経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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『病膏肓に入る』の教え***民主政権容認派のディレンマ***

2010/12/10


 NO.61                              ('10/12/9)
           『病膏肓に入る』の教え
           *** 民主政権容認派のディレンマ ***        
 
 ノーベル平和賞の授与式が近づいたが、中国政府の異例の要請に共鳴
・同調した19カ国が臨席をあきらめたようだ。ロシアやヴェトナム、
キューバのような人権問題での同病派の他、アフリカや南米諸国が多い
のは、最近の中国外交の途上国攻勢を物語る。だがこれに飽きたらぬ中
国が独自の平和賞を制定、台湾の連戦氏を選ぶとの報には一寸驚いた。
  まさかとは思うが本当なら、中国の大国意識もここまで来れば漢文で
言う『病膏肓(コウコウ)に入る』だろう。同じ東洋でも『稔るほど頭を垂
れる稲穂かな』の心情とは所詮無縁らしい。だが格好良く隣国を冷やか
してもおれぬ。わが君子国のほうも、病根再発だ。
    
     *      *      *      *          
 先週の朝日夕刊の「ウエーバー読みすぎまして・・・」(12/3 P.8苅部直
東大教授・政治学)には、思わず失笑した。例の自衛隊を巡る失言騒ぎ
がテーマだが、『「暴力装置」こんなユーモアあれば』という副題付き。
傍らに時の人・仙谷官房長官の参院問責決議可決直後の憮然たる面持の
カラー写真と、まことに至れり尽せりの読者サービスだ。
 教授は民主党幹部の妙な「政治学好き」を嗤いつつ「言葉尻をとらえ
て大騒ぎよりは『いや〜学生時代に(マックス)ウェーバー(註.「暴力
装置」の原典の著者)を読み過ぎまして…』(長官)『政治学でなくて
もっと政治を勉強せい!(笑)』(自民議員)くらいの軽いやり取りで
済ませればよかった」と宣うが、与・野党共に精神的余裕のない昨今の
センセイ達に、英国流のユーモアの応酬を期待するのは土台無理な話だ。
 ともあれヨシモトの若手にも教本になりそうな流石のコメント、是非
諸賢に一読を奨めたい。
 
 実際、政権奪取後の民主党の野党的貫禄?十分の政権運営は、政治学
者にとり小躍りしたくなる素材だろう。論より証拠、筆者がこの分野で
藤原帰一氏(東大・国際政治)と並んで高く評価する民主党の政策指導者
(だった)山口二郎・北大教授は、最近の政権の失速ぶりと党員の「だら
しなさ」に愛憎こもごも『猿』並みの自己反省をも含めた痛烈な民主党
批判を展開している。題して『与党ボケした民主:政策への理念の不在』
(週間東洋経済12/4号、P.136-7)だ。
 だが突如この一両日「死んだ筈ダヨ小沢さん!」とでも言いたくなる
民主党専売の『内輪揉め第3幕』ー例によって呆け気味鳩山家も参加ー
が緊急開演される雲行きだ。

  I. 混迷する政局と迫力を欠くプレス
 
 労組から自民崩れまで,チャンコ鍋並みの混成旅団だが衆院の2/3近
くを占める民主党は、参院選の大敗以来「ねじれ」国会のインパクトに
立往生気味だ。補正予算を漸く成立させ一先ず愁眉を開いた状態だが,こ
れとて再三公約した「郵政改正法案」を棚晒しにし、社党に次いで危く
袖にしかけた連立パートナー・国民新党の「支持層ー特定郵便局長ーへ
の律儀さ」に救われたに過ぎない。一旦別れた社党の根強い「与党への
未練」と、この国民新党の「臥薪嘗胆」の偶発的組み合わせがなければ、
「補正」も通せぬ菅政権など、とっくにお陀仏だったろう。
 
