経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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政権のカナメの存在感***鳩山・一郎政権のアキレス腱(I)

2010/05/17

NO.51                              ('10/5/17)
           政権のカナメの存在感           
      *** 鳩山・一郎政権のアキレス腱(I) ***           

 この春はとかく荒れ模様だ。普天間が国内の話題を攫っている間に
ギリシャ発の財政危機が世界中の株価とEU通貨ユーロを揺さぶる事態
となり、政治面でも英国では政権交代、ドイツでも最大州で社民党が
復権するなど、ヨーロッパを中心に物情騒然の雲行きだ。
 肝腎のアメリカも、愁眉を開きかけた景況がユーロ・ショックで再
び弱気ムードに後退。どうも底流にある市場の信用不安感が容易に払
拭できない。金融界も規制強化をめぐり一波乱ありそうだし、最近の
住宅公社2社の公的資金追加投入の要請(約2兆円!)も、業界の病状
回復が長丁場化する不気味さを物語る。
 オバマ大統領懸命の奮闘ー健保実現・核軍縮交渉開始ーも、アフガ
ン情勢と経済問題の帰趨が不透明なため支持率に反映せず、民主・共
和両党ガップリ四つの状態は、欧州同様、間違いなく不安定要因だ。
 アジアだけが牽引車・中国のお蔭で目下台風圏外の感じだが、こち
らも天災と地価の高騰抑制策の影響が浸透し始めた。さらに為替と金
利政策の矛盾をどう捌くのか、人権問題のように力技は効くまい。
       *       *       *
 一方国内に目を転じると、政治資金問題で泥にまみれた鳩山・一郎
コンビは民意などにお構い無く,虚言も吐き放題の衆議院政治『倫理』
審査会とやらの泥水の禊 (みそぎ)で幕引きを図り、頬被りしたまま
参院選を切り抜けたいようだ。党内の批判派も遠吠えだけ。選挙民も
随分コケ扱いされたものだが、この党、党員の平均年齢が若い分経験
不足で、「蜂の一刺し」の怖さをご存知ではないようだ。
小泉・郵政選挙以来、選挙予測がピタリと当たることが多いが、直近
の調査結果では民主、国民新党の大幅後退の一方、野党は公明のみ不
振だが、自民の予想外の楽勝と共産・みんなの党の大躍進が見込まれ
ている(週刊朝日5/21号 P.126-135)。
 政権交代で渇望した自民末期の宿痾・政治不安の解消は見事に裏切
られ、参院選後のねじれ現象の定着化(多少の引き抜きでは解決不能)
で、政治的混迷が続くのは必至。公明を巻き込む連立の組み替えが不
可避の雲行きだが、それでもこの政権の苦境は終わるまい。
問題は『政権の要』の人材と、反目が激化する『プレス』との関係だ。

 I. 捌きと決断力:大物官房長官へのノスタルジー

    1)  いま何ゆえの懐旧談?

 先週初、大見出しでユーロ防衛のための異例の国際協調89兆円を
報じる紙面の下部に、「後藤田元官房長官のこと」と題するコラムが
掲載されていた(佐藤 謙・日経夕刊 5/10 P.1)。
 中曽根内閣発足時、秘書官だった元防衛官僚の追憶談だが、照れ屋
だった後藤田さんが読まれたらきっと苦笑されるような、心温まる賛
辞に溢れるものだった。著作権上やや問題はあるが、筆者にはブログ
前号の三木さん同様、後藤田さんも郷党の先輩だ。このタイミングで
投稿されたコラム作者の心情をも汲んで、以下『カミソリ』で鳴らし
た長官への強烈なノスタルジー紹介を『国益』のためにお許しあれ!

