日本のように君主制を採用する国は世界的に少なくありませんが、神話の世界につながるほど古い歴史を持ち、国の歴史とともに、1つの王朝が連綿と続いているのは日本の天皇しかありません。しばしばテレビのニュースなどに登場する天皇は、本当は何をなさっている方なのでしょう。知っているようで意外に知られていない天皇・皇室の世界を、日本人の精神史の語り部、斎藤吉久が事実に基づいて、できるだけ分かりやすくお話します。
斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」vol.224
発行日:2/5
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ MENU ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
1 言葉が独り歩きする「女性宮家」創設論
──所功教授の「正論」3月号論考を読む
2 「斎藤吉久の天皇学研究所」にご参加、ご支援を!! by 斎藤吉久
3 お知らせとお願い
4 お勧めメルマガ&ブログ
5 筆者のプロフィール
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
1 言葉が独り歩きする「女性宮家」創設論
──所功教授の「正論」3月号論考を読む
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
今回もいわゆる女性宮家創設問題について書きます。
誰が言い出したのかも分からない、その目的も中味もよく分からない、したがってまともには論ずるに値しないはずの「女性宮家」創設論の言葉だけが独り歩きしています。
たとえば、雑誌「正論」3月号に掲載されている所功京都産業大学教授の「宮家世襲の実情と『女性宮家』の要件」はその典型というべきです。
http://www.sankei.co.jp/seiron/
所先生はたいへんまじめな、いい方ですが、先生の論考は私の理解能力を超えています。
▽1 羽毛田長官は「女性宮家」を提案していない
まず、論考のテーマについてです。
先生は論考の冒頭で、「象徴」「世襲」の天皇制度を可能なかぎり強化するよう努めなければならない。そのために「女性宮家」の創設が創設される必要があると訴えているのですが、私が理解に苦しむのはその次です。
先生は、昨年10月に羽毛田長官が野田首相に「女性皇族が婚姻により皇室を離れる」ので、「皇室のご活動に支障を来す」。制度改正が遅れれば「姉妹間で差異を生じる」ことを説明したと述べ、そのあと皇位継承論を展開しています。
先生の理解では、「女性宮家」創設論の発端は、一般の理解と同様、羽毛田長官の発言に置かれています。なるほどそのような新聞報道もあるのですが、実際に長官が「女性宮家」創設を提案したかどうかは不明です。すでに当メルマガでお話ししたように、「週刊朝日」昨年12月30日号の当代随一の皇室ジャーナリスト・岩井克己記者の記事では、長官が強く否定しているからです。
羽毛田長官はおそらくこのとき「女性宮家」創設を野田首相に語っていないのでしょう。それかあらぬか、所先生の論考でも、「女性宮家」問題ではなく、「皇室の活動」問題として述べられています。
であるならば、女性皇族が皇籍離脱したあとの皇室のご活動をどう確保すべきか、ということが論考のテーマになるはずです。
ところが、先生の論考はいきなりテーマが飛んでしまうのです。
当メルマガでは「女性宮家」創設の提唱者が渡邉允前侍従長であることを指摘してきましたが、前侍従長は「女性宮家」創設は皇位継承問題とは「別の次元の問題」だと再三繰り返しています(渡邉『天皇家の執事』文庫版「後書き」)。
なぜ所先生は、「女性宮家」創設論を皇位継承問題として展開されるのでしょうか? 何か特別の思惑があるのでしょうか?
▽2 なぜ淑子内親王は独身を貫かれたのか
第二は、「女性宮家」の概念です。
先述したように、最初の言い出しっぺも、その中味も、よく分からないのが「女性宮家」です。
ところが、所先生にとっては、その概念はきわめて明白です。
先生は「この『女性宮家』案は、8年前、『皇室典範有識者会議』で検討し、その報告書に『皇族女子は、婚姻後も皇室にとどまり、その配偶者も皇族の身分を有することとする必要がある』としている」と述べています。
つまり、先生は、「女性宮家」とは皇族女子が皇室にとどまることを意味するとお考えのようです。
けれども、同報告書には「女性宮家」とは書いてありません。単に皇室にとどまることと、宮家の創設とは明らかに異なるのではありませんか?
