自転車

疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。
と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

全て表示する >

今度は読売!悪意のメチャクチャ記事の(週刊 自転車ツーキニスト451)

2011/11/21

 
 
 
 
 
 
  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
┃ ┗┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳┛ ┃
┗━━┛                          ┗━━┛
      今度は読売!悪意のメチャクチャ記事の451号

■ちょっと唖然とする「交通局長発言」

 またもへんてこな、というか、滅茶苦茶な記事が出たなぁ(;_;)。今度は読売新聞だ。
 何だか読売新聞、話の根本をワザとねじ曲げているような気がするんだけど、それは後で述べるとして、本紙記事はこんな感じ。

http://or2.mobi/index.php?mode=image&file=17580.jpg

 本日付(11/21)3面「スキャナー」の、この自転車特集で、警察庁・石井交通局長は「前かごに荷物を積んだ人などは歩道で良い」などというワケの分からない基準を示している。少なくとも読売新聞はそう報じてるわけだ。
 ふーむ、ワカラン。
 前カゴに荷物? どこのどういう条項だ? ひょっとして何か新たな法律でもできて、今回の局長発言は、それに基づいているのか?
 私ヒキタ、寡聞にして、まったく知らないんだが。

 というのか、この見解、もしも交通局長が本当に言ったとしたなら、それ自体が大問題である。前かごに荷物を積んだら歩道? それはいったい何グラム? いったいどこにそういう法的根拠が? 自転車安全五則との整合性はどこに? まさか局長が「恣意的にご判断した結果」なんかではありませんよね? という話。
 よろしい。
 もしもそうでなければ、それはそれで、今度は別の意味で大問題になる。もちろん読売新聞が交通局長発言を勝手にねじ曲げて報じたことになるからだ。
 前者なら交通局長の咎であり、後者であれば読売新聞の咎。
 いずれにせよ、どちらかが大問題を抱えていることだけは間違いない。それは一体どっちなんだろう。
 ウェブでの記事はこちら。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111121-OYT1T00219.htm
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111121-00000227-yom-soci

 ふーむ、交通局長談話の部分、読むと「かごに荷物」どころじゃないスゴさを湛えてるな。
 本紙では「徐行なら歩道構わない」という、もっと過激な小見出しが踊ってるよ。

http://or2.mobi/index.php?mode=image&file=17582.jpg

 いやまあ、しかし、これ、一言でいって、無茶苦茶ではないのか。
 交通局長のいう「構わない」のは、単なる歩道ではなく、“自歩道の場合”でしょうが(@∀@;)。
 本メルマガ読者なら、誰もがご承知の通り、自転車が歩道を通っていいのは、大まかに次の3つしかない。

●自歩道の場合(自転車の歩道通行可の標識がある場合だ)
●お年寄りと子供の場合(13歳未満の児童幼児もしくは70歳以上の高齢者のことを指す)
●車道が特に危険な場合(幹線道路で道路工事など車道の左端がふさがれている場合など)

 この3つにおいて「徐行ならOK」なのだ。
 おおもとに立ち返って言うと、歩道というものは「徐行なら歩道構わない」ではなく「自転車は、基本的に歩道を通ってはならないが、やむを得ず歩道を通る場合、必ず徐行」である。
 見出しのままでは、あからさまに「ブーッ」。道交法違反であります。
 交通局長は、一度、道交法を一から学んだ方がよろしい。というか、この記事の内容が事実ならば、交通局長など早いところお辞めになった方がいいと思う。

■唖然以上の悪意すら感じさせる読売新聞の曲解

 と、ここまでだけでも、何とも困った話なんだが、しかしながら、私ヒキタ、今回の記事内容については、とある疑問を拭えない。
 石井隆之交通局長は、果たしてこの通りの発言をしたのだろうか、という根本的な疑問だ。

「前かごに荷物を積んだ人などは歩道で良い」
「徐行なら歩道構わない」

 この2つを本当に言ったなら、警察庁の担当局トップからして、自転車行政に関して無知、デタラメ、道路交通法違反推奨、ということになるわけで、これ、一般的にいうと、普通に「不祥事」ってヤツであります。
 しかし、本当にそうなんだろうか。警察庁の交通局長ともあろうヒトが、こんな初歩的な間違いをするだろうかね。だいたい例の「通達」は、この交通局長名で出てるんですぞ。
 私ヒキタ、いつもなら、ヒジョーに素直な人間なんで(本当)、新聞が報じていたりすると「ふーん、この交通局長、変なやっちゃなぁ」なんて普通に受け止めたりするんだけど、今回はちょっと事情が違う。
 なぜならば、この記事全般が、なーんとも信用できない、ということを示す、次の箇所があるからだ。
 引用してみよう。

「第1次交通戦争」と呼ばれ、交通事故死者が過去最悪の1万6765人になった70年、車道の交通量が多い一部の歩道で、自転車走行を可能とするよう同法が改正されたのを機に状況は変わっていく。
 改正の効果もあり、同年に1940人だった自転車運転中の死者は、5年後には約35%減の1254人にまで減少。2007年には「13歳未満と 70歳以上、身体障害者」に限定する一方、駐車車両や工事などのやむを得ない場合には歩道走行が出来るとし、昨年の死者は658人にまで減った。

 つまりは「自転車を歩道に載せた結果、5年で自転車事故は35%も減った」という話。
 この部分だけ読んでると「おー、自転車は歩道を走ると事故が減るんだ」という気がするでしょ?
 ところが、これがまったくのウソ。

