自転車

疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。
と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

全て表示する >

【ちょいと重要】またもやおかしなモノが出てきた(週刊 自転車ツーキニスト497)

2013/01/17

 
 
 
 
 
 
  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
┃ ┗┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳┛ ┃
┗━━┛                          ┗━━┛
        またもやおかしなモノが出てきた497号

■東京都のヘンな“自転車条例の内容案”

 またもやおかしなモノが出てきたよ。
 まずは、次のリンク先に出てくる、東京都の「自転車の安全で適正な利用を促進するための条例に盛り込む主な内容案」とやらを、ダウンロードして読んでいただきたい。

またまた件の「東京都 青少年・治安対策本部」であります。
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/koutuu/07_jitensha-iken.html

 一読。これ、ほんっとに見下げ果てた内容の、じっつに下らないシロモノだな。これで都議会にかけるつもりなんだと。
 本気で思うんだけど、これを書いたお役人ってのは、どんなお方なんだろう。世界の情勢も知ろうとしない、交通行政に関する大局観もない、目の前のちっぽけなホコリだのチリだのしか見えない、ケツの穴極小タイプ人間なのではないか? ということだけが、よーく伝わってくるよ。とにかく規制規制規制規制努める努める努める努めるのオンパレード。
 よほどナンバープレート条例案の「却下!」が気にくわなかったんだろうけれど、とにかく自転車が嫌いで、邪魔で、「自転車を使っている人よりも、迷惑を受けている人の方が多い」(前回の“有識者懇談会”座長発言・ちなみに「根拠はありません@座長」)とのご認識に、変更はないらしい。
 全体を通じて何が言いたいんだ?
 私がかわって一言でいってみよう。
「自転車を規制することに努める」「自転車を不便なモノにすることに努める」「自転車を追放することに努める」というに尽きる。
 あら、三言になってしもうた。

■国の方針と“真逆”の都方針

 いやまあ何ともはや……、後ろ向きだよねぇ。
 そもそもで言うなら、エコ、健康、交通死亡事故削減などの観点から、世界の潮流が自転車を向いているのは明らかな事実で、それをしていないのは日本だけという現状だ。別にドイツやオランダ、デンマークだけを言っているわけじゃない。アメリカ、そして、あの韓国や中国(!)でさえ、都市交通としての自転車を推進しようとしている今、なにゆえ、この日本の首都で、こんな「内容案」が出てこなくてはならんのか。
 そして、もうひとつ、政権交代後、少なくともデフレの脱却、円高の是正に向かって努力している中(是非はさておき(私は是と思うが))、代表的輸入品目である原油は間違いなく上がる。いや「上げる」というのが、国をあげての流れだ。
 自転車という化石燃料を使わない移動手段は、今後ますます注目されざるを得ないというのに、国と首都の方向性が真逆を向いてどうする。
 とにかくこのくだらなさ、自転車のことを知らないこと、自転車に対するネガティブさ加減と言ったらない。
 短い「内容案」だけれど、合計7章の中に、誤解と、悪意がてんこ盛り。
 ひとつひとつあげてみようか。まずは1からだ。

■「自転車道」も知らず、勝手に「教育指針」を決めようという愚

 まずは「1 都に関する規定」からだ。

1 都に関する規定 
(1) 自転車の安全で適正な利用に関する都の施策及び都民等の取組を総合的に推進するための計画を策定し、公表する。 
(2) 自転車の安全で適正な利用に関する教育が効果的かつ適切に行われるよう、教育指針を作成し、公表する。 
(3) 自転車の安全で適正な利用のための点検・整備が適切に行われるよう、点検・整備指針を作成し、公表する。 
(4) 自転車道、駐輪場等の整備が有効かつ適切に実施されるよう、区市町村等と連携して必要な措置を講ずる。

 総合的やら、適正やら、適切やらが、何を意味するのか不明だが、そもそもこれをどんなヤカラが、どんな指針のもとに「適正」を策定するのかに、まったく信頼性がない。
 というか、前回の「有識者」とやらをみても、どれほど無知蒙昧の人々が、どんなにひどい詭弁を弄して、こういう危ないモノに関わるか、もう火を見るより明らかだろう。
 なんつっても「自転車を使っている人よりも、迷惑を受けている人の方が多い」(前回の“有識者懇談会”座長発言・ちなみに「根拠はありません。by座長本人」)でありますぞ。
 その連中が勝手に「策定し、公表する」って、あーた、無理して「策定し、公表」せんでもよろしい。そもそも自転車の有り様を理解する知力がないんだから。

