お酒・ワイン

濱田アルコール研究所月例報告書

蔵元に近いからできるお酒に関する色々なお話をしたいと思います。例えば、仕込み水はどんなものが良いのか?1升びんと4合びんで同じお酒でも味が変わるわけなど・・・。

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濱田アルコール研究所月例報告書

2007/06/21

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            ■濱田アルコール研究所月報■― 復活創刊号
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                           このメールマガジンについて・・・。 

                            
 研究機関、濱田アルコール研究所の研究月報です。
 ワインと清酒を中心とする醸造酒の為のメールマガジンのつもりですが・

 時々脱線するかもしれません。
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▼▲▼▲▼▲▼ 発行元 合資会社濱田屋  〜地酒とワインのお店〜
                    編集者 濱田アルコール研究所所長 濱田咏児

今月の研究成果▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲



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                 日本の酒について


 一昔前、日本で「酒」といえば、日本酒でした。
 微生物が発見されるまでは、発酵という現象は、非常に神秘的なもので「
サケ」は神様の飲み物であったのです。

 もう一つの日本のサケには焼酎があります。これは日本酒に比べると起源
新しくなります。歴史的な状況から見てあくまでも仮説ですが、昔の酒造りの
状況から考えるとと、発酵の失敗、(腐造)は今とは比べ物にならないほど多か
ったと推測されます。
 しかも、腐造は南方に行くほどに多くなるはずですから、九州などは特に
多かったでしょう。明治時代には、沖縄から黒麹と呼ばれるクエン酸を多く生
成する麹菌が導入され、もろみの酸を強くすることによって腐造を防ぐ事がで
きるようになりましたが、それまでは、発酵が失敗することもしばしばだった
のではないでしょうか。

 そこで、アラビアから海を渡ってきた蒸留器が役たつわけです。
 腐造で、香や味が著く劣化したものでも、蒸留すればアルコール以外の余
分なものは除去されますから、飲めるのです。また、保存という観点から考え
ても、変質しにくい蒸留酒は都合がよかったのではないかと推測されます。

 九州以外に焼酎がひろまらなかった理由は、ちゃんと醸造できる場所では、
わざわざ蒸留という手間を一つ増やす必要が無かったから、また、単純に味の
点で、初期の焼酎はかなり癖のある飲み物であった事が考えられます。
 私も明治時代の焼酎の復古酒をいただいた事がありますが、これは、かな
り癖のある飲み物で、慣れない人にはかなり辛いものだと思いました。
 しかし、ほとんどの醗酵食品がそうであるように、慣れてしまえば逆に癖
になるものなのかもしれません。
 
●最高水準の日本の醸造技術

 人類がアルコールを手にする為には、アルコールを作り出すタイプの酵母
菌が必要です。この酵母菌の主食は糖分です。アルコール醗酵に使われる酵母
菌は酸素が不足している状態では、糖分を食べて、二酸化炭素と、アルコール
を排出する働きがあるのです。
 人類が最初に酵母菌を発見したのは、ドイツのビールメーカー、カールス
バーグですが、一番うまく使いこなしていたのは、おそらく日本酒の造り手た
ちでしょう。日本酒を純米で醸造した場合、アルコール度数は16-18度にもあ
がります。ビール4-5度、ワインでもせいぜい14度です。
 他の国の酒のアルコール度数が低いのには、二つの理由があります。一つ
は15度以上のアルコール度数を作るだけの糖分の中では、蜂蜜やシロップにい
くら糖分があってもが醗酵が始まらないように、酵母菌は内部の水分を奪われ
て、活動できなくなってしまうのです。
 しかし、日本酒の場合、最初から大量の糖分を与えず、徐々にお米のデン
プンを麹菌の酵素を利用して、糖分に変え、必要な量だけ酵母菌に与える工夫
をしています。これは世界でも珍しい「平行復醗酵」という醗酵方法です。

