自転車

疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。
と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

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最初からバイアスがかかっているじゃないか、の(週刊 自転車ツーキニスト484)

2012/09/25

 
 
 
 
 
 
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    最初からバイアスがかかっているじゃないか、の484号

■それぞれがそれぞれに解決すべき問題を

 毎日毎日、尖閣、竹島関連のニュースを聞くに、もう腹の立つことばかりで、自転車のことなんて“のんびり”話してる場合か……っ! なんて思ったりもするんだが、そんなこと言ったって、私などが「立ち去れ、中国人!」なんつっても、残念ながら無力だ。
 人それぞれ、できることを片付けていくしかない。目の前の自分の問題を解決していくしかないのだ。……というわけで、例の「自転車ナンバープレート」の話である。
 しばしお付き合いを願いたい。話はまだ全然終わっていないのだ。

■森地座長から返事メールをいただいた

 例のナンバープレート&デポジット制がうたわれた提言書「自転車問題の解決に向けて」なんだが、これを提出した「東京都自転車対策懇談会」いわゆる“有識者懇談会”というヤツのことだ。
 これがなかなかイカした懇談会でね。森地茂座長(政策研究大学院大学教授)は、この報告書を都に提出するに際して、次のような言葉を口にしたものだ。

「自転車を使って便利さを感じる人より、自転車から迷惑を受ける人の方が多い」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012091102000105.html

 ふーむ、これ、何の根拠で、こんなことを言ってるんだろうか。
 私など、目の前にクエスチョンマークが飛び交うばかりで、言わんとすることがほぼ理解できない。じゃが、自転車馬鹿は、自転車馬鹿なりに理解したいんで、ご本人、森地茂座長に、直接メールした……、というのは、482号でお伝えした通り。

 で、返事が返ってきた。
 梨のツブテにしない、自分の言葉に責任をとる、というご姿勢は、さすが、とは思う(これは本気)が、問題はその返事の中身である。
 森地座長、驚いたことに、この言葉の根拠はないという。
「申し訳ありませんが、データに基づく話ではありません」なのだそうだ。
 これ読んだ瞬間に、私などは、もう“目が点”なんだが、ならば、なぜデータも根拠もなく、こんな公の場で「便利より迷惑」なんてことを断言できるのだろう。メールで、森地座長、根拠らしきことを次のように答えている。
「ただし、駅前や歩道で自転車台数より歩行者数が多い事は一般的であることから、この様に」
 ……。
 目がさらに点。というか、点になった目が〇次元の彼方に飛んでいってしまったよ。
 これが“有識者”懇談会の座長のセリフなのだ。
 なに、これ? どこにどう説得力を見つければいいのだろう? たとえば日傘を差している人は、差していない人より少ないから「迷惑を感じている人が多い」ということになるのか。横に渋滞しているクルマの数はさらに少ないから「クルマは迷惑」なのか。
 公の場で断じた「便利より迷惑」の根拠はコレだけなのだ。
 さすがは“有識者”の座長。いやまあ、とほほ、というか、失笑しかない。
 というか、これで「学者」を名乗れるご神経ってのは、いったいどうなんだろう。

■つまりは、ご勝手なご印象

 もちろん、こんな根拠とやらに、意味などまったくない。
 実証的見地も、学問的精査も、完全にゼロ。ただ単に、ご勝手なご印象と言うだけだ。いやはや、おエラい方もいらしたものだと思うが、単なるご印象だけで、個別の交通手段の命運が決まろうというのである。
 まあ、いい。本当はよくないが、いい。
 少なくとも今回の森地先生のメールで分かったことは、この先生は、ご勝手なご偏見と、ご勝手なお思い込みにまみれて、今回の報告書をおまとめになった、ということだ。

 おわかりだろう。
「自転車問題の解決に向けて」と称する、この報告書は、最初からバイアスがかかっているのである。

 ただただ「自転車は迷惑、邪魔」という思いのもとに作成され、自転車をとにかく邪魔者扱いの中に封じ込めようという、ただそれだけなのだ。
 言い過ぎ? いやいや、これ実は、この座長のセリフだけではない。

■懇談会の構図とは?