■悪意でねじ曲げた情報は、こうなるという見本

 下記↓ウェブサイトの4番目のグラフをちょっとご覧いただきたい。

http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/6820.html

 見ていただければ一目瞭然。昭和45年からの5年間で減ったのは自転車だけじゃない。単に「交通事故全体が減っている」というだけなのだ。特に歩行者や原付の減少率に注目すると、自転車よりもはるかに減っている。
 しかもですよ……。
 グラフをよく見ていただければ分かるけど、これ、5年でなく、3年で切ったらどうなるだろうか?
 または10年で切ったら?
 30年なら?
 いずれも「自転車の事故低減率は、他の交通手段に較べると、いちじるしく低い」ということになる。

 自転車事故は昭和45年から数えると、3年目から4年目にかけてスポンと減るんだけど、この期間だけが、自転車の事故が何とかまがりなりにも「減った」と言える、非常に珍しい、奇跡のような時期なのだ。自転車歩道化の愚策40年にも及ぶ中で、この1年だけが特殊なのである。
 その特殊な1年を含んだ期間をわざわざ選び、それで「(一部の歩道で、自転車走行を可能とされたのを機に)自転車の事故が減った」と主張する、この感覚。これって、そのまんま絵に描いたようなデマゴーグの手法ってヤツではないか。
“改正の効果「も」あり”の「も」の部分にしても、モロ卑怯だよね。
 なぜ“改正の効果で”と書かない。間違いだと分かってるから,最初から逃げを打ってるわけだ。

 しかも(まだあるのよ、根本的な事実が)。
 しかもですよ。

 道交法を改正し、歩道政策を実行した昭和45年から48年までの自転車事故数が、ほぼ横ばいであるという事実だ。
 これはつまり、有り体に言って、自転車の歩道政策が、事故低減に何ら役立たなかった証拠にほかならないではないか。

 35%も減った? よくもまあそんなことがシャーシャーと言えるもので、それどころか現実は、およそ40年にもなる全期間を通じて、自転車事故は、他事故に較べ、減る率が低く、いたずらに全事故中のパーセンテージを上げるばかりだった。日本の自転車政策(もちろん歩道デタラメ政策のことだ)が間違っていたということを如実に物語っているだけなのだ。
 それをあえて「奇跡の1年(本当は集計方法が変わっただけとヒキタは推測するんだけれど)を含む5年間」だけを切り取り,読者に見せつける恣意性。
 これ「何らかの意志」があるという以外に、捉え方があるだろうか。

■つまるところ「ためにする報道」

 つまるところ、この記事は最初から結論ありきで書かれた記事なのである。
「最近、自転車がチョーシづいてるから、叩いちまえ。だいたい車道を走ると邪魔なんだよ、チャリンコはよ」というような感じの悪意。これこそ紛うことなく、この記事の本質だ。
 そこに登場させられて「徐行なら自転車カマワン」とか言わされてる局長の方が、いいツラの皮というべきだろう。

 だってね、これを二人がかりで書いた読売の記者たち。いやしくも記者たるもの、この程度のデータの読み取り方くらい出来ないはずがないのだ(そうでなければ記者稼業なんて、廃業した方がよろしい)。
 最初にグラフを見て「あー、参ったな、これ。自転車の事故、別に歩道にあげたことで減っちゃいないよ」なんてことは、すぐに気づくはず、気づいていたはずだ。
 ところが、それをあえて逆にねじ曲げ「自転車は車道は危険、歩道が安全」というウソを印象づけようとする操作。
 今回のこれ、先日の日経の比ではない悪質さだろう。

 日経の時は単に「データを引用する際に文言を間違っちまった」→「訂正するのヤだから誤魔化しちまえ」というものだった。日経には「卑怯」はあったけど「邪悪」はなかったと思う。
 ところが、今回は「邪悪」そのものである。
 知っていながら嘘を言う、読者を意図的にミスリードする、というトンデモないものだ。

 タイトルが“「自転車は車道」迷走”。
 そうか。迷走していること自体を私は否定しない。
 ただ、迷走させているのは、はたして誰か? どこのどちらさまが、自転車の将来、市民のあり得べき交通、そして安全を踏みにじっているのだろう。

 私ヒキタは、正直申し上げて、こうして他メディアや警察を批判する話なんて書きたくはないのだ。こんな喧嘩、売ったところでイイコトなんてひとつもない。自分の世界を狭くするばかりだし、時間だって浪費するだけだ。
 だけど、ここまで馬鹿馬鹿しいことを、読売という権威と影響力のある紙面でやられたら、言うしかないではないか。これは皮肉でも何でもなく本気で言っている。
 それに、読売の記者の中に、有能で話の分かるいい記者がたくさんいることだって、個人的には、よく知っているつもりだし、庶民的なイメージとは裏腹に、誇り高く知性に秀でた記者がたくさんいることだって知っている。
 それなのにこの体たらくだ。
 読売新聞は、このような、自らの誇りや信頼性を捨て去るような記事を、このまま放っておくつもりだろうか。

-----------------------

【ヒキタ最新刊】
平積み好評発売中!(出たばっかり)「明るい自転車質問室」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
http://www.amazon.co.jp/dp/4487805538/ 

地味に好評発売中!(真面目にじわじわ浸透中)「自転車 困った時の即効お助けマニュアル」成美堂出版
http://www.amazon.co.jp/dp/441530995X/

【好評既刊本】
「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書 大好評発売中!
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%95D%93c%92q&x=0&y=0

【自転車通勤で行こう】
http://tourkinist.jp/classic/
バックナンバーはこちら。
http://melma.com/backnumber_16703/
 
 
 
 
 

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-09-15  
最終発行日:  
発行周期:週に1回以上刊  
Score!: 91 点