 ある蔵元の社長と話していたときに、聞いたのは、ほとんうに良い酒を造
ろうとすると、糖分が酵母にとって多過ぎても、少なすぎてもだめで、日本酒
の醗酵は綱渡りのようにデリケートなのだとおっしゃっていたのを思い出しま
す。

 二つ目の理由は、酵母菌はアルコール濃度のあまり高い環境では、休眠状
態になったり死んでしまったりすることです。
 しかし、日本古来の醸造法では、ある程度、高いアルコール度数の中に長
期間いる酵母は、環境に順応して細胞壁が厚みを増し、アルコール耐性を高め
る事を利用し、(順養と言われています)お酒のアルコール度数を高める技術も
使いこなしていました。

 醗酵という現象が、微生物の働きであるという事も知らなかった我々の祖
先が、経験だけで、これだけの醗酵技術をマスターしていた事は、まさに驚異
的な事といっても過言ではないと思います。


●危機管理としての酒

その国の、主たるお酒は、食生活と密接に関係しています。
たとえば、パンを食べる国では、ビールやウイスキーといった麦を原料とす
るお酒が造られていますし、良い水に恵まれない地域では、ワインが造られま
す。
 日本の場合は、言うまでもなく、お米を原料とする日本酒となっていたわ
けですが、最近では、他のアルコール飲料に押されぎみであることは、否定で
きません。
 実は、酒にはもう一つの意味があります。それは危機管理としての側面で
す。例えば極端な冷夏などで、米の生産量が激減した場合でも、日本酒で使わ
れる米が豊富にあれば、それを食用に回して飢えしのぐ事ができます。
 もちろんビールで使う麦でも良いのですが、麦芽の大半を輸入に頼ってい
る状況では危機管理としての側面は難しいように思います。

 焼酎にしても、減量の芋の輸入量は近年増加の一途を辿っていますし、輸入
米で造った日本酒や、海外で造った日本酒もあります。
 こうした事もお酒を選ぶ選択基準に加えてみてはいかがでしょうか。

●これからの日本酒

 これからの日本酒の大きな展望としては、熟成酒があると思います。
 日本でも、鎌倉時代から江戸時代は、熟成酒が珍重されておりました。こ
れが明治維新の時に、「造石税」といってお酒を製造した時点で税金を取るよう
な制度になってしまったのです。これが現在の15〜20倍という重税であったの
で、蔵元もとてもお酒を熟成させる事などできません。
 これが、近代の日本酒に熟成酒が成り立たなかった理由です。

 しかし、例外的に今でも唯一その当時から熟成酒の伝統を守っている蔵元
に剣菱があります。「瑞祥」と呼ばれる限定酒がそれで、このお酒は、お米こ
そ、現代の酒造好適米を使用しておりますが、江戸時代から変わらない製法で
醸造され、酵母も蔵付きの酵母というだけあって、おそらくは、江戸当時の熟
成酒にかなり近い味わいではないかと思われます。

 
 現在では、日本酒は熟成させたお酒も徐々に認められつつあります。
 山忠本家酒造株式会社の義侠(ぎきょう)などがその代表ですが、当店で
もおつき合いのある黒龍酒造でも、近年、酒の熟成専用の設備をつくりまし
た。

 また、もっと手軽な価格のもので、消費者の方が自由に熟成して楽しんで
もらえるようなお酒を造ろうというワインのような考え方で出荷している安福
又四郎商店の大黒正宗などもあります。

▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲  所長室  ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼



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                          編集後期

 このメルマガは、今から7年前に、発行しておりましたメルマガを復活させ
てたものです。
 廃刊にした理由は主に子供が生まれて家で文章を作る事が困難になってし
まったのですが、今では、そろそろ子供も手を離れ始め、生活にも時間的に少
し余裕ができたので、そろそろ復刊させようと考えました。
 とはいえ、以前のように沢山の分量を一度に掲載するのも大変ですので、
今回からは一つの記事に絞って書いて行きたいと思います。

 どうぞ、末永くおつき合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

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 編集者 濱田 咏児
 合資会社濱田屋 地酒/ワイン担当
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創刊日:2007-06-01  
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