経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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再論・惨状目を覆う食品偽装***「儲かればよい」主義への反省***

2013/11/19

 NO.88         再論・惨状目を覆う食品偽装
          ***「儲かればよい」主義への反省***     ('13/11/19)

  人間なら米寿相当のブログの冒頭で情けないが、前号の「4章・蔓延する大
型詐欺商法・第二波」で誤報2件を提供した。まず、同章の書き出しで社名を
挙げた「船場なだ万」は「船場吉兆」の誤り。ブログ作成時に偶々夕刊 1/3頁
大の「なだ万」の広告を見て、うっかり脳裡に刷り込んだ大ポカである。
 両者とも関西きっての老舗。だが「食い違い」や「取り違い」で済まされぬ
重大な錯覚だ。心からお詫び申し上げる。
 長年関西で勤務した実弟から、即刻「兄貴も呆けたか?」との指摘あり。往
年は博覧強記に自信があったが、今回『老いては駑馬』を自認した。にわかに
介護保険の存在を身近に感じた次第。近々お詫び旁々、売上げに協力の所存で
ある。
 もう1件は『営業的詐欺行為』(刑法338条)。明治40年制定の古色蒼然
の片カナ文字の条文が、近年口語体化されたのを承知していたのが錯覚の始ま
りだ。手軽いため手許で愛用する小六法で、版元の有斐閣がサービスで掲載し
ていた「改正刑法草案」(昭和49年法制審議会で決定)を、同じ刑事法部門に
収録され平がな文体のため、現行の刑法と思い込んだ処、何と未発効だった。
 先の平仮名・口語化(平成7年)では単なるカナ文字の置変えにとどまり、
内容は「全く改定されず」だ。従って罰則が厳しく「ズバリ現状規制に有効」
な筈の、刑法による『営業的詐欺行為』の条項は適用出来ず、特別法(食品に
は名称・産地表示を義務付けるJAS法、メニュー表示の規制には不当表示防
止法ー通称・景表法)が適用される。
 ところが両法ともグレイ(違反と特定できず争点となる)の領域が多い典型
的「ザル法」で、規制の実効力が極めて乏しい。例えば、阪急阪神ホテルでの
偽装47品目のうち、景表法違反に抵触する可能性は、産地・品名での僅か2件
程度の見込みである(週刊現代 Nov.23 P.36)。おまけに罰則(同法12条)は
個人・法人とも何と3万円! 関係企業がバレたら「返金すればよい」と嘯く
筈だ。
 食品偽装の背景に、法規制の不備のせいで例え露見しても概ね始末書一枚で
「ご赦免確実」の現実がある(AERA Nov.18 P.15に詳しい)。これを叩くには
ドイツ流の不買同盟(本ブログ前号)の徹底や民事訴訟ー返金と慰謝料請求ー
ぐらいで、妙案はない。これが善良な市民を「一杯喰わせる」法治国ニッポン
の実態、お寒い限りだ。

 処でこの小六法、筆者の級友で法学部を首席で卒業後、内外で活躍した俊才
K君の遺品である。『相変わらず早トチリだな !』と苦笑しているだろう天国
の畏友の面影を、久方ぶりに懐かしく偲ぶ羽目となった。
 それにしても改正草案の決定後すでに40年、随分ノンビリしたものだ。こ
の国の立法府や法曹界の『制度疲労』の実態を、今回、目の辺りに体験した。
 これでは「最高裁が実社会の感覚とズレのある判決(原発・君が代・戦時補
償など)を頻発するのも無理がない」と言ったなら、『食品業界の弁解』級の
負け惜しみの弁になるだろうか ?
 
   1.『食品偽装』の波紋の行方:鍍金が剥げる「観光ニッポン」

 一方、気懸りだった『偽装商法』は予想通り猖獗を極め、列島の隅々まで、
陸続として負け名乗りを挙げる企業に事欠かぬ状況だ。典型的なわが国特有の
群衆心理「みんなで渡れば怖くない」現象である。だが『怖くない』は勘違い
だ。本当に『怖くなる』が始まるのは、今からである。
 まず海外の反応。これだけの騒ぎに、最近、事あるごとに対日批判を強める
近隣諸国の『喧伝』は無論、他の諸外国の観光客も「日本では何を食べさせら
れるか判らない」と警戒するのは当然だ。かくして食品・レストラン業界は、
確立されていた「日本の食物の品質と衛生」への『絶対安全神話』を、原発で
の東電並みに崩壊させたのだ。
 アジア地域での観光では、最近中・韓とわが国がデッド・ヒートを展開中で
ある。観光資源の規模と量では中国が圧倒的、資源で劣勢の韓国は知恵を絞っ
た観光戦略、例えば日・中両国を凌ぐIT・通信の普及度まで活用・動員する
体験学習観光戦術の展開に余念がない。
 対抗するわが国のセールス・ポイントは、温泉と「おもてなし」。肌理細か
い心遣いは当然として、後者の実質的中身は精確無比の交通機関と最近世界的
ブームの『日本食』だ。だが日本への誘因の根底にあるのは、これらをひっく
るめ観光客が日本と日本人に抱くイメージ、つまり『安全』と『信頼感』であ
る。これなくして、音に聞こえた地震多発国“ジャパン”に、危険承知で訪れ
る訳がないだろう。一旦地に落ちた信頼の余波は大きく、回復は容易でない。
 敢えて言う。食品偽装関係者・企業は、この国の諸先輩が多年の努力で築き
上げた資産である海外からの『信頼感』を、業界あげて木っ端微塵に破壊した
『反社会的』犯罪者であり、反社会性の故に立派な『ブラック企業』なのだ。