 いいですか? だいたいが、この中の“(4)自転車道、駐輪場等の整備が有効かつ適切に”の部分。
 自転車道というものが、国交省と警察庁によって「今後の自転車の走行空間」としては不適切(少なくともベストではない)と否定されていることも知らないのだろうか。

下記リンク先の「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を参照のこと。
http://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_000300.html

 この分厚いガイドラインを見ていただければ分かるが、おおざっぱに言うなら、推奨すべきは車道上の自転車通行スペース、すなわち「自転車レーン(自転車専用通行帯)」なのである。
 それなのに、都が目指すのは「自転車道、駐輪場等の整備」ときたもんだ。
 駐輪場の後に言い訳のように「等」を付けてるだけ。あげられているのは“自転車道”オンリー。選択肢ゼロ。自治体の条例が国の指針を超えるんつもりなんじゃろか? 勝手なことを言うんじゃないよ、もう。
 この第1章からして、すでにアウトの「内容案」。本気でワケが分からないが、次からも噴飯ものの記述が続く。

■内容の分からないものに、積極的に協力せい!(とほほ)

 次に「2 自転車利用者に関する規定」である。

2 自転車利用者に関する規定 
(1) 自転車を安全で適正に利用し、かつ、都の施策に積極的に協力する。 
(2) 自転車の安全で適正な利用に必要な技能・知識の習得に努める。 
(3) 安全性に関する基準を満たす自転車の利用に努める。 
(4) 都の点検・整備指針に従った自転車の点検・整備に努める。 
(5) ヘルメット、反射材等の利用に努める。 
(6) 自転車利用中の交通事故で他人に与えた損害を賠償できるよう、損害賠償責任保険への加入等に努める。

(1)からして、トバしにトバしてるよなぁ。
 安全で適正に利用し、は、まだいい。“適正”が何を意図しているのか不明じゃが、道路交通法を守り、“自転車安全利用五則”を守り、車道左側を走りましょう、ということが適正であるとしよう。
 だが、次の「都の施策に積極的に協力する」の頭ゴナシな規定はなんじゃね。
「都の施策」とやらの内容がなんらワカラン中、協力なんかできるものかね。
 たとえば青山墓地横の“都道”319号線のおとぼけっぷり。

これ、私のレポートがあるんで読んでちょ。
http://www.goocycle.jp/column_hikita/vol44/index.html

 こんなの、東京都内・都道マネジメントのほんの一例に過ぎんが、まさにこれこそが「都の施策」なのだ。
 墓地の横で居眠りしてる駐車タクシーの列は保証され、その列に阻まれるのが自転車で、その横の極小対面レーンを正面衝突の危険にさらされながら行くのが「都の施策」。こういうあほらしい話に「積極的に協力」せねばならんのかね。
 他にも山手通り、けやき通りなど、都が施した自転車カンチガイ施策は山ほどあるが、こういうのを一つ一つ見ても、都のアンポンタンぶりは分かろうというものだ。そのアンポンタンを知りながら「積極的に協力する」? いやはや都民自転車利用者もいいツラの皮。
 あたしゃ、なんだか「慶安の御触書」を見た、お百姓の気分だよ。
 へえへえ、内容は知らずしてもオカミに逆らうな、へえへえ、茶を飲むな、へえへえ、夜は縄をなえ、麻と木綿以外着るな、雑穀を食え、自転車に乗るな……。なんちて。

 その他の項目は、一見、安全のため、事故防止のためにみえながら、いちいち「努める」「努める」のオンパレードで、なんら積極的な効用をもたない。
 こんなものに、なんの都条例の意味がある。
 だいたい(何遍だって何万遍だって言うんだが)そういう安全性、法例遵守の真の実効性を考えるなら、まずは警視庁警察官の自転車から始めるがいい。
「(2)安全で適正な利用に必要な技能・知識」を持ってる白チャリなぞ、現状のところ、皆無だろう。
「(5)ヘルメット利用」の警察官がどこにいる。万世橋署(警察ヘルメットを定めた署)の近く(すなわち秋葉原)にいても、そんな警察官、ついぞ見たことないぞ。
 市民に「努めろ」「努めろ」言うより、まずは、都。そして、警視庁警察官から襟を正したらいかがか。

