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斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」

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日本のように君主制を採用する国は世界的に少なくありませんが、神話の世界につながるほど古い歴史を持ち、国の歴史とともに、1つの王朝が連綿と続いているのは日本の天皇しかありません。しばしばテレビのニュースなどに登場する天皇は、本当は何をなさっている方なのでしょう。知っているようで意外に知られていない天皇・皇室の世界を、日本人の精神史の語り部、斎藤吉久が事実に基づいて、できるだけ分かりやすくお話します。



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最終発行日:
2017-01-01
発行部数:
2888
総発行部数:
989301
創刊日:
2007-09-25
発行周期:
週刊
Score!:
99点

最新のコメント

  1. 核心をついていると思います。

     2017/1/8 このコメントがついた記事>>

  2. 平成29(2017)年元旦

       年頭所感:生前譲位だけ?「有識者会議」が避けているもの

       はじめに:「天皇の人間宣言」の果ては、公務軽減に収斂か?
     年末の新聞に、平成2(1900)年から始まった今上陛下の「新年感想」が取りやめになったとの宮内庁からの発信。公務負担軽減のためとの理由だった。
    陛下の御言葉でその人となりが伺える数少ない機会が減った。12月の誕生日直前での記者会見、新年感想、1月2日の一般参賀でのあいさつ、と重なっているからという。一抹の釈然としないものが残る。
     「公務軽減」という理由付けは、8月8日の御言葉にもあった加齢への危惧が反映している。公務というと漠然としているが、現行憲法に記されている条文からすると、国事行為、それ以外は象徴としての行為、となっている。しかし、皇位の意味するものはそれで十全か。審議が現行憲法を前提とするのは無理がないか。現憲法制定に向けての深刻な背景に、思いを致す必要はないか。

       ■人間宣言の受け止め方
     先にお隠れになられた先帝の弟君であられた三笠宮は、現行憲法や皇室典範の危うさを、現憲法公布の昭和21(1946)年11月3日に、意見書で指摘されていた。皇位のお立場は、まるで奴隷のようだ、と述べている*。
     三笠宮の危惧には、同年元旦の昭和天皇の詔(みことのり)とされ、「天皇の人間宣言」と評された「新日本建設の詔書」での一節**が影を宿している。この影の内容を把握しないと、象徴天皇制の生じた背景も明らかにならない。
     「有識者会議」の実際上のまとめ役と見られる座長代理の御厨貴教授が、天皇誕生日の夜のBSフジのプライム・ニュースに登場して、会議の進捗状況を伝えた。その中で聞き苦しい一節があった。現陛下を「彼」と言いかけて2度か言い直している。会議の実際の雰囲気の一端か底流を示唆しているように感じたのは否めない。これも70余年を経た外発的な創作、「人間宣言」思潮の成れの果ての一コマか。御厨氏の知性?に基づいた心中における皇位とは、「彼」と評し得るのであろう。まだ占領下の昭和26(1951)年生まれの66歳。祖父が貴族院議員といっても、現行憲法下の戦後育ちの保守人とはこういう代物か。
     *「新憲法と皇室典範改正法案要綱(案)」の「三、皇位継承 (3)皇位継承の原因」
    での一節には、以下のようにある。
     >新憲法で基本的人権の高唱されてゐるに拘らず、【B】と【C】とで国事国政については自己の意志を強行することも出来ないばかりでなく、許否権すらもない天皇に更に「死」以外に譲位の道を開かないことは新憲法第十八条の「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」といふ精神に反しはしないか?一例を挙げれば若し将来国家の存亡に関する様な重大問題について天皇と内閣との間に意見が対立した時天皇はどうすればよいか?<
     (注)文中によれば、Bとは、「天皇に国政に関する権能が無くなつたこと」。Cとは「天皇の国事に関する行為にも内閣の助言と承認とを必要とすること」を指している。
     この全文は、『日本経済新聞』平成28年11月3日に掲載された。
     **>朕ト爾等国民トノ間ノ紐帯(ちゅうたい)ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、単ナル神話ト伝説トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神(あきつみかみ)トシ、且日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延(ひい)テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念ニ基クモノニモ非ズ。<(傍線引用者)
     因みに、ポツダム宣言の一節にあるのは、以下。
     >日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ツルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレサルヘカラス<(六項のうち)

       ■象徴天皇制・成立の背景事情
     72年前の昭和20(1945)年9月2日、わが日本国家は、東京湾停泊の米戦艦ミズーリ号の甲板で挙行された降伏式に臨み調印し、敗戦国として主権を喪失した。調印の報を受けて、当時の米国務長官バーンズは、これは、日本の「物的な武装解除」が確認されただけであって、次の段階として「精神的な武装解除」の必要がある、と述べている*。占領下とは、連合諸国あるいはその主力の米国による日本への、別の形の戦闘の継続を確認したことでもある。
     以後の、占領下におけるいかなる変革も、バーンズの表現に即して捉えるならば、対日戦争が第2の段階(フェイズ)に入ったところでの作業(戦闘)であった。その名分とするところは、降伏条件のポツダム宣言。
     すると、占領軍総司令部(GHQ)の演出で、しかも「プレス・コード」**下での「天皇の人間宣言」として流布された文中にある、「日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延(ひい)テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念ニ基クモノニモ非ズ」の件(くだり)は、ポツダム宣言六項の文脈をそのまま下敷きにしているのがわかる。その直前の2週間前の12月15日に、GHQ指令が発したのは、「政教分離令」(または神道指令とも)である。
     ここから浮上するのは、現憲法下での象徴天皇制の根拠とは、大枠でポツダム宣言、それに基づく占領日本での戦争継続を広言したバーンズの所見。この前提から現憲法の制定も。占領軍の政策と論理構成は一貫している。
     精神的な武装解除を図ろうとすると、最大の戦略対象は皇位なのだ。米国にとり、いかに無害な存在にするか。他の表現で言えば、いかに飼い馴らすか。
      *!)The New York Times”:1945.9.2   WASHINGTON, Sept. 1--Secretary of State James F. Byrnes declared tonight that with Japan's  surrender we have entered the second phase of our war "what might be called the spiritual disarmament of that nation, to make them want peace instead of wanting war." (下線は引用者) 
     ** 新聞・放送など媒体全体へのGHQによる指令。SCAPIN16,33,43など。降伏調印後、9月に矢継ぎ早に出された。朝日新聞は、最初に記事に文句がつけられ、2日間の発行停止命令。この見せしめに屈服。以後の媒体は、皆、GHQに迎合し、その代弁機関になった。

