自転車

疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。
と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

全て表示する >

不思議な不思議な「ホワイトカラー・エグゼンプション」の(週刊 自転車ツーキニスト604)

2015/02/26

 
 
 
 
 
 
  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
┃ ┗┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳┛ ┃
┗━━┛                          ┗━━┛
  不思議な不思議な「ホワイトカラー・エグゼンプション」の604号

■残業代がゼロになるというけれど

「ホワイトカラー・エグゼンプション」(以下WE)の話であります。
 ネガティブな通称が「残業代ゼロ法案」。特定のホワイトカラー従業員は、今後、いくら残業しても残業代が出ないよん、ということで、これ、国会で「激しく論戦が繰り広げられている」らしい。…のだけれど、ふーむ、そういったニュースを聞くたびに、実に不思議なのだ。

 ホワイトカラー、中でも「高度な事務職」に関わる従業員の労働は、「残業時間」に換算することには馴染まず、あくまで「成果」で評価すべきだ、というのは、分かる。
 んで、WEと。
 そもそも“exemption”ってのは「免除」という意味なんで、ホワイトカラーだけ「残業代を払う義務を免除しちゃうよ TO 経営者」という意味だね。
 そこに野党が噛みついた。
「無制限の労働強化に結びつき、労働者の権利を侵害するものだ」「ますます過労死が問題となる」とね。ここまでも分かる。

 ただ、不思議なのは、その対象となるのは、いったい誰なんだ? という話。

■そんなヤツァいないって

 閣議決定された「日本再興戦略」によると、<労働時間に関係なく成果に基づき給与を支払う、WEの対象>は次のような要件を満たさなくてはならない。

● 年収1000万円以上
● 職務の範囲が明確で(世界レベルで)高い職業能力を持つ労働者

 ふーむ、スーパー・サラリーマンだよなぁ…。
 しかし、この2つを満たす“労働者”って、本当にいるんだろうか。
 というのか、日本の労働慣習にしたがって言うなら、そんな人はとっくに管理職になってて、すでに残業代なんて無縁だと思うのだ。

 政府が、どんな職種、どんな人、を想定しているかというと、厚労省の定義では「企画・立案・研究・調査・分析の5業務」であるそうな。
【同じく厚労省・海外での定義など】
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/s0520-7b.html

 この↑並びを見ても思うんだけど、ふむ、こういう職種で、年収1000万円を超えるような人。名刺にはなんて書いてあるだろうか。いわゆる「ヒラ社員」で、そんな人、見たことあります?
 会社に勤めているなら(大手でも中小でも)すでに“専門職部長(または課長)”とか“スペシャリスト部長(または課長)”とか、各社、さまざまな「専門職(管理職待遇)」を作ってて(その是非はともかく)とっくの昔に残業無関係労働者になっているのが現実だろう。

■しかも、今すでに

 若干、誤解されているような気もするんだが、実は、今のままでも、すでに“裁量労働制”という名で、エグゼンプション、というか、労働時間ではなく成果で給料が決められている職種は多い。
 管理職はもちろんのこと。厚生労働省によると、その数は20業種近くあるという。
 ●理系・文系の研究職、●ソフトウェア開発者、●ジャーナリスト、●デザイナー、●番組のプロデューサーやディレクター、●コンサルタント、●インテリア・コーディネーター、●アナリスト、●金融エンジニア、●大学教授、●公認会計士、●弁護士、●建築士、●不動産鑑定士、●弁理士、●税理士、●中小企業診断士など。
 これ以外に、「●外回りの営業マン」などもその範疇内だ。

 これらの人は、今すでに、エグゼンプション。残業代ゼロ。
 こうなると、WE導入で「新たに」認定されるエグゼンプションは、いったい誰なのだ?
 中には、いるんだろう。そういう希有なシチュエーションの中にいるスーパー労働者が。しかし、それは日本全体の0.何%? 私には何だか「エア労働者」を相手にしているとしか思えん。

■どうしたって優先順位が違う

 いや、ま、こういう議論も大切なことなんだろう。それは分かるよ。
 だがね、聞いててむなしくてならんよ、というのも素直な感想だ。
 対象者がほぼいない。その「いない人」の処遇をめぐって、各党論戦だ。正直申し上げて、時間の浪費だと思う。
 エア労働者について語る議論は、あくまでエア議論でしかないよ。これは別にエグゼンプション導入に、賛成であっても、反対であっても、だ。
 というのは、労働強化、サービス残業、云々を言うなら、もっともっと先に議論すべきことはあるんじゃないかと思うからだ。

