張する中国
領内 (旧満州)への越境爆撃や、戦後初の戦略核の使用まで検討され、危
うく第三次大戦の勃発も懸念される事態に陥りかけた経緯がある。
 だが当時の米大統領トルーマンが戦火の拡大阻止に徹し、対日戦の英雄
だった国連軍司令官を解任、米国流の「文民コントロール」を実証した。
 今では北朝鮮による侵略の動機が、ソ連のスターリン首相の甘言に唆か
された金日成(正日の祖父)が「半島の武力統一」を夢見た事実や、毛沢東
の了解と支援を取得済だったー援軍派遣の遠因ーことも定説化しているが、
約三年間、半島全域が戦火に曝された。当初虚を衝かれ劣勢だった米・韓
軍が、優勢に転じ中国国境近くに迫った後、人民解放軍 (中国)の参戦で、
ほぼ侵略開始前の状態に近い北緯38度線まで押し戻された結果、関係国ー
中・朝と国連軍参加国ー間で?痛み分け”の『停戦協定』(1953/7月)  が
締結された。
 この動乱は?冷戦の戦闘化”であった上、地政学的にも米・中・ソの軍
事大国の利害が複雑に絡んだため 爾来朝鮮半島問題は 「 触らぬ神に祟り
なし」扱いされた。時折南北間に軋轢はあったものの、この協定は『北東
アジアの抑止力』として予想以上の長期にわたり?政治的安定剤効果”を
発揮してきた事実がある。

 だが「北」の核戦略が、再び半島問題の活性化に点火した。皮肉な話だが、
多分イラク・リビアなどの独裁専制国家での体制崩壊に不安を覚えた北朝
鮮−キューバ以外に例のない「世襲的」社会主義政権−が、米国を含む大
国による将来の再介入を防ぐ目的で核開発に手を出した結果、朝鮮半島の 
「分裂国家体制」に漸く「想定外」だった見直しチャンスが訪れた。
 しかし父子二代にわたる「北」の核戦略化は、タイミング上些か手遅れで、
漸次高まりを見せ始めた国連レベルでの世界的な趨勢ー核兵器廃絶運動ー
のほか、既に確立された「核兵器特有の大国中心の世界的管理体制」が及
ぼす"排他性”を 軽視していた。その結果彼らの判断は国際的視点を欠き、
リビアやイラン同様、当初より『孤立化』するリスク要因を孕んでいた。
論より証拠。「朝鮮半島の非核化」には米国のみならず中・露も同意する。
 結局、核への参入戦略は国民生活に多大の犠牲を強いた挙句、米国主導
の経済制裁で万策尽き、水泡に帰す結果となり、元来「社会主義には馴染
まぬ世襲体制」政権の終焉を早める契機ともなりそうだ。
 何故なら如何に専制体制下とはいえ国を挙げての『核保有国入り』戦略
の突然の放棄や、身内の粛清まで伴った反中国政策の急激な修正を軍部や
国民が「鵜呑み」で納得できる筈が無い。「論理中心」の技術を磨き上げ
た両班の伝統に由来するのか、とりわけ議論を好む民族的体質がある。
 政策の失敗は明白で、体制への不信感が「澱(おり)」のように貯まる。
半島の統一は暫く先だろうが、その暁には金一族への処断(亡命?)が中
・露の課題になろう。
     3. 中国の存在感を高めるトランプ流中東政策

 歴史問題での長口舌は、この問題の解決策に過去の『因縁』の投影が不
可避のためである。念のため「1950年動乱の被害」を確かめよう。 
 米・国防総省の発表では米軍のみで戦死者 3万3686人, 戦病死・行方不
明1万1006人。一方中国側の公表では中国軍戦死者数11万4000人,戦病死
・行方不明 4万1600人、捕虜2万1400人、北朝鮮軍については死者 29万、
捕虜9万、韓国軍の死者は 66万、米軍を除く国連軍戦死者を2万9千と推
定している。(資料:いずれもWikipedia)
 さらに一般市民の死者は推定で北朝鮮側 250万,韓国側 133万 とされる
ほか、対日戦 (3年9カ月)より短い約 3 年間に105万 回に及ぶ爆撃で総重
量 60万トン(うちナパーム弾3万トン)の爆弾(対日戦の3.7倍!)が使用
された。朝鮮動乱の実態はベトナムと並ぶ史上空前の『殺戮戦』だった。 
 南・北のみならず米・軍部まで被害の巨大化必至と見られる開戦に「尻
込み」する理由がお判りだろう。双方が疑いなく『戦略核』を活用する新
たな『動乱』の被害が、前回を下回る可能性は絶無だ。結果を知りつつ踏
み切るなら、武力で制圧する米側も敢えて滅亡の途を選ぶ 「北」も、人道
上、立派に犯罪者だ。つまり本来、理性的な協議以外に解決策は無い。
 