 だが安心するのは早計だ。指摘したいのはプレス各社の論調にみられ
る逡巡ぶりだ。ややヒステリックな慢性右派・産経は別だが、他の大手
4紙は、自民党の「揚げ足取りに終始する対応」にもおおむね批判的だ。
だが長年記者クラブ制度で純粋培養されてきた最近のブンヤさんには、
尖閣以来北朝鮮の暴発に至る盛り沢山の事件の展開は手に余るのか、は
たまた消化能力の限界を超えるのか、肝腎の自国の政界に対する注文で
は評論家並に斜に構え、今一歩踏み込んだ姿勢や迫力にサッパリ欠ける
のは可笑しくないか?
 プレスが評論家では国民は困る。歴史の浅いTV業界には格別期待も
せぬが、プレス業界は別だ。明治以来の経験も、権力に従い易い伝統の
ゆえに国民に支払わせて来た養育料も莫大な業界だ。早い話、名うての
タフな交渉相手の中・ロに対し最も肝要な筈の国論の統一を説くプレス
が一紙もないのは何故だろう? 
 今回の事態は10年いや20年に一度の国難だ。敵前で平然と脚を引っ張
り合う国際政治のイロハも判らぬ野党や、非常時になお党内闘争に勤し
む呆れた民主党員に、挙国一致の対応を迫るぐらいの見識が何故ないの
か? ゼニ儲けのための有力三紙(読・朝・日経)の協力体制を組む前
に、この程度の政治家達を不況に耐えつつ血税で養わねばならぬ国民の
情けなさを、どうして言論界を代表して、もっとハッキリ代弁できぬの
だろう?

  II. 混迷脱出の処方箋
 
 中国には『隗より始め!』の名言がある。文句を言う前に自らも考え
ねばなるまい。まず前提として、プレス各社の共通の認識も、歯切れは
悪いが、現政権の早期退陣がもたらす内外両サイドへのネガティヴ・
インパクトの回避ーつまり必要悪的な現政権の温存・強化ーなのだろう。
 難航するCOP16やTPP,中国の覇権外交抑止や朝鮮半島の沈静化、
更に地鳴りの聞こえ始めたユーロやドル不安に至るまで、諸般の問題解
決の鍵を共に握るわが国の政治的不安定化は、当面国際政治上も最も好
ましからざる事態の筈だ。このいわば国際的非常事態下での無責任な政
変は、国家として鼎の軽重を問われること必至である。民主党としても、
当面参院に続く総選挙での大敗覚悟の解散に踏み切れる筈もなく、政変
回避は常識だろう。以下はかような状況下で推論する蒙御免・民主政権
延命用レセプトだ。

  1. 菅首相の賞味期限

 山口教授の『理念を欠く政権』との批判は、首相自らの性格的不定見
に負う処が大きい。確かに当節の指導者に不可欠のスピード感と理念に
欠け、受け身に回る姿勢が多いのは致命的だ。前任者のような『軽薄な』
発言はないが、異なるのは『権力への執着度』。『支持率1%でも挂冠
せず』は多分本音だろう。よく言えば『常識的』だが平凡。一国のリー
ダーとしてのカリスマやオーラとは無縁。『構想力』などは苦手と見受
ける。直近の発言で「政権維持のためには大連立も辞せず」のようだが、
理念も節操もない政権亡者では国を保てない。先般のメモを見ながらの
胡錦濤会見で、政治家としての限界を完全に露呈した。
 沖縄基地「県外移転見送りの罪滅ぼし」か、消費税増税案との「抱き
合い心中」辺りを花道と心得て、後継者の選択にジックリ意を注ぐべき
だろう。
 だが見落としてはならぬのは、この首相の持味が『不屈の闘志』と市川
女史譲りの『庶民派』の系譜であることだ。民主党の標榜するクリーンで
透明感のある政治の確立まで、その護符としての存在価値は些かも減ずる
ことはあるまい。

