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宇都宮の「自転車道」に考える(週刊 自転車ツーキニスト704)

発行日:1/26





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┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
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       宇都宮の「自転車道」に考える…704号

■いろいろあった2016年の宇都宮

 いやー、秋の宇都宮といえば、やはりジャパンカップでありましてね。2016年はファビアン“宇宙人”カンチェラーラのラストランで大いに盛り上がった。
 なんでもカンチェラーラ自らが「引退試合はウツノミヤで」と言ったそうで、これでもうあの「ワープ走行」は見られないのかと、多くのファンたちがこの地に集結したわけだ。
 私ヒキタも現地に行き、大いに楽しませていただいたわけだが、驚いたのが、その日曜日の午後だ。

 表彰式も終わろうとする頃、ギャラリーたちに「何だか火事があったらしいぞ〜」という噂が広まり、その後「スゲー連続火事だったらしいぞ〜」と話が大きくなり(事実だったわけだが)、クルマ大炎上の強烈なスマホ画像が出回り、さらには「連続して火事になったのは、連続爆破事件だったかららしいぞ〜」となり(これまた事実)、死傷者が多数出たらしいぞ〜(このあたりから事実を少しずつ逸脱)、こりゃテロしかありえないぞ〜、みたいなことになり、帰り道はえらい渋滞になった。

 もちろんアレだ。憶えていらっしゃるだろうか、元自衛官のじいさんが、人生に絶望して、自宅とクルマを時限爆弾で吹っ飛ばし、自らも爆弾自殺した、あの事件。
 いわゆる「テロ事件」じゃなかったが、迷惑度合い、凶悪度合いでいうと、テロとさほど変わらん。本人以外に死者が出なくて不幸中の幸いだったよ。多少不謹慎ながら現地に居合わせた者として、そう思う。
 ま、国際大会があった! ということを鑑みると、とりあえずはパニックにならなくてほっとした、というのが関係者のホンネだろう。私だってそう思う。
 2020年東京五輪の際に、こんなコト、あんなコト、どの種類であれ、爆発とか起きませんように。

■それとは別に、宇都宮がこれからちょいと(いいぞ)

 と、そんなこととは別に、宇都宮、これからかなりの変貌を遂げる予定らしい。
 というのも、新市長の登板で、今後、この街には、LRT(次世代型路面電車)が敷かれることになったからだ。
 ジャパンカップの会場となった森林公園近く、桜十文字から、宇都宮駅前でJRと交差して工業団地まで。
 もちろん欧州各都市の例を見ても、LRTと自転車の相性はよく、ますますの「じてんしゃのまち」ぶりに拍車がかかるのだろう。
 そのLRTが走る予定の道を走ってみた。
 両端に自転車道が通っている。構造物で完全に車道と分離した自転車走行空間だ。片側(約)クルマ一車線分というくらいだろうか、そこにそれぞれ交互通行で自転車を通すという形だ。
 なるほど、宇都宮市は「やる気」だな。おそらくこの通りを、最新のアムステルダムやコペンハーゲン流に「エコ通り」にするつもりなのだ。この広さなら、交互通行にしても、それなりに安全は保てるだろうし、ママチャリユーザーにとっても福音だろう。
 現在はまだ工事中のところが多くて、自転車道はぶつ切りぶつ切りの連続だが、やがて、それも解消されるのだと思う。ま、そうあってくれないと自転車道の意味がない。

■その形にこだわるな

 ただし、私ヒキタとしては「この道路構造の先!」にある宇都宮市の自転車政策に、若干の危惧をもっている。
 このLRT通りは、これでいいと思う。ここはいわば「象徴」、LRTと並んで、エコはこうあるべきという「理想」を示すためのものなのだから。道路全体だって、こんなに広いんだし。
 しかし、すべての道路で、自転車走行空間がこの形を目指すとなると、それはそれで大いに疑問で、いくつかのデカすぎるハードルが待ち受けている。

 まず第一に、この形はお金と時間がかかりすぎる。
 カネについては、言わずもがな、だ。自転車関連予算は(驚くほど)少ないんだから。
 その上で言うが、こうして物理的に分離した自転車道を通そうとすると、どうしても一大プロジェクトとなってしまい「たかだか400メートル程度に2年も3年もかかりました」というような話になってしまいがちなのだ。首都圏でいえば新虎通りや、青山墓地まわりがそうだったように。
 同じお金と時間があれば、自転車レーンがいったい何キロ、いや何十キロ敷けたことか。

 次に、こうした構造の自転車走行空間のまずい点は、いったん造ったが最後、おいそれと元に戻れなくなってしまうことだろう。
 同じく新虎通りを例にとろう。
 あれは、2メートル幅の自転車道とやらに交互通行で自転車を通したもの(つまり片側1メートル幅、すれ違うのも困難だ)だった。歩道にわざわざ乗り上げさせ、車道からは入れない、という、法にも安全にも逆行するタマラン通りである。それは誰の目にも一目瞭然。
 にも関わらず、いったんこういう工事をやってしまうと、直すには植栽から何から一度すべてをぶっ壊すしか手がない、という絶望的状況に陥ってしまうのだ。
 今後、自転車の交通量が増えても(間違いなく増える)それに対応して、拡幅することもできない。

