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疋田智の「週刊 自転車ツーキニスト」

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年末に「地方イメージ」を考える大晦日の(週刊 自転車ツーキニスト377)

2009/12/31

 
 
 
 
 
 
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       年末に「地方イメージ」を考える大晦日の377号

■大晦日だねえ

 わー、もう大晦日だ。参った参った。
 いかがお過ごしですか? このメールを読んでいる、ということは、比較的落ち着いているということなのでしょうかな。ま、「参った」とか言いながら、私も落ち着きました。
 昨今、年を越すことのハードルが、以前に較べたら格段に低くなったとはいえ、ま、それでも年末年始は色々だ。慌ただしいといえば慌ただしい。私としては、曲がりなりにも大掃除もしたし、引き出しや押入の整理もしたし、お年玉を渡す準備などもしたし、ということで、東京を離れてしまった。
 現在、私はカミさんの実家の岐阜に来てます。

「岐阜の年末」といえば、やはりこれは、豪雪地帯……、しんしんと降りしきる雪景色……、合掌造りの家にいて、大家族が囲炉裏を囲んでいて、爺さんが縄を綯い、草鞋を作っている……、と、そういうスペシャルな風景を思い浮かべてしまうわけだが(実は私も結婚当初はそういう姿を思い浮かべた)、もちろん幻想である。
 カミさんの実家は、岐阜は岐阜だが、名古屋駅から名鉄電車で30分もかからない。フツーの住宅地、名古屋のベッドタウンである。オヤジさんの前職も高校の先生であって、もちろん縄も綯わないし草鞋も作らない。
 豪雪地帯の合掌造りは「飛騨高山地方」というヤツなのだ。しかもかなり奥地である。その奥地であっても現実として囲炉裏を囲んでいる家庭は1%にも満たないであろう。
 ついでに言うなら岐阜県地方はおおまかに4つに分かれていて、豪雪地帯の飛騨高山、名古屋に近い美濃地方、大垣など京都に近い西濃地方、多治見・中津川などの東濃地方とあるのだそうな。広いな、岐阜。

■地方のステレオタイプイメージ

 地方のイメージが確立されている……、というと聞こえがいいが、イメージがどうもヘンな具合に固定されている地方というのがある。
 故ナンシー関女史(青森県出身)も嘆いていたが、代表的なものが青森県で、青森出身というと誰もが必ず「実家はリンゴ農家……」というのを思い浮かべるのである。現実をいえば、リンゴ農家なんて全青森人口の5%にも満たないはずだ(たぶんもっと低い)。それなのに、青森県民の実家=リンゴ農家。これは日本人全員の共通認識であろう。
 青森出身の青少年たちは、今日も全国のどこかで「いえ、皆さんそう言われるんですが、ウチは違います」と、ワケのワカラン誤解を解いていることであろう。
 私の出身地、宮崎・日南地方も、考えてみれば似たようなもので、青森ほど強烈に「○○農家」なんてのはないものの、イメージとしては、フェニックスや椰子の木が生えた海岸沿いで、南国土産でも販売している、というのがいいところだ。
 人によっては真顔で「宮崎でも、冬になったら長袖着るんですか?」と聞いてくる人もいる。ハワイあたりと勘違いしている。長袖どころか、ちゃんと寒いです。炬燵も出します。霜もおります。霜柱も立ちます。

 ただ、学生服の上にコートを羽織るという習慣はなかったな。
 学生服を着たら、それで冬の服装は終わり。それ以上には寒くならない。だから、大学受験で東京に出てきたとき、東京の高校生たちが学生服の上にコートを羽織っているのを見て、おー、大人っぽい! アタマ良さそう! 都会的だ! おシャレだ! とか思ったものだ。正直言って、気圧された。
 というわけで、これから受験に挑む九州の高校生諸君は、東京のコート高校生に気圧されないように。別に彼らは「都会的だから」そうしているわけではなく、ただ寒いから、というか、単に習慣でそうしているだけなんだから。
 ただね、昨今のヒートアイランド現象というか、都市温暖化の中、東京は暖かくなったからねぇ。もはや平均気温で言っても、宮崎県とあんまり変わらん。
 実際、今、岐阜に来てみて「寒いな、岐阜」とか思ってるもの。いや、ホントのことを言うなら、岐阜が寒いんじゃない。東京が暖かすぎるのだ。
 特にこの2年、港区(都心です)でマンション暮らしを始めてから、床暖房以外の暖房器具をまったくと言っていいほど使わないもの。エアコンもストーブも全然スイッチを入れない。都心はワケがワカランほどに暖まっているのだ。ビーカーの中のカエルだ。
 あと、東京の高校生たちは、学生服を着なくなったね。私服が当たり前の都立高校は言うにおよばず、私立高校もあまり制服を定めなくなった。ブレザーの高校も減ったよ。

