経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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『まやかし』解散の強行**破綻に瀕するアベノミクス

2014/12/08

  一国の首相の発言を退け、「まやかし」とか「誤魔化し」などと決めつけ
るのが不穏当なのは承知の上だが、選挙民の政治不感症化が急ピッチで進む
一方、常習化した新聞各社の世論調査による選挙予想が不気味なほどピタリ
と的中するのが、ここ数年のこの国での特異な政治現象だ。
 親日派で並みの宗匠が最敬礼する腕前の米国籍の俳人が、流石に見かねた
のか「これでは世論調査でなく『世論誘導』である」と喝破し、忠告してく
れた。(本ブログNo.84 「新聞を叩く」参照)。
 欧米諸国のように「闘争の挙句、勝ち取った民主主義」でなく、敗戦で与
えられたものだけに、メディアを含めて容易に馴染めず、口惜しいが未だに
70年前、米・進駐軍トップが14歳レベルと評価した域からあまり進歩が
見られない。
     1. 変貌する政治意識の危険性

 国民の4割が無党派で、その半数以上を占める若年層が「棄権」するそう
だが、今冬スキーやご家族サービスに勤しむ代償が、5年後には確実に海外
派兵や戦争未亡人の再発で現実化する「危険」には、無頓着のようだ。
 首相が自賛する経済政策・アベノミクスの「成果を問う解散」は、得意の
韜晦戦術に過ぎず、真の意図は「改憲への布石」解散に間違いない。その結
果は『海外派兵の頻発』と『自衛隊員応募激減』で『徴兵令施行』へと発展
する。明治以降の富国強兵策にも似た『この道はいつか来た道』の再現だ。
 世界情勢の混沌化がますます募る中で、厭戦ムードが強まる米国社会には
この「肩代わり」は大受けだろうが、安倍政権の対米『媚態外交』−米国の
知識層に根強い首相の体質への懸念一掃を狙うーは、わが国の戦後七十年の
「平和外交」の成果をフイにするだけに、「自民・単独過半数濃厚」の新聞
各社の一致した予想はまさに悪夢の再来だ。
 そもそも政治家 Mr,安倍が『経済』に強いとは、寡聞にして存じあげぬが、
まさかこの分野でぬけぬけ大家面する程、強心臓でもあるまい。

『中央の計画によって経済を動かす社会はすべて滅びる』(「現代の経営」
P.ドラッカー)。ベルリンの壁出現の翌年1962年から冷戦終結直前の1984年
まで、筆者は延べ15年の西ドイツ勤務を通じソ連と東欧諸国の経済の実態
をジックリ観察してきたが、その体験は上記の『経営の達人』の至言をほぼ
100%裏書きした。現在、崩壊の途上にある「筈」の中国経済の推移を興味深
くフォローしている処だが、ナチの脅威を逃れて米国に移住したこの先達の
批判の真意は、「言論の自由無くして創意の発展はなく、そのような社会や
国家の存続も不可能」ということだ。
『春秋の筆法』によればノーベル賞受賞者を拘禁する中国はもとより、社会
主義国の「5カ年計画」の亜流スタイルのアベノミクスも、言論統制(特定
秘密保護法)を指向する最近の動きを勘案すると、左・右の差こそあれこの
このモデルに入る資格は十分だ。つまり『失敗は先刻予見されている』次第
である。
 序でにこの体制下のリーダー達には、虚言癖の持主やオポチュニスト(で
なければ生き残れぬ)が多かった事実も指摘しておきたい。例外は、周恩来
くらいだろう。 
 
 さて大方の国会議員や国民の意表を完全に衝いた今回の解散劇、最大の悲
劇の当事者は、年末を控えて少なくとも相当数が“失業者”に転落する惧れ
がある与・野党のセンセイ達だろう。
 だが最悪のタイミングで、消費税再引上げへダメ押し含みの超金融緩和策
「第二弾」を公表した黒田日銀総裁も、間違いなく被害者の一人だ。大蔵省
OBで誇り高い総裁が、目的のためには手段を選ばぬ非情な首相によって、
「ツンボ桟敷」に置かれた上、思惑も外される「捨て駒」同然の扱いを受け
て、内・外の評価を下げる破目に陥ったのだ。衆議院での『バンザイ』直後
の短い総裁談話で、4回も「財政再建の重要性」つまり消費増税の必要性を
強調した辺りに、トーン・ダウンした黒田節ならぬ『恨み節』が聞えるよう
で、総裁の無念さが偲ばれよう。
 尤も年金基金の運用拡大策に同調して政策効果の増幅を狙ったらしい今回
の作戦、市場や投機筋には受けたろうが、奇を衒い過ぎた。止血剤(円安の
歯止め)を持たぬ手術では、『医者』の倫理感覚が問われるのを御存じか?
『患者』の中小企業筋の怨嗟の悲鳴(11月から倒産数急増)で、やがて「医
師免許」が問題になるだろう。

