近畿

飛鳥遊訪マガジン

飛鳥地域の歴史・文化・景観が好きな皆さん♪「両槻会」は、そんな皆さんと一緒により飛鳥を楽しもうと活動しています。飛鳥遊訪マガジンでは、歴史だけではない飛鳥の魅力もお届け出来ればと思います。皆さん!ご一緒に、もっと飛鳥を楽しみませんか♪

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飛鳥遊訪マガジン Vol.289

2018/03/02

┏○INDEX‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┓

   1.両槻会からのお知らせ
   ―――――――――――――――――――――――――――
   2.特別寄稿             あい坊先生
   ―――――――――――――――――――――――――――
   3.咲読               風人
   ―――――――――――――――――――――――――――
   4.第64回定例会レポート      よっぱ
   ―――――――――――――――――――――――――――
   5.飛鳥情報
   ―――――――――――――――――――――――――――
   6.編集後記
   ―――――――――――――――――――――――――――
┗‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥o○┛
 もう2月も終わってしまいましたね! なんと早いのでしょう。(>_<) 
歳を重ねると、日時の経過が早くなると言いますが、σ(^^)も、もう歳なの
ですね。瞬く間に今年も2ヶ月が過ぎてしまいました。
 さて、飛鳥では現地説明会が立て続けに行われています。明日も楽しみな
藤原宮大極殿院の説明会が行われます。どのような新しい発見があったのか、
ワクワクしながら行ってこようと思っています。
 今号の特別寄稿は、あい坊先生が先週行われた飛鳥寺西方遺跡について、
書いてくださっています。行けなかった方も、是非、お読みいただければと
思います。両槻会フェイスブックに現説の写真をアップしますので、合わせ
てご覧ください。
https://www.facebook.com/asukakaze210/

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●1.お知らせ                        ○o。
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第65回定例会のお知らせ

 帝塚山大学清水ゼミ・両槻会事務局共催イベント(ウォーク&トーク)
「飛鳥時空旅 ―蘇我氏の邸宅編― 」

 実 施 日: 2018年5月26日(土)
 集合場所: 石舞台バス停付近
 集合時間: 10:05
       飛鳥駅   9:40発のバスに乗車 石舞台着 9:57
       橿原神宮前 9:36発のバスに乗車 石舞台着10:01

 ウォーキング距離: 約10km
 コ ー ス: 石舞台 → 甘樫丘東麓遺跡 → 甘樫丘豊浦展望台
      → 水落遺跡付近 → 甘樫丘北麓公園(昼食) → 豊浦寺跡
      → 古宮遺跡 → 和田廃寺跡 → 本明寺 → 軽寺跡 → 大窪寺跡
      → 橿原公苑館(講演会場)解散
      解散場所の最寄駅(近鉄 畝傍御陵前駅、あるいは橿原神宮前駅)
 マ ッ プ:
  https://drive.google.com/open?id=1ynHCx8xUazZyeNPhISwqke653sPGdBFW&usp=sharing

 ウォーキング概要
       清水ゼミ生・両槻会スタッフが各ポイント説明を行います。
       当日の進行・コース案内はゼミ生が担当します。
      
 講  演: 「蘇我氏の邸宅と仏教」
 講  師: 清水昭博先生 (帝塚山大学教授)
 会  場: 橿原公苑館会議室
 解  散: 16:35(予定)
 
 募集人数: 30名
 参 加 費: 1,000円 (運営協力金)
 受  付: 3月2日(金)から定員まで
 備  考: 講演会のみの参加はできません。


【定例会概要】 清水昭博先生
 帝塚山大学文学部日本文化学科考古学ゼミ(担当:清水昭博)では201
4年から毎年、合同で定例会を開催させていただいております。おかげさま
で、お世話になった学生には文化財専門職員になった者や大学院に進学し、
考古学のプロを目指す学生もいます。
 今回で5回目となるコラボ定例会のテーマは「蘇我氏の邸宅を巡る」です。
蘇我稲目は、6世紀中頃にその本拠地を畝傍山東南の軽(橿原市大軽町・石
川町一帯)に移し、その後、馬子・蝦夷・入鹿三代の邸宅は、西は畝傍山、
東は小墾田にいたる東西約3キロメートルのエリアに営まれました。
 今回の定例会では飛鳥とその周辺にある蘇我氏の邸宅跡と関連遺跡をめぐ
り、飛鳥を守護するごとく計画的に配置された邸宅の立地を体感していただ
き、その後の講演会では、蘇我氏の邸宅に関して「蘇我氏の邸宅と仏教」を
テーマにお話しさせていただきます。心地よい風のそよぐ春の飛鳥で、皆さ
まのご参加をお待ちしております。