■ゴーン、ゆく年くる年……

 って、いや、話がかなりずれてしまった。
 私が言いたいのは「飛騨のイメージ」「青森のイメージ」など地方のステレオタイプイメージを、ここまで強固に決めているのは、いったい何か、ということなのだね。
 何かと問われれば、要因は色々あるかもしれないけれど、その中の一つに「紅白」と「ゆく年くる年」は絶対にあると思う。
 昨今、視聴率が落ちてきたとはいえ、それでも家族で炬燵を囲んでじっと見る大晦日のテレビ番組。炬燵の上には蜜柑、子供は数日前にもらったばかりのクリスマスプレゼントをいじり倒しながら、お父さんはウイスキーとハム&レタスだ。それは日本人の誰もが一度は経験するマジョリティとしての年の越し方だったはずだ。
 そういう12月31日に、ブラウン管の中に映し出される「これでもか」のステレオタイプ映像。飛騨は豪雪の中の合掌造りで、青森はリンゴで、南極は越冬隊で、清水寺は行列で、日本野鳥の会は、赤白のボールを数える。
 我々善良なる日本人たちのイメージが固まらないわけがないのである。我々は毎年年末になるたびに「岐阜=豪雪地帯」「青森=リンゴ農家」を擦り込まれてきたのだ。

 ただね、それはそれで悪くはない。いや、むしろ懐かしくも楽しかった“原風景”だよ。
 もしも自分が青森出身だったら……? と思う。
 会う人会う人に「ご実家はリンゴ農家で?」と聞かれても、私はニッコリ笑って「いえ、たいへん残念なことですが、ウチは違うんですよ」というだろう。
 そうした個性、イメージというのは、必ずしも悪くはないものだ。
 少なくとも、何もかもが均質化され過ぎて、ノッペラボーになってしまうよりもはるかにいい。
「BiCYCLE CLUB」誌連載中の「日本史の旅は自転車に限る!」で日本全国を巡るようになってから、常に日本の地方を見続けてきた。特に不況といわれるようになってから、どこに行っても、ユニクロ、イオン、餃子の王将ばかりで、地方のノッペラボー化は日々着々と進むばかりだ。

 実を言うとね、カミさんの実家、この岐阜県岐南町に来てみても、その実感をあらたにするのだ。
 バイパス沿いの風景は、これはもう日本全国どこに行っても変わらん。住宅地のありようもまったく変わらん。して、それはそれで、あまり面白くないことだとも思うのだ。

■というわけで、よいお年を

 というわけで、よいお年を。
 2009年は、確かに自転車ブーム元年であった。このブームがよりよい形で2010年にも続かんことを。

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 と思っていたら、サイコどころか、殺人者だらけだった。ペット惨殺、異臭騒ぎなどを発端に、マンションは血みどろの惨劇の舞台となっていく……。
 とまあ、そういう感じのノンストップ・ホラー小説。
 それにしても、こんなマンションを買っちゃったら悲劇だなぁ。夜中に読んでたら、結構、怖くなった。分譲マンションを買ったばかりの人に、ぜひオススメ(←悪趣味)。いや、冗談ではなく、結構面白いです。
 この小説の成功ポイントは二つ。一つ目は「分譲マンション」という、もはや引き返しのきかないタマラナイ舞台を、ホラー小説のステージとして設定したこと。
 そして、もうひとつは、とある意外な何モノかが、主人公の女性を救うというプロットだ。この「何モノか」は、ホラー小説に慣れた人でも、なかなか想像し得ないはず。この何モノかが、こんなに陰惨な小説なのにも関わらず、読後感をどこか爽やかにしてくれる。救われる。
 いかがっすか、年始のおめでたい時期に、こういう本を読むのも一興かと。
 特に分譲マンションにお住まいの方(←しつこい)どうぞ。

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  • 名無しさん2009/12/31

     よくぞ岐阜をPRしてくださった。

     岐阜県はPRが下手なため、他県の多くの方々に、飛騨高山は信州にあり、白川郷も北陸と思われているようです。

     サイクリングに適した交通量の少ない道路網も整備されていますが、こういった地域の財産も十分にPRされていません。

     書かれた目的、趣旨とは異なりますが、岐阜を丁寧に説明してくださったことに県民として感謝します。

     片山右京さんが一日も早く立ち直ることができますよう、お祈りしております。