自転車

疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。
と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

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「漂流する自転車政策」から9年の(週刊 自転車ツーキニスト743)

2017/09/11




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     「漂流する自転車政策」から9年、の743号

■不意に出てきた『月刊総合情報誌S』原稿

 先週末、東京・高田馬場の“Bicycle City EXPO 2017”は、意外なほどの盛況ぶりの中、幕を閉じました。
 来ていただいた方、どうもありがとうございました<(_ _)>。

 なんつーのか、今回のこのEXPO、他のイベントと違って、ずいぶん「社会派」でしたね。もちろん良い意味で。シェアバイクの話(MOBIKEとかだ)、シェア駐輪場(!)の話、専用道・専用レーンの話、路上ペイント塗料の話、スポーツとしての自転車発展の話など「日本初の自転車まちづくり博」の名に恥じないモノだったと思います。
 私のステージは4回。毎度、立ち見が出てました。本当に感謝です。

 というわけで、今回のお話(4回分)をする際に、過去の資料を探っておりましたらね、おー、2008年に『月刊総合情報誌S』という雑誌に書いて、なぜかボツになった原稿が出てきた。
 向こうからの原稿依頼だったにもかかわらずボツ。不思議(?_?)。
 ボツの理由は「筆者(疋田)は、自転車のことが分かっていない!」という“編集長判断”だったと記憶しているんだが、まあ、こういうのは忘れないもんでね。当時としても何だかよく分からない理由だったんだが、今、読んでみても何だかよく分からない(笑)。まだ40代になったばかりのワカゾーの主張だと判断されたのかな? 『月刊総合情報誌S』、ちょっと読者年齢層の高そーなオヤジ雑誌だけに。

■9年前の状況と何が変わって、何が変わらないか?

 つらつら読み返すに、なかなか威勢がいいし、なかなかモノの分かった筆者であるなぁ…、って、9年前のおれのことだが(笑)。
 と、まあ、そういうわけで、9年後の今になって、メルマガにてお目見えだ。下記、読んでいただけるとありがたいっす。
 普通に言って、面白いと思います。

 時代背景をいちおう言っておくなら、2008年とは
◎ ガソリンがリッター185円まで上がって、いよいよ自転車に注目が集まった。
◎ で、国交省&警察庁は「全国98箇所に自転車モデル地区をつくる」というポリシーを発表した。
◎ 新聞・テレビなどでは、まだまだ「自転車は、邪魔、危険」論より「自転車は、エコ、健康的」論の方が強かった。
 とまあ、そういう時代です。

 それにしても、なんだろうな。
「筆者(疋田)は自転車のことが分かっていない」か…。どこの部分が分かってなかったんだろうな(笑)。

■『月刊総合情報誌S』のボツ原稿、ではどうぞ

「漂流する自転車政策 全国98カ所の自転車モデル地区の行方」(2008年10月28日)

