小中高校

小学校教師用ニュースマガジン

小学校の教師に役立つ情報をお届けします。

メルマガ情報

創刊日:2000-09-17  
最終発行日:2018-10-18  
発行周期:不定期  
Score!: 79 点   

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

このメルマガは最新記事のみ公開されています。

□小学校教師用ニュースマガジン2391□総発行部数3600□宇野弘恵

2018/10/18

───────────────────────────────────
□小学校教師用ニュースマガジン2391□総発行部数3600□宇野弘恵     
───────────────────────────────────

高学年女子との付き合い方

          宇野弘恵

【学級を崩壊に導くこじらせ女子】

 前回に引き続き、高学年女子にも存在する「こじらせ女子」について今月も話題にした
いと思います。こじらせ女子。それは、本人に悪気はないけれど、余計な言動で騒動を起
こしてしまう女子。大人の世界には、まあ、大きな声では言えませんが、いますよね……。
今回のこじらせ女子は破壊力抜群の「オレ様女子」。過去にこんなことがありました。

Aさんの口癖は「めんどくさい」。
「算数のテストです」
「めんどくさい」
「1年生との交流集会です」
「めんどくさい」
「運動会の練習です」
「めんどくさい」
といった感じ。まあ、めんどくさいという気持ちはわからなくはないですし、めんどくさ
いと思うこと自体はどうしようもないことです。もちろん、めんどくさがらずにできれば
いいのですが、自然発生的にめんどくさいと思ってしまうのですから、ある意味仕方ない
ことだとは思います。
 問題なのは、その心の声を言葉に出して言ってしまうこと。Aさんが声に出して言うこ
とで、女子の微妙な人間関係ができてきます。

 高学年女子の多くは、感情をはっきり出すことを躊躇します。はっきり意見を言うこと
は目立つことであり、目立つことは群れからはみ出ることであり、それは群れて生きよう
とする女子的思考に反します。女子がなぜ「群れ的思考」で生きるかについては説明を割
愛しますが、「女子=群れる」傾向についてはお分かり頂けると思います。
 大人になるにつれて、自己主張することや群から外れても平気という精神性を獲得して
いきますが、小学校高学年段階ではこうした精神性をもっている子はそう多くありません。
内心、群れることが嫌だと思っていても、独りぼっちになることに恐れをなし、群からは
み出ないように生きるのが通常です。
 そうした意味で、自分の感情をもろに出すAさんは女子にとって驚異の的。Aさんの意
に沿わないことをすれば、みんなの前ではっきりと、嫌いとか変だとか言われかねないか
らです。実際、Aさんと違う意見を言った子は、
「むかつく!」
「あいつ、馬鹿じゃないの!?」
と言われることがありました。それに対して一人で向かえる女子はそうそういません。数
名でも臆してしまいます。しかしAさんを放置しておけば、学級に正義が通らなくなり、
Aさんの正義で学級が動くことになります。学習や行事も成り立たなくなってしまうこと
は想像に難くないでしょう。担任としてどうかかわるかが、学級経営での肝となることは
明白でした。

 5年生になるまで、Aさんは学級の中の問題児とされ叱られて育ってきました。よって、
Aさんは教師に対する不信感をもっていました。必要以上に反発し、自分に非があるとわ
かっていても素直になれないのにはこうした背景がありました。「悪いことは悪いで指導
しなくては」という正論はもちろんよく理解できるのですが、Aさんには通用しないと思
いました。野放しにすれば学級は崩壊する、かといって厳しくしどうすればAさんはます
ます荒れる……。どうすればいいのか悩みましたが、私は、「教える」ではなく「語り合
う」という選択をとりました。Aさんを排除するのではなく、Aさんにとっても他の子に
とっても居心地のよい学級をつくることを考えました。
 たとえば、算数がめんどくさい、というとき。全体には、事前に「思う自由はあっても、
のべつまくなしに言動に表すのは社会では受け入れられない」ことを話しておきます。幼
い子どもはその分別がないから、いつでもスーパーの床に寝ころんで泣き叫ぶのだという
例を挙げて。教師のスタンスとしては、「めんどくさい」と言葉に出すのをよしとはしな
いことを予め伝え、世論を形成しておくのです。Aさんからめんどくさい発言がでたとき

