お酒・ワイン

濱田アルコール研究所月例報告書

蔵元に近いからできるお酒に関する色々なお話をしたいと思います。例えば、仕込み水はどんなものが良いのか?1升びんと4合びんで同じお酒でも味が変わるわけなど・・・。

全て表示する >

濱田アルコール研究所月例報告書

2007/07/03

▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼



                                  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
                                  ◇CH3−CH2−OH◇
                                  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
                             /
            ■■■■■■■■■■■■■■
            ■濱田アルコール研究所月報■― 2号
            ■■■■■■■■■■■■■■
                                \
                        http://jizakeya.co.jp/labo/



▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▼▲▼▲▼▲▼▼▲▼▲▼▲2007年7月3日



            ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
            ◇CH3−CH2−OH◇
            ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
                          \
                           このメールマガジンについて・・・。 

                            
 研究機関、濱田アルコール研究所の研究月報です。
 ワインと清酒を中心とする醸造酒の為のメールマガジンのつもりですが・

 時々脱線するかもしれません。
-------------------------------------------------------------

▼▲▼▲▼▲▼ 発行元 合資会社濱田屋  〜地酒とワインのお店〜
                    編集者 濱田アルコール研究所所長 濱田咏児

今月の研究成果▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲



                お知らせ



▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ ▲▼▲▼▲▼▲




            ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
            ◇CH3−CH2−OH◇
            ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
                          \
                仕込み水について


●美味しい水と仕込み水は違う?

 日本酒の80パーセントはH20つまり、「水」です。
 したがって、日本酒の味わいには、水が大きく影響することは想像に難く
ありません。ですから一般的に、美味しい水=美味しいお酒と思いがちですが、
実はそうとは限らないのが発酵の面白い所なのです。
 日本では、「六甲の美味しい水」「南アルプスの天然水」といった軟水の
水が好きな人が、「コントレックス」といった海外の硬水を好む人よりも多
く、一般的に日本で名水呼ばれているものにほとんどは軟水のようです。ま
た、お茶や和食を作る場合は、硬水よりも軟水のほうが向いているとされてい
ます。

 ここで、硬水と軟水の説明をさせていただきますと、硬水とは、カルシウ
ムイオンやマグネシウムイオンの含有量が多い水を指し、軟水とは逆に少ない
ものを指します。どちらも、毒性のある物質ではありませんが、マグネシウム
は過剰に摂取すると下痢を起こします。よく、水が合わないというのは、硬度
の高いマグネシウムをたくさん含んだ水を飲んだために下痢をしてしまう事を
いいます。

 さて、お酒を発酵させるために用いる酵母菌の話になりますが、酵母菌は
細胞壁があるタイプの単細胞動物で、動物、植物の分け方でいけばどちらかと
いうと、植物に近い生物であるということができます。
 植物を育てた経験のある方は、大きく育てようとすると肥料が必要となる
事は御存じだと思います。肥料とは、窒素やマグネシウムやカリウム、リン酸
などです。
 つまり、酵母菌にも、エネルギー源となる糖類のほかに、肥料となる物質
が必要なのです。そして、それを含んでいるのが仕込み水ということができま
すから、アルコール発酵という点で考えると軟水よりも硬水のほうが向いてい
るという事ができます。
 ところが、平均的な日本人は飲み水としては軟水の方を好みますから、「
美味しい水=美味しい酒ができる水」とは限らないのです。

●宮水の特徴

 灘が日本最大の酒造地帯となった理由の一つに、「宮水」がありますが、
「宮水」は武庫川が長い間かけて、堆積した特殊な地層を通ってくるため、リ
ン酸やカルシウムを豊富に含んだアルコール発酵には非常に適した成分を含有
した水なのです。得にリン酸は豊富であり、1リットル中に27ミリグラムも
含まれております。
 リン酸は植物の3大肥料の一つであり、すべての動植物の遺伝物質の材料
となる重要な物質ですので、酵母の増殖が活発になるわけです。
 蔵人さんに聞くと「宮水」は白いのだそうです。これはつまり溶け出して
いる物質が豊富であることを示していると思われます。
 しかし、飲用としてどうかというと、硬度が高く、飲んでもあまり美味し
いものではありません。そこで、灘では後から加える、アルコール度数を調整
するための水は、宮水ではなく、通常の六甲山系の軟水を使っているのです。