 俄かに信じ難いのは、朝鮮問題が解決途上の時点でトランプ政権が中東
で新たに重大事件を誘発したことだ。ユダヤ・アラブ両民族の聖地エルサ
レムを一方的にイスラエルの首都と認定した上の米国大使館移転である。
 反対するアラブ人へのイスラエル軍部の実力行使で、初日(5/14)だけで
死傷者 2700 人超。一応収まったが、地域紛争激化に新たな種を播いた。
核問題でのイラン敵視に始まった米国の中東介入は、イラクでのベトナム
並みの破綻に始まり、シリアでは躊躇した挙句、時宜を失した五月雨介入
が続いているが、及第点には程遠い。イランでも更に手を焼くだろう。
 原因はベトナム同様、現地経験の不足に加え、現地事情への無理解だ。
おまけに昨今の米国は、介入長期化を賄うに十分な財力にも、不安がある。
如何に大統領の出自 (独系ユダヤ人)が支援の動機にせよ、長期にわたる
聖地を巡る民族間の争いの性格や、大詰め段階の半島問題とのタイミング
上も、介入は非常識である。国連でも米国とイスラエルへの非難囂々だ。
 多分大使館移転を宣言した昨年12月時点では、米国にとり「北」の五輪
後の政策転換は想定外だったろう。だが「北」はこの好機をフルに利用する。
ロシアゲートでの大統領訴追はどうやらなさそうだが、首脳会談の失敗は
11月の中間選挙の敗北リスクを高め、議会(下院)で弾劾が通れば失脚だ。
 新たな中東情勢の混乱は、当然、朝鮮問題にも波及する。米国側は今や
米・朝首脳会談 (6/12) での可及的速やかな合意成立が不可避となった。
万一、合意の見送りとなれば、トランプ政権にとり致命的打撃となろう。
  最近、頻りに「北」の現体制維持への保証を口にし始めたトランプ政権で
は、既に妥協も厭わぬ気配が濃厚だ(5/17)。
 一方、中国を「後ろ盾」に得た「北」が、この機を逸する筈が無い。中東
問題で窮地に陥る米国を計算済の、粘り腰展開となろう。だが 「北」には
中国へのコミットによる『義理』があり、 「半島の核抜き」実現は回避が
できぬ筈。交渉の焦点は米・朝双方の抱えるジレンマの調整、つまり首脳
会談に内在する難題に如何に 「折り合い」を付けさせるかだ。ここで米・
朝を捌く役目は、中国の独壇場となる。だが同時に習近平の器量も測られ
る訳で、いわば三者三様に迎える正念場だ。主要な問題点は: 
     1)  「北」に対する主要国による「現体制の維持」保証 
   2) 中国が最も期待する米軍の韓国からの撤退とTHAAD の撤去
   3)  「北」 が渇望する国連決議による経済制裁の部分的又は全面
      的解除と経済援助の早期実現
   4) 米側が絶対条件とするCVID条件 (完全で検証可能且つ不可逆
      的な非核化)の「段階的実施」ベースへの緩和
だろう。この中、2)については既にポンぺオ米国務長官が前回の 「北」と
の協議(5/13)の際「半島全体の非核化」 実現に同意したようだが、これが
撤兵とTHAAD 撤去まで含むのかは不明。撤兵実現となれば、事実上、米国
は朝鮮半島から手を引く―韓国を見捨てるー訳だ。早晩半島全域が中国の
勢力圏に入り、北東アジアの安定を巡る抑止力状況は日本を含め激変する。
 硬派で鳴るポンぺオ長官は、米国企業の投資によるエネルギー・農業部
門への経済協力にも付言した由だが、公的資金(税金)の投入には頬冠り。
 その一方で米国は、「北」との合意内容のタイム・スケジュール遵守の
監督責任を、全面的に中国に押しつける腹だろう。
 だがここでも、目下米国の進める対中貿易摩擦を巡る通商協議の緊張が
少なからず影響する。今回は暫定合意(5/19)で当面鎮静化しようが、次は
台湾問題が本格化必至。遠からず沖縄基地問題にも波及する。

     4. 楽観視が困難な「分裂国家」の統一

 「北」は核を捨て、経済水準の向上を新な国家目標とする。早晩連合国家
ないし統一国家に落ち着こうが、人口や領土面積が朝鮮半島にほぼ近い東
・西ドイツの統一後、約30年を経た現在、「統一コスト」が経済的・社会的
に並々ならぬことが判明済みだ。中でも両地域の生活環境の平準化の加速
には、膨大な投資と時間が必要で、朝鮮の場合ドイツ並みでは済まぬ筈だ。
 戦後44年間の東独での中央統制経済システムに由来する、労働生産性・
投資規模・経営能力の格差が主因で生じた所得格差は未だ解決せず、不満
の累積は最近、政治面に反映。顕著な極右勢力の台頭を生んでいる。外国
人労働者への反発や排斥も、旧東独の各州でとりわけ強い。
 経済規模では世界3位だが、経済体質の強度・健全性では最右翼にある
ドイツの先例から得られる教訓は多かろうが、南北朝鮮が誇りうる類似点
はドイツに遜色のない「教育水準の高さ」と短期で改善可能な「労働力の
質」だろう。経済要因も匹敵する。
( 人口: 西独 63,254    東独 16,111    韓国 51,069     「北」25,155 ) 
   −千人−       (1990 年)       (2015 年)     (2015 年)
( 面積:   248,717        108,333        100,339         120、546 )
   −平方キロ−                                  ( 資料:Wikipedia )
 だが西ドイツ同様、統一コストの主な担い手となる筈の韓国経済は、
ドイツと相似て異なる駆動力ー財閥・大手企業の成長性への極端に高い
依存度ーが特徴だ。歴代韓国政権の財閥虐めは、この辺がお判りの上な
のか疑問だが、今後経済政策的に左派色や中国の影響力が強まる環境下
で、従来と変わらぬダイナミズムを維持しうるか?それとも国外脱出に
傾くのか?ドイツとは逆のため、未知の課題に直面する可能性があろう。
   
   朝鮮半島に和平の香が漂う初夏気分の日
     
    木蘭(もくらん)の 咲くや槿(むくげ)の 枝の先  汨羅

 註:槿と木蘭は夫々南・北朝鮮の?国花”。木蘭は本邦では繊維の染色
   に利用、清楚な花をつける「草花」で接ぎ木は不能!季題は「夏」。

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