経営

"成果給”・・・新戦略の核心か?ガン細胞か?

 日本の給与制度を席巻しつつある“成果給"!
 グローバリズムの下、導入不可避とされるこの制度の功罪を、報道される各社の人事問題等を題材に徹底検証してみたい。

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普天間狂想曲の光と影***問われる対米調整能力***

2009/12/17


No.44            普天間狂想曲の光と影    (09/12/17)                         
         ***問われる対米調整能力***
 
 リーマン・ショックの風圧に揺れた一ヵ年の終幕に相応しく、先月
来沖縄・普天間基地の処理をめぐり、日米関係の亀裂まで云々される
事態になってきた。キューバ危機など一触即発の瞬間もあった冷戦期
を含む戦後64年の両国の歴史の成果が、この程度の問題で亀裂を生む
ようなら、「価値観の共有」を誇った日米関係も本物でなかったことに
なる。 
 今回の事件をめぐる内外の応酬は、狂想曲(カプリッチオ:感興の
おもむくままに自由に作曲された器楽曲)の名にピッタリの乱調ぶり、
これでは太平洋の両岸でハーモニー維持に腐心して来た両国の諸先達
も浮かばれまい。だが背景にいくつかの黙過できぬ問題点が浮上する。
 
!))米国:国際政治・経済両面での自国の存在感の急速な低下とアジ
     アの台頭によるパラダイム(枠組み)変化への対応度不足。
     戦費増加を主因とする巨額の財政赤字の垂れ流し。
!))日本:冷戦終結後の安全保障戦略の見直しを長期にわたり怠った
     自民党政権の怠慢。
     政権交代をテコに日米関係修正の必要をタイムリーに米国
     側に迫る積極性を完全に欠いた連立政権の鈍感さ。
!))メディア:オピニオン・リーダーの機能が低下した日米両国メデ
     ィアの見識不足。

いずれも“責任感の欠如”が共通項だが、これをクールに眺めると実
像が透けて見えそうだ。
  
   !).感度不良の鳩山連立政権に悩むオバマのアメリカ
 
 今回の騒ぎで奇妙な点はオバマ・クリントン両首脳の発言が際立っ
て乏しいことだ。世界規模の難題に取り組む彼らにとって平穏な極東
の基地問題などは些事かも知れぬ。しかし未だ世界の警察国家を自認
する米国ではどの政権も戦略策定が大好きで、学界・シンクタンクを
総動員する体制だ。無論日本での政権交代などは先刻織り込み済みの
筈。民主党のマニフェストの実効性をどの程度に評価したかは定かで
ないが、「作者の民主党以上」に十分検討・分析済みだろう。
 国務省内の対日チームの人材払底は最近夙に喧伝されているがニュ
ージーランド・比国・韓国・中央アジアと相次ぐ基地の全廃・縮小の
流れの中で、軍部にとっては今や最大の仮想敵・中国抑止の第一線で
ある沖縄基地の帰趨は、当然最大の関心事だ。
“常に忠実なイエス・マン”だった自民政権の崩壊、後釜に座る民主
党政権の体質変化が齎す影響、中でも自民政権さえ10年以上も手こず
った普天間問題が、社会党的風土も温存する民主党主導の政権下で好
転する筈もないのは百も承知の筈だ。
 常識的には米国側は“テグスネ引いて”日本側の新たな注文に対す
る見返りメリット確保に虎視眈々、と考えるべきだ。首脳陣の寡黙さ
がその何よりの証拠だろう。『沈黙は金』である。
 問題は日本側の処方箋の中身とそのタイミングだ。国内は失業率、
外はイラク・アフガンに手を焼いて支持率急降下中のオバマ政権にと
り、「盟友の筈の日本まで問題か・・・」の心境だろう。首脳両氏が
いち早く訪日した背景は、何よりも「信頼しうる同盟関係」継続の確認
であった筈。基地問題そのものは当面第一義ではなく、むしろ難物の
米議会対策もジックリ勘案した説得力のある解決策の提案と財務上の
支援確約への期待であったろうに・・・。
 いずれにせよ米側にはこれ以上鳩山政権との不協和音を増幅する余
裕はあるまい。ともかく高水準を維持する鳩山政権の支持率の推移に、
バッシングが過ぎて日本側のナショナリズムに火をつける懸念ーつま
り日本国民の『変化への期待』の強さーを感得している筈だ。
論より証拠。ゲイツ長官来日時の発言に見られる外交音痴の国防省筋
の強硬論や属僚レベルの対日非難と平行し、知日派(J・ナイ氏ほか)
からの「政権交代に伴う政策変更」容認論や有力プレスの一部(NY
タイムズ・Wポスト)に日米関係の本質再認識ー基地問題が全てでは
ないーの論評が漸く出始めた。政府も同調の上のシグナルだろう。だ
がこれで米国側は労せずして鳩山政権に貸しを作ったことにもなる。

