自転車

疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。
と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

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6年ぶりの「ママチャリとは何か?」の(週刊 自転車ツーキニスト601)

2015/02/06

 
 
 
 
 
 
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     6年ぶりの「ママチャリとは何か?」の601号

■わお、お久しぶりであります。

 お久しぶりです。もう2月になってしまった。鬼は外も、西南西も、もう過ぎ去った昔だ…(@∀@;)。
 いえいえ、ヒキタ、生きておりますとも。すいません、ながらくメルマガが滞っておりました。申し訳ない。

 先日、京都に行ってきましてね。いえね、京都市の自転車施策が、今、抜本的に見直されつつあるわけですよ。
 驚いたことに「ヒジョーに良い方向」に、です。

【先日のメルマガにちょっと書いたけど、この話ね】
http://kyotojitensha.jp/

 とりあえずは「細街路の左側通行促進」「駐輪場の整備」あたりからはじめ、平成32年に向けて「教育」「環境整備」「情報発信」などとロードマップを組み、続々と実行していくんだそうな。
 パブコメでの反応も上々。京都市職員の方々によると、概ね賛成の上に「自転車レーンの整備」「地下駐輪場を」「駐車車両の排除を」など、「なかなか分かってるねぇ」のご意見が多々よせられたといいます。
 今回ばかりは、何だか本気の話で期待できそうで、私ヒキタとしても何だか嬉しいです。
 詳しくは今月20日発売の「BiCYCLE CLUB」4月号に書いたんで、ご興味のある方は読んでみてちょ。

 ……というわけなんですが、その京都の「左側通行推奨」街区を実際に走り、おー、京都市民が左側通行するようになってる!と驚きながら感動しつつ(ヒキタの見た感じでは10台に9台、左側を走ってた。矢印の効果、すごい)、ちょっと心に移りゆくヨシナシゴトがあって、思い返してみたってわけ。
 何を?

 ふむ「で、つまるところ“ママチャリ”って何だ?」ということをね。
 この話、今から6年前に日経トレンディに書いたことがありまして、それ、転載します。
 自転車業界、あまりに動きが早く「ちょっと、ちょっと、古くない? ヒキタ…」という部分もあるけれど、結論は変わりません。お読みいただければ幸いです♪

■ママチャリと非ママチャリの境界線(“日経トレンディ ECO Japan”第16回)

