小説

FT恋愛群像劇【1日5分!空き時間に読む小説】

『敵も味方もどこにいて、何をしてるか判らない』だけどその状況は幸せだと彼は言った…。



地殻変動により変貌してしまった日本を支配する、中王の圧政に立ち向かうべく、暗躍する者達の思惑が交差する。



圧制下で暗躍する小国の王子とその護衛部隊の成長を描くFT恋愛群像劇。



仕事の合間に!勉強のお供に!他人の世界に触れてみよう!がテーマの軽く読める連載小説。

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switch【1日5分!空き時間に読む小説】vol.128

2009/03/18

━ 1日5分!空き時間に読む小説 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)
      【 ジャンル:ファンタジー系恋愛小説 】
          http://shosetsu.uijin.com/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━vol.128 2009年3月18日
発行者:作倉エリナ

☆☆───────────────────────────────☆☆
  今号は「続・序章 第7話 続・選ぶと言うこと 04/12」です。
☆☆───────────────────────────────☆☆

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 まえがき
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 いつもありがとうございます。
 
 結局、月一更新くらいのペースになってきている作倉さんです。
 開き直ったというか、今の生活ペースでは週1は難しいので、
 ほぼ月一更新にしたいと思います。

 ……いまさら、ですけれども。
 
                            作倉エリナ

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賢く、かっこよく、優雅に生きるために☆
http://coolmoney.nengu.jp/



続・序章 第7話 続・選ぶと言うこと 04/12


 窓の外につけているからどんな小型ヘリかと思ったら、違ったらしい。観覧
車の箱のような金属のケージをヘリから吊り下げて、窓の横につけていたらし
い。どう吊り下げられてるかはオレには良くわからないけれど、ヘリにそのポッ
ドのようなものが収容される間、風に揺られてるのか、へリの動きに揺られて
るのか、ひどく横揺れして、戻しそうになった。
 ポッドごと収容されたヘリは軍事用なのか、ずいぶんしっかりした大きなも
のだった。遊覧用のヘリを想像していたけれど、小型移動秘密基地、といった
感じだ。
 武器に制限があったり、技術の開発を監視したりするくせに、中央はこんな
近代兵器(多分)まで持ってるってのは、なあ……。オワリなんか、王子様がバ
ンみたいな車で移動してたのに。
 オレも彼女も拘束されるわけでもなく、ちょうどヘリの中心部付近に設置さ
れた椅子に座らされた。といっても、ティアスは勝手に席を立って、運転席と
反対側の端にいた黒ずくめ二人と話をしていたけど。……知り合いかな?つー
か、中央軍関係者で、中王とサワダ父に近い人って感じだから、もしかしたら
創世記メンバーか?だとしたら、大物来ちゃったな。
 妙なつくりだと思ったのが、オレが座っているベンチのような椅子は、多分
3人がけ。それが2列(オレは前列の椅子に座らされた)、妙に広いこのヘリ内
部の空間の中心にすえられていて、その周りは何も置かず、この空間の広さに
対して無駄とも思えるような広い通路。床面は1m四方の金属板がビス止めされ
ていた。ヘリの入り口とポッドの収容場所以外の壁際には、腰掛けられるよう
なでっぱりがある。黒ずくめ二人と、話に行ったティアスはそこに座っていた。
 よく見たら、窓もほとんどない。30cmくらいの円形の窓が、1mおきくらいに
あるだけだ。

「そんな不安そうな顔しなくても」

 後列の椅子に座って、サワダ父が話しかけてきた。後ろから話しかけられるっ
て言うのは、いやな気分だ。つーか、いつの間に後ろに座ったんだよ。この人、
神出鬼没すぎるよ。なんなんだよ。

「不安にもなりますよ。このまま中央に行くつもりですか?」
「まさか。こんな目立つ物では行かないよ。これは君を迎えに来ただけ、巡回
のついでに」
「どうやっていくんですか?」
「内緒。まあ、悪いようにはしないから、おとなしくしてなよ」

