近畿

飛鳥遊訪マガジン

飛鳥地域の歴史・文化・景観が好きな皆さん♪「両槻会」は、そんな皆さんと一緒により飛鳥を楽しもうと活動しています。飛鳥遊訪マガジンでは、歴史だけではない飛鳥の魅力もお届け出来ればと思います。皆さん!ご一緒に、もっと飛鳥を楽しみませんか♪

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飛鳥遊訪マガジン Vol.242

2016/05/13

 ┏○INDEX‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥┓

   1.両槻会からのお知らせ
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   2.飛鳥・藤原夜話           青木敬先生
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   3.飛鳥咲読              風 人
   ────────────────────────────
   4.よっぱの素人飛鳥学         よっぱさん
   ────────────────────────────
   5.飛鳥情報               
   ────────────────────────────
   6.編集後記
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 ┗‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。o○┛
   第56回定例会が1週間後になりました。事務局は、大わらわ
  です。只今、どうにか資料作成を開始でき、内容のチェックなど
  慌ただしく日が過ぎて行きます。
   参加の皆さんには、詳細案内は届いておりますでしょうか。送
  進が遅くなり、申し訳なく思っているのですが、共催イベントに
  なりますと調整が難しくなります。お許しのほど。さて、事務局
  はラストスパートを掛けます! まだ、両槻会分の参加者枠には余
  裕がありますので、もう暫く受付をいたします。参加希望の方は、
  お急ぎください。                 (風人)

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 ●1.両槻会からのお知らせ                  ○o。
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  ●第56回定例会予定
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   第56回定例会は、「飛鳥北部の寺院と宮殿」と題し、お馴染みの飛 
  鳥の史跡を巡ります。
   本定例会は、帝塚山大学考古学研究所との共催で行います。資料作り
  や当日の解説は帝塚山大学の学生が担当し、清水昭博先生が解説補助と
  してご同行下さいます。
 
  第56回定例会
  「飛鳥北部の寺院と宮殿」
    開催日 : 5月21日(土) 
    集合時間: 9:30(予定)
    集合場所: 近鉄・JR桜井駅南口 ロータリー(トイレ前or交番横)
          (詳細は参加者にマップでお知らせします)
    解散場所: 明日香村埋蔵文化財展示室前
    解散時間: 16:10(予定)
    定 員 : 30名
    運営協力金: 1,000円(バス代・拝観料別、傷害保険込)
    申 込 : 受付中
    ルート(予定): 
          山田寺バス停→山田寺跡→飛鳥資料館→石神遺跡→水落遺跡
          →甘樫丘北麓休憩所(昼食)→豊浦寺跡→甘樫丘→甘樫丘東麓遺跡
          →川原寺→飛鳥京跡→飛鳥京跡苑池→飛鳥寺西方遺跡→飛鳥寺
          →明日香村埋蔵文化財展示室→飛鳥バス停    
          総距離7.33km(机上計測)
    備 考 : 参加者には詳細案内を送ります。

  第56回定例会予定ページ
  http://asuka.huuryuu.com/yotei/teireikai-56/yotei-56.html

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  ●第57回定例会予定 
  ────────────────────────────────
   第57回定例会は、橿原考古学研究所主任研究員 鈴木一議先生をお
  迎えし、「発掘調査から見えてきた飛鳥京跡苑池の姿(仮)」と題する
  講演会を開催します。

  第57回定例会
  「発掘調査から見えてきた飛鳥京跡苑池の姿(仮)」
    開催日 : 7月16日(土)
    講 師 : 鈴木一議先生(橿原考古学研究所主任研究員)
    会 場 : 飛鳥資料館 講堂
    時 間 : 12:10開始予定
          *講演は、3時間を予定しています。(休憩有り)
    定 員 : 40名
    受 付 : 5月25日より定員まで
    備 考 : 講演内容に即した自由参加の事前散策を行います。
          橿原神宮駅東口 9:20集合予定
          詳細は両槻会HPを参照ください。
          参加者には詳細案内を送ります。
          
   講師の鈴木先生は、最近の橿原考古学研究所が行った飛鳥地域の調査
  をほぼ全て担当されており、飛鳥京跡苑池遺構を始めとして小山田遺跡
  や飛鳥宮に関わる調査に携わっておられます。主題となる苑池の講演の
  他、最近の興味深い調査に関してもお話をいただけるものと思います。