 自転車が世界的にブームである。
 環境によく、健康にいい、おまけに経済的、ときた上、この数ヶ月のガソリン高という追い風まで吹いた。結果、都心でも地方でも自転車に乗る人が増え、メディアに自転車というものが取り上げられる機会が多くなった。
 昨今の自転車ブームは、従来型のいわゆる「ママチャリ」を中心としたものではなく「ロードバイク」や「クロスバイク」、いわゆるスポーツタイプを前提としたもので、その結果、特に東京で、車道を走るハイスピードの自転車が激増した。邪魔なチャリンコが増えたな、なんて苦々しい思いをしているドライバーも多いだろう。
 しかし、私は、じつに喜ばしいことだと思っている。
 そもそも自転車というものは車道を通るのが当たり前であり、そうでなければ、環境にもあまり貢献できないからだ。エコだなんだって、どだい自転車というものは「空気清浄機」でも何でもないのである。クルマから乗り換えて始めてエコなのであって、自転車が走る分クルマの量が減らなくては意味がない。
 ということは、自転車は都市交通手段として、ある程度クルマの代替物にならなくてはならないわけだ。それにはスピードを得ることが必要になる。それなりの距離が走れることが前提となる。その目的を鑑みると「自転車は歩道を走っていては意味がない」のだ。
 車道というもののシェアリングを考え、それぞれの安全性を前提に、自転車とクルマがどう棲み分けるか。ここにこそ自転車の有効活用の要諦はある。
         ◆
 ところが、こと日本にだけ「自転車は歩道を走るのがスタンダード」という、一方の現実が存在する。
 これは1970年と78年の道交法改正により、自転車は「指定歩道(自歩道)においては、通行可(道交法63条4項)」と定められてしまったからで、この63条4項が極限までに拡大解釈された結果、今日の「自転車は歩道が当然」という誤った常識が生まれてしまった。
 この日本だけのユニークすぎる風習は、特に欧州各国人の眼からは、未開の蛮習であるかに映るようで、私は「日本の自転車はクレイジーだ」という話を何度も聞いたことがある。
 なぜと問うなら「弱者優先」という大原則がある以上、歩道というスペースは歩行者やベビーカー、障害者など、すなわち「交通弱者」の安全確保がまず第一になされなくてはならない、いわば弱者の聖域だからだ。私はそこに深く頷く。また、日本の自転車は、歩道を通ることによって「自転車は車両(軽車両)である」という認識が失われ、自転車はルールもマナーもデタラメな無責任ビークルになってしまった。
 この結果、生まれた現実は次のごとし。
 日本の自転車事故発生率は先進諸国の中で今も変わらずナンバーワンである。そして、歩道上で起きる自転車対歩行者の事故は、この10年で7倍以上にもなっている。
 もちろんこの日本においてだって、原則的には、自転車は「車道左端を通る(道交法17条、18条)」というのが当然であり、歩道を通るのはあくまで例外に過ぎないとされている。さらに言うなら当該の「自歩道」にしても、全歩道の4割にしかならない。
 ところが、そのことがまったく守られていないのは、警察官乗車のいわゆる「白チャリ」を見ても一目瞭然であろう。彼らが常に右も左もデタラメに歩道を走っているというのは、誰もが日常、目にする通りだ。
 この国には、まともな自転車マネジメントがないし、自転車が走る安全なスペースもないし、守らせる人がいないし、実質的に、守るべき自転車ルールすら存在しないのである。
         ◆
 だが、世界の潮流は明らかに自転車の方向を向いている。環境がまず第一義。次にくるのが健康(=医療費削減)であり、さらには交通事故の削減、渋滞抑制、中心市街地の活性化などのおまけまでついてくる。
 オランダ、デンマーク、ドイツなどを嚆矢とし、その動きが今やイギリス、フランスなどにも敷衍しているのは、交通行政にちょっと詳しい人ならば皆ご承知の通りだろう。LRTなどの公共交通機関とともに、自転車を活かし、過度に依存してきたクルマ社会を見直そうというのが、大まかな流れだ。
 さすがの日本も、現在のままではどうかと思ったか、国土交通省と警察庁は、今年(*現在の筆者註:2008年)8月、全国に98箇所の自転車モデル地区を設定し、自転車レーンを通すなど、自転車の「安全スペース」を確保しようと乗り出した。いわば自転車のインフラ実験である。
 この動き自体は非常に評価できるものだと思う。なにしろこれまで縦割り行政の壁があまりに高すぎて、この両省庁は、自転車について何ら合同の取り組みをしたことがなかったからだ。ところが、あに図らんや、その「自転車レーン」とやらを全国でいくつも見てみて、私は現在までのところ、常に落胆している。
 ほとんどの場合、歩道を区切って「自転車レーン」と称するものを作り(あるいは歩道を若干拡張して、そこに自転車レーンと称するペイントをして)、それでおしまい。しかも、自転車はそこを対面通行で通るように設計されている。車道はあいも変わらずの幅員が用意され、自転車レーンと称するペイントはバス停でストップ、電話ボックスでストップ、ポストでストップする。要するに従来の歩道と何ら変わらない。
 だが、それでは何にもならないのである。
 自転車レーンを作る目的は、歩行者と自転車の分離により、増え続ける自転車対歩行者の交通事故を減らそうということだろうし、もうひとつが環境対策。要するに自転車を有効活用し、その分クルマの数を減らそうということだろう。
 となれば、その二つの意味において、自転車レーンはどうしたって車道側に作るべきだ。
 道路全体のカテゴリー分けは「歩道」と「自転車レーン+車道」ということになるのは明白だ。そして「自転車レーン+車道」の中で、車道シェアリングの再構築をはからねばならない。これこそが現在日本の道路行政に求められていることなのだ。
 自転車の走行区分を考えることは、とりもなおさず、クルマの走行区分を考えることなのである。そして、今後の区分けは、クルマ部分を削減し、自転車部分を増やすという方向に動かなくてはならない。
         ◆
 ところが、無論のこと現状はそうなっていない。なんとなれば、警察側にやる気がないからである。1970年代の道交法改正からこっち、警察は常に自転車を「路上の不純物」として扱ってきた。私は様々なところでそれを実感するのだが、彼らの立ち位置としては「自転車は、あっても悪いとは言わないが、なければもっと良い」というのが大まかなところだろう。
 路上にはクルマと歩行者がいて、それがスムーズに、かつ、できれば事故なく移動できれば御の字。これこそが、この30年、日本の交通社会をマネジメントしてきた警察庁のポリシーなのである。そこには路上の不純物たる自転車など必要ない。だからこそ自転車の「有効活用」にはまったく気合いが入らない。
 また、その現状の中、ママチャリ市民たちは30年以上も「自転車は歩行者の仲間」とばかりに歩道をデタラメに通行してきた。それをいきなり歩道外に放り出すのも確かに難しい。
 しかし、今や自転車の時代はやってきたのである。自転車は今や使われなくてはならないのだ。だからこそ警察だってまがりなりにも自転車政策に取り組み始めたわけで、世界の流れだって、もはや見過ごせない大きさになった。
 ならば、どうせやるならその先を見据えようではないか。
「はいはい、自転車でしょ、環境や健康に良いんですってね、どうぞ走ってください。ただしクルマの邪魔はしないでね」なんてことではダメだ。むしろ今こそ交通行政のパラダイムシフトを起こすチャンスだととらえるべきなのである。過度のクルマ依存社会を見直す時期が来たのだ。
 自転車は今や(システマティックに)クルマの邪魔をするべきである。クルマを抑制して、その代替物としての自転車に意味があるのだ。これを称してモーダルシフトという。環境、健康、対原油高、交通事故削減、渋滞抑制などなどの果実は、そうして初めて得られるのである。
 全国の「(歩道上)自転車レーン」と称する意味のない区分にしたって、結局のところ「自転車を」という政策の先に、何を目指しているかが見えないから、こういうとんちんかんなことになっているのだと思う。
 これまでの交通行政の失敗に学ぶ、オランダ、ドイツなど最先進例に範を求める、などのこと以前に、何のために自転車レーンを作るのか、その結果、どのような果実を得たいのか、そのあたりをはっきりさせ、そのための施策を行わなければ、せっかくの自転車政策も、ただ税金の無駄遣いにしかならないだろう。