:::::::::::::::::::

第66回定例会のお知らせ

 講演会 「(仮)飛鳥寺西方遺跡を中心に」
 講 師 長谷川透先生(明日香村教育委員会主任技師)
 実施日 7月21日(土)
 会 場 飛鳥資料館講堂(予定)

先日(2月25日)、発掘調査現地説明会が行われました飛鳥寺西方遺跡に
ついて、10年間の調査を継続して担当されてきました長谷川先生をお招き
し、これまでに分かった事や槻の樹の広場の全体像を話してくださるように
お願いをしました。先生には、快くお引き受けいただき日程も決定しました
ので、予定を公開いたします。

お申し込みは、5月(第65回)定例会終了後に開始したいと思います。

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●2.飛鳥・藤原の考古学            あい坊先生  ○o。
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広場に建つ建物?
−飛鳥寺西方遺跡の調査から−

 『日本書紀』に「飛鳥寺西」とされる場所があります。我が国最初の本格
的伽藍をもつ飛鳥寺の西側に広がる場所です。ここは、乙巳の変直前に、中
大兄皇子が蹴鞠をしている時に、中臣鎌足と出会った場所としても有名で、
さらに蝦夷や隼人らを招いて饗宴を行ったり、壬申の乱時には軍営をここに
設置した場所としても現れました。飛鳥時代の重要な歴史的出来事の時には、
必ず現れる場所であったといってよい場所です。そして、ここにはシンボル
となる槻樹の巨木があったと推定されています。この史料にみられる「飛鳥
寺西槻」の広場があった場所を私たちは「飛鳥寺西方遺跡」と呼んでいます。

 飛鳥寺西方遺跡は、飛鳥寺の西側に広がる南北約200m、東西も飛鳥川
までの約200mの遺跡です。この遺跡の北には漏刻台である水落遺跡や迎
賓館である石神遺跡があります。
 明日香村教育委員会では、この槻樹広場の範囲と構造を解明するために、
平成20年度からの10年間、発掘調査を継続してきました。これまでの調
査で、遺跡は2〜3時期の変遷がみられ、石敷や礫敷広場が広がっていたこ
とがわかっています(かなりの部分は削られて、一部しか遺っていませんが)。
この石敷の景観になるのは7世紀後半のことと考えられています。建物はこ
れまでに3棟見つかっています。広場の中心付近では2棟の掘立柱建物が並
んでいますが、柱が細く、柱間も不揃いであることから仮設の一時的な建物
と推定されます。もう1棟は広場の南辺にある楼閣あるいは櫓状の高い建物
です。しかし、「槻樹の広場」の「槻樹」の痕跡は残念ながら、まだ見つか
っていません。これまで広範囲の面積を調査しているにもかかわらず、確認
できていないということは、未調査地にあったことを示しています。その有
力な候補地は、入鹿の首塚と呼ばれる五輪塔の場所でしょうか。

 さて、今回の調査地は、この首塚から西に100〜140mあまりの場所
です。調査区は3カ所に設定しました。1・2区は、吉野川分水に接する西
側にあたります。1区では東西棟掘立柱建物を確認しました。妻柱が確認で
きなかったことから、桁行8間以上、梁行2間の長大な建物です。柱掘形が
1mを越えることから、恒常的な建物と考えられます。ただし、北柱列と南
柱列が微妙にズレることから、あるいは2時期の掘立柱塀であった可能性も
あります。また、掘立柱建物の北方には東西石組溝があります。側石は抜き
取られ、底石だけしか遺っていませんでしたが、溝幅は90cmで、隣接す
る東側の調査区(飛鳥京跡第168次)でも確認されています。
 一方、3区は、小字「土木」の水田で、昭和55年度に橿原考古学研究所
の飛鳥京跡第77次として、北半分が調査されています。「槻木」が「土木」
に訛ったと推定すると、槻樹の有力な候補地でした。77次調査では、南北
の掘立柱塀と石組溝が見つかっていますが、槻樹は確認できませんでした。
そこで、今回はこの水田の南半部を調査しました。その調査区の南西部で集
積遺構がありました。これは石の隙間に中世以降の土器が入ることから、本
来は周辺に敷かれていた石敷が後世に動かされた可能性があります。また、
東半には2×3間の総柱掘立柱建物がありますが、これは飛鳥時代よりも新
しい時期の建物と考えられます。