  第57回定例会予定ページ
  http://asuka.huuryuu.com/yotei/teireikai-57/yotei-57.html


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 ●2.飛鳥・藤原夜話               青木敬先生 ○o。
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「第16回 古墳の破壊と都城」

  藤原宮の大極殿から南を見渡すと、遠くに朱雀大路を通した際に切り落
 とされた低丘陵がみえます。

 朱雀大路跡と日高山
 http://asuka.huuryuu.com/bunko/kikou/aoki/hidaka.jpg

  これが日高山で、ここには5〜6世紀に古墳、6〜7世紀にかけて横穴
 がつくられ、有力者のお墓となっていました。しかし今も述べたように、
 藤原京造営に際して日高山に朱雀大路をとおすため、道路部分を削ること
 となり、その時に削平部分にかかる横穴などが相当数破壊されました。こ
 れだけではありません。藤原宮内で発掘調査をするといろいろな場所で古
 墳の周濠だけが検出される、あるいは埴輪片だけがみつかることもよくあ
 ります(『奈良文化財研究所紀要』をご覧いただくと、関連遺構や遺物が
 掲載されています)。これは、すなわち藤原宮建設予定地内にあった古墳
 を破壊し、その上を整地して宮殿を造営したことに他なりません。


  古墳を破壊して都城をつくる、これは藤原京にとどまる話ではなく、つ
 ぎの平城京になるとより一層破壊規模が巨大化します。都城の造営などに
 ふれる書物には、決まって市庭古墳前方部が平城宮の造営で壊されたこと
 が書かれています。市庭古墳は、佐紀古墳群でも最大規模のクラスを誇る
 巨大前方後円墳(墳丘長200mを超える前方後円墳)で、その前方部の
 大半を崩して宮殿をつくったのですから、破壊のスケールも相当に大きい
 ことがうかがえます。さらに第二次大極殿の下にも神明野古墳(しめのこ
 ふん)と呼ばれる中型の前方後円墳が完全に破壊された状態でみつかって
 おりますし、このほか、平城宮の内外で大小相当数の古墳が壊されている
 ことが、これまでの発掘調査であきらかになっています。このように、藤
 原京・平城京の各都城造営の際、相当数の古墳を破壊していることが確か
 められてきました。

 飛鳥藤原第182次調査現説資料
 http://repository.nabunken.go.jp/dspace/bitstream/11177/2433/1/20141108_f182.pdf
 同記者発表資料
 http://repository.nabunken.go.jp/dspace/bitstream/11177/2519/1/20141106_f182.pdf

  今回ちょっと考えたい点は、これら破壊された古墳が、もし始祖墓とし
 て崇敬を集めていたとしたら、このような破壊行為がおこなわれただろう
 か、という点に集約できるかと思います。事実、佐紀古墳群の西群(佐紀
 陵山古墳・石塚山古墳・五社神古墳などの巨大前方後円墳からなる)、あ
 るいは平城京内にある宝来山古墳(伝垂仁天皇陵)は、顕著に古墳を破壊
 した痕跡が見当たりません。また、こうした点からみて、天皇家直系の人
 間が葬られていたとはちょっと考えにくい。むしろ直系の人間のお墓は壊
 さずに残したのではなかろうかと思えてきます。自分のルーツでもあるご
 先祖様のお墓をそうたやすく破壊して、自分がそこへ居住するとはやはり
 思えない。そうなると、天皇家とは別の氏族がここに葬られていた、と理
 解するのが自然でしょう。古墳の破壊行為のみならず、古墳研究の立場か
 らいえば佐紀古墳群、とくに市庭古墳などがある中央群、およびウワナベ
 古墳・コナベ古墳などがある東群の被葬者像を考える上でも平城京造営と
 いう国家プロジェクトは、示唆的です。

  律令国家はある意味、氏族制社会の否定でもあります。地縁的結合によ
 る氏族社会に別れを告げ、行政は官僚がつかさどり、律令による国家建設
 を目指すうえで、やはり氏族制社会からの脱却を図ろうとした。もちろん
 結果からいえば、それが完全に果たせたとは到底いえないでしょうが。た
 だ、そうした前代の支配形態から抜け出して、唐にならった国づくりをし
 よう、そのために古い氏族制社会の産物でもある古墳は、どうしても邪魔
 な存在になる。あえて、こうした古い制度を体現するモニュメントを破壊
 することで、律令国家というあたらしい政治支配制度をより明確化した、
 そんな気概から古墳を意図的に破壊したような気がしてならないのです。
 破壊の対象となったのは、天皇家以外の氏族墓で、またあえてそういった
 場所を選んで都城を造営した、という背景も多少考慮しておく必要がある
 かもしれませんね。われわれも物言わぬ考古資料からどのようにして情報
 を引き出すか、日々思案しているのです。