「あら。心の声が出ちゃったわね」
と言って、一応不快感らしきものを示します。が、それ以上は言及しません。しかしその
あと、そっと私のもとに呼びます。そして
「算数嫌いなの?」
など、めんどくさい発言とは一見関係ないところから話し始めます。叱られるかと思いき
やそうではないということで、Aさんは算数についての不満をぶちまけます。それに相槌
を打ったり笑ったりしながら、算数が嫌いな気持ちに共感します。その上で、でもさあ…
…と切り出すのです。そうするとAさんは、
「分かってるけど、つい言っちゃうんだって!」
と言います。そこでも否定せずに、
「あ、ということは、気をつけてるけどうっかり出ちゃうってことだね」
と内面を肯定します。さらに
「先生もあるなあ。ダメだとわかっているのについやらかしちゃうこと……」
と、自分の不十分さも暴露。決して否定しないこと。上からものを言わないこと。がんば
っているのにできないことはよくあるよ、というメッセージを送り続けること。そして、
できなさの点では大人も子供も同じ、完璧な人間なんていないよ……というメッセージを
送り続けました。

 何でもはっきり言うAさんですが、よくよく聞いていると、一見わがままに見える彼女
の発言も、世の常識に一石を投じるものであることがわかってきました。
「どうして大人はいいのに、子どもは学校にマニキュアをしてきちゃいけないの」
「どうして、小学生はアイプチしちゃいけないの?可愛くなりたいって思ったらダメな
の?」
一昔前なら、
「ダメなものはだめ!」
「自分で責任が持てるようになってから言え!」
と一喝して終わりだったことかもしれません。でも、Aさんが言っていることは、自分ら
しく生きるということと直結していると思いました。それでも社会の枠と折り合いをつけ
て生きるしかないのですから、全面的にAさんを擁護することはできませんが、頭ごなし
に否定することもできませんでした。
「どうしてだろうね……。大人になってからでもできるからじゃない?今は学習に集中す
べきっていう考えなんじゃない?」
「それってさ、大人が勝手に決めたことでしょ。アイプチしたって別に勉強に関係ないと
思うんだけど」
「なるほどねえ。一理あるねえ」
「ね、おかしいよね。だから、アイプチしてきてもいいでしょ?」
「おかしいなと先生も思う部分あるし、正直言うと、どうでもいいかなとも思う。でも、
いいよとは言えないなあ」
なんて会話を何度もしました。煮え切らない私の態度に腹を立てたり、強引にアイプチを
してきたりしたこともありましたが、Aさんの気持ちや考えは理解できるけど私の権限で
は許すことはできないというスタンスを取り続けてきました。寄り添うけど、譲れないも
のは譲らないとうスタンスを持ち続けました。

 こうした対応で、Aさんが劇的に変わったわけではありません。しかし、少しずつ暴言
が減り、素直に内面を語ってくれることが多くなりました。低学年の時から叱責され続け
てきた彼女は、暴言を吐くことで自分を守っていたのかもしれません。本当は大事にされ
たい、わかって欲しいと思いながら暴言を吐いていたのかもしれません。
 高学年は本心をそう簡単には見せてくれません。心と態度が裏腹な場合だって多々あり
ます。表層的なものに惑わされず、現象の奥に何があるのかを問いながら接することは、
高学年女子を一人の人間として尊重することにつながっていると思います。
 

タイプ別でよくわかる! 高学年女子 困った時の指導法60
宇野弘恵著 明治図書
https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-212213-2

小学校低学年 学級経営すきまスキル70
https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-275110-3

小学校低学年 生活指導すきまスキル72
https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-280315-4
堀裕嗣・宇野弘恵編著 明治図書

メルマガ月刊『教師のプチ知識』(kitaputti)
『教育研修NEXT ONE』 
http://archives.mag2.com/0000140894/

───────────────────────────────────
編集者より

Aさんの気持ちや考えは理解できるけど私の権限では許すことはできないというスタンス
を取り続けてきました。寄り添うけど、譲れないものは譲らないとうスタンスを持ち続け
ました。



気持ちが寄り添えるときは、私も同じようにしていました。私も共感する子どもの不満に
は上手に寄り添い、「でも先生だけでは決められない」「学年の先生に相談してみたけ
ど・・・・という理由でだめだった」「・・・の場合はどうするのと聞かれて答えられな
くてねえ。あなたはどう思う」

