経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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No.112 波瀾を呼ぶ火薬庫・冬季五輪後の朝鮮半島***激動気配の世界情勢(続)

2018/03/13

 
 「瓢箪から駒が出る」というが、正直な処格別の成果も期待されていなか
った五輪閉幕後の北朝鮮への韓国大統領特使派遣が、突如、5月迄に米・鮮
トップの会談実現という「大金星」を誘発した。暫く背景に関する揣摩臆測
で賑やかだろうが、五輪の期間中延期されていた米・韓合同軍事演習再開が
即、「北」への実戦開始になりかねぬ急迫した状況と、国連安保理での制裁
強化決議の経済効果拡大が「北」を追い込んだのは間違いあるまい。
 無論、窮地に立ちつつあった「北」の実情把握と、彼らの譲歩しうる余地
まで的確に読み取り、結果的に『絶妙のタイミングだった』と言う他ない巧
みな『ごり押し』を続けた、「民族の悲願」を背にする韓国政権の『シブト
い根性』の成果と、一応素直に賞賛すべきだろう。
 具体的成果は全て今後となろうが、何よりも長い間の「断絶状態」で一触
即発も懸念されていた対決ムードが、これを機に一挙に「前向きの解決」を
目指す方向へと切り替わる「可能性」を生み、北東アジアを巡る政局の安定
化への重要な布石となることが、とりわけ『画期的』ではある。
 だが過去20年に及ぶ「北」の核を巡る欺瞞と合意違反の反復への不信感も
根強い。中・露まで含めた国連の制裁強化決議成立が実証する通り、既に米
・鮮間の緊張は極限状態だった。会談が実を結ぶには、先ず『今回が「北」
の体制保全の最後のチャンス』との『共通』認識が不可欠で、クールに見れ
ば時間的余裕のない「北」には「無条件降伏」に近い条件が待っている筈だ。
 早晩協議に係わる他の 5カ国にとっても、下手な妥協など望む余地は皆無
との覚悟が必要だ。
     1. 窮地を救われたか?トランプ政権の外交姿勢

 大統領就任以降1カ年、次々と振り播く話題過剰のトランプ氏だが、1月
末の世界経済フォーラム(ダヴォス)に出席した?度胸” には些か驚いた。
   標榜する「アメリカ第一主義」に加え、思慮を欠いた「エルサレムの帰属」
発言もあり、本来なら反感が渦巻く筈の『理性派が集う著名フォーラム』だ。
その権威と伝統に対する?異端児”  大統領のやや無謀な挑戦とお見受けした。
 初の「一般教書」発表の直前だったが、前年の選挙戦中のロシア・ゲート
疑惑の摘発回避を図った大統領権限の行使で、「司法妨害」を巡る議論が喧
しい米国政界ムードの転換も狙った大統領の、リスク覚悟の「苦肉の一手」
だったろう。
 だがこの作戦の成果は疑問だ。初見参では派手な自己宣伝や喧嘩は御法度、
殊勝らしく昨年明確に脱退を宣言した気候変動対策のための国際合意・パリ
協定や、珍しく日本主導で「米国抜きの発足」に漕ぎ着けた東南ア・環太平
洋諸国の経済協力策・TPPへの、やや屈辱的では?と拝察する?条件付き
復帰の可能性” 表明を余儀なくされた。
 名刺代わりのトピック提供の心算だったろうが、ご丁寧に自らの国際感覚
と先見性のレベルを実証する破目となった一方、自国の『指導力の衰退』を
並いる世界各国の参加者に実感させたマイナス効果には、無頓着に見えた。
 かように息災なセンセイだ。「米国の縮小均衡表明」スピーチを危惧して
いた聴衆の?安堵感からのお義理の拍手” を、「自説歓迎」と受け止めたの
では? 居合わせた著名な投資家 J.ソロス氏は、「大統領の在任は2020年
まで」ー つまり再選はおろか任期中の辞任睨み ーと冷たい御託宣だった。
 
 3月に入るや、かねて主張していた鉄鋼・アルミ製品の輸入関税の「例外
なき」大幅引き上げを発表。結果的に影響が甚大となる中・韓ー「北朝鮮」
問題での協力が不可欠の筈の両国ーにEUまで加わる強い抵抗に出会って、
「貿易問題は別次元」との 説得力を欠く反論で喧嘩を売る有様だ。
 EU当局は即座に米国工業製品への「報復関税」実施を匂わすなど、世界
の世論は長年の努力で確立されつつある『自由貿易主義』への挑戦と看做し、
関税紛争の幕開けとの批判が強い。政権内部もウオール街出身で経済戦略の
要の大物が抗議の辞任。早くも一週間でカナダ・メキシコ・豪州には「例外
扱い」を声明するなど、十八番の朝令暮改だ。
 いずれにせよ自己の政治的地位が脅かされている状態も一因なのか、かく
も脈絡を欠きタイミングを弁えぬ諸施策を連発し、世界的波紋と緊張を増幅
して止まぬ大統領を、今後選んだ米国民の英知が如何に巧みに"始末”するか
が、11月の中間選挙を背景に展開される本年最大の政治的スペクタクルだ。
 だが北朝鮮問題の解決に奏功すれば、トランプ外交への評価は大幅に変わ
る。果して彼に、世界の期待に応えてこの難局を凌ぎ、得点を挙げる才覚が
あるかが問われる『正念場』を迎えた訳だ。