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 ●3.飛鳥咲読                    風 人 ○o。
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  第56回定例会に向けての咲読も最終回になりました。実施日を1週間
 後に控えて、今回は総まとめの記事となります。

  帝塚山大学考古学研究所との共催となった第56回定例会は、両槻会で
 は過去最大の参加者(学生を含め50人以上)となることが予想されます。
 事務局では綿密な計画を立てて準備を進めています。この人数になります
 と、バスに乗車することも定員という大きな壁が待ち受けています。スタ
 ッフとしては、その対策に頭を痛めることになりましたが、今回はなんと
 かその課題をクリアし、実施日を迎えることが出来そうです。

  とは言え、今回は学生スタッフが当日の全てを取り仕切ることになりま
 したので、如何にスムーズに進行できるかなど、バックアップする私たち
 にも多くの課題が残っています。これらの課題と向き合って、楽しい定例
 会になるように頑張りたいと思っています。

  さて、今回、久しぶりに訪れることになる甘樫丘東麓遺跡の話をしたい
 と思います。2013年に行われた調査から暫くニュースを聞かなくなり
 ましたが、遺跡の重要性は変わっていません。飛鳥時代に権力の頂点に立
 った蘇我氏の邸宅が置かれた甘樫丘に所在する遺跡ですから、注目度が高
 いのは当然のことですね。私は、早く調査を再開して欲しいと願っていま
 す。

  甘樫丘東麓遺跡の調査は、1994年に始まりました。現在、東麓の駐
 車場になっている場所が、発掘されました。(この調査以前にも小さな調
 査があったのですが、遺構は確認できなかったようです。)
  1994年の調査区は、谷の入口にあたる位置になるのですが、火を受
 けた土器類が多量に出土したこと、大きな規模での2度の整地が行われて
 いることが分かりました。土器の製作時以外に、一時に火を受けている点
 など、蘇我邸(蝦夷邸)炎上のイメージに合うことから、注目を集めてい
 くことになります。
 蝦夷邸および入鹿邸が炎上したという直接的な記録は『日本書紀』には無
 いのですが、「蘇我臣蝦夷等、誅されむとして、悉に天皇記・国記・珍宝
 を焼く」。と書かれており、邸宅に火をかけたと考えるのも間違いではな
 いように思えます。そうすると、火を受けた土器群の存在も頷けるものと
 思われました。

  2013年の飛鳥藤原第177次調査まで、大小の調査がありましたが、
 未だ蘇我邸の主要建物は発見されていません。幾つかの掘立柱建物や総柱
 建物、溝や塀、また石垣が検出されますが、蘇我邸正殿であることの決定
 打は打てずに過ぎてきました。

  蘇我邸正殿は、何処に在るのでしょう!
  私は、入鹿邸は小字南山、蝦夷邸は豊浦展望台に在ったと考えました。
 証拠など何も有りませんので、妄想と言えばその通りでしょう。でも、飛
 鳥を見下ろす地形や逆に言うと飛鳥中心部から良く見えることも、上の宮
 門に相応しく思われます。また、小字南山は甘樫丘の中で一番間口の広い
 谷になりますので、谷の宮門のスペースも十分に確保できるのではないで
 しょうか。ここは谷地形というものの、飛鳥盆地への視界は広く開け放た
 れています。絶好の地形ではないかと思うのですが、皆さんはどのように
 お考えでしょう。

  さて、第56回定例会の咲読では、各ポイントのお話をあまりできませ
 んでした。もちろん、飛鳥京跡苑池遺構や飛鳥寺西方遺跡など、現在も継
 続的な調査が行われている“動いている遺跡”も巡る予定になっており、
 出来るだけ直近の資料も配布資料には盛り込みたいと思っています。ただ、
 資料も学生スタッフが作成しますので、どこまで謎解きに挑戦できるか、
 私達スタッフも楽しみにしています。

  定例会では、若い力を吸収して若返るでしょうか? 学生に吸い取られ
 て枯れ果てるか!(笑) それもまた楽しみですね。スタッフは、後者かも
 知れません。(笑)