 自転車人口が爆発的に増えている昨今、知り合いからこういう話を聞いた。
「ところで、ママチャリにも最近は2種類あると思うんですよね。従来型の鈍重な安いママチャリじゃなくて、軽快で、きちんと走るママチャリ。フラットバーとか付いてて、それなりのスピードが出るヤツ。ヒキタさんはああいう『ママチャリ』をどう思います?」
 そうなのだ。私も昨今、ママチャリ事情が少しずつ変化してきているとは思っていた。
 フレームはアルミ製で軽く(メーカーによっては完成車重量10kgを切るものすらある)ハンドルはフラット。サドルも従来型より高くして使う設計になっていることから、フラットバーと相まって若干の前傾姿勢がとれる形。さらに、内装、外装を問わずの変速機が充実し、細めのタイヤを履いている。要するに「ミッド・ハイスピード対応」「中長距離対応」となっている。
 ただし、フレームはあくまでスタッガード・フレーム(トップチューブの後端が下に落ちている形。前からフレームを跨ぐことができ、スカート対応という意味合いが強い)を墨守し、前カゴ付きで、見た目の第一印象は「やはりママチャリ」だ。
 空前の自転車ブームの中、こうした自転車を、クロスバイクと従来型のママチャリの間に位置づけ、スポーツ自転車の初心者を取り込もうというのが、このところの日本メーカー各社の戦略だったりするのだろう。ここでは仮に「ハイパーママチャリ」と名付けておくことにする。
     †
 で、実際に私の勤め先の先輩で、そうしたハイパーママチャリを駆る自転車ツーキニストがいたりする。
 この人はずいぶん前から、かなりハードな形で、8段変速・ハイパーママチャリを通勤に使用していて、その自転車で、毎朝、毎晩、青山通りを走る。通勤距離は往復18?。
 一度、雨の日に(!)その先輩と渋谷駅前でわかれて、品川駅前で待ち合わせたことがある。山手線に乗った私(ヘタレな私は、雨の日は電車に乗るのです)よりも、はるかに先に目的地に着いていた。
 カバンを前カゴに載せ、スタイルの基本は、カジュアルなスーツ姿だ。
 うーむ、よくやるなぁと思うのだが、その彼が走るのは、もちろん車道である。左側通行を厳守する。信号も守る。ヘルメットもかぶる。クルマにハンドサイン、アイサインを出しながら、車道の流れに乗って走る。停車時はサドルから前に腰を落として止まる、つまりサドルは適正ポジションに設定されている。
 要するに、彼の自転車の乗り方は、私らの乗り方とまったく同じなのだ。
 彼のハイパーママチャリにはスピードメーターが装着されているから、それを見せてもらったら、平均時速は22km/hと出ていた。彼は確かに「速い人」ではあるが、それにしてもこのスピード。これではクロスバイクと何ら変わらない。4、5万円程度も出すことができれば「現代のハイパーママチャリ」は、ここまで来ているのだ。
「そこまで乗りこなしているんなら、ロードバイクでも、クロスバイクでも乗ればいいじゃないですか」と私が聞く。
 すると、彼はこう答える。
「いやー、ロードやクロスは、この年になると若干、気恥ずかしいんだよ。通勤なのに、いかにも自転車、気合い入れて乗ってますって感じでね。それに、この自転車だって、都内移動には何の不都合もないぜ。スタンドが付いてるから、駐輪も便利だしね」
 ま、私としては別に「気恥ずかしく感じる」必要なんてさらさらないと思ったりするものの、こうした自転車が、いわゆるところの「ママチャリ」という名前にそぐうかどうか。
 私は、そういう彼が乗っている以上、それは「ママチャリ」ではないと思う。
     †
 ママチャリとは何か。
 その定義を一言でいうのは、実は難しい。まあハード面でいうと次のようなことになるだろうか。
 重心が低く、停車時、地面に足がぺったりと付き、乗車姿勢は直立である、すなわちサドルの高さとハンドルの高さに大きな差がある。スタッガードフレームもしくはH型フレームでスチール製。それゆえに重く、スピードが出ない。前提となるのは何と言っても安価であること。長い距離が苦手で上り坂が苦手。そのかわり低速安定性だけは高く、乗っている人の重量がハンドルにほとんどかかっていないため、前カゴに重量物を乗せるのが容易。
 と、こんなところだろう。ただ、実のことをいうと、そうしたハード面はさほど重要ではないのではないかと、私には思えるのだ。
 ママチャリをママチャリたらしめているのは、ひとえに「ソフト」すなわち乗り手本人の問題だ。
 まず歩道を走るのがスタンダードであること、左も右もありの双方向通行を前提としている人が多いこと、安価ゆえか(盗まれてもダメージが少ないからか)置き場所を選ばない人が多いこと、あまりクルマの走行状況に注意を払っていないことなど。そうした、ある意味「自由」であるが、あまり責任や義務を意識しない乗り方に供される自転車、それこそがママチャリなのだ。
 こうした乗り方は、もちろん昭和45年の改正道交法(63条の4「自転車は指定歩道ならば、歩道も通行できる」の誕生)以降、日本に定着してしまったワケだが(ママチャリという言葉自体もその後、つまり昭和50年代に出現したとされる)、その結果生まれたママチャリは、そうした出自ゆえ、ハードというよりも、ソフト面において、世界的にも絶望的にユニークな存在になったといえる。
 一言でいうなら「歩道上を走る、歩行の補助手段としての自転車」ということだ。つまり、ママチャリという自転車は、歩行者と同じ、少なくとも歩行者カテゴリーなのである。
 だから「ママチャリ」というのだ。
 ママチャリというのは「ママさん(一般的に体力面で劣るためにスピードが遅く、子育てで忙しく、地元の狭い範囲でしか使わない)」のための「チャリ(身近なものではあるが、たかがチャリンコ、つまり自転車の“蔑称”)」という意味だろう。そうした自転車は当然、一般的な意味での「車両」とはなり得ない。しょせん「歩行者に毛の生えたもの」なんだもの。
 ママチャリはママチャリという名称を押し戴いている以上、本来の意味での自転車ではないのである。
     †
 それを考えるなら、前述の先輩のハイパーママチャリはどうしたってママチャリではない。
 また、それとは逆に、歩道上をケータイ画面を見ながら走ったりする、右も左もデタラメのMTB・モドキ、クロスバイク・モドキなど(本当に都心には増えましたね)。こちらの方こそが、むしろママチャリの称号に相応しいといえる。
 もちろん従来型のあの形で、歩道上をフラフラとデタラメに走り、信号も守らず、マナーも何もまったくなってない、使い捨てで、遵法精神に乏しく、路上の責任感が皆無の(つまりは日本の中のほとんどの)自転車は、やはり典型的なザ・ママチャリである。また、それとは逆に、アレに乗りながら、しっかりと自転車としての運転をする人も(少数ながら)いる。それもまた間違いないことで、その自転車がたとえ激安中国製の鈍重なモノであっても、そういう人の自転車をママチャリと呼ぶのは、私には抵抗感がある。
 形ではないのだ。
 ママチャリのママチャリ的な有り様は、実は自転車に乗っているその人の心の中にある。
 自転車を「歩行者に毛の生えたもの」と思っているなら、その人の乗る自転車は(たとえどの車種に乗っていようが)ママチャリであり、「自転車は軽車両であり、車道上の責任を有するもの」という意識がある人にとっては、たとえママチャリの形をした自転車に乗っていても、それはママチャリでない。
 その人が乗る自転車は、ママチャリなどという蔑称で呼ばれるべきものではなく、「チャリンコ」でもなく、きちんと「自転車」なのである。
     †
 私は10年以上前、次のようなことを自らの著書や、雑誌記事で語ったことがある。
「自転車(通勤)は、手段でなく、生き方だ」と。
 これと同じことがママチャリにも言えるのではないか。
 すなわち「“ママチャリ”は、自転車そのものではなく、乗り方なのだ」と。
           (“日経 ECO Japan”16「ママチャリと非ママチャリの境界線」2009/3/13)

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