     2.  「五輪」の政治利用が直面する限界と問題点
 
 当初北朝鮮の参加自体が危ぶまれた韓国での冬季オリンピックは、予想外
の「北」の積極活用姿勢で、俄かに「民族の統一」願望を滲ませる政治色が
濃厚な大会となった。南北政権双方の思惑(後述)は別として、結果的には
過去の「ソ連のアフガニスタン侵攻」を理由にしたモスクワ五輪への西側諸
国の参加見送り(1980)や、その返礼・米国ロス五輪へのソ連東欧諸国の欠場
(1984)といった、五輪の意義も咀嚼出来ぬ幼稚な『冷戦外交』の復活が兎も
角回避された点、「漸く世界は人間的に成長した」と評価したい処だ。
 だが冷めた眼で見ると、米ソ二大勢力の対立という比較的単純な図式から
中国の台頭や旧ソ連圏の解体、更に『アラブの春』政権の連鎖的崩壊に続き
中東での戦乱・対立の複雑・長期化が産み落としたテロ国家ISの誕生、ア
フリカ・中東からの難民問題とISテロで揺さぶられ結束の崩れる西欧諸国
など、世界の情勢はこの40年足らずの間に、「成長」どころか一層解決が
困難な『混迷』の色を深めている。
 今回の五輪自体、同じ「分裂国家」でありながら東西ドイツの統一実現後
既に30年近くを経過し、今なお「統一への曙光」さえ見えぬ朝鮮半島での
『民族の祭典』に他ならぬ。「所詮ドイツ人と朝鮮族の知力の差」と見るの
は酷に過ぎよう。傲慢無類で信義に乏しい中・露二大社会主義国と地続きで
境を接する歴史的・地勢学的苦悩は、東独とは別次元だ。並大抵でなかった
ろう。
 亡国を意味する「半島での再度の戦乱」の絶対回避を図る韓国側は、五輪
参加の答礼を兼ねた和解実現へ大統領特使を派遣、米・鮮間の協議実現への
布石に腐心し金正恩議長との面談に漕ぎつけた。五輪を機に俄かに軟化気配
に転じた「北」の変貌の背景は、無論、前述の通り極限まで高まった米国の
『軍事力行使への懸念』と、中・露も支持・協力のやむなきに至った国連安
保理の「反核・制裁強化決議」の、想定を上回った『経済的効果』である。
 食糧自給が覚束ない「北」の経済環境では、現金収入に事欠いては核開発
どころか国民の「生命維持」が至難の筈。問題解決が長引けば、クーデター
の潜在リスクも皆無であるまい。「瀬渡し」密輸などで凌げる訳が無い。
 一方、重要な当事者であっても、現実に自らは何ら決め手を持ち合わせぬ
韓国の努力で事態が進むのは、米・鮮の直接折衝開始までであろう。理由は
「北」が求める『体制維持』には 最終的に日本を含む関係6カ国の『核廃棄
・政権保証』への合意が不可欠なためである。その時点で、傍観者的だった
中・露から、米国の朝鮮半島からの去就を含めた「核抜き・半島の中立化」
要求が持ち出されるのは確実で、容易に纏まる話ではない。
 何故なら「北」の求める「体制維持の保証」自体が、「一挙に将来の米・
中関係、米・露関係をも包摂し、日本と南・北朝鮮両国の安全保障体制まで
含む協議」の成果を意味するからである。
 正直な処、今や世界は朝鮮半島を巡り広島・長崎以来70余年ぶりに米・
鮮双方からの核兵器の使用懸念も皆無ではない現実に直面しており、「成長
した」などとは到底言えぬ、「複雑骨折状態に煩悶中」なのだ。
 