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 ●4.よっぱの素人飛鳥学             よっぱさん ○o。
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「蘇我氏って、なに」その4 〜蘇我氏と渡来人〜

  蘇我氏は、その出自に渡来人説が唱えられるほど、渡来人との関係が大
 きく取り上げられます。「国際的な視野を持ち、渡来人と密接な関係を保
 っていたのは蘇我氏だけ」と捉えがちですが、実は、蘇我氏が台頭するま
 では、他の豪族も韓半島の人々との関係を密にしていたのです。

  『日本書紀』によると、欽明天皇2年7月に百済の聖明王が遣わした官
 人の一人として「紀臣奈率彌麻沙(きのおみなそちみまさ)」(奈率は16
 位階の第6)という人物が記されています。この百済官人は、同3年7月、
 同5年2月、同6年5月にも、百済の聖明王の遣いとして渡来しています。
 また、同4年9月には「物部施徳麻奇牟(もののべのせとくまがむ)」
 (施徳は16位階の第8)、同5年2月、同6年5月には「物部奈率用奇
 多(もののべのなそちようがた)」、同5年3月、同5年11月、同8年
 4月には「許勢奈率奇麻(こせのなそちがま)」、同5年3月には「物部
 奈率奇非(もののべのなそちがひ)」、同15年2月には「上部の奈率
 (じょうほうのなそち)物部烏(もののべのかく)」、同15年12月に
 は「物部莫奇武(もののべのまがむ)」などの百済官人の名が記されてい
 ます。『日本書紀』は、欽明天皇2年7月条に「紀臣奈率とは、紀臣が韓
 の婦人を娶って生んだ者で、百済に留まって奈率となった者であろう。そ
 の父は未だ詳らかでない。他の場合もみなこれにならう。」と注記してい
 ます。倭人と百済人との間に生まれた人たちが、両国の外交に大きく関わ
 っていたと考えられています。

  また『日本書記』は、蘇我氏が台頭する6世紀以前には、百済人などが
 度々渡来した様子や葛城氏・大伴氏・物部氏など蘇我氏以外の豪族が韓半
 島に派遣され、渡来人を連れ帰り、渡来人集団をまとめていたことなどを
 記しています。

  応神天皇14年に、百済の弓月君が120県の人夫を領いて帰化しよう
 としたとき、新羅が拒んだことから、葛城襲津彦(かつらぎのそつひこ)
 が派遣されました。しかし、なかなか帰国しないことから、同16年8月、
 さらに平群木莵宿禰(へぐりのつくのすくね)と的戸田宿禰(いくはのと
 だのすくね)に精兵を授けて派遣し、弓月の人夫らを襲津彦とともに帰ら
 せたと記しています。また、同20年9月には、倭漢直(やまとのあやの
 あたい)の祖の阿知使主(あちのおみ)が、その子都加使主(つかのおみ)
 とともに、その仲間17県をひきいて来朝したと記しています。

  仁徳天皇41年3月には、紀角宿禰(きのつののすくね)が百済の郡界
 や産物の記録のために派遣されました。この時、百済王の一族の酒君(さ
 けのきみ)が無礼であったことから連れ帰ったのですが、酒君は、日本に
 来てすぐに石川錦織首許呂斯(いしかわのにしきごりのおびところし)の
 家に逃げ隠れたとされています。

  雄略天皇6年8月には、任那の国司である吉備上道臣田狭(きびのかみ
 つみちのおみたさ)の子の弟君(おときみ)が、新羅征伐に派遣されたも
 のの新羅を討たず、父とともに謀反を企てたことから、妻に殺されたと記
 しています。しかし『日本書紀』は、「或る本はいう、吉備臣弟君は、百
 済より帰国して、漢の手人部・衣縫部・宍人部を献じた。」と注記してい
 ます。また、この時に渡来した才伎(てひと)たちを一旦、広津の邑に留
 め置いたのですが、病死するものが多かったため、天皇は、大伴室屋大連
 に詔し、東漢直掬(やまとのあやのあたいつか)に命じて、陶部(すえつ
 くりべ)・鞍部(くらつくりべ)・画部(えかきべ)・錦織部(にしごり
 べ)・訳語(おさ、通訳)らを上桃原、下桃原、真神原の三か所に移住さ
 せたと記しています。