 「判ってるね?」とでも言わんばかりの目つきだった。笑顔のくせに。オレ
を(そしてティアスも)拘束しないのは、逃げられるわけがないという自信の
表れなのか、緩やかな脅迫なのか。
 しかし調子狂うな。この人、オレと同じ年の息子いるとは思えないんですけ
ど……。いや、ここはペースを乱されちゃだめだ。ティアスもいるし。オレだっ
てもう、ちょっとやそっとじゃ驚かないっつーの。それに、オレを中王のとこ
ろに連れてくまでは、とりあえず何かされることもなさそうだし。

「サワダのお父さんて、オワリの偉い人じゃないんですか?こんな騒ぎ起こし
て、大丈夫なんですかね?」

 そう聞いたオレの真意をどう受け取ったかは判らないけれど、サワダ父は笑
顔で説明をしてくれた。淡々と事実だけを簡潔に。
 彼の話によると、このヘリ着陸事件は元老院と軍の上層部によって、「中央
軍の定期監査の一環」として片付けられる予定なのだそうだ。守護のためにつ
めていた下級兵士達に見られることは承知のうえで、程なくして連絡遅延につ
いて謝罪の通達をする予定だったようだ。
 その通達の真意を、どこまでの人間が知ってるかなんて、オレにはわからな
いけれど。
 それにしても、軍の上層部は全部中央とグルなのか、それとも圧力に屈した
だけなのか。元老院はよくわかんないけど、ミハマや、その護衛部隊、親衛隊、
それにオレが見てきた軍の人たちは、決してそんな風には感じなかったけど。
だからこそ、なんか腹立たしいぞ。

「王子の護衛部隊が出てくることは計算済みだって言ってたけど、あの鉈持っ
たやつは何者だ?聞いてないぞ?」

 黒ずくめ男の正体はサカキ元帥だった。サワダ父の横に座り、覆面を取って
顔を拭いていた。つーか、事実上よっぱらい親父とはいえ、大物過ぎるだろ!!!
いつの間に移動してきたんだ。簡単に顔をさらすな!!どんだけ突っ込みどころ
が満載なんだ!!

「護衛部隊だよ。表立って連れ歩いてないだけで。あんな子供、気にする必要
あるまい。気にしないといけないのは、王子とスズオカ君だけだ」
「そうか?おっかない目をしてたけどな。チラッと覗いただけだが。まあ、王
子ほどではないか」

 楽しそうに笑うなあ。それにしても、顔は見えなかったけど、あのプライド
の高いイズミが、あんなことされて黙ってるとは思えないけど。おっかない目、
で済めばいいけどね。
 でも、負けてた……んだよな?さすがに元帥、ってことなんだろうか、あの
怪獣を簡単に足蹴にするとは。
 そんな恐ろしいおっさんなのに、不思議なことを言っていたな。

「王子が、怖いんですか?」

 サワダ父よりは酔っ払い親父もとい、サカキ元帥のほうが雰囲気的には話し
やすかったので、思わず普通に質問してしまった。

「まあ、きれいな子だからな」

 彼は笑っていたけれど。

「おっかないね。あの、鉈を持ったガキも厄介そうな目をしてたけど、王子に
比べたら」

 ミハマのいったい何が?確かに時々、ものすごい怖い時があるけど。

「いいから、あんたもそこに座って」

 もう一人の黒ずくめ女も覆面を取っていた。ティアスをオレの隣に座るよう
促すと、自分はその横に立った。気の強そうな女性だった。40近い女性に見え
るけれど、スレンダーで姿勢がいいせいか、後姿だとそんな感じがまったくし
ない。この人も「創世記メンバー」なんだろうか。

「なんだよ。この子は逃げやしないだろう。意味ないってわかってんだから、
なあ?」

 サカキ元帥ががははと笑いながらティアスの頭をなでる。彼女は黙って、彼
をにらみつけた、表情一つ変えず。

「テッキもトラも、自信過剰なのよ。この子、さっき逃げようとしたよ?」
「逃げようとしたわけじゃない。意味ないし」
「なら、どうして」
「いいから、ミズキ。意味ないのはよくわかってるだろう。こっちのガキを連
れずに逃げても、仕方がない。だから、この子はそのままでいい」