        2.「財政再建置き去り」に踏み切ったアベノミクス

 首相が“トレード・マーク『アベノミクス』への賛否を国民に問う”解散
と定義する背景には、多分想定外だった実質GDPの2四半期連続マイナス
(経済学上「景気後退」と定義される)という、実体経済の不調がある。
 もう一つの想定外は、準備(身上調査)不足のまま改造内閣の目玉とした
女性閣僚達の退陣劇。「三人目が出れば任命責任の問題化−退陣ー必至」と
の批判も出る雲行きに、他にも閣内に問題児を抱える首相が慌てたのは間違
いなさそうだ。
 大事(憲法改正)を前に落馬では祖父・岸政権の二の舞だ。「下手に手を
出すとオンナは怖い」を地で行くオソマツな一席だが、政治家として『赤ん
坊クラス』の釈明に終始した人物が再公認とは驚いた。この党の人材難も深
刻のようだが、地元・群馬の選挙民や国民御一同も、随分舐められたものだ。
 
 おまけに本ブログ前号で“虚弱体質”を指摘した通り、直前に集計された
国内民間シンクタンクとエコノミスト達の総計42件の見解中、7−9月の
マイナス成長(Nov.17公表)を予測したものは、何と「皆無」だったのだ!
 些か驚いたこの能天気ぶりは、今後の経済運営が「信頼すべき羅針盤」を
欠く航海となることを意味する訳で、政権には二重のショックだったろう。
  お揃いで大ポカの原因は「在庫投資」動向の見落しだが、戦後日本の経済
史を繙いておれば、昭和30年代の下村(開銀)vs吉野(日銀)の『在庫』を
巡る本格的論争が日銀の外貨準備過敏症を修正し、池田内閣の高度成長政策
を支えた事実も想起できた筈。「温故知新」に疎いのは首相だけで十分だ。
 筆者の注目した唯一のコメントは、米寿間近の老大家・伊東光晴京大名誉
教授の『選択』誌12月号巻頭インタビューだ。毎月ユニークな論者が登場す
るこの論壇だが、今回はまた格別。付されたタイトル『アベノミクスは何も
していない』が物語る通り、超辛口の全否定に近いアベノミクス批判だが、
文字通り快刀乱麻の切れ味だ。憂国の至情溢れる発言は重量感に富み、正に
圧巻。戦後世代のリーダー達への遺言の気配さえ漂う。是非一読を奨めたい。 
 
 処で今回の解散劇の背景には、第一次安倍内閣以来のアンチ財務省ムード
がある。一例は内閣官房参与の本田悦朗・静岡県立大教授(大蔵省OB)の存
在だ。同氏は第一次内閣時代から安倍ブレーンの一人で、デフレ下の増税を
強く否定する。元々リフレ派のインフレ・ターゲット支持者で、4%程度迄
容認するが、消費税導入には基本的に消極的だ。従って現状での消費再増税
ー出身母体の財務省の「至上方針」ーにも反対している。
 同氏は最近来日したP.クルーグマン氏(プリンストン大教授・ノーベル
経済学賞受賞)を11月初め安倍首相と面談させ、消費増税のみならず、消費
税制そのものの撤回による景気浮揚策のテコ入れを進言させた模様だ(Nov.
23.PM9.00 BS-TBS「消費増税延期は正しいのか」番組での本田氏談)。
 因みにクルーグマン教授は、先進国経済の牽引車としての日本経済の持続
的成長をとりわけ強く期待、著書や投稿を含め数々の助言がある(JAPAN'S 
TRAP邦訳「恐慌の罠 なぜ政策を間違いつづけるのか」2002中央公論新社)。
 アベノミクスを大いに評価し、先進諸国のデフレ脱出モデルにもなり得る
と注目する日本ファンだ。本田氏と同じ内閣参与で経済ブレーンの浜田宏一
教授(エール大)も再三今回の増税見送りを推奨しており、学殖の点で遜色
十二分?の安倍首相は、3人の碩学の声を傾聴せざるを得ぬ状況だったろう。
 だがこのような窮境を活かすべく長期政権実現のための『捨て身の解散』
の口実に化かす辺り、長州閥伝統のシブトイ根性の発露か、はたまた祖父と
同様、功を急ぐ余りの「浅慮」の一失か?
 長い物に巻かれ易い国民性も読み込んで「高を括った」らしい今回の決断
の行方は、まことに興味深い。

     3. 霞が関との対決も辞さぬ「政治主導」?
 