  雄略天皇9年3月には、紀小弓宿禰(きのおゆみのすくね)、蘇我韓子
 宿禰(そがのからこのすくね)大伴談連(おおとものかたりのむらじ)、
 小鹿火宿禰(おかひのすくね)らが新羅征伐に派遣され、同年5月条には、
 紀小弓宿禰が病死したと聞きつけた子の紀大磐宿禰(きのおいわのすくね)
 が新羅に向かったと記されています。そして、紀小弓宿禰の墓を大伴室屋
 大連が田身輪(たむわ、大阪府泉南郡岬町淡輪)の地に作らせ葬らせたと
 ころ、雄略天皇から小弓宿禰に下賜されていた采女の大海がよろこんで、
 大伴室屋大連に韓奴6人を送ったとも記されています。また、雄略天皇23
 年8月には、征新羅将軍として吉備臣尾代の名が記されています。清寧天
 皇即位前記には、雄略天皇崩御時に妃の吉備稚姫とその子星川皇子が謀反
 を企てたため、大伴室屋大連が、雄略天皇の遺詔に従って、東漢掬直に命
 じて兵を差し向けて殺したと記しています。蘇我本宗家に最後まで付き従
 った東漢氏は、雄略紀には、大伴氏に付き従っていたのです。

  しかし、6世紀末までに葛城氏・大伴氏・平群氏・物部氏などの豪族が、
 次々と没落してしまいました。允恭天皇5年7月には、地震があったにも
 関わらず、反正天皇の殯宮大夫に任じられていた葛城襲津彦の子の玉田宿
 禰は葛城で酒宴に興じて召集に応じずに誅殺されました。安康天皇3年8
 月には、天皇を暗殺した眉輪王(まよわおう)を匿ったとして、大泊瀬皇
 子(のちの雄略天皇)に葛城円大臣(かつらぎのつぶらのおおおみ)が眉輪
 王とともに焼き殺され、葛城氏は没落してしまいました。仁賢天皇11年
 8月、平群真鳥臣(へぐりのまとりのおみ)の子の鮪(しび)が、物部麁
 鹿火大連(もののべのあらかいのおおむらじ)の娘である影媛を巡って、
 小泊瀬稚サザキ尊(おはつせのわかさざきのみこと、のちの武烈天皇)に
 よって殺され、仁賢天皇11年11月には、父の平群真鳥臣も大伴室屋大
 連の進言により殺され、平群氏は没落してしまいました。その後、大伴氏
 が継体・安閑・宣化朝で大連に任じられたものの、物部大連尾輿が進言し
 た、継体天皇6年の百済への任那4県の移譲問題がもとで、欽明天皇元年
 9月に失墜してしまいました。その後に大王家と密接な関係を結んだ蘇我
 氏が力をつけ、それまで各豪族に付き従っていた渡来人を蘇我氏が掌握し
 たのです。これ以後、物部氏が大連、蘇我氏が大臣に任命されていきまし
 た。しかし、崇仏廃仏論争や皇位継承をめぐって、崇峻天皇2年7月に物
 部氏は没落してしまい、乙巳の変で藤原(中臣)氏が頭角を現すまで、蘇我
 本宗家の政権が続いたのです。その間にも様々な人たちが渡来した様子を
 『日本書紀』は記しています。

  蘇我氏と渡来人については、蘇我氏自身が渡来人であったため密接な関
 係を結んだとする説もあります。しかし、これまで見てきたように蘇我氏
 と渡来人が密接な関係になったのは、時代の流れとともに、豪族の政権争
 いと没落が大きく影響していると思われます。それぞれが付き従っていた
 各豪族が没落したのち、渡来人たちがこの国で生き延びて行くためには、
 財力と国際性に長け、大王家と姻戚関係を結んで台頭していった蘇我氏に
 付き従うしかなかったのではないでしょうか。


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 ●5.飛鳥情報                        ○o。
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  ●藤原京右京九条二・三坊の発掘調査(飛鳥藤原第187次調査)の現地見学会
  ────────────────────────────────
    開催日: 5月15日(日)
    時 間: 10:00〜15:00
         ※小雨決行
    場 所: 発掘調査現場(奈良県橿原市城殿町433 ポリテクセンター奈良 内)
         https://www.nabunken.go.jp/info/2016/20160515.jpg 
    交 通: 近鉄橿原線 「畝傍御陵前」駅 東口より東へ徒歩約15分
         駐車場なし。公共の交通機関を利用のこと。

