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田舎は必ずしも、の(週刊 自転車ツーキニスト304)

発行日:4/17


 
 
 
 
 
 
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┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
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          田舎は必ずしも、の304号

■バージニアの銃撃事件

 自殺した犯人も含めて、死亡者数が33人。
「またか」と思った人も多いだろう。
 犯人の動機など、詳細については今後の捜査と取材を待つしかないが、東京新聞(またはAP通信)のインタビュー記事に、私は「あれ?」と、ちょっとした違和感を持った。
 事件の現場となったバージニア工科大学の1年生・アンディ・オーデンソーさん(19)は、次のように語ったという。
「とてもショック。都会で起きるような事件が、こんな田舎で起きるなんて信じられない」
 はたしてそうだろうか。
 実は私はかなり違うと思うのだ。

 2001年の末に、アメリカ東南の地方部ばかりを取材して回ったことがある。そこで見たアメリカの風景は、我々日本人が「THIS IS アメリカ」と思うものとは、あまりに食い違ったものだった。空き家が多く(その多くはうち捨てられている)、クルマが古く、貧しげで、閑散としていて、こう言ってはなんだが、荒れ果てていた。
 ニューヨークやロサンゼルスなどの「表のアメリカ」とは違う、何か違和感のようなものが強烈に残った。
 アメリカに詳しい人に言わせると、アメリカの地方で「地元のコミュニティが崩壊しているから」なのだという。

 たとえるなら映画の「BACK TO THE FUTURE」あたりが分かりやすいのだが、あの映画に出てくる主人公マーティをはじめとする登場人物は、85年にしても、55年にしても、確かに地元コミュニティの中に生きていた。ハイスクールの先生もちゃんと権威を持っていたし、町の中心ロータリーに住む浮浪者にさえ名前があった。主人公たちはちゃんとその名前を呼んでいた。
 ところが、それが壊れてきたというのだ。
 同じく映画で考えてみるなら、90年代の真ん中以降、確かに何かが変わっている。
 たとえば「ツインピークス」にしたって「羊たちの沈黙」にしたっていい。その他その他のほとんどのスリラー映画の犯人は、必ずこうした「アメリカの地方」に住む、離れた一軒家の小太りのヘンなアンちゃん(またはオジさん、たまにオバさん("ミザリー"など))だ。自分勝手な妄想の中に入ってしまって、目がイッちゃってる。
 もちろん映画というフィクションの中だから、コレがそのままリアルというわけではなかろう。だが、スリラー映画が、より「恐怖」を掻き立てたいならば、いかにもありそうな身近な設定こそが近道であるのも事実だ。
 我が町(村)にはワケのワカラン人が住んでいる。いや、隣人からしてワケがワカラン人になりつつある。アメリカにはそういう状況が確かにあるのだ。

 地元コミュニティの崩壊の理由は色々あるとはいうものの、その一つ、過度のクルマ社会に原因を求める人も多いという。
 クルマで職場に行き、クルマで家に帰ってくる。買い物は大規模スーパーに週一回。これもクルマで出かけ、クルマで帰ってくる。地元との付き合いがあるのは、地元の学校に通っていた幼少期の時のみ。それ以降はまったく交流がない。それぞれがそれぞれの勝手な人生を生きている。そういう人々が増えてきているのだという。
 その中で、日本で言うところの「引きこもり」に近い状態が増える。そこまで言わなくとも、地元と没交渉の人々が増えた。これがアメリカの地方の現状だというのだ。
 犯罪というだけではなく、メタボリックシンドローム(アメリカのおデブさんは、我々の想像をはるかに超えてるよね)にしても、アメリカの「地方病」というべき症状だと見る人は多い。

 これまでの銃乱射事件を振り返ると、有名なコロンバイン事件をはじめ、舞台のほとんどが地方だ。乱射事件は、冒頭の「都会で起きるような事件がこんな田舎で起きるなんて」どころではない。逆なのだ。
 はっきりというなら、アメリカの地方は「壊れはじめている」のだろうと思う。暖かい田舎、人との関わりが細やかなカントリー、などというのはもはや幻想なのである。どこで誰がイッてしまおうと、それへの処方箋は、地方コミュニティにはもうない。
 だが、似たような傾向は、日本にも顕れ始めてはいないだろうか。
 私には、日本の地方でも確実に「緩やかなコミュニティ」は崩壊しはじめているように見える。地方経済の不振など様々な原因もあるとは思うが、このところの大事件、猟奇事件が、地方で起きがちだ、という傾向には、別の理由もあると思えてしまうのだ。
 その理由の一つに「過度のクルマ依存社会」はないだろうか。その結果としての「没交渉」はないだろうか。
 ドイツやオランダなど、欧州諸国の様々な町が、自転車を導入することによって、町の中心商店街の再興を促し、コミュニティを取り戻したことに、何かのヒントはないだろうか。

 自転車人ヒキタとしての、いささか我田引水の感もある見方ではあるんだが。

■今日の産経に「馬脚」?