 サカキ元帥が、ひどくまじめな顔で「ミズキ」さんをみつめる。てか、ミズ
キさんのサカキ元帥を呼ぶ発音が、猫を呼ぶみたいでちょっと笑ってしまうと
こだった。

「彼がいなかったら、この子がここにいる意味もまったくないし。ここで逆ら
おうが、逆らうまいが、中央に戻れば元通りの生活が待ってるだけだし」
「そこがわかんないの。この子を好きにさせといたって、何もいいことはない
のに。妙に力つけてきちゃって。何の処分もなし?」
「今回のことで処分はできないだろうが。オレとテッキがこの子を連れて行き
たいって言っただけで。嬢ちゃんはそれに意見しに来ただけだし」
「何でそんなにこのお姫様に甘いの。命令違反でしょうが、たてついてんのよ?」
「正規の命令じゃないし」

 ずっと笑顔だったサワダ父が、元帥とミズキさんのやり取りを、興味深げに
じっと見つめていることが気になった。

「話には聞いてたが、ちょっと極端な気もするな。オレも、どっちかって言う
とミズキさんの意見に賛成だし」
「でしょ?テッキもそう言ってるじゃない。いくらハルカが『好きにさせろ』っ
て言ったからって」

 なんだなんだ、内輪もめか?また知らない名前が出てきたぞ。ハルカって誰
だ?

「気に入らないなら、秘密裏に処分するなり、牙を抜くなりすればいいじゃな
い。別に、言われるほど私は何もしてないし。逃げても動いても無駄なこと、
判ってるし。オトナシは『好きにさせろ』って言ってるんじゃなくて、私のこ
となんかもうどうでもいいってことなんじゃないの?あの人、何の興味もなさ
そうだし」
「ティアス、どうでもいいってことはないよ。オレが知ってるオトナシが『好
きにさせろ』って、ミズキさんに言ったならね」

 サワダ父の言葉に、ティアスも、そしてミズキさんも黙ってしまった。話か
ら察するに、ハルカって言うのは、中王のことか……。ミズキさんも創世記メ
ンバーで確定ってことか、こんだけ中王に近いってことは。
 それにしてもこういうときのティアスは、ちょっとだけ怖い。すねたような
台詞にも聞こえるのに、彼女が余りに落ち着いているというか、どっしり構え
ているから、むしろ、圧力のようなものすら感じる。

 こういうときのティアスって、なんだかミハマみたいだな。
 もしかして、彼の『怖さ』って、こういうことなんだろうか。

「で、逃げようとしたの?君は」
「え?」

 彼女は思わず、といった顔で、サワダ父のほうに振り向いた。

「それとも、外に何かいた?」
「……トラ、外見てきて」

 ため息をつきながら、ミズキさんはティアスの横に座った。それと入れ替わ
りに、サカキ元帥は席を立ち、窓に向かう。

「テッキ、そういうことはもっと早く言って」
「ミズキさんもサカキもせっかちすぎるんだ。もう少し落ち着きなって、もう
いい年なんだから」

 さすがサワダの父親、一言多い。なんか、こうやって悪態ついてるところは、
オレの知ってる沢田そっくりで、変なデジャブを感じてしまう。

「あんなでかい息子がいる男に、何も言われたくないよ。子供がいるから、落
ち着かざるを得なかっただけでしょ?」
「オレは昔から落ち着いてたし」
「息子の方がよっぽど落ち着いてるし。似てるのは顔だけ。よかった」
「別に似てないよ。あいつは、ヨシノに似てるんだ」

 オレもティアスも黙って聞いていたが、その台詞に思わず顔を見合わせてし
まった。完全に同じDNA受け継いでるぞ。

「そうかもね。テッキには、ああいう必死な感じはないから。幼さのせいかも
しれないけど、見ていて痛々しいね、あの子」

 彼は何も答えなかった。痛々しいって言葉は、なんだかサワダにしっくり来
る。哀れとか、辛そうとか、そういう言葉よりもずっと。そして、オレやイズ
ミが感じていたことを、この人も感じていたことに、驚きと確信を得た。