       ■伝来の皇位の成立条件から現在の皇室を観る
     有史以来の皇位成立の基本条件とは、「血統、三種の神器、祭祀」の三つである。現在の日本人は、現行憲法下で育ってすでに70年を経ているために、万世一系とは「血統」にあると思い込んでいる向きが多い。しかし、皇位はそれだけで成り立たないのが、皇位継承にある経験知なのである。
     この三つの構成条件をつなぐ最も重要なものが祭祀。祭祀あって、はじめて血統の大切さを知り、三種の神器の役割が実感されてくる。その破砕に集中すれば、占領行政に致命的な影響が生じる恐れから、昭和天皇自身によるとしての「人間宣言」を演出し、さらに、「新」憲法において、第一条の条文を作成し、帝国議会が自発的に公布する仕掛けにした。遅効的に進めている。
     「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」*。創作元を指摘するとGHQににらまれるので、この表現は日本語としては生硬で座りが悪いと、議会でも問題視。露骨な間接統治への悲しい当てこすり。敗者の抵抗にもならない抵抗だった。
     ここに、公器である三種の神器は、皇室の私物視で切り抜けた。祭祀も私事になるしかなかった。唯一遺されたのは、血統。次いで、「人間宣言」の一節「朕ト爾等国民トノ間ノ紐帯(ちゅうたい)ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ」ている、という思い。その思いの妥当視は、現行憲法の一条にある、「この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とするところ。
     一見すると、論理的な整合性はあるように見える。だが、その内実は、解釈の仕方で、将来の国民間に内訌をもたらす可能性を孕んでいる。ありていには毒を秘めている。バーンズの言った「精神的な武装解除」に向けた布石。現に、‘The people’の中から、皇位を「彼」と呼ぶ者も生じるようになっているではないか。しかも、そうした感性の持ち主が有識者会議の座長代理なのだ。
     *The Emperor shall be the symbol of the State and of the unity of the people, deriving his position from the will of the people with whom resides sovereign power.

       終わりに:陛下による8月の御言葉に応える道
     特措法による生前譲位へ、有識者会議の方向は収斂されていく。それは1月の「論点整理」に見えてくるだろう。昨年8月の陛下による御言葉は、そこに集約されるのが妥当なのか。ビデオも用いた御言葉という異例の御振舞いの真意は、矮小化されてしまう懼れはないか。ご学友の明石元紹氏による発言は抑え込まれた気配がある。ここに、府中から宮中への慎みある居敬は覗えない。
     陛下の2度も用いられた伝統という言辞の背景を軽視する風潮の積み重ねは、最近の天変地異の頻発を招いていないか。天子としての軫念を拝し憂う。
     現行の皇位には言論の不自由しかないのは、8月以来の周囲の動きに覗える。我々市井にある者には、言論の自由がある。ならば、この折角の特権を活かして機会を作り、言挙げして各々の志を述べようではないか。御言葉に応えて。

     2017/1/2 このコメントがついた記事>>

  3. 男系男子の皇統護持こそ真正保守主義者の使命と心得よ! 
    http://burke-conservatism.blog.so-net.ne.jp/2016-08-08

     2016/12/31 このコメントがついた記事>>

  4. 天皇陛下の「お気持ち」と「生前退位」報道について 
    http://blogs.yahoo.co.jp/umayado17/65282955.html

     2016/12/30 このコメントがついた記事>>

  5. 1月1日 四方拝
    http://kondo.cool.coocan.jp/kataritugu/0101sihouhai.htm

     2016/12/25 このコメントがついた記事>>

  6. 皇室が朝鮮に給った恩賜金
    http://tainichihate.blog.fc2.com/blog-entry-379.html

     2016/11/27 このコメントがついた記事>>

  7. >歴史家には失ってはならない歴史家の良心があるはずです。歴史家である先生にとって、歴史の事実とは何なのか。事実の前に謙虚さを保ち続ける歴史家の魂が失われることがないようにと、私は心から願わずにはいられません。<
     この結語に敬意を表します

    ryusoo1491 2016/11/25 このコメントがついた記事>>

  8. 天皇陛下の「お気持ち」と「生前退位」報道について 
    http://blogs.yahoo.co.jp/watanabesokei/55497730.html

     2016/11/3 このコメントがついた記事>>

  9. 退位譲位と矮小化してはいけない
    http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-3185.html

     2016/10/25 このコメントがついた記事>>

  10. 皇后陛下82歳 マスゴミ造語の生前退位報道に「驚きと痛み」
    http://toriton.blog2.fc2.com/blog-entry-4500.html

     2016/10/23 このコメントがついた記事>>

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発行者プロフィール

http://www.namiki-shobo.co.jp

日本人の精神史の語り部、日本で唯一の宗教ジャーナリスト。「斎藤吉久の天皇学研究所」代表。著書に『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか』など。

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