経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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「一辺倒」スタイルへの反省***制度疲労から如何に脱却するか***

2010/11/18

 NO.60                              ('10/11/17)
         「一辺倒」スタイルへの反省
       ***制度疲労から如何に脱却するか***           
                     
 本ブログもNo.60に辿り着いた。人間なら還暦。記念に何か気の効い
たことをと身構えたが、「待てよ!ここは沈思黙考、ブログの圧縮策
と世相の深層探索が先」と考えた。弁解めくが今年の干支は「虎」だ。
ゴルフ界で不調が続く「タイガー」・ウッドは別だが「寅年は荒れる」
という年頭の予測は見事に的中したようだ。
 とりわけ今年は後半、世界の主要国で政情不安が一挙に顕著化した。
まず米国中間選挙では下馬評通り民主党が大敗、オバマの再選に赤信
号が点もる一方、EUでも中核のドイツでメルケル首相退陣の憶測が
俄に台頭。フランスも内閣総辞職で、折から再発気配のアイルランド
やギリシャの財政危機への救援が、再び奏功するか危ぶまれる状況だ。
 アジアでも、各国政権が自ら播いた種のおかげで御難続きだ。まず
内外両面で絶好調の筈の中国が、尖閣関連の専横ぶりでアジア諸国の
総スカンを喰い、続くノーベル平和賞への対応で“国際感覚ゼロ”の
馬脚を露呈、人権「開発途上国」の貫禄十分の烙印を押される始末。
 それにしても受賞の事前妨害や、各国大使の授賞式臨席阻止まで企る
神経には呆れる。アフガンで苦悩するアメリカに労せずしてアジアへ
の介入の口実と存在感の回復を進呈し、戦略センスを疑われる有様だ。
 わが国も政権交代後1カ年の内憂外患続きで、菅政権の堪航能力への
疑念がほぼ限界近くまで拡大中だ。盛り沢山の異変追跡に疲れた筆者
の脳細胞が「今少し様子を見たら・・・」と囁くのも無理はあるまい。
だが予期せぬ筆やすめの効用で、「眼から鱗」の体験もあった。
 
 I. 戦後派漢語「一辺倒」の機能復活?

 近頃は稀だが、「一辺倒」という言葉を聞くたびに奇妙な違和感を覚
えるのが気になっていた処、閑にまかせて広辞苑を覗き長年の疑問が
氷解した。曰く『(出典は近思録)第二次大戦後、中国から入ってきた
語。一方のみに傾倒すること』。つまり戦後大流行した『アプレゲー
ル(仏語で戦後派の意)』の一派なのだ。
 遠く奈良時代から漢籍に親しんできたわが国で、これが未知の漢語
だったとは珍しい話だ。因みに近思録とは宋の時代(1176)に著名人の
文章から編まれた14巻の『日常に緊要な章句集』。朱子学では重視さ
れる文献の由(広辞苑)。
 この語が戦後対日輸出?された経緯は、多分こうだ。わが国が「単独
講和」でソ連、中国勢(台湾を含む)抜きに締結した講和条約や、同時
に締結した日・米安保条約で国家の安全をアメリカに全面依存する道
を選択した事実(1951/9月)を、中国側(49年建国)が“対米一辺倒”
と批判する際に使用されたのだろう。中・ソを含む「全面講和」を主張
していたわが国の左翼や進歩派学者が輸入者だった公算大だ。日・中
間緊張の昨今、どうやらこの語が種々の局面で再び脚光を浴びそうだ。
 
 年配の読者諸賢からは『尖閣問題で一挙に“中国よサヨナラ!アメ
リカよこんにちわ!”になるかねェ』と冷やかされそうだが一寸違う。
本ブログお休み中に見聞したニュースや新刊書から、今後のわが国の
進路を考える上で、「一辺倒」に絡む重要な事実を感知したからだ。
 