 今回の調査では、2点の成果が注目されます。まず小字「土木」(3区)
の南半を調査しました。しかし、ここでは顕著な遺構がみられず、集積遺構
があるだけです。これが石敷に由来する石材だとすると、ここでも石敷が広
がっていたことになります。しかし、今回の調査でも槻樹は確認されず、そ
の槻樹は首塚(五輪塔)の場所の可能性がさらに高まりました。
 もうひとつは、掘立柱建物の発見です(1区)。この場所は、これまで飛
鳥川の氾濫原で、遺構は流されている場所と考えられていました。しかし、
予想に反して、飛鳥時代の建物が見つかったことにより、氾濫原は今回の調
査地の西に推定される事になりました。また、飛鳥寺西方遺跡では、4例目
の掘立柱建物となりました。このうち平成26年度の調査で確認した2棟の
掘立柱建物は、仮設の建物と考えられ、平成28年度の建物は、遺跡南辺に
ある楼閣(櫓)状建物でした。それに対して、今回の建物は広場の比較的中
央にちかい場所で見つかっています(建物か塀なのかは、もう少し検討が必
要)。これが飛鳥時代の建物であることは間違いないのですが、出土遺物が
なく、その時期を特定できません。あえて、北方にある石神遺跡の建物方位
と比べてみると、天武朝の建物群と近似する方位を示すことから、この時期
の可能性があります。そうすると、夷狄に対する服属儀礼を槻樹の下で行っ
ていたことから、この饗宴に関連する建物の可能性もあります。もうひとつ
の可能性は、石神・水落遺跡の建物群が、このあたりまで広がっていた可能
性です。「飛鳥寺西」の北半には建物群が建てられ、南半には広場が広がり
ます。その境は、現在民家が密集していることから、あまり明確ではありま
せん。今回の建物が北半の建物群に関連したものとすると、広場の範囲は南
北110m程度となります。
 いずれにしても、今回の調査成果は、遺跡全体の中で検討する必要があり、
さらに「飛鳥寺西」の中で考える必要があります。また、これまでに確認さ
れた遺構を総合的に検討する作業がこれから始まります。「飛鳥寺西」の研
究がここからはじまるのです。

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●3.咲読                   風人     ○o。
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 両槻会第65回定例会の咲読を、始めたいと思います。第65回定例会は、
お馴染みになりました帝塚山大学清水ゼミとのコラボ企画になります。当日
の進行や説明もゼミ生が担当し、初々しい定例会として好評を得ております。
また、今回は、清水昭博先生に講演をお願いしておりますので、ウォーキン
グの後の纏めや瓦を通して見た蘇我の邸宅について、お話を伺えることにな
っています。
 実は、蘇我の邸宅と瓦というテーマが、清水先生と私(風人)を繋ぐきっ
かけとなったのです。私にとっては、10数年ぶりに先生からの回答を受け
取る定例会でもあります。個人的に、とても楽しみにしているのです。その
ことは、追ってご紹介することになると思います。

 一般の方々には、両槻会はマニアックだと度々言われるのですが(そんな
ことはないのですが)、初めて両槻会に参加していただくには、打って付け
の回になるのではないかと思います。勉強を始めたばかりの若い人たちが説
明役になります。もちろん、先生や両槻会事務局のチェックを受けての内容
にはなりますが、基本は彼らが調べたことを発表します。
 飛鳥について詳しくないのですが、勇気をもって両槻会に参加しましたと
仰る参加者が時々居られるのですが、そのような方には、特にお薦めの企画
ではないかと思います。テーマも、皆さんに興味を持っていただけると思い
ますので、お申し込みを、お待ちしております。
 この企画は、一般の参加者が少ないと意味が半減してしまいます。私は、
ゼミ生がビビる程の大勢の参加者が来てくださいますように願っております。

