経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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No.111 蔓延する世界的『混沌』現象***懸案解決能力を欠く主要国指導者***

2017/12/25

 
  年末を控えた現在、否応なく認識を迫られているのは、僅か17年前の今世紀初頭
には夢想もしなかった”混沌" 状態が、原因は異なるにせよ世界各地で同時並行的に
進行する現実だろう。余りゾッとしないクリスマス・プレゼントで恐縮だが、最大関
心事の米・北朝鮮問題(最後尾)を含め概観する。

    1.  正気の沙汰か? 混迷度を深める米・新政権の外交姿勢

 まず米国。国際的な政治感覚が「 鈍」過ぎる大統領の率いる新政権発足後1カ年、
この間話題には事欠かなかったが、国内では相次ぐ要職の更迭や辞任で政権が不安定
化、対外面は前政権が長期間知力を搾って纏め上げた数多の国際的な合意を、前任者
への過剰意識からひたすら見直し・撤回に努める結果、国家としての米国への国際的
信望もガタ落ちだ。
 第一幕はNAFTA ・ TPP などの経済政策合意や気候変動対策のパリ協定への離反。
特に後者からの離脱決定は、全世界の気候対策推進ピッチに多大の禍根を残す結果を
招いたが、自国でもカリフォルニアの空前の規模の山火事は未だ延焼中。さらに東部
南部での記録的風水害も、事態の緊急性と政策転換の愚かしさを十二分に実証中だ。
 だが極め付けは『エルサレムをイスラエルの首都との認定』だ。不動産稼業は格別、
国際センスに乏し過ぎる人物の、出自(先祖はヒトラー政権当時移民した独系ユダヤ
人)への御奉公のつもりだろうが、根拠に挙げた『歴史的事実』は不当かつ歴史に反
する主張で、中東問題の核心地で保たれて来た微妙な安定状況を根底から揺さぶり、
総人口 8 百万人のイスラエルのため地球人口の1/5 を占める全イスラム教徒を敵に
廻わす、「歴史的愚挙」第二幕の始まりである( Dec.7 )。
 おまけに翌日、日・欧を含めた15カカ国の国連・安保理事会で、米国を除く14カカ国
がこの措置の撤回を求めた決議を、常任理事国の保有する特権・拒否権発動で葬った。
戦後、国連の創設以来『初の怪挙』である。さらに21日の緊急総会での撤回要請決議
では賛成が日本を含む128カ国、NAFTA 解消問題に悩むカナダ・メキシコなど35カ国
が棄権、反対は米国を含め9カ国。投票に先立ちトランプ氏は「賛成投票すれば実行中
の経済援助を停止する」と、貧困国相手に ”非紳士的” な恫喝スピーチまで行った。
 既に世界各地で一斉に反対デモ騒ぎが勃発。現地ではイスラエル軍の鎮圧のための
発砲で死者が続出中だ。政権内部で国務・国防長官が猛反対する措置を、大統領権限
で強行できる辺りに、誕生後2百年程度で歴史的経験に乏しい”民主国家" とやらの
制度的欠陥が露呈された訳だが、彼を選んだ米国民の責任の取り方が世界中の注視を
集めるのは当然だろう。これが英本国のように年功を積んだ民主国家ならば、嘗ての
プロヒューム事件*のような " 味のある " 対応も期待できるだろうが・・・。
(*註:議会で醜聞に絡む虚偽証言をした国防相を 「 紳士の要件」への欠格事由扱い
で事件内容の詮索―国家の恥曝しーは回避する、スマートな国会決議で解任。1962) 
 残るは国連脱退−愚挙第三幕−ぐらいだ。これでトランプ氏の宿願「米国伝統のモ
ンロー主義への復帰」は完結するが、さすがに選挙民も議会も納得しまい。
 さらに 12月18日 発表した『国家安全保障戦略』は、既往の「言行不一致」政策の
集大成とお見受けするが、過去の例から「アド・バルーンの再修正」は早晩必至だ。
だがこの御仁の問題は、自家撞着や事後修正に係わる言動の頻度が高過ぎ、真の狙い
が一体あるのかどうかも容易に判らぬ点だ。自国民も含めた全世界の当惑が続く。
 数少ない公約実現項目の税制改訂も、新たな「貧富格差の拡大」を生む懸念を伴う。
 米国も地球規模の難題が続出する最悪のタイミングで「罪造りな選択」をしたもの
だが、当面ロシア・ゲートをテコにする中間選挙(2018.Nov.)前の解任に期待する
他あるまい。まさしく国を挙げての「政治的混迷」である。

