自転車

疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。
と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

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日本社会よ「クルマ脳」から脱却せよの(週刊 自転車ツーキニスト730)

2017/07/17




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┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
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      日本社会よ「クルマ脳」から脱却せよの730号

■「たけしのTVタックル」で

 テレビ朝日「たけしのTVタックル」の自転車特集にて、NPO自転車活用推進研究会の小林理事長がスタジオ出演。孤軍奮闘で正論をカマしてて「さすがは小林さん♪」なんて思っちゃったわけだけど、ま、しょせん「ああいう番組」だからね。言いたくても尺(時間)がなくてカットされてしまった部分も多かったことじゃろうて。

 ところで、昨今どうも不思議なのは、こうした番組で、小林さんなどが「欧米社会では、自転車は基本、車道だよ」というと、ヘンな意見が返ってくることだ。「欧米では、自転車は車道じゃな〜い(゚∀゚)!」とか、ね。
 あれ? じゃあどこ? と聞くと「自転車は、構造的に分離された自転車専用道だ〜」という。
 はあ…(苦笑)、ま、たしかにオランダやデンマークはそういう自転車専用道を着々と整えていて、それはそれでイイコトなんだけど、では、それがないところは? また、つくられる以前は?
 やはり車道なわけですよ。
 今だってそうだ。
 ……というのか、なんかね、昨今、ヨーロッパの先進都市では「全部に構造分離した自転車専用道があるのだ〜、だから日本と全然違うのだぁぁぁぁ」なんて幻想をふりまくヒトがチラホラいたりするんだが、たとえば(最も進んでるとされる)オランダにしても、現実はこんな感じだよ(せっかちなヒトは0:59あたりから、どぞ)。

【The Bike Instructor's guide to cycling in Amsterdam】
https://www.youtube.com/watch?v=sEON08d76oE

 ね、見ての通り、いわゆる自転車レーン(車道にペイント)が有効に機能してる。
 まずはできることから、なのだ。都市交通のインフラなんて、そこまで一朝一夕には変わらない。
 自転車は「基本車道」。んで、その前提に立って、もっと上のランクの安全を求めて「自転車は(特に幹線道路は)完全分離の自転車道」というのが昨今の流れなワケだ。

■自転車は「歩道から出て“非歩道”に」

 ひるがえって我が日本だ。この国の道路状況に「自転車専用道」という選択肢は、ほぼなく、目の前にあるのは「車道」と「歩道」でしかない。
 そのたった2つの中で「では、自転車はどっち?」といえば、これはやはり車道としか言いようがないわけですよ。
 よほど危ないところ(道交法63条4項が定めるような)や、子どもを乗せてふらつくママたちなどは(そもそもスピードも出ないし)、歩道「通行」も仕方ないかなとは思うけど、やはり自転車は基本車道だろうて。
 ここで「自転車は車道じゃなぁぁぁい、自転車専用道を走るのだぁぁぁぁ(゚∀゚)!」つったって、ないものは走れない(笑)。

 まあね、ようやく自転車走行空間のバリエーションが増えつつある中、この数年というもの、私も「車道」ではなく「非歩道」と書くようになった。問題の根本はじつはそこだ。交通弱者が多数いる「歩道」という空間を、右も左もデタラメに走る自転車がかくも多い日本。その現状のことでね。
 この国において、歩道は、ちっとも安全な場所ではない。
 子育てしてるとよく分かるよ。子どもの手を引いてても、ベビーカーを押してても、不埒な歩道自転車の多いこと多いこと。子どものすぐ横をかすめて、歩道爆走のスマホ自転車が行き来する。
「おまえら、みんな歩道から出ろ」と思う。
 同じことはオランダやドイツでは「当然以前」であって、自転車で歩道を走ったりしようものなら、モノスゴイ勢いで怒られるんだから。

 そう、ご推察の通り、じつは話の本質は「車道」ではなく「歩道」なわけですよ。
 私など2006年あたりからずーっと言い続けてるんだが、要するに「車道を走れ」ではなく「歩道を走るな」。これは欧州先進都市でもみんなそう。