 この企画は、若い人たちに一般の人の前で話す経験を積んでもらいたい、
また、企画を展開し実践する事にチャレンジして欲しいと思い、5年前から
継続して実施してきたものです。もちろん、若い人たちに飛鳥の面白さを知
ってもらいたいという思いも強くあります。
 この企画を経験して、毎年、近隣の市町村の埋蔵文化財に携わる部署や博
物館・資料館の学芸員として巣立って行く学生が続いています。初めてこの
企画に参加した頃には、緊張のあまり説明が上手く出来なかった若者が、卒
業する頃には一転、自分の考えを織り込んで説明できる余裕を見せます。そ
のような成長を、まるでおじいちゃんやおばあちゃんのように見守れるのも、
事務局ではとても楽しみな企画になっています。皆さんも、彼等のおじいち
ゃん・おばあちゃんの1人になって下さい。(笑)

 今回のテーマは、「蘇我氏の邸宅」としました。蘇我本宗家の邸宅を中心
に、明日香村・橿原市の遺跡や旧跡を巡りたいと思っています。
 ウォーキング距離は、机上計測で9.32kmになります。アップダウンは、
甘樫丘を除いて、ほとんど無いと言っても良いかと思います(若干は在り)。
ほぼフラットなコースですのでご安心ください。
 集合は、石舞台バス停付近にしました。もちろんここは、「蘇我馬子の嶋
の家」だと思われる島庄遺跡です。スタートに相応しい場所になりますね。
10:05の集合ですが、飛鳥駅、または橿原神宮前駅から、各々バスにて
集合していただくのに便利な時間に設定しました。乗継などで、便利な方法
を選択して参集していただければと思います。

石舞台(島庄遺跡) → 甘樫丘東麓遺跡 → 甘樫丘豊浦展望台
→ 水落遺跡付近 → 甘樫丘北麓公園(昼食) → 豊浦寺跡
→ 古宮遺跡 → 和田廃寺跡 → 本明寺 → 軽寺跡 → 大窪寺跡
→ 橿原公苑館(講演会場)解散(16:30頃予定)
 解散場所の最寄駅(近鉄 畝傍御陵前駅、あるいは橿原神宮前駅)
マ ッ プ
https://drive.google.com/open?id=1ynHCx8xUazZyeNPhISwqke653sPGdBFW&usp=sharing

 なお、説明役を務める若い学生が緊張のあまり不出来な説明になったり、
進行がスムーズに行かなかった場合、どうぞ温かい目で見守って下さいます
ようにお願いを致します。また、道中、彼等に話しかけてやってくださいま
すようにお願いをいたします。

 次号からは、定例会の予習を始めたいと思います。今回の咲読は7回を予
定しています。

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●4.第64回定例会レポート          よっぱ    ○o。
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 前号に引き続き、第64回定例会の様子をお伝えします。

 戸花先生の講演は、「塑像とは何か」から始まりました。塑像は古くは
「懾(しょう)」「てん(土偏に念)」とも呼ばれて、奈良時代を通して盛
んに作られたそうで、心木に荒縄を巻いて、藁などを混ぜた荒土、もみ殻な
どを混ぜた中土、細かい仕上土で作り上げるそうです。

 日本における塑像の作例について先生は、『日本書紀』大化4年2月5日
条に記された四天王寺塔内に造られた霊鷲山像の記事を取り上げられ、これ
が日本で一番古い塑像の作例であり、有名な法隆寺五重塔の塔本塑像が四天
王寺にも作られたと考えられるとのことでした。
 また、『日本書紀』白雉4年6月条の記事から先生は、造像を仏師ではな
く画工師に命じたことや多くの仏菩薩を作らせたとの記事から、この時代に
比較的安価に手に入りやすい土が材料として重宝され、この時作られた仏菩
薩像が塑像であったと考えられる。そして画工の一人が鮒魚戸直(ふなどの
あたい)で、これが『新撰姓氏録』に「百済国主孫」と記された百済系の渡
来人であることから、百済の塑像の技術を伝えたのではないかと考えられる
とのことでした。
 さらに、『扶桑略記』『僧綱補任』などの記録から、塑像は8世紀中頃か
ら丈六や六丈と大型の像が本尊として造られるようになったとの説明もあり
ました。