       2.  構想は雄大・国内に病根を宿す中・露両大国   

 上記のトランプ新戦略で「世界の未来を取り仕切る超大国」と持上げられた中・露
両国だが、国内情勢はいずれも険難(けんのん)さを秘める。アキレス腱は経済動向。
 2年前まで支持率80%を誇ったプーチンのロシアは、原油価格の低迷で通貨ルー
ブル暴落に慌てる意外な脆さを露呈。ウクライナ出兵に続くクリミヤ強奪で米国主導
の制裁措置を喰らって対EU取引がストップし、ダウン寸前。一時は御膝下のレニン
グラードで政権批判デモまで発生する始末。漸く最近の油価の反騰で愁眉を開き得た
が、中東・シリアへの介入成功の反面、出兵コストへの不安から撤兵決定を余儀なく
されるなど、財政面での脆弱さが浮き彫りとなった。民意も些か動揺し始めており、
予想された引退も花道が消え、次期大統領選へ再出馬宣言の已むなきに至っている。
 他方、10月の全人代大会でも自賛した世紀の大風呂敷「一帯一路」政策の喧伝で
注目を集める中国だが、この壮大なシルク・ロード現代版の泣き所がどうやら資金難
にある気配だ。必死の資金集めで欲ボケのEUを始めアジア・中東諸国まで参画した
が、海上輸送に比べ確実に割高となる鉄道輸送の競争力、今後活動の焦点が中東から
中央アジアに移る公算が濃厚なIS勢のリスクなど、マイナス面での要因認識に難点
を抱えるF/S(収益性計算)の問題が、漸次認識されつつある。
 わが国は米国の意向に従って参加を見送ったものの、逸失機会への懸念が台頭し、
最近安倍政権が対中関係是正のテコにすべく動く気配だが、当初から執拗な中国側の
「参加要請の背景」を十分見極める要があろう。
 目下中国は習・独裁体制の確立で漸く懸案の大気・水汚染に本格的に取り組む模様
だが、巨大な人口と領域の正常化には「万里の長城」並みの国内投資を、底知れぬ状
態の国有企業の再建(負債整理と就労確保)と同時に遂行する必要がある。生活水準
の上昇を反映する貿易収支の黒字縮小・国際化が始まった通貨「元」の防衛コストも
顕在化する。中国の財政は、今後、相当長期にわたっていくら資金があっても足りぬ
ブラック・ホール状態が続く筈。ロシアと共通、こちらは「経済的混迷」篇である。
 習体制の『人間社会発展』のための普遍的原理 " 言論・信仰・思想の自由 " に対す
る「規制本位」主義の政治的挑戦が何年続行可能か、ロシアの将来も絡む21世紀前半
世界の最大のテーマだろう。
「歴史は繰り返す」と言われるが、四千年に及ぶ中国史を彩るのは、絶え間なき外敵
の侵入と内部腐敗が織りなす「王朝の崩壊」劇だった。阿片戦争の傷跡(香港) を修復
し得た21世紀の習・帝国が直面する次なる外敵が、北辺か太平洋の彼方か、はたまた
「自由なき繁栄」の拒否に目覚める国民の造反なのか、どの途ハリケーン並みの風圧
に曝される近隣諸国の悩みは、尽きることがない。