 次は国内の消費者の動向だ。歯切れの悪い偽装公表の際、僅かに正直だった
告白の通り、共通する動機は手段を選ばぬ『目先の利益の確保』である。
だが「食物の恨み」的後遺症が長期に及ぶのは確実だ。何せこの国を代表する
帝国ホテルやホテルオークラまで、この「セコイ」偽装商法の当事者だ。今後
は原価が半値以下の『偽装エビ』料理を、「お詫び」のため赤字も辞せず本物
で提供する反省派や、赤字防止優先でメニューから外す現実派、更に『ウマけ
れば高いのは当然』と開き直り、老舗の看板を頼りに値上げに踏み切る豪胆派
など、様々だろう。
 つまり当事者の体質やモラルを手軽に判別できる、リトマス試験紙的ビジネ
ス期間が続くだろうが、業界挙げての不埒な商法に腹の収まらぬ消費者側は、
ホテル・レストランなど『有名ブランド』敬遠は当然だろうし、事が三度欠か
せぬ『食物』だけに、問題化した食材使用のメニューに『心理的拒否反応』が
長い間居座るのは確実だ。
 
 問題はこの件の法的処理だ。やや大げさだが、被害は長期かつ極めて広範囲
で内外に及ぶ点、悪質で国家の信用も毀損した上、国際的犯罪の側面も持つ。
 ブログ前号で既述の通り、消費者庁の浮沈を賭けた「包丁裁き」が蓋し見物
である(Nov.12同庁発足後初の立入り検査を阪急・阪神ホテルズほかで実施・
日経夕刊P.15)。もっともあまり期待もできまいが・・・。
 
 だが奇妙なことにNov.9 頃から新聞の報道数は激減し始めた。理由は第一に
年末シーズンを控え、大半のホテルやデパートの広告見送りが齎すインパクト
だ。メディアも痛し痒し。徹底して叩くにはタイミングが悪すぎるのだろう。
 も一つは業界のリーダー格の『軒並みお詫び』に便乗して、告白出遅れ組や
中堅以下は『頬被り』で切り抜ける腹を固めたためだろう。長引いた不況のせ
いか、どの企業も一段とシブトクなったようだ。
  尤もこの業界、望みなきに非ずだ。メディア間の役割分担?でもあるまいが
最近TVが国内各所の居酒屋での、顧客が100%明確に産地直送を確認できる、価
格を含めた良心的商いで『万丈の気を吐く』様子を報じたが、時節柄、まさに
一服の清涼剤。
 ビジネスの真髄は稼ぎや規模の大小ではなく、真に顧客を愛し「顧客のため
に」を考える“商人の心意気”、つまり『社会への貢献意識』が企業のバック
ボーンに存在するか否かであると痛感する。

    2.嘆かわしいモラルの退廃: 岐路に立つ企業の理念

 アベノミクスの成果か否かは判然とせぬが、政権交代前後からの急激な円安
で、消費者は野菜・食品や衣料品からガソリン価格に及ぶ輸入インフレ現象の
皺寄せに悩まされ始めた。一方、上場企業特に四輪関連の輸出産業では、記録
破りの利益計上が相次ぐ有様だ。これを反映して株価も急騰する勢いである。
 だが反面、他の産業界はエネルギー・コスト上昇に悩み、国全体では発電用
石油・ガスの輸入急増が主因の、貿易収支の赤字拡大が不安材料である。この
結果、相変わらず『輸出拡大』と『経済成長』が経済政策の定番のようだ。
 だが生産量で世界のトップを目指すトヨタや懸命に追うホンダで、北米中心
に頻発するリコールとその規模の拡大は何を意味するのだろう?
 