 高句麗・百済の塑像も紹介され、焼成されているものがある、型を用いて
作成されたものがある、宝珠を包み込む上下の手が左右逆であるなど、日本
の塑像と違いがあることの説明のほか、釈迦涅槃時の僧の泣き顔の塑像、象
の塑像、邪鬼の塑像など色々な塑像が作られたとの説明がありました。
 また日本の塑像では、川原寺裏山遺跡から出土した塑像のほか、雪野寺跡、
上淀廃寺跡、山王廃寺跡や神雄寺跡出土の塑像片などの紹介もありました。
今回の定例会にキャラクター化された川原寺裏山遺跡出土の通称「グー」に
ついては、手に鉾や武器などを持っていた十二神将とみられるとのことでし
た。法華経や無量寿経に現れる八部衆の一人である迦楼羅については、ガラ
ス玉を目にはめる8世紀の技法がとられており、7世紀代建立と考えられる
川原寺から8世紀の技法の迦楼羅像が出土することは川原寺の存続時期を考
えるうえで非常に重要であるとの見解も示されました。

 レジュメに基づく説明にあわせてスライドを使用した説明では、実際の塑
像作成の復元工程や高句麗・百済・日本の色々な塑像片の画像による紹介、
そして韓国と日本の塑像の違いなどについての比較検討もありました。
 また、塑像片と現存する仏像との比較から、その塑像片がどの部位にあた
るのか、それが中尊なのか脇侍なのか、如来なのか菩薩なのか邪鬼なのか、
製作時期はいつ頃なのか、その破片から考えられる仏像の大きさはどれくら
いなのか、などなど様々な説明があり、ほんの一部の塑像片から色々なこと
がわかることを教えていただきました。

 講演の後半は、城陽市に所在する平川廃寺の説明とその造営主体に関する
考えについての説明でした。
 平川廃寺は、昭和47年の発掘調査で塔跡周辺から約120点の塑像が発
見され、平成19年の発掘調査で金堂跡周辺から30点余りの塑像が発見さ
れたそうです。平川廃寺の塑像片につては、菩薩の頭部、冠、瓔珞、鼻、下
半身の衣、足の親指などが紹介され、指の塑像片から2.4〜3.0m級の
菩薩像が想定されているようです。

 この寺の本尊に関しては、菩薩と神将の塑像片が見つかっていることから
三尊と神将などを組み合わせた多尊形式が想定されるものの如来の特徴であ
る螺髪片が発見されていないことから、観音菩薩が本尊ではないかとのこと
でした。これは、8世紀に観音信仰が広まり『続日本紀』『正倉院文書』な
どにも7尺の観音像を全国に造らせたことや石山寺で丈六の観音像と脇侍の
神王像が塑像で作られたと記されていることに加え、平川廃寺出土の鼻の塑
像片から7尺に近い塑像に復元できることがその理由とされました。

 平川廃寺の造営主体については、出土した花形花弁の塑像片が奇数弁で東
大寺戒壇堂の神将像の花形花弁と共通すること、平川廃寺が山背国久世郡に
所在していて黄文氏(きぶみし)の勢力範囲であること、平川廃寺造営と同
時期に黄文川主(きふみのかわぬし)が画工として東大寺に派遣されている
こと、戒壇堂は江戸時代の創建だが四天王像は江戸時代以前に東大寺の中門
堂に安置されていたことなどから、黄文川主が東大寺に派遣されたときに東
大寺の塑像を見て、平川廃寺を創建した可能性が高いとのことでした。
 また、平川廃寺の塔基壇は何と14.2mもあり、七重塔と想定されてい
るようで、先生は平川廃寺の七重塔建立の理由は不明とされましたが、私に
とっては、伽藍配置の違いがあっても、七重塔で東大寺と通じることは興味
深いことでした。
 さらに、画工である黄文氏の存在と東大寺への派遣、塑像片の裏側や厚さ
からわかる木芯塑像などの技法からの考察と、それによる東大寺と平川廃寺
とのつながりなどを聞かせていただくと、ぜひ一度は平川廃寺を訪れなくて
はと考えてしまいました。城陽市には帝塚山大学大学院卒の学芸員もおられ
ることですから、ぜひとも現地での解説をお願いしたいものです。
 講演会後は、全員で資料館の展示室に移動し、戸花先生から展示してある
川原寺裏山遺跡出土のせん仏や塑像片について説明していただきましたが、
現物を前にして、講演で教えていただいた特徴等がより詳しくわかりました。