    3. 春遠き『アラブの冬』・待たれるイスラエルの『英知』

 困ったことに中東諸国も負けていない。去る 11月24日 エジプト東部シナイ半島の
イスラム教礼拝所を襲撃したISと見られる大規模テロは、死者235、負傷者109
と空前の犠牲者を、極めて残忍な手口で効率よく血祭りにした。この日はイスラムの
祭日の由、罰当りの大量殺人を強行し射殺された犯人達の魂の救済は、彼らの崇める
宗教の教義によれば一体如何相成るのだろう?政府の取締まり強化が一因らしいが、
多数の「アラブの同胞」を巻き添えに八つ当りした、かかる「狂気の犯行」は前例が
ない。まさか「目的のためには手段を選ばず」がマホメット流という訳ではあるまい。
ISも人々の支持を失えばオシマイの筈。兎も角敬虔な仏教徒には耐え難い所業だ。
 だがシリヤでのIS拠点掃討作戦がロシア主導で漸く終局した直後のエルサレムを
巡るトランプ発言で、中東問題はIS問題の次元を離れた方向へ急展開しはじめた。 
 中東問題の本来の原点は、パレスチナに関する暫定自治協定締結(1993)後のイスラ
ム諸国内部でのシーア派(主にイラン・シリア)vs.スンニ派(サウジ・湾岸諸国)の対
立だ。この状況にイラク戦争が契機となったエジプト・リビア・イラクなどの有力独
裁体制の崩壊による混迷が加わり、両者がミックスした状態にさらにISの出現が輪
を掛け、完全にお手上げに近い有様となっていた。
 かような混沌を招来した責任の大部分は、現地事情に疎い米国がエネルギー確保を
狙って虚報をデッチあげ、サダム・フセイン体制打倒を実現したイラク侵攻作戦で種
を播いた事実に帰せられよう。おまけに米国は想定外の戦況展開に手を焼き、多数の
地元犠牲者と荒廃した現地を残して撤兵する、無責任ぶりを露呈した。
 一方、プーチン指揮下のロシアは、中東での実績ゼロの状態から、シリアの内戦で
政府側を支援。IS制圧にも協力しイラン、トルコ、サウジに接近。イスラエルとも
友好関係を築き上げた。蹉跌を繰り返した米国とは好対照だ。ロシアはシリア領内に
空軍拠点と地中海の港湾基地を得た上、さらにOPECにも抜け目なく喰い込んだ。
 今や中東での影響力は、米露逆転状態。米国はサウジ新政権との関係維持に没頭し、
イスラエル・サウジ中枢実現による対イラン布陣構築に躍起だが、上記トランプ発言
で帳消しとなりそうだ。現代版の諸行無常ならぬ、ああ無情。没理性ではこうなる。
 だが目下この地域最大のトラブルはイェメンの内戦−サウジとイランの代理紛争−
の成り行きだ。今後の展開如何ではサウジの新独裁政権の権威が揺らぎ、一挙に中東
諸国の支配体制への潜在的不満の再爆発ー第二の『アラブの春』−への契機ともなり
かねまい。とりわけ住民への無差別的な虐待に加え、国連派遣の監視部隊が襲撃され
る状況で、解決の糸口も見えぬ有様。こちらは疑いもなく『精神的混迷』だ。
 宗教次元で人間という生物の「存在理由」が争われているだけに、混迷脱出は一番
の難物だろう。だが人類もそろそろ国境や国家の"しがらみ"を脱する社会を誕生させ
てもよいのではないか? 極東も同種の問題を抱えるが、「英知」の持ち主が居らぬ。
 知能的には地球上最高レベルの民と衆目の一致するイスラエルの住人達に、世界の
平和に貢献する大向うを唸らせるアイデア、つまり『英知の発揮』が期待される所以
である。
    4. 極東のジレンマ・愚か過ぎる「人類破滅」合戦を競う米・鮮