 ともあれ今回の措置で当初発表した財政再建プラン(2015年度末での基礎
的財政収支の赤字半減・2020年度に同赤字解消)は、明らかに実現困難だ。
 だがこの事件の波紋は、安倍首相の読みを遥かに上回る規模に拡がる筈。
先ず消費増税先送りの決定で、財政当局が安倍首相を『財政再建上、要注意
人物』視することは確実である。
 愈々、官邸会心?の『政治主導』の幕が開きそうだが、今後アベノミクス
の成否が岩盤規制の抜本的緩和と地方経済の活性化に依存する以上、公共投
資の大幅な増枠が決め手となる。財政面の実権を握る霞が関最強の官僚勢力
を敵に廻し、その抵抗排除(財政再建の後まわし)を貫徹出来るか否かは、
政権の命運を賭ける難事となりそうだ。
 加えて日銀の政権に対するスタンスも変わろう。従来のような中央銀行の
政策としては禁じ手の財政ファイナンスに近い「滅私奉公」的な協力姿勢か
ら、或る程度距離を置く方向へ転じる契機となる公算大だ。既に日銀内部や
OBから黒田総裁の政権に対する超積極姿勢への疑問が強まり始めている事情
もあり、戦後の日銀の伝統的な「通貨価値の安定」指向路線つまりインフレ
・ターゲット最優先から物価安定重視の路線へ復帰する公算が大である。
 当然ながら急ピッチの円安傾向を黙認してきた為替相場政策も、国内の消
費者や中小企業からの強い批判に加え、輸出で競合する近隣(韓国)や欧洲
勢の異論が強まる動きもあり、この辺で相場水準の安定化重視に転じざるを
得まい。奏功の程は不明だが、更なる円安が齎す株高・地価高騰による資産
バブル化プロセスの終焉である。だが情勢はさらに深刻の度を増しそうだ。

     4. 本音は「改憲」優先?経済は二の次?

  悲観的判断の背景は増税先送りに対する海外筋の反応だ。12/1予ての懸念
が的中、格付会社ムーディーズが尖兵となり「財政再建至難」と判断、日本
国債の格付けの1ランク引き下げを発表、同業有力2社の追随もほぼ確実だ。
折からEUでも、ギリシャ再救済案をめぐる確執が再燃し始めた。
 しばらく落着いていた国際資本市場は、今後円投機も巻込んで一荒れする
雲行きだが、このニュースで国債利回りの上昇(価格の低下)を契機に長期
金利の高騰が続けば、投資意欲の冷え込みや物価上昇による消費の落ち込み、
さらに国債金利負担の増加へと発展、所期の財政再建プログラム達成はほぼ
絶望的となる他、保有国債の値下がりで地銀中心に金融不安も再燃しよう。
 政権発足後二カ年の体験から、金融超緩和を梃とするデフレ脱出策は日本
経済のパラダイム(基本構造)の変貌を余りに軽視した結果、所詮一過性に
終わる『限界』が見えたのだ。
 既に確認済の人口減少・生産年齢人口(15-64歳)急減の事実(本ブログ前
号参照)に目を瞑り、国内での投資や消費の回復に多くを期待するのは、現
実逃避以外の何物でもない。
 先ず一日も早く本来の懸案「徹底した規制緩和の実現」による無駄の排除
とサービス部門の労働生産性の向上、さらに「可及的な歳出抑制方針堅持」
による抜本的な体質改善に期待するほかない。つまり経済成長による「財政
再建」は、空論の公算大なのだ。万邦無比の公的負債ポジション改善には、
『ギリシャに劣らぬ』相当な忍耐と長期間を要することがいまや明らかだ。
 
 首相が総選挙決定時に確約した『一年半の先送り後の消費再増税実行』は
既に不可能視される。現に首相は従来存在した「景気如何で見直し可能」と
する条件を今回の法改正で外す方針だが、これは増税実現のための「背水の
陣」と見える反面、再度の見送りを『法令違反なく可能とする』政権救済策
となる懸念もある。
 少々厳し過ぎるようだが、従来の首相の言動から推察すれば「再見送り」
に備えた「首相自身の安全」を図るリスク回避策と読む方が妥当だろう。 
      