 灘のお酒が「男酒」と言われた理由の一つは、酵母が宮水のおかげで活発
に発酵したおかげアルコール度数が高く、コシのある酒になたからだと言えま
す。アルコールが高いと、雑菌が繁殖しにくく、腐りにくいし、長い貯蔵にも
耐えるわけです。
 では、もともと、軟水しか使えない地方ではというと、昔は醸造の失敗「
腐造」などでずいぶんと苦しんだようです。今でも場合によってはミネラル分
を添加して、硬度を調整する場合もあるそうですが、古い時代には、海水を仕
込み水に加える技法もあったそうです。

●酒造りの邪魔者

 さて、次に酒造りにおいて、邪魔になる成分とは何でしょう。
 実は、我々血液を持つ生物には不可欠な鉄分が酒作りには大敵なのです。
 通常の水道水では、鉄分は0.3ppmであれば良いとされていますが、醸造
用ということになると、0.002ppm以下にすることが望まれています。鉄分は、
デフェリフェリクリシンという物質と反応して、赤茶色のフェリクリシンとい
う物質になり、色がついてしまう他に、味や香りが劣化してしまう原因となっ
てしまいます。
 また、マンガンも日光と反応して色がついてしまうため、敬遠されていま
す。
 以前、ある蔵元で、蔵の外に仏舎利塔ような石でできた数メートルのがあ
り、その上から水が吹き出すようになっているものを見たことがあります。
 聞いてみると、それは昔の鉄分除去装置なのだそうです。激しく空気と混
じらせることで、溶け出していた鉄分を酸化させて沈殿させるようになってい
るのだそうです。
 現在では、もっと効率の良い装置を使っているようですが、仕込み水の条
件は実はなかなか厳しいのです。

●実験
 さて、鉄分が混入した場合、どれだけの変化が日本酒に起こるか実験して
みました。
 100ミリリットルの本醸造酒に4センチの鉄釘を投入し、12時間放置
してみました。
 念のため、同じ条件で釘なしのものも放置したところ、釘を投入したもの
は、明らかに茶褐色の着色が認められました。香りも、だいぶ変化が認めら
れ、熟成が進んだような重たい香りとなり、味わいも重たく感じるようで、明
らかに酒質が変化しておりました。
 くぎの方は、黒灰色に変色しておりましたが、これは酢など酸性の液体に
つけたときと同様の変化で、おそらくは、日本酒に含まれる乳酸を初めとする
酸の影響だと思われます。
 この実験からも分かるように、鉄分は非常に強い影響を与えるため、酒造
に用いる

実験結果画像はこちら
http://jizakeya.co.jp/image/2007-7g.jpg
左が通常の清酒・右が釘を入れていたもの


●野日喜久雄、好井久雄、小崎道雄・編『醸造学』講談社、1982年
●灘の酒用語集 編集代表 原 昌道 灘酒研究会発行 平成9年
▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲  所長室  ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲




            ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
            ◇CH3−CH2−OH◇
            ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
                          \
                          編集後期

 さて、いよいよ、夏も本格的になってきました。
 市場では、苺はとうに姿を消していますが、実は本当の苺の旬は初夏です。

 濱田屋の屋上にある農園では、あまり立派とはいえませんが、毎日のよう
に少しづつ苺が収穫されています。
 苺は日照時間に応じて開花しますので、春に苺の実をならせようとすると、
ビニールハウスで栽培した上に、日照時間を誤魔化すために、夜まで電気をつ
けておきます。
 神戸でも北区ほうでは、苺のビニールハウスがありますが、夜になるとビ
ニールハウスの群れが黄色くボウッと光って幻想的な風景となります。
 どうして、苺が路地のものではなく、ビニールハウスで作った新ものが主
流になって、旬まで変わってしまったのか分かりませんが、推測すると、暑い
時期に出荷すると、苺などは、すぐに傷んでしまうため、冬の時期に出荷する
ようにしたのではないかと思われます。
 大人の事情で、自然界の常識が変わっていくこともありますが、できるだ
け自然の旬は大切にしたいですね。
 


▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲
 編集者 濱田 咏児
 合資会社濱田屋 地酒/ワイン担当
 〒658-0025 神戸市東灘区魚崎南町4丁目15-13
 TEL 078-441-1101 FAX 078-441-1103    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 E-mail : BXJ03526@nifty.ne.jp       ◇CH3−CH2−OH◇
                                      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 ホームページ
  http://www.jizakeya.co.jp/
▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2007-06-01  
最終発行日:  
発行周期:月刊  
Score!: 非表示   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。