 12/23の国連安保理事会で、米国が提案した対北朝鮮経済制裁のさらなる強化策に
中・露も同調した結果、反発した「北」は米提案を『戦争行動』と看做し、核兵器の
開発続行の決意を改めて強調し、更に米提案支持諸国(中・露も含まれる)を微妙な
表現ながら敵対視する声明を公表した(12/24)。
 元々「北」は核保有の是認が、一方米国は核実験・兵器開発の即時停止と廃棄が、
交渉開始の前提条件のため、双方の妥協が無い限り、交渉のスタートに至らぬ道理で
ある。かくして既に米・鮮間の神経戦は『一触即発』の域に達したようだ。
 朝鮮問題の根源は、スターリンの甘言に乗せられて半島の武力統一を図った金日成
(金正恩の祖父)の判断ミス−米国介入の可能性を軽視−である(1950)。元来社会主義
国家での世襲自体に疑問符が付くが、一家の DNA は正しく継承されたのか、今回も
頼みとする中・露のやや安直な制裁同調は想定外だったらしく、頑張り過剰で唯一の
解決策『諸大国を巻き込んだ現体制維持保証の獲得』に持ち込むタイミングを完全に
誤った。
 国境最前線の部隊の健康管理もままならぬ程、経済的に困窮状態にあるのは、脱走
した兵士の体内の回虫ニュースからも明らかで、制裁強化後の一般市民の生活困窮が
思い遣られる。尤も現政権下の統制厳格化で、クーデターの公算はほぼあるまい。
 ここで問題なのは南北朝鮮共通の "体面に異様なほどこだわる”  国民性だ。目下の
国際情勢から中・露の抵抗限界を察知、巧みに籠絡し押し切った感のある米側の作戦
勝ちだが、欧州の小国なら常識的だろう白旗は、「北」の「面子感覚」では不可能だ。
金三世が選ぶのは、多分国民と運命を共にする最悪の『玉砕戦法』だろう。その結果
は、神のみぞ知るだ。
 一方、米側の狙いは『後顧の憂い』をこの機に乗じて払拭する「軍事作戦の実施」
の筈だ。既にベトナム介入時の『トンキン湾事件』、イラク侵攻の際の『ミサイル・
化学兵器保有』ニュースなど、デッチ上げ情報を契機の戦端開始の前例には事欠かぬ。
 英国の要請に応じた欧州での参戦を除き、彼らの信条は「might is right」 が常道
で、「北」からの先制攻撃(米機の領空侵犯への攻撃など)を心待ちの風情だろう。
中・露ともに「北」の核武装には反対なので、米国の攻撃は傍観する腹に間違いない。
その上、朝鮮半島の統一の結果は、歴史的な物心両面での中国依存体質もあり、長期
的に見て左傾国家の誕生となる公算大だ。
 既に中国政府はこの辺まで読み込んで、対「北」交渉を軽視する反面、韓国への一
時的制裁( THAAD設置が原因 )を早々に解除する姿勢を鮮明にしている。ここ1カ
年間の経済をテコとする対韓?揺さぶり”政策の奏功で自信を深めたのは明らかだ。
 結果として韓国や日本への報復的ミサイル攻撃は、「ない」と考えるのが無理で、
米軍が早期に叩いたり、ミサイル迎撃が旨く奏功すれば格別、ソウルは必然としても
東京も北京も無傷では済むまい。能天気にクリスマスを楽しむ状況ではない筈だが、
わが国では戦後嫌なことには目を閉じる風潮が強く、他国の善意に期待し「どうにか
なる」と諦観して生きる建て前( 憲法9条)だ。事情が変われば、生き方も否応なく
修正が必要だろうに・・・。
  だが既に一足先に同盟国・米国の好意や善意に過大な期待は出来難い時代と地合い
になっている。その上米国のアジアや中東での戦歴は格別芳しいものではない。朝鮮
戦争は中国が絡んで「痛み分け」だったが、ベトナム介入に至っては、完全な敗戦だ。
後日作戦を主導したベスト・アンド・ブライテストの一人マクナマラ・元国防長官の
反省と自戒が溢れる『回顧録』(邦訳1997共同通信社)が出た。だがこの率直で誠意に
富む彼の告白の「教訓」が全く無視されたのがイラク作戦だ。敗因は共通して現地事
情の無理解、一貫する特徴はいずれの場合も戦禍の傷跡修復に「極端な無関心さ」だ。
 好例がベトナムで、確かに十数万のベトナム難民は引き受けたろうが、隣接するカ
ンボジャ・ラオスに至るまで猛爆したナパーム弾や枯れ葉剤の後遺症、地雷の後始末
への支援・貢献は寡聞にして知らぬ。筆者は格別反米的なつもりはないが、これでは
アジアの人々の信頼を得られる筈があるまい。尤も自国内の生活に武器の携帯が必要
で、再三弱者への銃撃騒ぎも起こるお国柄。結局、彼らの常識とする言葉:「現実を
認識せよ!己れの身は己れ自身で護れ!」を聞かされることになりそうだ。
   
   わが生・死を他者が決める「半島情勢任せ」を嘆きつつ 
         混迷と  朔風*を背の  歳の暮      汨羅
                                           ( *註:北風の古語 )
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