  ────────────────────────────────
  ●帝塚山大学附属博物館 第26回特別展示 
  ────────────────────────────────
  「色・いろ・イロな瓦―色瓦の世界―」
    期 間 : 5月14日(土)〜7月2日(土)
    時 間 : 9:30〜16:30
    休館日 : 日曜・祝日
          ※市民大学講座開講日は、12:30〜15:45一時閉館
    展示解説: 5月14日・28日・6月11日・25日(土)
          15:45〜
    詳 細 : http://www.tezukayama-u.ac.jp/museum/special/2016/04/19/26.html

  ────────────────────────────────
  ●帝塚山大学考古学研究所 市民大学講座
  ────────────────────────────────
   第366回
    開催日: 5月14日(土)
    演 題: 色瓦のはなしI 
                  ―『色』に秘められた不思議 〜古代から現代に受け継ぐ自然思想と祈り ―
    講 師: 甲斐弓子氏(学園史料室特別研究員/帝塚山大学考古学研究所特別研究員)
   第367回
    開催日: 5月28日(土)
    演 題: 色瓦のはなしI ― 奈良時代・三彩瓦の世界 ―
    講 師: 岡田雅彦氏(奈良県立橿原考古学研究所・主任研究員)
   ・・・・・
    会 場: 帝塚山大学 奈良・東生駒キャンパス5号館5104教室
    時 間: 14:00〜15:30
    詳 細: http://www.tezukayama-u.ac.jp/social/institute/arch/lecture/

  ────────────────────────────────
  ●万葉集をよむ
  ────────────────────────────────
    開催日: 5月18日(水)
    演 題: 大伴旅人の帰京(568〜578番歌)
    講 師: 小倉久美子氏(万葉文化館主任研究員)
    時 間: 14:00〜15:30
    定 員: 150名(当日先着順・開場は13:30)
    会 場: 奈良県立万葉文化館 企画展示室
    参加費: 無料
    詳 細: http://www.manyo.jp/event/detail.html?id=154

  ────────────────────────────────
  ●橿原考古学研究所附属博物館 春季特別展
  ────────────────────────────────
  「やまとのみやけと女性司祭者−史跡 島の山古墳発掘20年−」
    会 期: 6月19日(日)まで開催中
    時 間: 9:00〜17:00(入場は16:30)
    入館料: 大人800円
    会 場: 橿原考古学研究所附属博物館 特別展示室
    詳 細: http://www.kashikoken.jp/museum/top-koushin/tenrankai/pdf/2016spring%20yamatonomiyake.pdf

   ≪研究講座≫ 事前申込不要・無料
    第2回 6月5日(日)
       「大和の屯倉と島の山古墳」
         千田稔氏(奈良県立図書情報館館長)
       「島の山古墳と腕輪形石製品」
         宇野隆志氏(橿原考古学研究所主任研究員)
    ・・・・・
    時 間: 13:00〜16:30
    会 場: 橿原考古学研究所 講堂
    申 込: 不要
    聴 講: 無料

   ≪シンポジウム≫「島の山古墳の調査成果と課題」
    開催日: 5月15日(日)
    会 場: 橿原考古学研究所 講堂
    時 間: 10:00〜16:30
    申 込: 不要
    資料集: 500円

   ≪列品解説≫ 事前申込不要・入館料が必要
    開催日: 6月4日(土)
    時 間: 10:30〜11:00・15:00〜15:30
    会 場: 橿原考古学研究所附属博物館 特別展示室

  ────────────────────────────────
  ●飛鳥資料館 平成28年度春期特別展
  ──────────────────────────────── 
  「文化財を撮る―写真が遺す歴史―」
    会 期: 7月3日(日)まで開催中
         ※月曜休館、ただし5月2日(月)は開館
    場 所: 飛鳥資料館 特別展示室
    時 間: 9:00〜16:30
    料 金: 一般270円
    詳 細: https://www.nabunken.go.jp/asuka/kikaku/post-10.html

   ≪講演会≫
   「飛鳥の文化財を撮る眼(仮)」
    開催日: 5月28日(土)
    時 間: 14:00〜
    会 場: 飛鳥資料館講堂
    講 師: 井上直夫氏(奈良文化財研究所 写真室) 
    申 込: 不要