第三は、歴史に対する理解です。
先生は、過去の歴史に女性が宮家を継いだ例があることを指摘します。
すなわち「皇位と同様、宮家も男系の男子で世襲されてきたが、……桂宮家では、幕末に皇女を迎えて、当主とした例さえある」というのです。
しかし、これは歴史の探究が甘いといわねばなりません。
先生は「文久2年(1862)迎えられたのが、仁孝天皇の皇女淑子(すみこ)内親王(34歳)である。これは史上初めての皇女を当主とする宮家だが、未婚のまま20年後薨去された結果、桂宮家は11代で断絶した」と書いています。
なぜ淑子内親王は未婚のまま薨去されたのか、歴史家ならばそこにこそ関心がいくはずです。「薨去された結果、断絶した」のではなく、因果関係は逆ではないのでしょうか? けれども、先生は紙幅の制限のためか、「女性が宮家を継いだ例」としか解説していません。
さて、論考の冒頭にもどりましょう。
先生は「象徴」「世襲」の天皇制度を強化する必要があると仰せです。
「世襲」とは、小嶋和司東北大学教授が述べているように、皇室という王朝による支配の意味でしょう。だとすれば、男系男子継承の断絶をもたらす、過去の歴史にない「女性宮家」の創設ではなく、葦津珍彦先生が述べたように、「男統の絶えない制度」を考えるべきではないでしょうか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
2 「斎藤吉久の天皇学研究所」にご参加、ご支援を!! by 斎藤吉久
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
重要なお知らせです。このたび当メルマガを進化させ、「斎藤吉久の天皇学研究所」をネット上に構築することにしました。広く同志を求めると同時に、投稿を募ります。
当メルマガは、天皇・皇室に関する誤解・曲解があまりにひどすぎるという危機意識から、平成19年秋にスタートしました。多くの方々のご協力により、いまでは約3000人の読者を得、総合ランキングの上位に位置するようになりました。昨年は拙著『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか』(並木書房)を世に問うこともできました。
当メルマガは今年から私以外の方々のエッセイを載せています。葦津泰国さんの「靖国神社とそのあるべき姿」、佐藤雉鳴さんの「『国家神道』異聞」、市村眞一先生の「鳩山首相の辞職を要望する」という具合です。それは天皇研究の先駆者への思いがあるからです。
戦後唯一の神道思想家といわれる葦津珍彦(あしづ・うずひこ)は、「学問は1人でするものではない」という考えから、みずから進んで思想の科学研究会など左翼研究者たちとの交わりを求め、天皇研究、歴史研究をみがきました。
おりしも昨年は葦津珍彦生誕100年の節目でしたが、これを機会に、私も葦津先生にならい、このささやかなメルマガを十二分に活用し、多くの方々と協力し合いながら、天皇・皇室論を深め、研究と言論を通じて、憂えるべきこの国の現実を変えていくきっかけを作りたいと考えています。
思えば、私が天皇研究、宗教研究を本格的に始めたきっかけは、葦津先生の死でした。本来、親族のみで行われる納棺に、なぜか立ち会ってしまったのです。抱え上げた亡骸のなんと軽かったことか。「ああ、この人は文字通りみずからの骨身をけずって仕事をしたのだな」と実感され、落涙を禁じ得ませんでした。
それまで「右翼のご老体」という程度の思いしかなかった先生の著作を、以来、真剣に読むようになり、渋谷の大学の図書館に通い詰め、夜遅くまでこもり、古今の書をむさぼり読んだ結果が今日の私です。「死後の弟子」と呼ばれるゆえんです。
▽1 「斎藤吉久の天皇学研究所」設立の目的
「斎藤吉久の天皇学研究所」を設立する目的は、(1)日本という天皇の文明を深く、謙虚に研究する、(2)日本の文明の価値を広く発信する、(3)研究と言論を通じて、今日の憂えるべき日本の現実を変えるきっかけを作る、の3つです。
▽2 「斎藤吉久の天皇学研究所」の活動
「斎藤吉久の天皇学研究所」は、(1)天皇・皇室研究、日本文化研究、歴史研究などを深化させる、(2)メールマガジンを発行し、研究リポートを定期的に発行する、(3)保守系諸団体と連携する、の3つです。
天皇・皇室問題、憲法問題、防衛問題などのエキスパートを再結集し、本格的な保守再生のためのブレーンづくりを目指すとともに、天皇の文明に関する理論研究を深め、その成果を広く国民に問いかけ、世界に発信しようと考えます。
▽3 持続可能な体制づくりのためご協力ください
葦津家には正月に欠かせない年中行事があるそうです。幕末期に藩政改革を進言し、逆に追放の身となり、苦難の道を歩んだ祖先をしのび、家族がいっしょに、質素に大根粥を食べるのです。
矛盾だらけの戦後体制にどっぷりつかり、疑問すら感じないというのならいざ知らず、私と問題意識および問題解決への意思を共有し、「斎藤吉久の天皇学研究所」設立の趣旨に賛同してくださる方のご参加と財政的ご支援を心からお願いします。
年会費は、個人会員が一口1万円、法人会員が一口10万円とします。
会員にはメールマガジンが優先的に配信されます。
▽4 メルマガへの投稿を募ります
斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンへの投稿を、有料にて受け付けます。掲載は、投稿された草稿を不肖私が採否を判断し、適宜、編集したうえで、行います。従って投稿者のご希望に添えない場合もあります。
会員は1本1万円、一般の方の場合は2万円を編集料として申し受けます。掲載原稿が完成したのち、払い込みをお願いします。非会員の投稿は、会員の紹介を要件とします。
会費、編集料とも、送金は武蔵野銀行本店、普通口座554321、斎藤進宛にお願いします。同時に送金した旨、お名前、連絡先ご住所、お電話番号、金額とともに、メールで saito_sy@mac.com までお知らせください。入金後の返金はできませんので、ご注意ください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