  1.「対米一辺倒」の意味するもの

 その一つは最近、外務省の元幹部(吉野・村田元駐米大使、東郷元
条約局長ら)が公表ないし国会で証言した『対米密約問題の真相』で
ある。極め付きは東郷氏の証言のほか、栗山尚一氏(元駐米大使)の
『外交証言録 沖縄返還・日中国交正常化・日米「密約」』(岩波書店
2010/8月)だろう。(註:証言詳細はWikipediaの東郷和彦参照)
 焦点はわが国のモットーとする「非核三原則」の存在だ。このため
『日本への核持込みには安保条約に基づく両国間の協議』が必要だが、
実は安保条約を改定した岸内閣以来、「核を搭載した航空機・艦船に
よる一時的な寄港や通過」の場合には『日米両国の暗黙の了解』の下
に、この協議が不要とされてきた(同書P.220)。
 米国側は国防に関する議会対策のほか、日本の安全を保障するため
の訓練や作戦の都合上、一時的な核兵器の持ち込みは絶対に譲れぬと
主張する一方、日本側は国民の強烈な核アレルギーのため『緊急事態
ー例えば朝鮮半島危機の再来などー』以外、核持ち込みに同意するの
はまず無理と判断した。このため「協議自体を見送る」ことで両国政
府が暗黙の合意ー双方が触れぬーを押し通すこととなった。
 つまり非核三原則は、寄港・通過に関する限り骨抜き状態で、長年
国民を騙し続けてきた訳だ。この事実は、自民党政権での首班交代時
には、外務次官による歴代首相・外相への引継事項とされてきたが、
近年その慣行も消滅している(同P.227)。
つまり現在、政権のみならず国会や国民も、在日米軍基地での核兵器
による不測の事故発生や、近隣領域での偶発事故による国際緊張惹起
ないしその余波のリスクに、まったく無知かつ無防備な状態なのだ。
 外務省OB達も、政権交代が現実化した現在、黙秘のもたらすリス
クや国民を裏切り続ける良心の呵責に耐えかね、頬かむりが不可能に
なったのだろう。だがこの告白や暴露の意味は重大だ。
 文字通り、米国の核の傘に全面的に依存する安全保障政策が生んだ
『生活の知恵』的処理だったのだが、『中国よサヨナラ』の反作用で
対米『一辺倒』継続を覚悟する前に、今この告白で国民全員が『現実』
の認識を迫られている。つまり非核三原則の放棄ないし改訂である。

  2.「ポピュリズム一辺倒」の脅威
 
 二つ目の課題は、小泉政権が絶妙のタイミングで演出した世論誘導
型政治以来、わが国の政治風土に定着したかに見える選挙民・メディ
アの共演、いや狂宴とも言うべき『ポピュリズム』の功罪だ。
さすがにこの問題は今、感度の良い政治学者達の“好餌”となってお
り、民主党の理論的支柱(最近は少し愛想が尽きたらしいが)山口二郎
北大教授の労作『ポピュリズムへの反撃ー現代民主主義復活の条件』
(角川ONEテーマ21 2010/10月)の明快な問題指摘と既成政党・政治家
批判を堪能した。
 教授は「今の有権者は面倒な議論には無関心で、わかりやすい公約
(註:マニフェスト)実現だけを求める。その感覚は、消費者が面倒で
鬱陶しい店員との交渉が必要な個人商店より、スーパーでの機械的な
レジ精算を快適だと感じることと変わらない。つまり消費行動の変化
が政治の世界に波及している。消費社会の論理が民主制政治の中にも
どんどん浸透してゆく。政治家や政党のイメージも完全に商品と化す
ということである(同書P.117-118)」と指摘する。
 つまりポピュリズムの本質は、もはや単なる衆愚政治などではなく、
いわば『有権者の消費者化』にあるということだ。 
 
 だがこのポピュリスム問題は、アカデミズムにとっても相当タフな
課題となりそうだ。
 朝日の論壇時評(東 浩紀『ポピュリズム“有権者の消費者化”に
可能性』2010/10/28朝刊P.19)は、このテーマを巡る論壇の現状を的確
に分析・紹介し、問題点の指摘と政治参加へのポジティヴな逆用の可
能性まで示唆する出色のコメントだ。東氏は世論調査を巡る政治家・
新聞社編集委員の座談会(「世論調査は魔物なのか?」中央公論11月号)
での『支持率無視論』に注目しているが、筆者の率直な感想では記者
クラブ育ちのブンヤさんの分析力(P.152) や過去の経験(P.150)は今や
学者にも遠く及ばず、現状ではほとんど通用しない。政治メディアも
ファッション感覚に通ずる新たな社会的トレンド嗅覚が必要らしい。
 政治家の感度不良は、論ずるまでもない。世襲議員が多くなりドブ
板を渡った選挙の体験に乏しく、民意が掴めぬのも一因だ。本来は、
学者が喝破した有権者の動態分析など、先刻政党や政治家自身が察知
し、既に自らの実戦に活用済みであるべき話だ。与野党共に未だに無
党派層対策に手を拱く有様は、嘆かわしいどころか寒心に耐えない。
 
