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疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

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【シリーズ2】自転車を「歩道に隠す」から事故が起きる、の(週刊 自転車ツーキニスト575)

2014/09/09

 
 
 
 
 
 
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【シリーズ2】自転車を「歩道に隠す」から事故が起きる、の575号 

■歩道については「ココロの眼」が閉じる

 自転車にとって、車道より歩道の方が危険な理由、その2は、「歩道というものが“二重の意味で”見えないスペースになっている」ことだ。
 どういう意味かご説明しよう。
 交通事故が起きる大きな2つの要因に「認知ミス」と「操作ミス」というものがあるが、クルマと自転車がぶつかる事故のほとんどは、前者、つまり「認知ミス」から起きている。「認知ミス」すなわち「自転車が見えない」ことから起きる事故なのだ。
 これは、ドライバーの立場になってみるとすぐに分かるが、歩道内は、植栽、街路樹、ガードレール、ポスト、その他その他のかげになって、自転車が走っているのが分からない。
http://fast-uploader.com/file/6965782763913/
 いや、こういう場合だけじゃない。
 もしも植栽の手合いがなくたって、ドライバーは車道しか見ていない。歩道というスペースは、ドライバーがいる車道から見ると、あたかも別世界に思えてしまうのだ。
「自分の場合はどうか」と、胸に手をおいて(昭和的表現)考えてみて欲しい。丸いハンドルを握りながら、あなたの目に見えているのは、車道のできごとばかりではないか。前のクルマのウィンカー、信号機、横断歩道には注意していても、歩道上の自転車の挙動については見過ごしてしまう。歩道内については、いわば「ココロの眼」が閉じてしまって、脳が認識できなくなってしまっている。
 自転車の歩道通行は、物理的に、そして、心理的に、クルマから自転車を隠してしまうのである。これが「“二重の意味で”見えないスペース」の意味するところだ。

■「邪魔だな」は「見えている」ことのあかし

 それでも、自転車が、その歩道をずうっと行けるのならばまだいい。だが、永遠に続く歩道など、あり得ない。どんな歩道であれ、交差点になると、自転車は歩道から車道に出てこざるを得ないからだ。
 そのとき、別世界だったはずの歩道から、不意に自転車が出現することになる。いなかったはずの自転車が、いきなり姿を現すのだ。
 あ、危ない!
 ここで事故が起きる。交差点での事故は、全自転車事故の7割を占めている。自転車を除く交差点での事故率は4割に過ぎないにもかかわらずだ。
 次の記事が示す通り、歩道がクルマにとっての死角になっているからだ。
http://fast-uploader.com/file/6965781596105/

 最初から、車道(の自転車レーン)にいれば、見えているのである。車道の自転車は、クルマから「邪魔だな」「危なっかしいな」と思われるかもしれない。だが、邪魔だなと思えるのは、見えていることの証拠だ。そして、見えているものには、人は対処できるのである。
 逆に、歩道の自転車は、クルマから見えない。見えないものに人は対処できない。

■「自転車をクルマに見せる」宇都宮の事例

 このことを理解し始めた自治体は、次のようなソリューションを始めている。
 これは宇都宮の例だが、こっちが「使用前」。自転車レーンを敷く前だ。
http://fast-uploader.com/file/6965783187513/
 こちらが「使用後」。自転車レーンの位置と、歩道の幅に注目していただきたい。
http://fast-uploader.com/file/6965783214378/
 歩道を削って、植栽を自転車レーンと歩道との間に移し、自転車の存在をクルマから視認できるようにしている。
 ここだけではない。「自転車のまち」を標榜する宇都宮市は、市内の越戸通りなどをはじめとして、車道側に自転車レーンを続々と敷いた。自転車レーンをクルマから見やすいところに配置することで、自転車の事故を4割減らした(宇都宮大学森本教授らの調査による)。
 こういう分かりやすい事例が、日本国内に(しかも関東に!)あるというのに、なぜ東京都は今さら「ママチャリだから歩道」なのだろう。
 繰り返そう。本質は「ママチャリにとっても歩道は危険」なのだ。

■安心と安全は別だ
 
 ここで一応言っておくと、まあ、私にしても、満更ワカランではないのだ。歩道の方が何となく安心で、車道は何となく不安だって気持ちは。
 これは昭和45年からもう40年以上も「自転車=歩道」政策を続けてきた(その結果、自転車事故が先進国中突出して多くなってしまった)日本で暮らす我々の偽らざるところだろう。
 ところが、現実は違う。
 歩道の方が安心かもしれないが、実は危険。車道は不安かもしれないが、実は安全。
 こっちの方が真理である。
 安心と安全は違うのだ。
 このことを(特に東京都庁関連の人は)ハッキリ胸に刻んでいただきたい。

■歩道には「交通弱者」がいる

 さて、自転車の立場からだけで言うわけじゃない。
 実は、一番重要なのは、ここから後の話である。
 そもそも歩道はいったい誰のものかという話だ。ベビーカーは? 車椅子は? 白杖は? お年寄りは? 子どもは?
 そこに縦横無尽に、左右デタラメに、自転車が走ることの意味は、いったい何で、その結果、どのようなことが起きているのだろうか?(以下次号に続く)

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 休載。
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  • 名無しさん2014/09/09

    ますます快調ですね(^o^) どんどん言うたれーーー

  • 名無しさん2014/09/09

    歩道の自転車走行については、全くその通りです。先週ロンドンに出張してましたが、交差点では車道の車の停止位置の前数メートルにわたって、自転車の信号待ちスペースがあります。初動は自転車の方が早いから合理的な考えだと思いますが、都庁の役人もロンドンとか視察してるはずなのに何見てるんでしょうか。

  • 名無しさん2014/09/09

    いつも楽しく読まして頂いています。先日の、TBSの番組もみさせて頂きました。本当の交通弱者である老人や、赤ちゃん、子供を守るためにも、自転車が車道にて、快適に走行できるようにしないといけないと思います。子供と歩道を歩いていても、ヒヤッとすることも多く、気が抜けません。宇都宮のような素晴らしい自転車道。東京都でも実現して欲しいですね。そうすれば、通勤も怖くなくなり楽しいのですが。。

  • 名無しさん2014/09/09

    全くその通り。都政を蔑ろにして海外を飛び回っている舛添都知事は何をしに行っているのか。実際何も考えていないことがよく分かる内容でした。一日自転車で都内を回って欲しいものである。

  • 名無しさん2014/09/09

    安心と安全(危険)の話こそ、皆に理解して欲しい事だとあらためて感じました。

    警察の中途半端な啓蒙で、車道逆走自転車が増えている気がしてなりません。なんとか改善できないものでしょうか。

  • 名無しさん2014/09/09

    要するにドライバが自転車を認識しているかどうかが問題ということですね。しかし歩道の自転車側としては交差点などでクルマに注意すれば済むことです。しかし車道の場合は後から来るクルマに命を預けるしかない。追い越して行く多数のドライバの中には小さな自転車など認識していないのが必ずいる。特に夜間などはこの危険性は大です。私は63条熟知しており日常MTBで走っていますが殆どの場合歩道を走ります。70才以上というせいもありますが。実際茨城県では時々追突死亡事故も新聞に載っていますよ。疋田さんはドライバが交差点で歩道の自転車を見落とすからとか言いますがそんなドライバだったら車道の自転車だって見落とすことも十分考えられます。また車道は交差点と違いクルマの速度も速いですから死亡事故になる危険が多いです。桝添知事の見識の方が疋田さんよりはるかに常識的と思います。