  2. 小沢派問題の清算

 権力を操る能力を持つ者の魅力は、何時の時代も不変らしい。古くは
シーザー、ナポレオン、近くはヒトラー、スターリン。毛沢東や!)小平
も同様か。半数近くは非業の死を遂げるが、大物の共通点は最後の時点
で情勢判断を誤まることだ。毛さん(紅衛兵)や!)さん(天安門)それに
スターリンもが天寿を全うできたのは、苦労して築いたコミュニズム体
制下の治安のお蔭で、数少ない例外だ。
 日本の政界というミクロコスモスでMr.小沢を同列視する気は全く無い
が、情勢判断の点では奇妙に『前者の轍』を踏んでいる。逆説的に彼も
また大物なのだろう。
 部外者が係争中の問題を云々する気も無いのだが、最近プレスが素っ
ぱ抜いた総選挙時の選挙資金の配分問題は、良くも悪しくも政治家小沢
の体質を遺憾無く物語る。政党を造っては壊すこと三度、解党時に配分
せず残した資金の相当部分は献金と『税金』、つまり『公金』だろう。
 自ら腐心し成立させた政治資金規正法でかような蓄財に勤しめるとは、
お釈迦さまでも気付くまい。『税金泥棒』とは言えぬまでも、立法の精
神には完全に悖るだろう。
 このセンセイの特性は「形式的に違法でなければ合法」という発想だ。
完璧な法規が存在しえぬ以上、「足らざるは立法の精神で補完すべき」
は法に関係する者の常識だ。立法府での仕事でメシを喰う輩が、肝腎の
『法の精神』を弁えていないというのはブラック・ユーモア的だ。
 一方、彼の卓抜した選挙戦法(戦略ではない)センスは、高く評価さ
れるべきだ。意表を衝いた労組へのアプローチ、自民の農業政策に飽き
たらぬ農民への訴求力豊かな補償策など、政敵のアキレス腱への嗅覚と
攻撃力はまさに鬼才、天晴れだ。比較的短期の決戦である『選挙対策』
としては、多分満点だろう。
 問題は、施策の持久性への配慮と後進育成の能力だ。財源を持たぬ施
策は実現しても一過性に終わる。『一将功成って万卒枯る』流の独善主
義では、チーム・ワークが生命の近代政党は成り立たぬ。
 国際貢献法、都知事選での敗北、目下難航中の公約・農業対策など、
裏目が出た事例の共通点はいずれも独断(ドグマ)ー他人を信用せずその
頭脳をフルに活用出来ないーが生んだツメの甘さだ。
 
 筆者は今夏軽井沢に集結した小沢支持派議員数140名に驚き、小沢神話
への信仰心とその実態との懸隔に大きな疑問を感じたが、今回の選挙資
金報道で納得した。
だがかような不浄に近い資金も混在する支援で当選した議員は、選挙区
の支持者達に胸を張って『小沢信仰』の正当性を報告できるのだろうか?
 三木武夫を生んだ筆者の郷里なら『カネで買われた街娼政治家か?』
ぐらいの悪罵を浴びるのは必定だ。それでも小沢氏の腕力に期待し同派
に留まりたいのか? 世論の7割強が政治資金の透明化を求める今日、
貴方は支持者を裏切っていないと言い切る自信が、本当にお有りかね?
と訊ねたい。
 全民主党員は、政権交代を支持した国民が何を民主党に期待したのか
を想起し、これを肝に銘じ、党の将来と政策本位で清新な党のあり方を
再考すべきだろう。
 党幹部は今こそ躊躇なく立党の精神に立ち還り、公約通り選挙資金問
題と訣別した『クリーンな民主党』へ、泣いて馬謖を斬る蛮勇を発揮す
べきだ。さもなくばこの党の賞味期限は、3年経たずして終わるだろう。