 人口減少や存在感の後退など、わが国の経済基盤の変化が確実視される現在
企業や産業界のあり方を根底から見直す必要がある筈だ。上述の食品偽装問題
も「特定業界のスキャンダル」と見るのは妥当でない。堕落は殆どの業界共通
の現象なのだ。筆者が『この国は大丈夫か?』と問うのは、そのためだ。
 今般問題化した金融セクターにしても、無理して為替や株式・債券への投機
で利益を捻出する一方、本業の筈の企業の育成を蔑ろにし、「失敗した投機の
尻拭いは公的資金で」の呆れた方式が、さらに罷り通りうるわけがない。
 そろそろ米式商法にはオサラバを告げ、『適正利潤』で満足し、『社会への
貢献』に徹する、アジアの模範となる『堅実な』商法への転換の時期だろう。
 
 最近とりわけ気懸かりなのは、『第三の矢』の目玉が欲しい政府と連携する
大手企業の『没理念』的商法だ。典型は第一に原発輸出。第二に武器禁輸三原
則の緩和に便乗する『死の商人』ビジネスの復活である。
 この両ビジネスも食品偽装同様、”目的(利益)のためには手段を選ばず”
が通奏低音だが、「この道は何時か来た道」の色濃いメロディーに『死臭』が
伴うのが大きな問題だ。ここまでやらねばこの国は本当に存続できぬのか?
 あまりに安易に過ぎる選択の背景に、世代が替わった政界の政策ヴィジョン
の貧困と、戦争知らずの無知が生む政策モラルの退廃が覗く。
  
 原発輸出のターゲットは当面トルコ、ヴェトナムだが、最大の目標はインド
である。本ブログが再三指摘して来たように、原発の泣き所は安全面で未完成
の核制御技術とトイレット(高レベル放射能廃棄物の処理場所)だ。
 原発の安全神話を捏造した日本のメーカーの実態は、ライセンス生産を行う
下請け業者に過ぎず、事故をコントロール出来る技術がない。フクシマの事故
発生時、ライセンスを与えた米・仏の同業者が艦隊同伴で駆けつけたのは、事
故対策はブラック・ボックスに属し、マニュアル記載事項以外は公開されぬの
で、日本側に自力解決能力やノウハウがない事実を熟知していたためである。
 東電が初動段階でなすすべなく手を拱いた事実や、遅々として進まぬ事故処
理の現状がこれを立証する。さらにウラン資源不足カバーのため企画した『核
燃料サイクル』プロジェクト『もんじゅ』(敦賀)も、1985年に工事着工以来
28年の時間と3兆円を超える予算を費消の挙句、失敗・廃炉が噂されている。
 また最近俄かに話題を集めたトイレ問題(朝日朝刊Nov.18P.1-2)も目下候補
地皆無で,地下埋蔵のノウハウもない。
 要するに日本勢の原発技術は米ウエスティングハウスを買収した東芝を除き
未完成で、フクシマの事故体験を『売物』とする輸出は疑問が余りに大きい。          

 武器輸出プロジェクトに至っては「政治センスと節操」を疑いたくなる。嘗
て軍と全面的にタイ・アップした結果、この国を滅亡寸前に追い込んだ企業に
よる、世界の火薬庫・中東に隣接するトルコとの戦車用エンジンを開発・生産
する現地合弁の設立が目的だ。愚かな民主党・野田政権の失策(米の要請で武
器禁輸三原則の緩和へ踏切り)に、自民政権が輪を掛ける寸法だ。
 主役は再び三菱重工業(日経朝刊Nov.12. P.1)。通常日本勢にとり難解かつ
土地勘に欠ける筈の中東で、敢えて『火中の栗を拾う』訳だ。これが現政権の
標榜する『積極的な平和への貢献』の心算なら、世界が評価する方向から明ら
かにズレている。
「トルコはNATOの加盟国」などの釈明は全く説得力がない。後日、紛争国への
武器の供給源となる懸念は十分だ。親日感の強い中東で恨まれる種を播く軽挙
であり、実行すれば早晩、必ず報復を生むだろう。現状に悩む他国の民をこれ
以上泣かせる因を造って、自らが安泰に過ごせる筈がない。
 諸原因は兎も角、わが国は15年にわたるアジア諸国への侵略で、千五百万に
及ぶ犠牲者を生んだ贖罪義務を免れない。自衛が目的なら別だが、今回の兵器
合弁は一企業のモラルを問うだけで済む問題ではない。問われるのは、敗戦で
世界に平和立国を誓った筈の国家の『理念とモラル』なのだ。
 戦中後期派の一人の筆者は、三百十万の同胞の散華に深く係わった企業の、
『死の商人』としての本格的復活を、素直に歓ぶ気には到底なれない。

     この道は   何時か来た道   紅葉散る      汨羅

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