 安倍政権発足後二カ年の実績を回顧すれば、その目指す処は明らかだが、
正直な話、一度は死んだ筈の安倍センセイが「蘇生した挙句ここまでやると
は・・・」という一種の驚きが、今や総人口の2割弱にまで減った戦中派に
共通の感慨だろう。
優れて象徴的なのは、遮二無二「改憲実現」を図る強引この上ない政策展開
だ。国内外で三百十万の尊い犠牲とアジア全体で二千万の人々の生命、残さ
れた廃墟を代償に得た戦後70年の平和信仰は、今、戦争の悲惨な体験を欠
くが故に平和の尊さを弁え得ず、狂信に近い武力行使への渇望に支配され勝
ちな世代によって、大きな転機に直面している。
 解散決定の真の狙いは『改憲』だ。衆参両院の『三分の二』確保へ第一歩
を実現する亦とない好機を捉え、改憲への布石を狙った賭けが動機だろう。
 次第に成算が怪しくなり始めたアベノミクスの帰趨が明らかとなり、強引
な政策展開への批判が強まった後では「万事窮す」となる。今がチャンスだ。
首相にとって経済の再生や財政の再建は、この信念の前には二の次的存在に
すぎない筈だ。そうでなければ、年初のダヴォス・セミナーやオリンピック
招致の場でのスピーチで拡げてみせた大風呂敷の経済や財政の再生公約を、
サラリと器用に手仕舞い出来る訳があるまい。
 彼自身の大義の前には『恥の搔き捨て』に拘わる余地などないのだろう。

    5. 公明党は『ユダ』の座に?
 
 妥協の産物として生まれた選挙制度改訂は、少なからぬ矛盾を孕むが、最
たるものは自民・公明の「蜜月選挙体制の誕生」だ。わが国の衆議院選挙の
比例代表制は、ドイツの正統的なそれとは異なり『復活制』ー地方区の敗北
者が得票率如何で比例区で生き返るー学生の入試で言えば落第生が補欠入学
を認められる制度だ。自民党は「公明は所詮下駄の雪。踏まれても蹴られて
もくっ付いてくるヨ」と嘲るが、実態は下記2年前の選挙結果が示す通りだ。.
(得票数単位:1,000)
       小選挙区            比例代表区
    得票数  %  当選者数  %   得票数  % 当選者数 %  
 自民 25,643  43.0    237    79.0   16,624     27.6    57    31.7
 公明    886   1.5      9     3.0    7,116     11,8    22    12.2

( 前回総選挙の投票率は59.32%で戦後最低。年代別の内訳は、20代37.89%、
30代50.10%、40代59.38%、50代68.02%、60代74.93%、70代以上63.30% )
  
  公明の固有票は8百万前後といわれるが、上記の数値は公明が自民から得
る支援は比例区での限界効率的な僅かなもので、他方、自民は公明の支援を  
欠けば小選挙区でほぼ半減し、惨敗の公算大であることを如実に示している。
 公明が自民の分裂騒ぎ以降、損得や駆け引き抜きで、常に政権与党を指向
する背景やそのベクトルの強さの程が推察されよう。
 両党の基本的な政策は、海外派兵・原発再開・社会保障など主要な分野で
「水と油」とみられるが、従来は公明党の『最後には自民に追従』する姿勢
が、ほぼ確実に自民の政策の100%実現を可能にする役割を演じてきた。
 党幹部はその都度、様々に弁明に努めるが、学会メンバー以外の国民には
単なるエクスキューズ(申し訳)にすぎず、白けた印象が残るのみだ。
 今回自民単独での衆院絶対多数が実現すれば、次回の参院選挙で成就する
改憲の制約条件「両院での三分の二」突破の可能性を俯瞰して、従来以上の
協力を公明党に求めるだろう。一方公明には、第三勢力への最後の機会だ。
 筆者は、同党の過去米人学者から酷評された『低所得者への生活支援切符』
や消費増税時の『生活物資への軽減税率』案を格別評価する気はないが、少
なくとも今回総選挙で自・公蜜月選挙の果たす役割は、国民と国家の将来に
重要な影響を及ぼすことを認識し、立党の起点の戻った対処を期待したい。
 然らずば後世の史家は、この党の今後の行動を、党固有の“特殊事情”の
ための「国民に対する背信行為」と看做すだろう。

     迫り来る  生存(いのち)の危機と  空っ風    汨羅
   
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