 さて参加していただいた皆さんは、塑像について興味を持っていただいた
でしょうか。また飛鳥遊訪マガジンの読者の方は、このレポートを読んでい
ただき両槻会の定例会に参加しようと思っていただいたでしょうか。両槻会
は会員制ではありません。いつでも、だれでも、興味のあるテーマでの開催
時に、メールでお申し込みいただければ参加していただけます。マニアック
なテーマもありますが、スタッフやサポートスタッフにお声かけ下されば、
わかる範囲でご説明いたします。どうぞご遠慮なくお申込みください。皆様
のお越しをお待ちしております。

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●5.飛鳥情報                        ○o。
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 ●藤原宮大極殿院 発掘調査現地説明会
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   開催日: 3月3日(土)
   時 間: 13:30〜
   場 所: 藤原宮大極殿院発掘調査現場(飛鳥藤原第195次調査)
   詳 細: https://www.nabunken.go.jp/fukyu/event2017.html#account04

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 ●奈良学総合文化研究所講座
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   開催日: 3月3日(土)
   内 容: 「大伴家持の生涯」
          鷺森 浩幸氏(帝塚山大学文学部教授)
   時 間: 10:30〜12:00
   場 所: 帝塚山大学1号館1301教室
   詳 細:
http://www.tezukayama-u.ac.jp/aboutus/public/calendar/2018/0303104843.html

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 ●明日香村発掘調査報告会2017
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   開催日: 3月4日(日)
   内 容: 「飛鳥寺西方遺跡の調査」
          長谷川 透氏(明日香村教育委員会主任技師)
        「(仮)小山田遺跡の調査」
          鈴木 一議氏(橿原考古学研究所主任研究員)
        「舒明天皇の時代と小山田古墳」
          木下 正史氏(明日香村文化財顧問・東京学芸大学名誉教授)
   時 間: 13:00〜 (受付12:30〜)
   場 所: 明日香村中央公民館 大ホール
   詳 細: https://asukamura.jp/topics/hakkutsu_houkoku_2018/index.html

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 ●世界遺産を目指す東京講演会(要申込)
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  ※ 申込〆切 〜3/9消印有効

 「東アジアの宮と都〜周礼を中心に〜」
   開催日: 3月18日(日)
   内 容: 記念講演
        「『日本国』誕生の中心舞台を探る-飛鳥の宮都から藤原宮・京へ-」
          木下 正史氏(東京学芸大学名誉教授)
        「飛鳥の時代の国づくり」
          吉村 武彦氏(明治大学名誉教授)
        「中国都城の日本への影響について-『周礼』との関わりを中心に-」
          村元 健一氏(大阪歴史博物館学芸員)
        トークセッション
          パネリスト:木下 正史氏、吉村 武彦氏、村元 健一氏 
          コーディネーター:関口 和哉氏(読売新聞大阪本社地方部次長)
   時 間: 13:00〜17:00(開場12:00)
   場 所: 明治大学 駿河台キャンパスアカデミーコモン3階アカデミーホール
        (東京都千代田区神田駿河台1−1)
   詳 細: https://asukamura.jp/topics/sekaiisan-koenkai/index.html

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 ●橿考研附属博物館・万葉文化館連携講座
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   開催日: 3月10日(土)
   内 容: 「万葉集の考古学」
          鶴見 泰寿氏(橿原考古学研究所附属博物館指導学芸員)
   時 間: 14:00〜15:30(開場13:30)
   場 所: 奈良県立万葉文化館 企画展示室
   詳 細: http://www.manyo.jp/event/detail.html?id=214

