自転車

疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

環境、ダイエットに効果抜群。どなたにもオススメの「自転車通勤」ですが、そのノウハウやポリシーを色々な人にお伝えするメルマガです。
と、思ってたのですが、ただ単に私ヒキタからのバカメールが届きます。ご容赦。

全て表示する >

立つんだ、ジョォォォー!の(週刊 自転車ツーキニスト412)

2010/12/15

 
 
 
 
 
 
  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
┃ ┗┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳┛ ┃
┗━━┛                          ┗━━┛
        立つんだ、ジョォォォー!の412号

■実写版「あしたのジョー」

 いやー、実写版の「あしたのジョー」である。
 来年2月に公開予定で、この映画、TBSが大いに関わっていることもあって、赤坂の巨大オーロラビジョンで、連日「立つんだ、ジョォォォー!」と、予告編がバンバン流れてる。

 矢吹丈(ジョー)役が山下智久。力石徹役が伊勢谷友介。白木葉子役が香里奈。私ヒキタ的には、ナイスキャスティングである。納得の布陣、というより、あまりにそれっぽすぎて驚きがないとすらいえる。
 そして、丹下段平役が、実力派、香川照之。
 年齢、キャリアから考えても、現在の脂のノリ具合から考えても、これまた「大納得」、というか、この映画の一番の見所は、むしろ脇役・香川がどう段平を演じるかにかかっているとすらいえよう。

 ……とね、美しく語るには、香川照之、あまりに「正念場」過ぎる。
 というか、香川照之、仕事を選ばないな。スゴい勇気だ。いや、蛮勇。いやそれでも足りない。もはや侠気である。彼は、なぜこんな大事な時期(彼にとって)に、わざわざ危険な正念場に足を踏み入れねばならなかったのだろうか。

■マンガだからこそ

 だって、丹下段平だよ。
 隻眼アイパッチで、ハの字チョビ髭で、出っ歯で、段々ハゲ頭で、鼻が赤い、丹下段平。普通に考えて「そんな人いない」よ。ところが、あの風貌のまま、シリアスドラマを演じようというのだ。
http://www.ashitano-joe.com/
 ね。すごいでしょ。
 ストーリーは(当たり前ながら)シリアス。だが、段平だけはギャグ。そうとしか見えない。だって、現実にこんなヘンな人はいないんだから。もしいたとしたら、それは「段平のコスプレ」もしくは「仮装行列」だけだ。

 マンガにはマンガの文法、見え方というものがあって、現実にいたら、化け物としか思えないもの、たとえば「顔の半分が目玉、中にお星様が一杯キラキラ」であっても(そんな人、現実には絶対にいないのに)、シリアスドラマを演じることは可能だ。
 ちょっと前の少女マンガには100%そういう無理があった。でも、マンガ世界は難なく成り立った。
 それは、一言でいうなら、それが「マンガだから」だ。
 あくまで「絵の上」。マンガ世界に関しては、読む脳が、それを勝手に現実世界に変換してくれる。すると、脳の中で化学変化が起きて、本来、過剰なもの、有り得ないもの、が、むしろ普通方面に変換されて、結果「個性的なキャラ」として落ち着く。大袈裟な言い方をすると、これがマンガ表現のメカニズムなのである。
 拳キチのおっちゃん、すなわち、丹下段平は、いわばそういう存在の代表的なひとりだった。だからこそ、あの風貌で成り立った。
 いや、アル中で拳キチでドヤ街に流れ着いたかつてのブルファイターは、あの風貌でなくてはならなかった。だが、繰り返すが、それはあくまでマンガゆえに、なのである。

 今回の配役も、よく見れば分かる。
 山下智久は、決してジョーのようなヘンな髪型をしてないし、伊勢谷友介も力石のようなアゴを持たない。香里奈にもきちんと鼻の穴がある(当たり前のようだが、ちばマンガに限らずあの時代の「マンガの美人」は、鼻の穴がないのがスタンダード)。
 ところが、香川だけが、隻眼アイパッチで、ハの字チョビ髭で、出っ歯で、段々ハゲ頭で、赤っ鼻。マンガそのままなのである。
 他の登場人物は、すでに実写(現実)向けに変容しているのに、彼だけ、マンガ世界の異形のまま。比較対照すると、もはや異形とすらいえない浮きっぷり、異様さだ。

■香川照之の「正解」は?