 と、ここまでが本文だ。
 ふむ、当時のヒキタっぽいといえばヒキタっぽくてね。なかなか脂がのってていい感じだなぁ。というのか、考えてみれば、私の人生での一番のモテ期だったかもなぁ(←余計かつ無関係な話(笑))。

 この話、続きをまた次号。
 9年前と今とでは、何かが大幅に変わり、何かが変わらなかった。
 私としては、そうは言いながらも、自転車状況は、若干マシになったと思っているのですよ。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

「正直な肉体」生方澪著 幻冬舎文庫

 前回、前々回、と、このコーナーをお読みになっている方にはおわかりの通り、このところの私は「肉体改造」「自由体操」「プロテインで肉体を引き締めよ」というような手合いの本ばかり読んでいるのであります。
 んで、今回のこれも同じ手合いでしてね、ブックオフオンライン(ネット内古本屋さん)にて「肉体」だの「筋トレ」だので検索していった。で、合計1500円を超えると送料がタダになるんで、1冊150円程度の本を10〜15冊ほど選んで(ほぼ安い順に)まとめてクリック。その中に本書が含まれていたと思いねぇ。

 わはははははははは。
 大間違い。
 本書はポルノでありました(笑)。
 そりゃま「正直な肉体」。どっちにもとれるわな(笑)。

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【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる!(枻出版社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878

【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
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【自転車通勤で行こう】
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