   ≪イベント≫「なりきりカメラマン―文化財写真技師の仕事体験」
    開催日: 6月24日(金)
    時 間: 10:00〜・13:30〜
    会 場: 飛鳥資料館 講堂
    定 員: 各回10名(応募多数の場合は抽選)
    受講料: 無 料(入館料要)
    申 込: 往復はがき表面に郵便番号・住所・氏名、裏面に住所・
         氏名・電話番号・希望時間を明記の上
          〒634-0102 奈良県高市郡明日香村奥山601
            飛鳥資料館イベント係まで
    締 切: 5月29日(日)必着

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  ●桜井市埋蔵文化財センター発掘速報展22
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  「50cm下の桜井」
    期 間: 10月2日(日)まで開催中
    休館日: 毎週月・火曜日(祝日は開館し、その翌日に休館します)
    場 所: 桜井市立埋蔵文化財センター
    時 間: 9:00〜16:30(入館は16:00まで)
    入館料: 一般200円、小・中学生100円
    詳 細: http://www.sakurai-maibun.nara.jp/tenji/sokuhou.html

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  ●記紀・万葉歴史講座
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  「方位測定法を中心とする古代の測量技術」
    開催日: 6月11日(土)
    講 師: 小澤毅氏(三重大学教授)
    時 間: 14:00〜15:30
    会 場: 田原本町町民ホール
    参加費: 300円
    詳 細: http://www.yamataikoku.jp/manyorekishikoza.html

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  ●平成28年度飛鳥史学文学講座
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  「日本国創成と槻の木広場―発掘された蘇我氏と大王家の実像―」
    講 師: 西光慎治氏(明日香村教育委員会文化財課)
    開催日: 6月12日(日)
    時 間: 13:15〜(約2時間)
    会 場: 明日香村中央公民館
    受講料: 1,000円
    詳 細: http://www.kansai-u.ac.jp/pa/event/asuka.html

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  ●大安寺歴史講座 Ver.5  (申込要)
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    講 師: 上原真人氏(京都大学名誉教授)
    日 程:  6月18日(土) 「大安寺伽藍縁起を考古学する」
          8月20日(土) 「大安寺の動産財を考古学する」
         10月15日(土) 「大安寺の不動産財を考古学する」
    時 間: 毎回13:00〜15:00 
    場 所: 奈良県立図書情報館 一階交流ホール
           奈良市大安寺西一丁目1000番地
    参加費: 毎回1,000円(資料代として)
    申 込: E-mailにて申込
         大安寺歴史講座事務局(Nara Stag Club)  
          narastagclub2008@gmail.com 
    詳 細: http://www.daianji.or.jp/news/

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  ●万葉古代学講座 万葉文化館開館15周年記念 リレー講座
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   テーマ「大和の古代文化」  
    開催日: 6月25日(土)
    演 題: 孝謙女帝の帝権感覚
    講 師: 松尾光氏(奈良県立万葉文化館名誉研究員・早稲田大学非常勤講師)
    定 員: 150名(当日先着順) 
    時 間: 14:00〜15:30(開場13:30〜)
    申 込: 不要
    聴 講: 無料
    詳 細: http://www.manyo.jp/event/detail.html?id=152

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  ●第7回 纒向学セミナー (申込要)
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  「纒向以前―唐古・鍵遺跡と邪馬台国―」 
    開催日: 7月16日(土)
    時 間: 13:30〜16:00(開場13:00) 
    会 場: 桜井市立図書館・研修室1 (桜井市河西31番地) 
         桜井駅南口より桜井市コミュニティバス 談山神社行き「神之森町」下車すぐ 
    講 師: 藤田三郎氏(田原本町教育委員会文化財保存課課長) 
    対 談: 寺沢薫氏(桜井市纒向学研究センター所長) 
    定 員: 270名(定員になり次第締切) 
    参加料: 無 料 
    申 込: 往復ハガキに住所・氏名・連絡先を明記の上、1人1枚
          〒633-0085 奈良県桜井市東田339番地 
           桜井市纒向学研究センター 「纒向学セミナー係」 
           電話 0744−45−0590 
    詳 細: http://www.makimukugaku.jp/info/event.html#seminar-7


 o〇━━━
 ●6.編集後記                     もも ○o。
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  えぇっとですねぇ〜、モノにしか興味の湧かない人間にとって、全体の
 把握が如何に難しいかと言うのを思い知りました。はい。思いだけでは伝
 えられないんですよねぇ〜。この十日ほど、ホント良いおベンキョをしま
 した。でも、一つもきちんと覚えられていないという事実・・・はぁ〜。

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創刊日:2007-11-11  
最終発行日:  
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