  !).感度不良の外交戦略ー未熟な対米トリオの乱調

 政権交代による対米一辺倒路線の修正とアジア外交の強化を期待し
た国民は、この事件で改めて対米問題の煩わしさを痛感した筈だ。既
にアメリカは世界のトラブル・ファクター(お荷物)の面が強い。
政治面では中東問題やモスレム系テロリスト揺籃の因であるイスラエ
ル放任政策、インド・パキスタン・イスラエル・南アに対する核兵器
政策の混迷(二重基準)、テロリスト容疑者への人権侵害、国外での
米兵の訴追回避のための国際刑事裁判機構への不参加、環境・温暖化
対策での京都議定書未承認など、さらに経済面ではブラック・マンデ
ー(1987),ネットバブル崩壊(2000),リーマン・ショック(2008)とお騒
がせの張本人の事例は枚挙に遑(いとま)がないほどだ。
 現に目下協議中のコペンハーゲンでのCOP15 でも、先進国中唯一の
ゴネ得主張で、中国と並ぶ鼻つまみ対象となっている。
 EUなどの先進国やアジアの諸国がいま親米・親中度屈指の日本外交
に期待するのは、両国のエゴを抑え世界全体の利益を優先する方向へ
の誘導力発揮だろう。わが国が国連決議による武力制裁に参加できぬ
以上、この程度の貢献は不可避の義務だろう。
 ともかく今回の普天間をめぐるスタート早々の不手際は、新政権の
前途多難を予想させ、先進諸国、アジアの友邦の失望を招きかねない
失態ではある。

 週刊朝日最近号(12/25)の『閣僚仕分け』辛口採点によると、国内
担当(仙谷行刷相:96点ー最高点ー、前原国交相、原口総務相、藤井
財務相:76点ー2位ー)に比べ、外交関連(鳩山首相:52点、北沢防衛
相:44点)は概ね低評価、特に北沢氏には『限りなく廃止に近い見直
し』ーつまり更迭必至ーとのコメントが付く。
因みに18人の閣僚の平均点は56.9点だ。岡田外相の評定:72点は首相
に振り回される同情点含み。民間企業の成果主義評価なら3人揃って
落第だろう。
 問題の第一は鳩山首相のドクトリン「県外移設ー>グアム移転」の
不徹底。3人中最も粘り腰で一貫した交渉姿勢だが、八方美人的言辞
で誤解を生みすぎ,『統率力不足』のレッテルを貼られる始末。
第二の問題は岡田外相の妙な色気だ。同氏は当初より日米双方の反対
する実現性の極めて乏しい嘉手納基地への統合を模索,徒らに時間を
空費し、挙句に既定の辺野古案以外の選択肢はゼロと断定して米側の
予算通過の便宜を図り、年内決着を強く主張した。姿勢に一貫性が乏
しいばかりか,主担当者の筈が最後は米側への伝声管機能に終始、ど
うやら鳩山政権の短命を予想して対米配慮優先路線に切り替えたのか
と疑いたくなる有様だ。所詮官僚出身者の限界で、リスク・テイクが
苦手らしいと、いたく失望させられた。
 第三は防衛相。官房長官とブービー賞を競う、鳩山『友愛』人事の
失敗例として衆目の一致する人物だ。バランス感覚、判断力共に規格
外。これ以上のコメントは週刊誌に譲るが、参院選との関連による
「変節」を指摘されている。問題は非才の災いが国益に及ぶ点だ。余
り効果はなかろうが総理共々「沈黙こそ金」の哲理を、再度学ぶ必要
がありそうだ。