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 ●飛鳥史学文学講座(要申込)
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   開催日: 3月11日(日)
   内 容: 「大和のレンゾ〜当麻寺の練供養〜」
          黒田 一充氏(関西大学文学部教授)
   時 間: 13:15〜約2時間
   場 所: 明日香村中央公民館
   詳 細: https://asukamura.com/?p=9623

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 ●帝塚山大学市民大学講座
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   開催日: 3月17日(土)
   内 容: 「推古朝の四十六か寺をめぐって」
          清水 昭博氏(帝塚山大学考古学研究所長・附属博物館長)

   開催日: 3月24日(土)
   内 容: 「隋が滅び唐が立つ−推古朝・それから1400年−」
          甲斐 弓子氏(帝塚山大学考古学研究所特別研究員)

・・・・・・

   時 間: 14:00〜15:30
   場 所: 帝塚山大学2号館2101教室
   詳 細: http://www.tezukayama-u.ac.jp/museum/lecture/

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 ●歴史に憩う橿原市博物館 定期講座
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   開催日: 3月17日(土)
   内 容: 「縄文時代と現代」
          平岩 欣太氏 (橿原市教育委員会事務局 文化財課 統括調整員)
   時 間: 10:30〜12:00
   場 所: 「シルクの杜」教室3(橿原市川西町855-1、博物館東隣)
   詳 細: http://www.city.kashihara.nara.jp/hakubutsukan/29teikikouza.html

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 ●三輪山セミナー
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   開催日: 3月17日(土)
   内 容: 「女帝たちの成長 飛鳥から天平へ」
          松尾 光氏(早稲田大学講師)

   開催日: 4月28日(土)
   内 容: 「倭王権と祭政分権王制」
          岸本 直文氏(大阪市立大学 大学院教授)

 ・・・・・・

   時 間: 14:00〜(受付12:30〜)
   場 所: 大神神社 大礼記念館
   受講料: 200円
   詳 細: http://oomiwa.or.jp/topics/topics_seminar/

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 ●飛鳥資料館 冬期企画展
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 「飛鳥の考古学2017」
   会 期: 3月18日(日)まで開催中
   時 間: 9:00〜16:30(入館は16:00まで)
   場 所: 飛鳥資料館 特別展示室
   料 金: 一般270円、大学生130円
        高校生及び18歳未満、65歳以上は無料
   詳 細: https://www.nabunken.go.jp/asuka/kikaku/post-33.html

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 ●橿原考古学研究所附属博物館 特別陳列
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 「万葉集の考古学」
   会 期: 3月21日(水・祝)まで開催中
   時 間: 9:00〜17:00(入館は16:30まで)
   場 所: 橿原考古学研究所附属博物館 特別展示室
   料 金: 一般400円、大学・高校生300円、小・中学生200円

 「博物館の歩み」
   会 期: 3月21日(水・祝)まで開催中
   時 間: 9:00〜17:00(入館は16:30まで)
   場 所: 橿原考古学研究所附属博物館 特別展示室(講座室)
   料 金: 無料

 ≪講演会≫
   開催日: 3月18日(日)
   内 容: 「博物館と友史会の歩み」
          坂 靖(橿原考古学研究所附属博物館 学芸課長)
        「歴史考古学から見た万葉集」
          鶴見泰寿(橿原考古学研究所附属博物館 指導学芸員)

 ・・・・・・

   詳 細: http://www.kashikoken.jp/museum/top.html

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 ●歴史リレー講座「大和の古都はじめ」
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   開催日: 3月18日(日)
   内 容: 「神祭りの祖型と展開−大和・三輪山を中心に−」
          山田 浩之氏(大神神社権禰宜)
   時 間: 13:30〜15:00
   場 所: 王寺町地域交流センター リーベルホール
   詳 細: http://home.oji-kanko.kokosil.net/ja/rekisikouza

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 ●吉野歴史資料館 歴史講演会(要申込)
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   開催日: 3月18日(日)
   内 容: 「平成29年度史跡宮滝遺跡調査速報」
          中東 洋行氏(吉野町教育委員会)
   時 間: 14:00〜15:30
   場 所: 吉野町中央公民館
   詳 細: http://www.town.yoshino.nara.jp/about/post-9.html