■一歩一歩の前進だ

 その他、このメルマガでも、以前、宇都宮を例にとって次のように書いたことがある。ま、この考え方は今でも変わらんな。

【宇都宮の「自転車道」に考える(週刊 自転車ツーキニスト704)】
http://melma.com/backnumber_16703_6479011/

 というのか「ある朝、目が覚めたら、すべての道路に自転車道が敷かれていた!」とかね、そういうドラえもんのような未来が来るならば、いいんだけれど、そんなことは(当然ながら)夢物語に過ぎない。
 われわれは一歩一歩「よりよい自転車社会」のために進んでいかなくてはならん。
 一足飛びではなく、一歩一歩というのが重要でね。
 まずは左側通行、そして交通弱者(一般の歩行者に、高齢者、子ども、ベビーカー、車椅子、白杖などを含む)を保護すること、自転車は歩道外に出、ドライバーに遠慮していただく、違法駐車を取り締まる、ゾーン30なんかもバンバン作る、など、考えることはいろいろあるわけだ。
 先々月施行の“自転車活用推進法”のいいところも、そのあたりにあって、ま、総じて言って(これまた小林理事長の言うところの)「クルマ脳」を排除することだろう。

■日本社会よ「クルマ脳」から脱却せよ

 インフラを作る人々に言いたいんだけど、もうね「車道のチャリは邪魔!」「チャリは構造分離した自転車道に隔離しろ!」みたいな発想だけはご勘弁願いたいわけだ。
 というのか、そういう発想しかできないから、例の虎ノ門や亀戸のような最悪自転車道などは生まれたんであって、ああいうのは、いわば「チャリなんて歩行者に毛の生えたようなもんだろ」という意識の象徴に過ぎない。
 もちろん、それじゃあ駄目に決まってる。
 欧州先進都市に学ぶべきは「まずは自転車は車両」という意識、その上で、車両たる自転車をさらにクルマから分離し、ワンランク上の安全を図ること、なおかつ、中心街などにはクルマを入れず、その先に「クルマ依存から脱却する」。と、そういう意識基盤に立つことだろう。

 まあね、私の住んでいるところはもちろん日本であり、私自身も純然、紛う事なき日の本の国士(笑)であります。当然ながら、ヨーロッパ基準じゃなくて、日本規準で考えるんだが、目下のところ、やはり一番現実的で一番いいのは「左側一方通行で幅広の自転車レーン」だよ。
 経済性でも、快適性でも、即時性でも、なんでもね。ベストとまでは言わんが、ベター。一番バランスがとれてると思う。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

 以上の話、以前と重複するけど参考書籍として次の本をどうぞ。

「ドイツのコンパクトシティはなぜ成功するのか」村上敦著 学芸出版社
 自転車に関しては、特に「4章 マイカーを不便にするコミュニティのデザイン」「5章 費用対効果の高いまちづくりのツール自転車」に詳しいです。

「自転車生活の愉しみ」朝日文庫
 これは、私が16年前に書いた本。
 219〜335ページの「第8章 怒濤のヨーロッパ自転車紀行」「第9章 ビジョン2012」をご覧あれ。この頃ドイツやオランダは着々と「今」を目指していたんだなぁ。特にミュンスター市の「中心街にクルマ入れない政策」と、アムステルダム市の「すべてを自転車で」状況。16年経った今、読んで、拙書ながら、ちょっと感銘を受けてしまいますた.:*゜.:。:.(´∀`).:*゜:。:.ナンチテ。

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【ヒキタ最新刊】
「新・自転車“道交法”BOOK」自転車活用推進法が分かる!(枻出版社)
https://www.amazon.co.jp/dp/4777946207
「電動アシスト自転車を使いつくす本」東京書籍
https://www.amazon.co.jp/dp/4487809878

【好評既刊本】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
「おやこで自転車 はじめてブック」疋田智監修 ぼちぼち自転車くらぶ著 子どもの未来社
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%95D%93c%92q&x=0&y=0

【自転車通勤で行こう】
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バックナンバーはこちら。
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