 大河ドラマ「龍馬伝」の岩崎弥太郎役、「坂の上の雲」の正岡子規役など、今、最も脂ののった実力派中堅俳優としての定評、いや、もはや“名優”の名すら勝ち取ったかにみえる香川照之である。私もそれを認めるし、私はこの俳優が好きだ。
 しかし、だからこそ、なぜそんな大事な時期に。
 謎である。謎ではあるが、間違いなくここは正念場だろう。

 ひょっとしたら、かくもたまらないディスアドバンテージを乗り切って、それでも丹下段平を演じきるのかもしれない(そうだとしたら、それはもう天才だ)。そして、さらなる名優の名を勝ち取り、役を選ばない香川としての凄みまで得るのかもしれない。
 だが、今回はかなりハードルが高いな。
 というのか、思うのだよ。
 なぜ、彼はあえて火中の栗を拾ったのだろう。今の香川ならいくらでも仕事を選ぶことは可能だったはずなのに。
 じつはここに香川の幼い頃からの趣味、というか、ポリシーが関わってくる。

 香川は、自他共に認める大のボクシングファンだった。
 役者としてメジャーになる前には、ライターとしてボクシング雑誌に原稿を書いていたほどだったという。今回「あしたのジョー」の話がきたとき、自分自身、幼い頃からボクシング好きで、ボクシングに関わってきたのは、この映画のためだった、と悟ったそうだ。
 そりゃ、引き受けるだろう「あしたのジョー」。ボクシングマンガ(のみならず、すべてのマンガの中でも)の最高傑作「ジョー」なんだから。
 して、香川の役は……。
 ジョーや力石じゃない。それは本人だってそう思っている(はずだ)。龍馬でなく弥太郎、真之でなく子規であったように。でも、西やウルフ、ましてや青山などでは、あからさまに役不足だ。
 では?
 考えてみれば、香川の役は段平しかありえないのである。

 ボクシングマニアの彼は、これまでの人生と、ボクシングマニアの名と誇りにかけて、この役を演じなくてはならなかった。彼はいわば、段平役をやるために、役者になったのである(過言)。
 ダダン、プオーッ♪ ダダン、プオーッ♪(←分かっていただけますか「あしたのジョー」テーマソングの前奏であります)

 歴史の渦は、必然のように彼を導いていった。
 そして、その渦の真ん中に待ち構えていたのは、もちろん丹下段平、すなわち「隻眼アイパッチで、ハの字チョビ髭で、出っ歯で、段々ハゲ頭で、赤っ鼻」の異形キャラだった。
 笑ってはいけない。人生、本当になにが待ち構えているかワカラン。
 って、そんな結論でいいのかと思うが、私は心より願う。センパイ、頑張ってくれ。

■引き続き、東京書籍、質問大募集

 というわけで、東京書籍の5作目についての「ご質問大募集」再び、であります。
 すでに怪編集者・ヤマコーからは「こんなに来てます、これだけですでに面白いっす、笑えます、ギャグっす、エロっす」という言葉とともに、多数のご質問がきているんだけど(ありがとうございます)、引き続き大募集。
 というか、私も読むのが楽しみです。よろしくお願いします。

【東京書籍よりお知らせ(再掲)】「自転車に関するお悩み」募集について

 東京書籍では、疋田智さんとドロンジョーヌ恩田さんの新刊『明るい自転車相談室(仮)』の発刊に向けて、メルマガ「週刊自転車ツーキニスト」読者の皆さんの自転車に関する悩み・質問を募集いたします。
 自転車に乗っていると、自転車ならではの悩みや失敗談が出てきます。その悩みや失敗にドロンジョーヌ恩田と疋田智が軽妙に答えます(答えるはずです)。

 どんな質問でも結構です。
 どちらかというととち狂った質問も歓迎いたしております。たとえば……。

Q.夫が、私(妻)より自転車を大事にしている様子です。どうしたらいいですか?(30歳・主婦)
Q.健康のために自転車を始めたいのですが、どうにもモッコリパンツが恥ずかしくてはけません。あれは必ずはかなくてはならないものなのでしょうか?(38歳・会社員・男性)

 とまあ、私の貧困なる発想力ではこの程度しか思いつきませんが、もっと強烈で、もっとぶっ飛んだもの、もっと個人的なもの、もっと深刻なもの、もっと笑えるもの、もっとイッちゃったもの、など、いずれも大歓迎です。

●質問が書籍に採用された方にはお二方のサイン入り書籍をプレゼントさせていただきます。発送は書籍発刊後1週間程度です。

●書籍には質問のバックグラウンドがわかる程度「ペンネーム/職業/年齢/性別」の表記をします。基本的に匿名です。

※取得した個人情報は、書籍での質問事項、「ペンネーム/職業/年齢/性別」の表記、およびプレゼント発送の目的以外での利用は致しません。

 質問はアドレス下記のアドレスまでお願いします。

b.nayamimuyo@gmail.com

 以下のフォームをコピペしてご活用ください。どうぞよろしくお願いします。

--------------------コピペ用------------------

質問:

ペンネーム/職業(なくても可)/年齢/性別

プレゼントの送り先



--------------------コピペ用------------------

 というわけです。私ヒキタからも、どうかよろしくお願い申し上げる次第です。
 ドロン女史はもちろんのこと、セクシーに答えてくれることでしょう(ヒキタの勝手な想定)。

-----------------------------

【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

※自転車本シリーズその6
「世界で一番長いハネムーン 10年間88カ国をめぐるタンデム自転車の旅」 宇都宮一成 トモ子著 風濤社

 前回の、のぐち本に引き続き、今回も世界一周もの。今度は「手引き」ではなく「旅行記」だ。
 実のことをいうと、この本に関しては「今まで紹介が遅れてすいません(@_@;)」というくらいである。何のことかというと、本書は間違いなくオススメ本だからだ。
 大傑作っ! と声高にいうようなテイストじゃないが、じわじわと、いいね、これ、もしかして傑作なんじゃん? というタイプの佳作。
 これまでも「世界一周もの」「自転車旅日記もの」の本は、色々多数あったんだけれど、私が思うに、このジャンルでは、これこそがナンバーワンだ。しかもダントツで。
 その理由を言うなら、おそらく、夫婦二人で旅することで、客観性を保ち続けることができたこと、つまり(一人旅のように)ナルの海に沈まなくてすんだこと、そして、この夫婦二人が「世界一周に自転車で出かけるような人」と思えないほどに、普通で好ましい人柄であることだろう。

 全495ページの大長編旅行記。でも、10年88カ国だもの、その分量にして、なお駆け足にすら感じられる。
 本書は夫と妻の掛け合い日記のような形で進んでいく。北米、南米、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、と、文字通りの世界一周。その間、色々な人と知り合いながら(海外放浪自転車旅をしている日本人は、こんなにたくさんいるのか、とちょっと驚く)、事件に遭いながら「長いハネムーン」は続いていく。
 色々な出来事を乗り越えていけた原動力は、おそらく二人の類い希な「いい人ぶり」だ。中でもダンナの一成氏。読むごとに「いい人だなぁ」という気がするし「こんな人と友だちなら楽しいな」と思わせてくれる。しかもなかなか筆が立つ。ちなみに私はアフリカ編のパート2が好き。
 お互いはお互いを「一成君」「トモ子さん」と呼ぶ。10年経っても初々しい。常時ハネムーン状態。たぶん今でもそうなんだろう。読み終わると、読者はこの夫婦の友だちとなっている。

 ただひとつ。私が惜しいと思うのは、この本、もしも、訪れるごとの国のデータや国情、特徴、歴史などを短く載せることができたなら、という部分だ。
 今、走っているところがどんな国か? というのがよりよく分かれば、それぞれの旅のエッジも立っただろうし、「楽しみながら学べる世界地理」という側面もできたと思う。
 思うに、自転車旅こそ、その土地と一番身近につきあえる旅だ。それはたぶん本にしてもそうで、こと「身近」という意味では、これ以上、世界を身近に感じられる本もないかもしれない。

-----------------------

【ヒキタ最新刊】
平積み好評発売中「自転車ツーキニストの作法」SoftBank新書
増刷出来!「ものぐさ自転車の悦楽」マガジンハウス

【好評既刊本】
「自転車会議!」(片山右京・勝間和代・今中大介・谷垣禎一と共著)PHP研究所
「自転車の安全鉄則」朝日新書 大好評発売中!
「今すぐ使えるクロスバイク図解マニュアル」大泉書店
「ロードバイクで歴史旅」木世(えい)出版社
「自転車をめぐる冒険」「同・誘惑」(ドロンジョーヌ恩田と共著)東京書籍
「それでも自転車に乗り続ける7つの理由」朝日新聞出版
「自転車生活の愉しみ」朝日新聞出版
「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index=books-jp&field-author=%E7%96%8B%E7%94%B0%20%E6%99%BA/249-6371737-5693951

【自転車通勤で行こう】
http://japgun.infoseek.ne.jp
バックナンバーはこちら。
http://www.melma.com/mag/03/m00016703/ 
 
 
 
 
 


規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-09-15  
最終発行日:  
発行周期:週に1回以上刊  
Score!: 91 点