 本日付(4/17)産経新聞朝刊に、なんだかイヤな感じのする記事が載った。
 詳しくは下記を参照なんだけど、

http://www.sankei.co.jp/seikatsu/seikatsu/070417/skt070417001.htm
 
 この記事の中、「警察庁交通安全企画課の課長補佐、井沢和生さん」は「語気を強め」ながら「(歩道上の)歩行者がいる場合の徐行」を訴えつつ(これはいい)、次のように語っている。

 ならば、狭い車道を大型ダンプが行き交って危険な場合でも自転車は、人が多い歩道は走れない。どうすればいいのか…。「最初に言ったことを思いだして」と井沢さん。「自転車を降りて押し、歩行者として歩道を通ればいい」のだ。

 警察庁のホンネが、やはりこういうところに出る。
 この課長補佐のアタマの中において「自転車は車道通行が原則」というのは、どうもお題目に過ぎないように見える。車道をシェアしよう、なんて考え方は恐らくほぼ皆無だ。
 私などに言わせるならば「狭い車道を大型ダンプが行き交うような通り」であるなら、一方通行にするなり、大型車両の通行を制限するなりして、車道の安全を確保すべきだと思うが、この課長補佐の解決策は「自転車を降りて押し、歩行者として歩道を通ればいい」なのだ。
 これは実質的な車道通行禁止であるだけでなく、「自転車排除の道路」を容認するということではないか。
 こういう人がこれからの自転車に関する法律を運用するわけだ。
 ちなみに、この交通安全企画課というのは、2/9の自転車議連で、例の"パンドラ発言"をしてくれた、横山課長、早川企画官が所属する部署である。
 なんだか「喉元過ぎれば」という言葉がアタマに点滅してしまう。
 産経新聞も産経新聞だと思う。
 そもそもこの記事が醸し出す「何かイヤな感じ」の最大の理由は、全体に漂うトーンだ。
 いわば「自転車は歩道通行が当たり前で、その上に今回の法案がある。今法案の骨子は、歩道通行をする際の徐行だ」とでもしているように。実際、本記事においては、タイトルも、レーン実験の紹介も、みなそっちの方向を向いている。
 車道通行の原則については、あたかも「付け足し」のように書いてあるばかりだ。

 例の法案が参議院を通りつつある今、もはや今回の法案については「よき運用を」と願うしかない。だが、その願いは果たしてかなうだろうか。課長補佐は、自転車についてどうあるべきと考えているのだろうか。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

「正しく時代に遅れるために」有栖川有栖著 講談社

 新本格の若き旗手と言われた有栖川有栖氏ももう48歳。私としてはエッセイを読んだのは初めてだ。予想通り「理屈っぽい」エッセイではあるが、なかなか楽しめた。ファンなら必読であろう。
 大阪に引っ越して以来、近所を自転車で巡るようになった。起伏に富んだ地形のために、上り坂と下り坂が頻繁に出てくるという。それを組み合わせるのも、一種のパズル、一種のミステリーだ、というのが、さすがは有栖川。

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「天下を獲り損ねた男たち(続・日本史の旅は自転車に限る!)」木世(えい)出版社
*昨年12月発売の最新刊。今回はなぜか「奈良・暗峠」「秩父・八丁峠」「北海道・日高峠」と、峠モノが満載。

「疋田智の自転車生活スターティングブック」ロコモーションパブリッシング
「自転車とろろん銭湯記」ハヤカワ文庫
「大人の自転車ライフ」光文社知恵の森文庫
「自転車ツーキニストの憂鬱」ロコモーション・パブリッシング
「日本史の旅は自転車に限る!」木世(えい)出版社
 いずれも好評発売中。ネット内でのご注文はこちらにどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index=books-jp&field-author=%E7%96%8B%E7%94%B0%20%E6%99%BA/249-6371737-5693951

【自転車通勤で行こう】
http://japgun.infoseek.ne.jp
バックナンバーはこちら。
http://www.melma.com/mag/03/m00016703/
 
 
 
 
  
 

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