 「近寄り難いイメージで報道されることが多かったが、一週間も経
たぬ内に、えも言われぬ人間味に魅了され・・・大きな包容力の中で
伸び伸びとやらせて頂いた」
 「仕事の切れ味は、噂通りというよりそれ以上に凄かった。各省幹
部も厳しい指導を受けたが、理に適った判断であり、ご自分で言われ
たことには最後まで責任を持たれたので、絶大な信頼を寄せていた」
 「まずは前内閣からの積み残し案件の解決に力を振われた。・・・
内政面では(野党の執拗な抵抗を)正面から受けて立たれ、制度面から
細かい数字の議論まで、見事に対応された。外交面では武器技術供与
問題が解決されぬまま、日米間のトゲになっていたが、これを武器輸
出三原則によらないとする政治決断で、一気に解決された。これを渋
る法制局長官には“これは政策判断の問題だ。国会答弁は君がやらな
くていい。俺がやる”と言われた」
 「・・・その度に問題の核心を直ちに捉え、的確な判断と指示を下さ
れていた。大局観と具体的実行力を兼ね備えられた希代の名官房長官
だった」

  2) スタートから重なる用兵のミス

 官僚全体に睨みを利かせ、イラクへの掃海艇派遣では中曽根首相を
封殺した人物と比較する気は無いが、鳩山内閣発足直後、本ブログの 
No.40で「“友愛”精神発揮で選んだ官房長官に“手練れ”の面々を
こなす調整能力や、労組OB程度の経験で新内閣の直面する複雑多岐の
難問を巧く捌く実力があるのか?」と率直な疑問を呈した経緯がある。
 だが本人だけを責めるのは酷だろう。と言っても内閣支持率が8ヶ
月で暴落(71%−→21%朝日朝刊5/17)した主因は、思慮不足のまま
喋り過ぎる首相と機能不全気味の官房長官にある。
 上記のように政権を生かすも殺すも官房長官の腕次第。このポスト
こそ政権の要だ。首相が軽量のこの政権での采配は、とりわけ重要な
筈。明らかにミスキャストだ。
 もともとこの内閣は小泉政権同様、外交と経済問題がアキレス腱で、
これを自覚して在野の頃から優れた軍師を擁していたクセに、肝腎の
政権奪取後、活用した形跡がまるで無いのには呆れ返る。素人は素人
らしく、ブレインを動員して用意周到であるべきだった。外交音痴を
自認して、ブッシュと無邪気にキャッチボールしたり、郵政を逆手に
選挙民を恫喝した小泉氏のほうが、ボスとしては役者が一枚上だった。
 有能な『通貨マフィア』(榊原氏)が控えていたのに、財務相2人
の円相場に関する禁句的発言が飛び出したり、政権交代を対米交渉の
梃子に利用し普天間の国外移転劇の演出も可能だった知恵袋(寺島氏)
も封印と散々だ。折角の持てる資源も活かせず責任の取り方も弁えず
ひたすら居座り続けるのは、未熟すぎる官房長官共々、国益上も黙視
しえぬ問題だ。
  
  3) 大物長官の人となり
 
 ところで後藤田さんは欠かすことなく、長官在任中の超繁忙時にも
必ず大学同窓の県人会に出席され、含蓄に富む「時の話題」を郷里の
後輩達に開陳されるのが常だった。ある時筆者は予てより疑問だった
有名な『阿波戦争』(警察庁長官退任後、後藤田さんが田中派から参
院選に立候補し、三木(武夫)派候補と自民同士の壮絶な票の買収合戦
で多数の選挙違反検挙者を出した挙句、落選した)の動機をこの会合
の出席者スピーチで質し、顰蹙を買ったことがある。
 ご本人離席後の欠席裁判だったが「後藤田さんともあろう人が何故
かかる事態に眼を瞑っていたのか? 昨日まで取り締まっていた側に
違反者続出では国が保てまい」で始めると座が鎮まり返り、シマッタ
と思ったが遅すぎた。エエイ、ままよと腹を据え「役人は世間知らず
が多い。新聞のコラムも官僚OBの書くものは民間人よりツマラナイ。
例外は長沼弘毅(シャーロック・ホームズ通)ぐらいだ。」とやった
処、後藤田教信者?のOBから「もうそれ位でよかろう!」と制止の声。
救いは会の終了後5−6名の若い後輩から求められ交換した名刺がい
ずれも霞ヶ関アドレス(官僚)だったこと。反骨の伝統は未だ健在だ。
 