■3つ目が最もタマラナイ、とヒキタは思う

 そして、3つ目が最もタマラナイ話で、これは現在の日本の状況に関わってくる。
 日本の自転車状況の何がダメって一番なのは逆走が多いという現実だろう。これは本メルマガ読者の誰もが首肯してくれることと思うが、自転車乗りが左右デタラメに走るのがスタンダードである現状。これが自転車にとって最も危険なのである。
 私はこれまで60カ国くらいの国々を訪れたことがあるが、通行方向がここまでヒドい国は日本以外にほぼ見たことがない。先進国であれ、途上国であれ、自転車がある程度普及している以上、その走行方向は必ず定められ、国民はそれを守るものなのだ。「クルマは左側通行!(あるいは右側通行!)」というのと同じく、最もベーシックなルールなのである。
 もちろん日本においては、自転車は左側通行が鉄則である。
 これを守らないと、正面衝突だけでなく、出合い頭事故が頻発してしまう。日本の全交通事故の中で、自転車事故率が高どまりになっている理由のひとつは、間違いなく、逆走、すなわち右側通行が蔓延していることにある。
 ところが、こうした自転車道(交互通行)は、その右側通行について行政が後押しする、という形になってしまうわけだ。

 確かに海外でもこの手の大通りはある。だが、その交互通行の自転車道が終わったところで、路面標示は元通りのクルマと同じ順行通行に導くわけだし、だいいち自転車に乗るそれぞれの人が「自転車は右側!(あるいは左側!)」を知っているから、交互通行が終わったら、自然に右側(あるいは左側)に移っていく。
 ところが我が日本。
 我々のこの国では、自転車の方向について考えている人々が非常に少ないため、たかだか数百メートルの自転車道が終わると、人々はそのまま車道(あるいは歩道に乗り上げて)右側通行をしてしまうことになる。
 結局、ほんの一部(自転車道)の快適のために、ほとんどの自転車走行を危険にさらしてしまうという形になってしまうのだ。
 正直申し上げて、私は「自転車は左側通行」という当たり前のルールが浸透するまでは、この手の交互通行の自転車道をつくってはならないと思っている。

■宇都宮にはブルーがよく似合う

 じつは宇都宮の市当局、そのあたりよく分かっている。
 だから、ここ以外の宇都宮市のスタンダードは、車道左端のブルーゾーンだ。逆走に注意を促すために、必ず矢印マークとともにある。
 この宇都宮という街は、新しい建物が多いし、関東平野の真ん中にあって空が近いため、スカイブルーが街に似合っている。エンジ色が似合う金沢や、ベンガラ色を選んだ京都と違って、宇都宮はスカイブルー。それでいいのだ。
 さらには宇都宮のブルーゾーン、違法駐車車両がふさいでいることが非常に少なくて、実際に走ってみると、本気で走りやすい。

 LRT通りの自転車道は、それはそれで「極太の道路・未来都市のストリート」として造っていただければいいと思う。
 ただし、それはとりあえずここだけでいい。
 オランダだって、およそ半世紀かけてあそこまでやったのだ。ましてや日本。まずは「自転車は左側通行」からスタートし、少しずつ少しずつインフラの整備とルール遵守を手がけていくべきだろう。一足飛びに「構造分離の自転車専用道を!」なんつってもラチがあかない。
 まずは左、ついで自転車レーン、そうして「非歩道」に自転車を導き、ドライバーにも周知徹底を、と、施策に優先順位をつけ、その順番に実施することだ。
 2006年の「自転車の安全鉄則」(朝日新書)に書いた通り、日本の自転車施策にはトリアージが必要なのである。
 そういう地道な努力を続けた末にこそ、真の「じてんしゃのまち」は待っているのだと思う。

(初出「BiCYCLE CLUB」燃えよ自転車おやじ第31回「宇都宮の“自転車道”に考える」2016年11月)

■京都の自転車マップ

 京都の、詳細「自転車マップ」クラウドファンディングのご案内です。
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ご案内をお送りしますので、下記までご連絡ください。

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実施主体 :認定NPO法人 環境市民
       京都自転車マップ制作プロジェクトチーム
問い合わせ:認定NPO法人 環境市民 事務局
      TEL:075-211-3521 FAX:075-211-3531 
      E-mail:life@kankyoshimin.org 
      URL:http://www.kankyoshimin.org 
      〒604-0934 京都市中京区麩屋町通ニ条下る225 
       第二ふや町ビル206 
https://camp-fire.jp/projects/view/10834
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http://www.kankyoshimin.org/modules/blog/index.php?cat_id=5

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 本書は、そのノウハウ、というより実例を分かりやすく述べてくれる。
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【自転車通勤で行こう】
http://tourkinist.jp/classic/
バックナンバーはこちら。
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