3 お知らせとお願い
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
1、達南整体療術院友の会が21年、正式に発足しました。私が代表役員です。友の会では、いっしょに会を運営してくださる正会員、運営をサポートしてくださる賛助会員を募集しています。郵便振込口座(名称=達南整体療術院友の会。口座記号番号=02200-1-107521)も作りました。ご参加、ご支援をお願いします。
http://www3.plala.or.jp/banky/index.html
2代目の日記「飯野さ、来らんしょ、良いとごだゾィ」を好評発信中です。
http://pub.ne.jp/banky/
2、中国問題のスペシャリストで、東京新聞論説委員の清水美和さんが『「中国問題」の核心』(ちくま新書、定価税込み756円)を著されました。
3、何かとお世話になっている吉田一彦・神戸大学名誉教授(情報論)が『戦場の哲学者』を出版されました。書店で購入のうえ、ご一読ください。
4、桜林美佐さんが新著 『終わらないラブレター──祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』を著しました。
http://www.geocities.jp/misakura2666/home.htm
5、知人の橋本碩也さんによる翻訳本『忘れられない脳──記憶の檻に閉じ込められた私』(ジル・プライス、バート・デービス著) が出ました。
6、読売新聞を退社された小川直人さんが『鈍刀を磨いて─まだまだ書きたい』を出版されました。伊勢神宮で発見されたイセヒカリのことも書いています。私のところへ取材にこられた日のことが昨日のことのように思い出されます。
7、北朝鮮向け短波放送「JSRしおかぜ」がカンパを募集しています。ご協力ください。
http://www.chosa-kai.jp
8、私の知らないところで私の名前を使い、媒体の販売拡張などをしている組織などがあ 驍謔、です。私は生来、そういうことが不得意です。どうぞご注意ください。
9、斎藤吉久メールマガジンの読者登録もお願いします。
http://www.melma.com/backnumber_158883/
10、講演会、勉強会の依頼も受け付けております。メールでお問い合わせください。
saito_sy@mac.com
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
4 お勧めメルマガ&ブログ
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
1、達南整体療術院・2代目の日記「飯野さ、来らんしょ、良いとごだゾィ」
http://pub.ne.jp/banky/
2、軍事情報[まぐまぐ!]
http://www.mag2.com/m/0000049253.html
3、花岡信昭メールマガジン
http://www.melma.com/backnumber_142868/
4、宮崎正弘の国際ニュース・早読み
http://www.melma.com/backnumber_45206/
5、JOB Wing 国際派日本人のための情報ファイル
http://www.melma.com/backnumber_256/
6、教育勅語・国家神道・人間宣言
http://www.zb.em-net.ne.jp/~pheasants/
7、私の「視角」
http://blog.goo.ne.jp/ashizujimusyo
8、老兵の独り言
http://neyama.blog31.fc2.com/
9、Dr.Mori Without Borders
http://blog.goo.ne.jp/drmoriwoborder
10、米流時評
http://beiryu2.exblog.jp/
11、ビジネスマン育成塾──ビジネスマンへの道
http://businessman-ikusei.air-nifty.com/
12、海洋戦略研究
http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013
13、斎藤吉久メールマガジン
http://www.melma.com/backnumber_158883/
最新の記事
このメルマガもおすすめ
-
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座
- 最終発行日:
- 2012/05/20
- 読者数:
- 12944人
日本に元気と良識を。歴史・文化・政治・外交など、多方面の教養を毎週一話完結型でお届けします。3万8千部突破!
-
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
- 最終発行日:
- 2012/05/23
- 読者数:
- 18759人
評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
-
頂門の一針
- 最終発行日:
- 2012/05/23
- 読者数:
- 5007人
急所をおさえながら長閑(のどか)な気分になれる電子雑誌。扱う物は政治、経済、社会、放送、出版、医療それに時々はお叱りを受けること必定のネタも。
-
甦れ美しい日本
- 最終発行日:
- 2012/05/23
- 読者数:
- 7078人
日本再生のための政治・経済・文化などの発展・再構築を目的とし、メールマガジンの配信を行う
-
「海を渡った自衛官─異文化との出会い─」
- 最終発行日:
- 2012/05/23
- 読者数:
- 1293人
陸上自衛隊が初めて海外派遣されたカンボディアからイラク復興支援まで、海外に赴いた隊員数十人を直接取材し、彼らが現地で何を体験し、どうやって任務を遂行してきたのか、その実際を聞き書きしたものです。 派遣先での「異文化との出会い」に悩み、戸惑いながら、事態をどう解決してきたのか?知られざる自衛官の活躍を等身大で紹介します。