  3. 連立問題への展望

 まず公明党との連携問題だ。菅氏をはじめ多くの民主党員は、従来公
明党に冷淡だった筈だ。参院選での敗北後、俄に同党に色目を使い、挙
句袖にされるとは恥ずかしい限りだ。地方選を重視する公明党が解散・
総選挙回避に傾く筈との読みも浅薄。小沢氏を欠いた民主党の現状分析
力に、一抹以上の不安を感じさせる一幕だ。
 選挙民が既にロクな政策構想力もない宗教政党にダメを出し、党勢ジ
リ貧が続く中、今更秋波を送るなど呆れてものが言えない。公明党も正
気なら政権与党に復帰する絶好の機会を逸する筈がない。厳しい政策協
定を手土産?に、恩を売りつつ重要閣僚ポストも手に入れたろう。だが
今や目先の地方選が気になって、世論調査が羅針盤だ。近視眼化が亢進
し、選挙民への感度も鈍化したようだ。連立お流れは、民主にとって、
もっけの幸いだろう。政権維持のため何でもありの『菅流遊泳術』では、
余りに節操がなさすぎる。国民総スカンは当然だろう。
 人材豊富に見えて、若手の実力涵養に今少し時間が必要な民主党だ。
その間をつなぎ、政権運営の安定感強化のための、民主の特性を維持出
来る連立は止むなき選択だ。支持者の納得も得られる本筋の選択肢は、
大義名分上、戦力強化を図るためにも自民脱退グループ中、真に政策実
行の手練れを擁する相手に限られよう。苦手の外交面で、対米関係強化
に役立つ効用もある筈だ。政権喪失後、復権への反省や本格的な若手強
化策も打てない“出し殻”同然の自民との大連立など、自殺行為同然だ。
 尤も自己顕示色の余りに強い「みんなの党」などは、口は達者だが実
力は未知数、掻き回すだけで獅子身中の寄生『虫』にもなりそうだ。

 不安定な政情や不毛な国会の討論の責任は、所詮これらの『選良』ー
既に死語となって久しいがーを選んだ選挙民にある。プレスやTVの手軽
な販促・視聴率稼ぎ(世論調査頻発)戦術に騙されず、自らの選んだ政党
や政治家の成長を信じ焦らずジックリ待つ忍耐こそ、政治の完熟度アッ
プの成果を享受する捷径であることを、選んだ側も忘れてはなるまい。

   硝煙に  悪夢(ユメ)甦る  歳の暮      汨羅

( 補 論 )
 やや脱線するが苅部教授が上記の投稿で明確に指摘した通り、政治学
や社会学の世界では軍隊や警察を『国家の暴力装置』−治安や国防上止
むを得ぬ−と呼ぶのは常識だ。教授は日本語の『暴力』にネガティブな
『不当な力の行使』という含意があるから『むしろ「強制力」とでも訳
した方がふさわしかったのかも』といわれるが筆者は反対だ。
 確かに本件の語源であろうマックス・ウェバーの著書で使われたドイツ
語の“Gewalt”には、広義で三権分立の立法・司法・行政の「権力」の意味
もある(DUDEN/STILWOERTERBUCH参照)。だがこと軍隊や警察に関する限
り、独・仏など欧州大陸諸国の常識では「暴力」装置なのだ。 
 「強制力」(独語でZwang )には心理的な場合もあり、物理的な“Gewalt” 
とは本質が違う。東大入試なら意訳でなく誤訳扱いで落第だろう。
 朝日は読者の投書欄トップ(11/22 P.8)で仙谷発言至当論を掲載しな
がら、社説(11/27 P.3) では専ら国会論戦の不毛を嘆き、この発言には
「妥当とは言わぬが、謝れば済む程度の話」と片付けたのは解せぬ。何故
妥当とは言えないのか?まさにポピュリズム(世論迎合)? 最近の朝日
は尖閣問題でも世論を窺ってから社論(船橋氏)が出た感じだ。『後出し
ジャンケン』でオピニオン・リーダーは当分冬眠するつもりだろうか?
 防衛庁OB田母神氏の仙谷批判(産経11/18)や,多数の野党議員の誹謗は,
プレス関係者を含め自らの教養不足を物語るのみだが、さすがに防衛省
幹部は「ともかく」冷静だ。しかし第一線自衛官の反発や失望感の表明
は、自らの持つ権力への無自覚さー『持てる力の怖さ』に全く気付いて
いないーを証明している。
 この国でシビリアン・コントロールが不毛な一因は、つい70−80年前の
軍部ファッショ時代の『暗い歴史』への、国民全体の反省・勉強の不足
にある。
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創刊日:2008-03-03  
最終発行日:  
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