 肝腎の3点セットがこの有様で、当分の間日本外交の展望は羅針盤
なき航海に近い。近隣も中・ロ・南北朝鮮といずれ劣らぬ強兵(つわ
もの)揃いだ。船長(首相)も航海長(外相)も些かこころもとない
が、折角始めた東南アジアの“民主化支援外交”の安全運転で経験を
重ね、座礁を避けつつ適任者誕生まで頑張るほかあるまい。

 !).日米両国のメディアの完熟度

 普天間問題をめぐる本邦主要各紙のワシントン駐在員発の情報(例
えば12/16付)には失望を禁じ得ない。政権交代後既に90日、時間はタ
ップリあった筈だが、いずれも“金魚酒”。中身が薄くて金魚が泳げ
るほどコクに乏しいのは、努力不足か希薄な人脈のせいだろうか?
 有力米紙も概ね同様。まさか本邦並みに記者クラブがあるわけでは
なかろうが、一読して官製情報垂れ流しスタイルだと判る。太平洋の
両岸で、“流石に”と頷かせる見識が期待される両国のプレスがこの
有様では、寒心に堪えない。地盤が沈下する日米関係の反映か?
 これに対し外野の筈の英紙(フィナンシャル・タイムズ11/12付)は
ゲイツ長官の発言に代表される米国側の姿勢を厳しく批判する。
 『日本の新政権が、実質的に半世紀にわたる保守的な自民党の長期
政権を打倒した後で、徹底した政策の見直しを断行するのは当然の話
ではないか。』
 『新政権の方針で日米同盟が崩壊するかのごとき、過度に威圧的な
対日姿勢こそ、日米同盟の危機を招くものだ。』
 十分な植民地経営の実体験に裏打ちされた、ジョンブル特有のバラ
ンス感覚の発露と言うべきか? 

 筆者が問題視するのは、わが国の政・財界に戦後の占領期やロッキ
ード事件を通じて生じたトラウマ「反米は叩かれ、葬られる」ことへの
恐怖が未だ根強く残るばかりか、戦中・戦後、権力に抗し切れず筆を
曲げた屈辱の経験を持つメディアまでもあながち例外とは言い切れぬ
疑惑を覚える点だ。
 
 それにしてもアジアや中東におけるアメリカの戦略は何故こうも蹉
跌を繰り返すのだろう? 後に残るのは米兵とその数十倍に達する現
地の人々の屍(しかばね)だけでない。通常兵器の規制を固く拒む米
軍が実験に供した戦略兵器の産み落とす悲惨な被害(者)こそ問題だ。
原爆(第二次大戦)、ナパーム弾(ベトナム戦争)、劣化ウラン弾(イラク
戦争)、産・軍一体の殺戮のメカニズムは果てしなく続く。インディ
アン狩り現代版の戦(いくさ)は、現地の人々の「人間感情」、つまり
彼らの真に求めるものが理解できぬ限り、勝ち目は無いと思うのだが
・・・。かくて決着はグアムか? 硫黄島か? はたまた関空か?そして
『辺野古すっぽかし』のオトシマエは一体いくらになるのだろう?
   
   地固まり  わだかまり解く  時雨かな    汨羅

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創刊日:2008-03-03  
最終発行日:  
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