 その上われわれは今、全く想定外だった別次元の難問・地球規模での協力
と対策が緊要な『世界的異常気象と急テンポの海面上昇問題』にも直面して
いる。既に世界で10人中4人は、水飢饉に悩む昨今だ。異常気象の齎す被害
は、最近では米国さえお手上げに近いテンポと規模に達している。
 原因に関する議論の当否は別として、全人類への食糧と飲料水(治水)の
確保が不可欠な以上、国家レベルでせめぎ合う時代は本来とっくに「卒業」
していて然るべき筈なのだ。現時点で核危機を巡り米・鮮間で意地を張り合
う"口喧嘩”の類は、正に火災現場で燃えさかる火の手を放置して失火責任の
なすり合いに血道を上げる輩並みの「戯(たわ)けた」話。直近の米国など
は新核戦略構想で「小型(の核兵器使用)ならよかろう?」とまで言い出す
始末。己れが犠牲者になる発想がサッパリ無い。原爆展や銃砲規制が出来ぬ
国家ではこうなるのだろう。問題あるトップを選んだ米・鮮双方の国民にも
自覚が欲しい処だ。
       3.  懸念含みの「米・鮮会談」の見通し
 
 だが今回の会談決定への快調テンポには、些か疑念も付き纏う。とりわけ
口を極めてトランプ氏を「悪の権化」と批判していた金委員長が、ギリギリ
のタイミングで五輪参加を決定後、実妹をソウルに送り、平壌で迎えた韓国
大統領の答礼特使を溢れる笑顔で歓待、米国側が断れぬ程の好条件提示で遇
する「豹変」に至ったスピードの不自然さだ。既に五輪参加を前提に南・北
双方で米・鮮「会談」へ持ち込む綿密な策が練られていた公算が大である。
 朝鮮王朝時代の『通史』を通続すれば、長期にわたる「北京政権」への隷
属・朝貢の実態と、中・露・日の間で揺れ動いた日和見的外交姿勢に加え、
近世以降の重要政策の決定で繰り返した「現実直視を避ける甘さ」が特徴ら
しい印象を受ける。科挙と両班制度で鍛え上げた伝統を背景に、優れた人材
が豊富で戦略に明るい自覚があるのだろう。
 さらに若干の懸念は、「存在感」や「面子」に強く拘る性向だ。自力のみ
で解決出来ぬ微妙な問題である場合、踏み込み過ぎた自己顕示や演出指向が
却ってマイナスにもなりうる。憶測だが、米・韓合同軍事演習が定例化して
おり、米軍の戦略の緊急性を「北」が察知し、豹変の動機となった可能性も
あろう。
 今回の問題の第一は、「会見結果への楽観視は禁物」ということだ。統一
問題に直面し、韓国の国内世論が分裂する惧れもあり、慎重さが望まれる。
 問題の第二は中国とロシアである。目下、中国の最大の関心事は「一帯一
路」だ。外交関係が最悪に近い「北」問題での負担増は、迷惑至極だろう。
既に逸早く韓国への経済制裁を緩和し、正常化を決定した辺りに本音が窺く。
半島の統一には相当な時間が見込まれる以上、ロシアも同調する筈の「米・
韓の軍事同盟・基地保有の解消」が当面の共通ターゲットとなるだろう。
 トランプ政権発足後、対中・露戦略の見直しが始まった直後だけに、米国
の新たな北東アジア戦略の動向が特に注目される。とりわけ長期的観点から
左派政権下の対韓国関係の修正に至れば、わが国の抑止力の将来にも影響大
だ。またわが国特有の「北」への「植民地時代の清算」問題も、戦後の対韓
経済協力(事実上の賠償)とのバランスや、拉致問題も絡んで浮上する。

     4.  対決を迫られるわが国の防衛体制

 見方によっては今回の「会談」が齎す最大のインパクトは、北東アジアに
おける日本の「防衛戦略」の再検討問題かも知れない。率直に言って、早晩
朝鮮半島の統一国家が出現すれば、歴史的・地政学的経緯に加え、最近の中
国の飛躍的経済発展から判断し、新国家の中国への傾斜は避け難い。無論、
新国家の経済的発展は「中央管理体制」の下では困難で、既存の財閥グルー
プの人材・資金力を中核とする経済機構が維持されよう。しかし米国の抑止
力と米・韓軍事同盟を基幹とする、現状の北東アジアの平和維持機能の継続
利用は、最早不可能となる。
 わが国としては対米関係の変化をも予定した独自の抑止力・防衛力を構築
するか、今回の「会談」が契機で誕生が可能な『北東アジアの不可侵条約機
構』に期待するか、選択を迫られよう。前提は日本と半島の『核抜き』体制
で、国防費の観点からも必要だが、問題は条約加盟国に信義遵守の点で懸念
なしとせぬ中・露の二大社会主義国を含むことである。
 だが今回の「北」を巡る軋轢で、わが国独自の核保有の可能性が無いこと
が認識された以上、条約機構の機能整備に万全を期す他あるまい。
 この場合、わが国自体が「核を持たぬ平和国家」として、確固たる信念に
基づきアジアの平和と安定への努力を決意し、将来、アジア全域へのモデル
となることを目指した『国民の理念』再構築へのコンセンサスが必要だろう。
    
    突風が見舞う日本海の春暁を迎えて
    
           吹き荒れる  肌に冷たき  春の風      汨羅
 
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