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 ●桜井市観光ボランティアガイドの会 公開講座
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   開催日: 3月22日(木)
   内 容: 「古墳時代の桜井」
          来村 多加史氏(阪南大学国際観光学部教授)
   時 間: 13:00〜14:30(開場12:30)
   場 所: 桜井市役所2階大会議室
   詳 細: http://www.city.sakurai.lg.jp/kanko/topics/1423728103772.html

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 ●聖徳太子を学ぶ連続公開講座(要申込)
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   開催日: 3月24日(土)

   内 容: ウォーキング「太子ゆかりの寺巡り」
          王寺観光ボランティアガイドの会
   時 間: 10:00〜(受付9:30)
   場 所: JR王寺駅北口〜

   内 容: 「片岡の寺と聖徳太子」
          岡島 永昌氏(王寺町教育委員会学芸員)
        「聖徳太子絵伝を読む7」
          千田 稔氏(奈良県図書情報館長)
   時 間: 13:45〜(受付13:00)
   場 所: 王寺町地域交流センター リーベルホール

 ・・・・・・

   詳 細: http://www.library.pref.nara.jp/event/2587

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 ●大和から探る日本文化(要申込)
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   開催日: 3月25日(日)
   内 容: 講演「邪馬台国の成立と渡来文化」
          千田 稔氏(奈良県立図書情報館長)
        朗読「『山の辺の道』から 影媛の物語」
          都築 由美氏(フリーアナウンサー)
        講演「ドローンからみた大和の古墳
            −箸墓古墳から天武・持統陵古墳まで−」
          牟田口 章人氏(帝塚山大学文学部教授)
   時 間: 13:00〜16:00(開場12:00)
   場 所: 奈良県立図書情報館 1階交流ホール
   詳 細: http://www.library.pref.nara.jp/event/2586

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 ●文化功労者選定記念フォーラム
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   開催日: 3月25日(日)
   内 容: 講演
        「聖徳太子の精神と文化」
          大野 玄妙氏(法隆寺管長)
        「私の法隆寺研究」
          東野 治之氏(奈良大学名誉教授)
        記念フォーラム
        「法隆寺・斑鳩の史科学」
         参加者
          東野 治之氏(奈良大学名誉教授)
          吉川 敏子氏(奈良大学教授)
          豊島 直博氏(奈良大学准教授)
         司会進行
          寺崎 保広氏(奈良大学教授)
   時 間: 13:30〜16:20(開場12:30)
   場 所: 奈良大学 講堂
   詳 細: http://www.nara-u.ac.jp/event/2018/54

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 ●万葉集を読む
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   開催日: 3月28日(水)
   内 容: 「大伴家持と藤原久須麿(783〜792番歌)」
          大谷 歩氏(万葉文化館主任技師)
   時 間: 14:00〜15:30(開場13:30)
   場 所: 奈良県立万葉文化館
   詳 細: http://www.manyo.jp/event/detail.html?id=180

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 ●桜井市立埋蔵文化財センター 企画展
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 「ウチの土器、ヨソの土器 〜古墳時代前期の外来系土器〜」
   会 期: 4月15日(日)まで開催中
   時 間: 9:00〜16:30(入館は16:00まで)
   場 所: 桜井市立埋蔵文化財センター展示収蔵室
   料 金: 一般200円、小・中学生100円
   詳 細: http://www.sakurai-maibun.nara.jp/tenji/kikaku.html

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●6.編集後記                  梅前    ○o。
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 本格的な花粉の季節がやってきました。出かける時には大きなマスクとメ
ガネが欠かせません。おかげですっかり不審者?です。
 さて、65回定例会の内容を発表いたしました。私も学生さんたちを応援
しに行きたい!と早速スマホで調べてみたところ、朝4時48分に最寄りの
駅から電車に乗れ、とのお告げでした。早起きして新幹線で行くか、夜行バ
スに乗るべきか、悩むところです。こういう幸せな悩みなら、いくらあって
もいいなぁ。

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創刊日:2007-11-11  
最終発行日:  
発行周期:隔週金曜  
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