■現状において、もっとも噴飯ものの「3」

3 事業者に関する規定 
(1) 自転車通勤をする従業者が、自転車を安全で適正に利用できるよう、都の教育指針を踏まえた教育、情報提供等の必要な措置を講じるよう努める。 
(2) 自転車の駐車需要を生じさせる事業者は、その需要を満たす駐輪場所の確保、又は、顧客、従業員等に対する駐輪場所の案内等に努める。 
(3) 自転車通勤をする従業者のための駐輪場所の確保、又は、その従業者が駐輪場所を確保していることの確認をしなければならない。(違反事業者の勧告・公表あり)

 例によって「努める」「努める」が2発続いた後、もちろん問題なのは(3)だ。なにが「勧告・公表あり」だって。
 それを言うなら、まずは“都が”駐輪場を作ることが先決だろう。
 そういったことを、まったくしてこなかったのが、残念ながら、この東京都だ。
 放置自転車対策、駐輪場の設置は、これまで区市町村や、鉄道事業者、そして、様々な民間努力に、任せっきりだった。都は完全無欠の“無策”だったのである。それでも(都以外の努力によって)都内の放置自転車は10年間で4分の1にまで減ったのだ。

 今さらどのツラ下げて「一般の事業者への罰則付き義務」をうたうのだろう。なんらの努力も、なんらの対策もしてこなかった、当の「都」が。
 恥ずかしくないのだろうか。
 今回のこれは「都条例」の内容案なのである。
 都条例を定める以上、肝心カナメの都はどうした。
 こういうのを「市民(citizen)の努力の上にあぐらをかいた行政」という。こんな行政、要るか? これなら「都」なんて必要ないではないか。
 なすべき順番がまったくちがう。こんなふざけたことを許してはならない。

■とにかくパブコメだ

 続きはまた次号。
 5章の「ピスト規制(このメルマガ読者諸氏ならご承知の通り、私はノーブレピストの公道走行は許し難いと思っているが、この規制についてはもっと反対だ)」、7章の「任意の登録制度」など、巨大問題点はまだまだ多々ある。
 これ、徹頭徹尾、ダメ条例案の典型だろう。誰ぞが(いったい誰だ?)何らかのルサンチマンを引きずって、ヒステリーを起こしているに過ぎない。
 パブコメ提出の期間は、わずかに10日間。〆切は来週の金曜日(1/25)だ。是非とも“反対”パブコメを。いや“全否定”のパブコメを。
 数がモノをいう。
 都民、非都民を問わず、是非お願いしたいとヒキタは切に思う。都在住でない方々とて、これは人ごとではない。なぜなら、都の条例は、やがて必ず他道府県に波及するからだ。
 一族郎党を引き連れて(笑)、この「安全の美名に隠れた自転車に対する悪意」に対して「NO!」を突きつけていただきたい。

送り先のフォームは下記。
https://cgi.metro.tokyo.jp/cgibin/cgi-bin/fmail_input_disp.cgi?dep_id=4507&scr_id=f001&lang_opt=00
またはこのページから
http://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_000300.html

 私が思うに、フォーム内の項目「内容案の中から、御意見の対象となる箇所を入力してください」にあげるべきは、特に問題のある次の項目ではなかろうか(本来「全部だっ!」と言いたいところだが)。

1(1)(2)(4)、 2(2)、 3(3)、 4(1)、 5(1)(4)、 6(1)(2)(3)、 7

 あれま「努める」項目以外は、全部が全部になってしまった。「努める」にしても意味不明ゆえ同意できないことばかり。
 このことひとつをとっても、私ヒキタは「衣の下の鎧」という印象を持ってしまうのだが、いかがだろうか。

-----------------------

【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

 休載。書くべき本は色々ありますが、書いてる時間がないのです。すいません。

-----------------------

【ヒキタ最新刊】
大好評発売中!
「自転車はここを走る!」小林成基(NPO自活研)と共著 こやまけいこ:イラスト
http://www.amazon.co.jp/dp/4777922618/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1330299258&sr=1-1

【好評既刊本】
「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%95D%93c%92q&x=0&y=0

【自転車通勤で行こう】
http://tourkinist.jp/classic/
バックナンバーはこちら。
http://melma.com/backnumber_16703/
 
 
 
 
 

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-09-15  
最終発行日:  
発行周期:週に1回以上刊  
Score!: 非表示