 懇談会の出席者、複数名(少なくとも5名以上)に聞いたところ、全員が全員「あれよあれよという間に話がずんずん進んでいき、気づくと“ナンバープレートとデポジットしかない”という話になってしまっていた」と証言した。
 ある人など「反対しようにも、発言の機会など与えられようもなかった」という。「結論は最初から決まっていたような雰囲気だった」のだそうだ。
「議事録」という「会議発言“抄”」を読んでみても、雰囲気はつかめると思う。
 たとえば冒頭の「森地先生が座長でいいですか?」「では、副座長に岸田先生を」というくだりだって(いかに慣習とはいえ)あれよあれよ、だ。トップ2が最初から決まってる。そして、お二人のご意見は最初から「自転車は迷惑」でご一致だ。
 だって、この岸田孝弥副座長という人、例のあの人ですよ。
 06年から07年にかけての道交法改正騒ぎの中「自転車は歩道通行で、何が悪いのー!」とか甲高い声で仰ってた、あのお方だ。あのときは、なぜか(笑)この方こそが“有識者懇談会”とやらの座長だった。各方面から(多少お気の毒なほどに)コテンパンにやられて、もう自転車のことなど関わりもしないだろうと思っていた。
 ところが、5年を経て、なぜか甦ってきたのである。
「帰ってきたウルトラマン」なのか、はたまた「単なるゾンビ」か……。
 もちろん後者に決まっているんだが、こういう座長・副座長の黄金コンビが「自転車を使って便利さを感じる人より、自転車から迷惑を受ける人の方が多い」」などという思い込みのもとにデッチ上げてしまったのが、今回の提言書なわけだ。
 もうバイアスは100%どころか、座長・副座長で200%。いや、相乗効果で250%(笑)。
 それだけで、もう最初から無効、というのが、私の「印象」だが、さすがにそんな印象だけで決めてはイカンと思うので、次の号より、この提言書がどこまでダメかを実証的に論じ、自転車問題の解決に向けての代案を示していこうと思う。
 その前にちょっと前提だけを。

■日本の自転車問題の本質とは?

 別に、私だって日本の自転車に問題がないとは言わない。それどころか、数々の著書で示してきた通り、問題山積だ。日本の自転車マネジメントは、良く言ってガラパゴス、悪く言ってデタラメとしか言いようがなく、その結果、先進国ワーストワンの自転車事故(数も率も)を、常に、叩き出している。
 これが前提である。
 日本(今回は東京)の自転車状況には、間違いなく問題がある。これは自転車というものに携わる、すべての人に共通する認識であろう。
 なかでも、“今回”問題となっている点はふたつ。

(1)自転車がルールとマナーを守らないこと、その結果、自転車事故が非常に多いこと(特に歩道上)。
(2)放置自転車(盗難自転車)対策に、多大なお金がかかっていること。

 そして、その日本の自転車問題をつくっているのが、先進国中どこにも類例がない、異常ともいえる“現状”だ。

現状(1)自転車が歩道を走行することがスタンダード(先進国中、世界のどこにも例がない)
現状(2)自転車が左右デタラメに走ることに何の疑念もない(先進国中、世界のどこにも例がない)
現状(3)自転車というものが、1人あたりの国民所得に比較して極端に安すぎる(先進国中ダントツで)
現状(4)警察官からして、自転車ルールを100%無視している(先進国中、世界のどこにも例がない)

 以下次号。というか、また明日。

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 ふーむ、しかしだなぁ……。この人の本は毎度そうなんだけど、タイトル、キャッチフレーズの付け方は絶妙なんだよね。でも、その後が続かない。確かに魅力あるタイトルからスタートするんだけど、なるほどという展開、説得力ある提案などに乏しいのが常だ。今回は特にそう。
 空き家率、居住ブロックのイメージ調査、住みたい地域、愛着度、ほか、これでもかとばかりにデータが示されるものの、結局のところ言ってることといえば、良くいって「穏当」、悪くいえば「当たり前」だ。早い遅いはあれ、いずれにせよ今後人口が減少していくしかない東京において、外側から減るよ、都心は有利だよ、イメージのいいところも有利だよ、今後イメージが良くなるのは、このあたりだよ……、というのが、漠然と示されているに過ぎない。
 では、見捨てられた“オールドタウン”が、“ゴールドタウン”になるためには!?
 これが途中に出てくる設問だ。“G”があるかないかで天国と地獄。ちょっとうまい。座布団1枚。しかし、これまた、キャッチフレーズ作りや言葉遊びが巧み、というだけで、結論は、規制緩和、シェアハウス(オフィス)など、どこかで聞いた話か、現実味のない話のオンパレードとなる。
 うーむ、三浦氏、今が正念場とみた。

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