「もう、到着だろう。準備しないと」

 彼は彼女の声にはこたえず、話を変えた。その代わり、彼女は彼の言葉を受
けてオレの前に立ち、オレを立ち上がらせた。

「逃げれないとは思うけど、一応ね。列車に乗ったら、またはずしてあげるか
ら」

 後ろ手に、手錠のようなものをかけられた。「痛くない?」って聞かれたけ
ど、そんな状況でもない気がする。
 この人、気が強い人かと思ったら、オレにはなぜかちょっとだけ優しい。黙っ
てうなずいたら、笑顔を返してくれた。まあ、拘束されてるんですけど。

「何だ、横断線に向かってるのか?空港に向かってるかと思った」
「お荷物つれて、夜空の旅は勘弁ね。時間はほとんど変わらないよ?」

 そういえば、以前シュウジさんが見せてくれた地図の中で、横断線てのがあっ
たな。新幹線とほぼ同じ路線で。あれのことかな、列車って。そういえば、ティ
アスがくれたパスは使うことなく、こうやって中央に連れて行かれることになっ
ちゃったか。あと、この様子だと、飛行機っぽいものもあるみたいだな。同じ
くらいの速さでトウキョウにいけるやつが。

「いたぞ」

 そういってサカキ元帥が連れてきたのはサワダだった。さすがに、彼はオレ
と同じく後ろ手に拘束されていた。彼は逆らう気がないのか、妙に落ち着いて
いた。

「お嬢ちゃん、いつの間に王子たちを味方にしてたんだ?連絡とるために外を……」
「まさか。たまたま外に潜んでいたのに気づいただけよ」
「そう?そんな風には見えないけど」

 オレを捕まえたまま、ミズキさんはティアスとサワダを交互に見た。サワダ
父はバツが悪そうに、大きくため息をついていた。

「ちょっと会わせるだけだって言ってる。返さないとは言ってないし。わざわ
ざついてくることはないだろう、テツ。ティアス、君もだ。用があるのはアイ
ハラくんだけなんだから、こいつらは置いていこう」

 あ、やっぱそうなるよね。ティアスはオレをここに連れ込むためのえさでし
かなかったし。その後は邪魔なだけか。ティアスは、逆らっても仕方ないって
いうか、事態を悪化させないためにおとなしくしてた節があるし。
 彼女に迷惑かけたくないから……とはオレは言えんな……。正直、戻ってこ
れるか心配だし。カリン姫の扱いとか、ひどかったしなあ。多分、サワダは父
親の目があるから丁寧に扱われてるって感じだし、ティアスもお姫様呼ばわり
だったし。
 これでオレが、彼らの期待に即してなかったら、何の保証もないんだよな。
いや過ぎるぞ。でも、さすがにティアスの前でそれは。この無駄なオレのプラ
イドが憎いけど、逆らえない!!

「いや、そういうわけにはいかないし」

 一見、丁重に扱われてるとはいえ、一応つかまってるくせに、やけに落ち着
き払ってるサワダも気になるけど。……多分、何か考えがあってのことだろう。
サワダを捕まえたのは、あの怪獣を足蹴にする男だ。

「サワダ中佐はともかく、私は別についていっても差し支えないでしょ?」

 ティアスもサワダも、オレを心配してくれてるのかな。二人して……。

「あるよ。ほら、トラが甘やかすから」
「オレのせいかよ!」
「……この状況になった以上、逆にお姫様がついて来たがる理由はわかるが、
お前は?たまたま街中で拾っただけだって聞いてるけど、あの王子と何かたく
らんでる?」

 よりにもよって、息子に喧嘩ふっかけなくても!!


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 次号は・・・
  スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)続・序章 第七話(全七話)
                          P.005/P.012

      vol.129は2009年4月発行です。お楽しみに!

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 現在このお話と対になる学園ものシリーズを携帯でお送りしています。
 そちらもぜひご覧ください。
 http://mini.mag2.com/pc/m/M0056277.html
 最初から読みたい方はこちらから
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 あとがき

 前書きで開き直ってしまったように、これからはほぼ月一ペースで更新して
いきます。もちろん、早めの更新というか、月一にならないように努力する所
存です。

 それでは、次号もよろしくお願いします。

                            作倉エリナ

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-九頭龍神社参拝- 今はやりのパワースポットとは?
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