 この話の後日譚は、翌年の会合で直前に後藤田さんが出された著書
にヌケヌケとサインを頼んだ時のこと。快諾されたが、「君の名は?」
と訊かれて答えると、気のせいか一瞬ニヤリとされた感じだった。
この本の中に、求めた回答があった(「政と官」 講談社1994)。

『落選によって、また(その後の)地べたを這うような選挙運動によっ
て、私は貴重なものを得たように思う。世の中を見る目が変わり自分
自身も変わった。私はなぜ参議院選挙であのような失敗を犯したのか。
それは、私自身の世の中を見る目に甘さがあったからだ。当時はまだ、
私は役所の窓から世の中を見ていた。』 後藤田さんの真価が判る。
 有名人だけに挿話・逸話にはこと欠かないが、筆者に印象深いのは
数多くの難局や緊急事態(浅間山荘事件、大韓航空機撃墜事件など)に
対処された後、官房長官辞任時に部下だった人々が催した「ごくろう
さま会」での冒頭の挨拶で、警察・内閣在任時に殉職された人々に捧
げた痛恨の思いとお詫びの言葉だった。

  4) 後藤田語録:日米関係への遺言

 自慢話はほとんど無いが、議員引退後のフジTVで珍しく『最も印象
に残る』として、青森に飛来したソ連戦闘機によるロシア人兵士の亡
命事件に触れ、亡命先のアメリカ側の執拗な機体引渡し要求を峻拒し、
ソ連に返還した経緯を話された。
○ 後年「対米関係をどう思うか?」と訊かれて:
『半保護国だよ』と即答された(日本への遺言 毎日新聞社2005 P.82)
後藤田さんの脳裡には、この事件が語る常に「真の国益とは何か?」
の命題と独立国への自負、将来の日本外交への展望があったのだろう。

○ 亡き加藤周一氏との対談で、「アメリカは外のことを知らないの
に戦争をする」の発言に:
『戦後60年を振り返ってアメリカぐらい戦争・海外派兵している国
はありませんよ。朝鮮、ヴェトナム、アフリカ、中東、中南米。毎年
平和だって言ってどっかで戦ってる。これにいつまでもお付き合いで
きますか?例の集団的自衛権、これの行使というのはちょっと考えた
ほうがいい。』(同書 P.80-81)
『現在イラクで何が起きてますか。軍事(註:警備)会社じゃないです
か、株式会社が大変な高い値段で戦の一部を引き受けてやっている。
戦なんてのは国の役割ですよ、それが民間会社になっている、こんな
べらぼうな話があるわけがない。』(同 P.98-99)

○ 米軍再編を踏まえた安保問題:
『(アメリカは)兵力は海外も国内もうんと減らすという。その時期に、
日本はまた強化をして、兵力の減少も聞かんし、基地の縮小もせんと
いう。おかしいじゃないか。韓国でさえね、・・ならば日本の国中に
ある基地を縮小して、少なくても沖縄にある海兵師団ぐらいはグアム
なり、ハワイにもっていく。そして日米安保は軍事力を強化するので
なしに政治的な関係の方に重点を移していく。そのきっかけに、今度
のアメリカの戦略変更に対応して日本も対応していく必要がある。
(現状は)逆じゃないか。』(同 P.83)
『もう少し言うべきことは言わなければ。そうすればアメリカという
国はわかるんですよ。向こうは趣旨がわかれば、退くんです。日本側
からきちんと談判しなきゃあ駄目なんだ。』(同 P.82)

 普天間で孤軍奮闘中の民主党関係者へのカンフルとなれば幸いだが、
対米交渉には沖縄県民のみならず国民全員への信頼感を持って、長期
的視野から見た相手側の利益も勘案する正論貫徹を祈りたい。
           (長すぎるため 2.以下は次号とします)
  
    亡き人の   面影偲ぶ   五月闇     汨羅

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     “成果給ブログ”欄より。 全号の内容記録あり。
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