 なかなか進まない非正規労働者の正社員化。
 非正規と正規社員の収入格差。
 若い労働者たちのサービス残業の既成事実化。
 高齢フリーターたちの救済。
 大企業と中小企業の格差。
 その他、その他…、と、労働問題は、現在の日本に山積している。どうしたって、議論の順番が違うと思う。
 だいたい、このご時世、年収1000万を超えてるような人に「残業代が出なくてかわいそうね」なんて人がいるだろうか。

 要するに「優先順位」の問題なのだ。
 自転車の世界で言うなら、逆走や、信号無視や、歩道暴走や、歩道上自転車マーク、自転車教育の不在、警察自転車への教育不備、視覚障碍者への配慮レス、などと、タマラン問題が山積しているにもかかわらず、それはおいといて「まず最初にデンマークのような、空中高架の自転車専用道路を造りましょうっ!」なんて主張しているかのようだ。わはは、このメルマガが「週刊自転車ツーキニスト」なんで、むりやり自転車にこじつけちゃったりするわけだけどね(笑)。

【それにしてもスゴ過ぎるコペンハーゲンのスーパー自転車道】
https://www.youtube.com/watch?v=By1DoD3X4Go#t=11

■と、そういうわけで、「+1LANE PROJECT」

 なんだか、東京都も、そろそろ自転車ポジティブに動き出す気配があるのだ。
 ご賛同される方は、ぜひ、次のサイトで「いいね!」ボタンをよろしこ♪
http://plusonelane.tokyo/

-----------------------

【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

「未解決 ?封印された5つの捜査報告」一橋文哉著 新潮文庫

 もうタイトル通りの本で、ラインナップは「住銀名古屋支店長射殺事件」「八王子スーパー強盗殺人事件(ナンペイ事件)」「豊田商事会長惨殺事件」「ライブドア“懐刀”怪死事件」「神戸連続児童殺傷事件」の5つ。
 元毎日新聞記者と噂される覆面ライター・一橋文哉氏の手による本は、常に面白い。
 常に。
 私ヒキタとしても、本書だけではなく、これまで「闇に消えた怪人・グリコ森永事件の真相」「三億円事件」「オウム帝国の正体」と読み継いできたんだけど、一橋本のタマランところは「実に本当らしい」んだけど「ホントに本当なのか、実は誰にも分からない」という部分だ。
 本書に関しても、たとえば「ナンペイ事件」についてそれが言える。
 暗躍する地元のヤクザ、中国マフィア、野望に満ちた夜の女……、その詳細なる記述、深層をえぐる取材、のいちいちが、みな面白すぎるんだけど、それが、最近、急展開した。

【ナンペイ事件:粘着テープから指紋 10年前死亡の男か】
http://mainichi.jp/select/news/20150218k0000e040231000c.html

 もしも、この「指紋一致の話(警視庁発表)」から真相がほぐれてくるとすると、どうにも本書で語られている内容は、荒唐無稽としか言えなくなってしまう。
 なにしろ今回の「指紋の男」はこれまで捜査線上にまったく上がっていなかった人間で、10年前にすでに死亡しているというのだから。
 ま、横溢する「一橋節」をどう受けとるかは、読者の自由だ。
 正しいこともある、が、間違っていることもある。面白いのは事実だ。本当らしく見えるのも事実。ま、そのまま全部を鵜呑みにしないことなんだろう。

-----------------------
【ヒキタ最新刊】
「自転車“道交法”BOOK」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト
http://www.amazon.co.jp/dp/4777931048
「だって、自転車しかないじゃない」朝日文庫
http://www.amazon.co.jp/dp/4022617616
【好評既刊本】
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%95D%93c%92q&x=0&y=0

【自転車通勤で行こう】
http://tourkinist.jp/classic/
バックナンバーはこちら。
http://melma.com/backnumber_16703/
 
 
 
 
 

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-09-15  
最終発行日:  
発行周期:週に1回以上刊  
Score!: 91 点