実際に共感しているので、学級内で変えられるルールは変え、学級だけではどうにもなら
ないものは、ちゃんと筋を通して提案していく。時には学校のルールを変えることもあり
ましたが、時間が経つうちに、言い出した本人のこだわりも変わっていき、いつか不満も
立ち消えにと言うことも多々ありました。

気持ちが寄り添えないときは、特に若いころですが、失敗ばかりしていました。それは共
感できなかったからではなかったような気がします。失敗の一番の原因は性急に問題を解
決しようと焦りすぎた私が、問題提起をした子どもを追い詰めてしまったことが原因だっ
たような気がします。もっと話をしっかり聞いて、時間をかけて対応していたら、こじら
せずにすんだのだと経験を重ねてから気がつきました。

譲れないものは譲らない。この譲らないことをどう伝えるか、示すか、ぶれずに、これが
なかなか難しかったなあ。

宇野先生の本、20代の教師にぜひ読んでほしい。きっと役に立ちます。

───────────────────────────────────

編集者ニュース  http://urx.mobi/JDkI アマゾンでの検索は「蔵満逸司」
10月    韓国世界遺産視察 
11月 14 中城村(小)算数 指導助言
    20 中城村 幼小中授業研究会 算数 指導助言
11月 23 熊本市 満席
       「主体的・対話的で深い学び」を考えるセミナー2018霜月in熊本」
12月    明治図書『授業力&学級経営力』12月号 原稿掲載 韓国      
    30 新刊発行予定
 1月 29−30 市民講座講師養成のための講座 講師
 2月    新作童話掲載誌発行予定              
 2月 16−17 市民公開講座 世界自然遺産教育 まだ募集前です 
◆出前授業 琉球切手で学ぶ沖縄他 随時募集中(小6以上)
───────────────────────────────────
発行基準日一覧 ※掲載は数日前後することがあります。ご了承下さい。
         ☆当月分発行済み
10月

07日 心を育てる道徳教育実践記 丸岡慎弥 
☆08日「放課後の職員室〜中学校の風景〜」 杉本直樹 
☆09日「今こそ本気で取り組もう!」学級づくり研究会「ちから」代表 川端成實
☆10日 子どもが大喜びで先生もうれしい!中村のネタ大放出!! 中村健一
☆12日 判決書事例で学ぶ安全教育 石巻専修大学 教授 新福悦郎
☆14日 高学年女子との付き合い方 旭川市内小学校教諭 宇野弘恵

※比嘉先生の原稿の掲載は22日になり、その後順次発行させていただきます。
申し訳ありません。

17日 沖縄のチャンプルーばなし 琉球大学 教職大学院准教授 比嘉俊
18日 世界のどこかで発見 こんなところに教材 熊本県小学校教諭 笹原信二
20日 正義と勇気を育てる学級&学年集団づくり 鹿児島県小学校教諭 内山義朗
22日 実務家教員トボトボ日記 上越教育大学教職大学院准教授 阿部隆幸
25日 学級通信『きらきらひかる』が紡ぐ物語 札幌市立小学校教諭 大野睦仁
26日 若手教員の役立ち 学級経営のアイディア 静岡県小学校教諭 森竹高裕
27日 三重大学30年 〜教員養成の仕事を振り返る〜 佐藤年明 
28日  教材開発の極意 旅する教師 熊本県小学校教諭 村上浩一

───────────────────────────────────
3月と8月はお休みです。
───────────────────────────────────
2018/10/17 藏滿逸司(琉球大学)編集発行 
  tabibito99+@yahoo.+co.jp (+は抜いてください)
───────────────────────────────────

最新のコメント

  • 中村博志2006-11-03 22:26:57

    私も大学で「死を通して生を考える教育」を行っております。

    2ヶ月に一度の土曜日に「死を通して生を考える教育」研究会を行っております。

    先日も都内の某中学校でこのテーマで授業をしました。

    冒頭の近藤先生の持論は私の持論と全く正反対です。近藤先生は死を前面に立てないのに対して、私は題名のとおり、死を前面に掲げます。

    先生のお考え方はいずれでしょうか?

    ご意見をお聞かせください。

     蔵満先生           中村博志

    PO:ご希望であればこれまでの仕事をまとめたDVDがありますのでお送りします。 

  • まみゆ2005-08-30 09:35:02

    てこ天秤のことを教えてください