 新聞各紙やTVが世論調査を頻繁に行なう原因は、費用の低廉化に
あるそうだ。嘗ては選挙人名簿からの抽出者に学生アルバイトが面談
したが、今では無作為抽出による電話調査で多くの声を『安価』に集
めるーつまり安いので回数を増やせる由だ(朝日・星 浩氏 P.146)。
『安かろう。悪かろう』を自覚している製造元が『支持率無視』を叫
ぶのは購読者や視聴者を馬鹿にした話だが、実は愚かなのは夫子自身。
生命を与えられた支持率は既に一人歩きし始め、製造元や既成政党の
想定を越えた制御不能の政治効果を発揮しつつあるのが問題なのだ。
米国中間選挙でのティー・パーティーの動きも、その一例だろう。
 上記の座談会でも、支持率調査のエスカレートに伴い固定電話から
携帯へのシフトがもたらす質問事項数の限界や、『支持率30 %割れの
見出しを打つのはどこの社か』など脱線傾向と過剰な頻度への警戒が
製造元の発言にも窺われる(星氏 同P.147)。
 しかし真の問題は、「有権者の消費者化」傾向つまり過剰なマニフェ
スト重視姿勢が、ネットの技術的手段の多様化に伴って既に選挙結果
を左右する存在の無党派層と重なり、更に増幅効果を生む可能性だ。
 しかも現状への不満に充ちるわが国の社会情勢では、彼らを特定の
政治的方向へ誘導するパワーが出現する懸念の方が、東氏の示唆する
「消費者化傾向を逆手にとり、新たな政治参加の可能性」へと前向きに
生かすチャンスより、遙かに大きいと思われることだ。
(既に韓国では盧武絃大統領の選挙戦終盤で、世論調査のデータ活用と
ネットによる若年層総動員戦略が見事に奏功し、親北朝鮮政権が誕生
した実例がある。)
 わが国社会でも政治に無関心だった羊の群れが急にファッショ化し、
野犬の集団に化ける可能性は十分あるだろう。

  II. 旧体制『一辺倒』発想の脱却

 田原氏がTV朝日の人気番組サンディー・プロジェクトを降板し、日
曜朝の悦楽がなくなった。やむなく後続番組を観るが、親父のウルサ
い銀座の寿司屋から回転寿司でワサビ抜きに降格した感じ。緊張感で
大差がある。そのワサビ抜きが今週選んだニュース20のベスト2は
いずれも国内世論での対立が激しいテーマだ。共通するのは一方の主
張がいずれも自民政権時代の既得権温存を前提とすることだ。この辺
も「旧体制一辺倒」の発想に訣別の要がある。以下はその短評だ。
  
  1.TPP加入反対論

 農産物の輸入関税ゼロ化で、「わが国の農業が壊滅する」のがその
論拠だ。戦後65年、今や農業人口は10%を割る状況。一方コメの輸入
関税778%は実質、給与所得者の一般勤労者の負担であった。この
間国の農業政策は圧力団体・農協や農林族の跳梁で右往左往、最低の
産業政策の長期継続で、「TPP非加入でも10年で頓死確実」と真面目な
生産農家が告白する有様だ。同胞に世界で最も高いコメ代金のツケを
回すのはいい加減にして、ピンハネが主業の農協の改廃・農地売却の
自由化を梃子の大型化で、再生・自立に目覚めるべきだろう。

  2.尖閣・海上保安庁無答責論
 
 2001/12月海保の巡視船が東シナ海の公海洋上で不審船を追跡・撃
沈したニュースには驚いた。当時も今回同様巡視船からのVideoの映
像が公開され、機関砲の火線が不審船の喫水線に集中し、ほぼ瞬時に
沈没した。後日自沈との説明があったが、乗員15名は全員死亡。憲法
が交戦権を認めないわが国で、多分戦後初の武力行使による外国人殺
害行為だ。
 相手国からの抗議もなく問題化せずに終わったが、場所が公海洋上、
撃沈の主体が自衛艦でなく巡視船、撃沈命令の出所は発表なし。保安
庁長官?運輸大臣?それとも現場の指揮官か?この不審船の母港出航
時よりアメリカの衛星が捕捉していた情報を信用したらしいが、万一
中国船であったなら大事件だった。少し頑張りすぎでないか?と思っ
たものだ。防衛省、警察庁、検察庁、海保と情報管理に係わるユルフ
ン事件が相次ぐが、海保の場合、そもそも職員の意識は防衛省と警察
庁のどちらに近いのだろう?安全保障を他国に頼る国家では米兵並の
綱紀になるのか? 事件の再発懸念もあるから、組織の一員の自覚と
「国民の知る権利」への配慮の煩悶などの再発がないよう、教育の徹底
が必要ではないか?

   海鳴りを  残して去りぬ  初時雨     汨羅

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